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日本HP、2025年はAI PCに注力。ハード/ソフト両面で顧客支援を強化
2025年1月17日 14:41
日本HPは16日、報道関係者向け事業説明会を都内で開催した。HPが取り組んでいる施策や2025年度の展望、同日発表の新製品を紹介する主旨。
会場では、同日発表した個人/法人向けの新製品をはじめ、各種ソリューションのデモ展示を実施していた。AI PCに属する製品のラインナップは、個人向けモデル2機種と法人向けモデル4機種を新規に加えた全10機種。個人向けではクリエイティブ向けのモニタ一体型モデル「OmniStudio X 32 AI PC」と、ゲーミングノート「OMEN MAX 16」、法人向けでは「EliteBook X G1a 14 AI PC」と「EliteBook X G1i 14 AI PC」、「ZBook Ultra G1a 14inch」、「Z2 Mini G1a Workstation」をそれぞれ追加している。
AI PCを軸にユーザーに最適化したサービスを提供
代表取締役社長執行役員 岡戸伸樹氏は、2024年度の業績について説明した。売上が約536億ドル、利益が約45.2億ドルと前年比でほぼ横ばいだったが、第3~第4四半期で売上を伸ばしたという。この中で、AI PCの売上について言及。第4四半期に占めるAI PCの売上は15%に達したとし、2025年以降もラインナップの拡充を行なう意向を示した。またAI PC以外の部分では、GIGAスクール構想第2期に向けた製品の開発/販売も推し進めるとしている。
このほか2025年の戦略として、パーソナライズされたツールの提供やAIの活用を推し進める取り組み「Future of Work」を掲げた。ここではAI PCを1つの軸として、ユーザー個人に最適化したアプリケーションやサービスの提供を進める。内容としてはセキュリティソリューションの拡大、製造業に対するDX支援、HP社内のキャリア支援におけるAIの活用などを挙げた。とりわけAI PCの活用については、顧客企業のみならず自社の従業員も対象に事例の蓄積を行なうと話している。
ハード/ソフトの両面でAIを積極活用
執行役員 パーソナルシステムズ事業本部長 松浦徹氏は、PC事業におけるAI関連の取り組みについて解説した。
AI PCとしてローカルで稼働するAIのメリットとしては、クラウドにデータを送信しないことによるセキュリティの確保や、応答の早さ、利用コストの削減を挙げている。新製品の特徴として個人/法人向けのいずれでもNPUの性能に言及しており、AIワークロードに注力している点を強調した。
個人向けユーティリティ「OMEN AI」では、画質設定を自動で最適化してフレームレートの最大化を図ることができる。現在はベータ版を提供中。ユーティリティソフト「OMEN Gaming Hub」から取得/学習したデータを元にAIが推奨設定を行なうもので、ゲーム内設定だけでなくOS側の設定もタイトルに合わせて調整する点が特徴。現在対応しているタイトルはCounter Strike 2のみだが、今後対応タイトルを拡大する予定としている。
法人向けAIソリューションとしては「AI Companion」を紹介した。動作の基本は「Discover」「Analyze」「Perform」の3つで、モデルはChatGPT 4oがベース。個人ファイルを読み込ませることで文書内容の分析やデータの比較、要約などが行なえるほか、PCの性能を可視化/最適化する機能が利用できる。
最後に松浦氏は、PCが"パーソナルコンパニオン"に進化する中で、セキュリティ面も含めた高い信頼性を維持するには、ハード/ソフトの両面で積極的にAIを活用することが必要であり、今後もその方向性を強化する方針であると述べた。
ビジネス支援やセキュリティ製品にも注力
ワークフォースソリューション事業本部長 前田悦也氏は、HPが展開するビジネス支援サービスの中から、「コンピューティング環境」と「セキュリティ」の2サービスについて紹介した。
コンピューティング環境に関連するサービスには、PCやプリンタの導入/カスタマイズ/サポート/保守/回収に加えてソフトウェアによるビジネス支援業務も含まれる。前田氏によれば、今後はソフトウェアの領域に注力するとしており、ここでは顧客企業の生産性向上をセキュアな環境で実現する「Workforce Experience Platform(WXP)」を挙げている。
WXPは、ユーザーが使用している端末のテレメトリーデータを可視化/モニタリングするクラウドベースの管理プラットフォーム。ユースケースと機器の相性や、機器入れ替えのタイミングなどさまざまな項目について細かく管理し、顧客企業の生産性向上を図るサービスであり、ここには顧客独自の環境に加えて、自社で蓄積した知見も生かしているという。
セキュリティに関しては、ハードウェア面でのセキュリティ対策にも力を入れた製品ブランドとして「Wolf Security」を展開。大企業/自治体向けと中小企業向けにブランドと製品構成を分けており、ここでは近年における自治体への導入実績を紹介した。