イベントレポート
実機で見るLenovoのスタンドアロンVR HMD「Mirage Solo」とVRカメラ「Mirage Camera」
2018年1月11日 12:06
Lenovoは、CES 2018開幕に合わせて、Daydream対応のスタンドアロン型VR HMD「Mirage Solo」と、4K解像度の180度VR動画を撮影できるVRカメラ「Mirage Camera」を発表した。製品の詳細は関連記事をご覧いただくとして、本稿ではそれぞれの実機と、ファーストインプレッションをお届けする。
Mirage Solo
「Mirage Solo」は、世界初となるDaydream対応のスタンドアロン型VR HMDだ。外観はシンプルなVR HMDという印象で、カラーはホワイトを基調としている。ヘッドセット前方には、トラッキング技術「WorldSense」で利用する2つのカメラを配置。左側面にはバッテリ充電用のUSB Type-CとmicroSDカードスロット、右側面にはヘッドフォンジャックと電源ボタン、ボリュームボタンを配置する。
ヘッドセット内部の仕様も、一般的なVR HMDと大きく変わらない。内部に2,560×1,440ドット表示対応の5.5型液晶と、両目それぞれに対応する2つのレンズを配置。内部には眼鏡をしていてもほぼ問題なく装着できるように余裕が取られている。
装着時に顔に当たる部分や、ヘッドバンドの後頭部に当たる部分には柔らかい素材を採用し、顔や頭にフィットしてぐらつきは少ない。重量は645gとそれなりの重さだが、重量バランスが悪くないせいか、装着時にはあまり重いと感じなかった。背面のヘッドバンドは、ダイヤルを使って開け閉めするという点は、Lenovo Explorerと同じで、簡単に装着したり外したりできる。
VRコンテンツの見え方や表示品質も、基本的には一般的なVR HMDとほぼ同等だ。解像度は標準的で、フレームレートも最大75Hzということで、ちらつきも感じない。明るさも十分で、かなり見やすいと感じた。今回は、VR写真と動画、VR対応ゲームを体験したが、いずれも頭の動きと映像がしっかり同調しており、違和感を感じることはほとんどなかった。そのため、映像に酔うことなく楽しめた。これは、WorldSenseのトラッキング性能の高さがあってのものだろう。
付属のWireless Daydream Motion Controllerはかなりコンパクトで、前方にクリック操作対応のタッチパッドと、中央に2つ、側面に2つのボタンを配置し、下部には充電用のUSB Type-Cを備える。利用時には、親指でタッチパッドやボタンを操作することになるが、直感的に軽快な操作性が可能だった。
実際に利用してみた感じたのは、やはりケーブルレスで利用できるのは非常に快適という点だ。使っているうちにケーブルが身体に巻きついたり、ケーブルに引っ張られることが一切なく、VRコンテンツに没頭できるのは大きな利点と感じた。
おそらく、ハイエンドPCなどを利用するVR HMDに比べると、VRゲームなどでは映像品質が落ちる場面もあるとは思う。それでも、ほかにPCやスマートフォン不要で単体で利用でき、400ドル以下をターゲットにしているという比較的安価な想定価格を考えると十分に魅力的で、VR MHDの裾野を広げる存在になると言えそうだ。
Mirage Camera
「Mirage Camera」は、誰でも簡単にVRコンテンツや立体視映像を作成できる、ということをコンセプトに開発されたカメラだ。それを体現するように、製品は非常にシンプルにできている。
筐体は非常にコンパクトで、重量も139g(Wi-Fiモデル)しかなく、気軽に持ち運んで利用できる。前方には180度の魚眼レンズを備える2つの1,300万画素カメラを配置し、前方180度をカバーするVR静止画や動画、立体視映像を撮影可能。
上部には電源ボタンとシャッターボタン、モード切換ボタンと3つのボタンを備えるだけ。このほかは、左側面カバーを開けるとmicroSDカードスロットとバッテリ充電用のUSB Type-Cが現われ、底面には三脚などを装着するネジ穴が用意されているのみ。背面にはライブビュー用ディスプレイを用意せず、かなり割り切った仕様だ。
利用時には、電源を投入し、モード切換ボタンで撮影モードを切り替え、シャッターボタンを押すだけと非常にシンプル。撮影モードは、静止画、動画、動画ライブ配信の3種類で、背面のインジケータでモードを確認できるようになっている。
ただ、本体サイズがかなり小さいため、撮影時の持ち方によっては、自分の手が映り込んでしまう心配がある。本体を親指と人差し指などでつまむように持って使うのが基本となるが、ホールドにはやや難ありという印象だ。
ディスプレイは用意されないが、スマートフォンと連携させることで、ライブビューや撮影映像の確認、スマートフォンからのモード切り替えなどが可能となる。
スマートフォンとはWi-Fi Directで接続。そして、あらかじめ接続が終わっていれば、スマートフォンでアプリなどの操作を行なうことなく、撮影した静止画や動画を自動的にGoogle PhotosやYouTubeにアップロードできる。
また、LTE搭載モデルでは、Wi-Fi接続も不要となり、より簡単に利用できる。今回は実際に確認できなかったが、VR動画のライブ配信も同様とのこと。誰でも簡単に使えるように、極力シンプルにしているとのことだが、個人的にはやはり小さなものでもいいので、ライブビュー用のディスプレイは搭載してもらいたかったように思う。それでも、初期設定さえ乗り越えられれば、確かに非常に簡単に利用できそうだ。
撮影できる静止画や動画は、前方180度をカバーするため、前方に向けていれば360度VRカメラのように自分が映り込むことはない。また、VR HMDで撮影した静止画や動画を見る場合でも、前方のみを見渡せることになる。
実際にMirage Soloで撮影した静止画や動画を見てみたが、確かに上下左右に首を振ると180度を超える部分はなにも映っていない。それでも、撮影者と同じ目線を体験するという意味では、十分に臨場感があると感じた。
また、Mirage Cameraで撮影するVR画像は「VR180」フォーマットに準拠しており、スマートフォンやタブレット、PCなどでは2Dで、VR HMDを利用すれば3D立体視でも楽しめるようになっている。
今回は実際に、Mirage Cameraで撮影したVR動画を、Mirage Soloを利用して立体視で視聴できた。映像が立体的に見えるようになり、実際にその空間にいるかのような臨場感がグッと高まる。また、体験動画は4K動画だったため、映像の荒さもそれほど感じることがなく、品質も十分に高かった。この品質の3D VR動画を簡単に撮影できるのは、Mirage Cameraのポテンシャルはなかなかのものと言えるだろう。
ただ、今回試したかぎりでは、頭の動きと映像の動きにわずかなズレがあったこと、左右に頭を移動させるだけでも立体的な映像の見え方が変わる点にやや違和感があり、人によっては短時間で酔ってしまうのではないか、という印象を受けた。両目の視差は個人差があり、そこが影響している可能性もあるが、VR HMDを利用したVR立体視動画は、あまり長時間の視聴には向かないかもしれない。
このようにMirage Cameraは、仕様こそ割り切っているが、だからこそ誰でも手軽にVR静止画や動画、立体視映像の撮影が可能となるのは間違いなく、こちらも裾野を広げる製品となりそうだ。ターゲット価格も比較的安価なので、Mirage Soloと合わせて揃えるのもいいだろう。