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小児ではブルーライトカット眼鏡はむしろ逆効果。日本眼科学会が見解
2021年4月15日 13:43
公益財団法人日本眼科学会は14日、小児に対する市販ブルーライトカット眼鏡の効果について疑義を呈する意見を公開した。
近年はスマートフォンなどのデジタル機器の普及にともない、ディスプレイから発せられるブルーライト(波長380~495nm前後の青色成分)をカットするための眼鏡が広く販売され、睡眠障害や眼精疲労の軽減、眼球への障害の予防が謳われている。
日本眼科学会によれば、体内時計とブルーライトの関係については、いくつかの論文が出ており、夜遅くまでデジタル機器の強い光を浴びると、睡眠障害をきたす恐れがあり、夕方以降にブルーライトをカットすることには一定の効果が見込まれる可能性があるとする。
しかし、そのほかの効果については科学的根拠が乏しく、一部で小児へのブルーライトカット眼鏡の装着を推奨する動きがあることについて、参考文献などを引用して以下の問題があると指摘している。
- デジタル端末の液晶画面から発せられるブルーライトは、曇天や窓越しの自然光よりも少なく、網膜に障害を生じることはないレベルであり、いたずらにブルーライトを恐れる必要はないという報告がある。
- 小児にとって太陽光は、心身の発育に好影響を与えるもので、十分な太陽光を浴びない場合、小児の近視進行のリスクが高まる。ブルーライトカット眼鏡の装用は、ブルーライトの曝露自体よりも有害である可能性が否定できない。
- 最新の米国一流科学誌に掲載されたランダム化比較試験では、ブルーライトカット眼鏡には眼精疲労を軽減する効果がまったくないと報告されている。
- 体内時計を考慮した場合、就寝前ならともかく、日中にブルーライトカット眼鏡をあえて装用する有用性は根拠に欠ける。産業衛生分野では、日中の仕事は窓ぎわの明るい環境下で行なうことが奨められている。
日本眼科学会は、以上のことを踏まえ、小児に対してブルーライトカット眼鏡を装着させる根拠はなく、むしろ発育に悪影響を与えることを危惧していると表明している。
なお、参考として以下の記事にあるとおり、慶應義塾大学は波長360~400nmの光(バイオレット光)について、近視進行を抑制する効果があることを以前に発表している。