やじうまミニレビュー
ブルーライトカットの液晶保護フィルムは意味があるのか?
2016年8月4日 06:00
今からおよそ4年前の2012年、PCなどの液晶ディスプレイから出る「ブルーライト」が疲労を引き起こす原因であるとメガネメーカーのJINSが提唱し、このブルーライトを削減するためのメガネを開発。一世を風靡した。
ブルーライトが疲れを引き起こす原因は、可視光の中で最も波長が短く、人体に有害な紫外線に近く、強いエネルギー持つためだとされている。一方、筆者はPCディスプレイの色温度の高さが関係しているのではないかと考えている。例えば自然光(太陽光線)はおよそ5,000~6,000Kだが、PCのディスプレイの色温度の標準は9,300Kだからだ。つまり、太陽光下で見る白と比べるとかなり青みがかっているのだ。自然界において白く見えるはずのものが青く見えるわけだから、それで知らない間にストレスを感じているのだろう。
筆者は色温度が高い液晶を使ったからといって疲労が溜まるという経験をしたことはない。しかし、色温度の高いディスプレイを好んで使いたいとは思わない。そもそも白が白じゃないのはイラッとするし、青い液晶ではお姉ちゃんの写真を綺麗にレタッチできない。
デスクトップPCで使う液晶の多くは色温度を調節できるモデルが多いため、特に問題にはならないが、ノートPCに搭載された液晶で色温度調節機能を持ったものはほとんど聞かない。Windows標準の色調節機能やGPUのドライバを使えば、ある程度の調整はできるが、それは色個別の話で、色温度を直接調節できるわけではない。ソフトウェアで青の明るさを抑えればもちろんブルーライトは削減できるが、明るい部分だけでなく暗い部分も下がるため、液晶によっては「白は白になったが黒は黄色っぽくなる」場合もあってなかなか難しい。また、ノートPCの液晶は環境に合わせて結構輝度調整をするので、輝度によって若干色が偏移するので、さらに難しくなる。
話は長くなったが、「それじゃあブルーライトを削減する液晶保護フィルムを貼ってみたらどうか」というのが、今回の記事の趣旨である。ブルーライトを削減すれば、必然的に色温度が下がる--そう考えたわけだ。今回購入したのはエレコムの「EF-FL116WBL」という、11.6型液晶向けの製品である。表面はアンチグレア処理されており、光沢液晶を非光沢に変更するのにも有効である。貼り付け対象は以前筆者が購入したマウスコンピューターの「NEXTGEAR-NOTE i300」だ。
製品内容はシンプルで、液晶保護フィルムとヘラのみ。単なるフィルムなので特徴について語ることはあまりないのだが、気泡が発生してもすぐに抜け、指紋や傷がつきにくい仕様など、近年の液晶保護フィルムに備えるべきトレンドは抑えられている。表裏2枚のフィルムで保護されており、まずは貼付け面を剥離させ液晶に合わせて貼り付け、最後に表面の保護フィルムを剥がすだけだ。実際の作業も2分程度で終了し、至って簡単だった。NEXTGEAR-NOTE i300の液晶の枠には、本当にピッタリにハマった。精度の高さには感心する。
さて実際の効果だが、写真を見ていただきたい。いずれの写真もカメラの色温度を4,500Kに統一してある……のだが、ご覧の通り、拍子抜けするほどはっきりとした違いはなかった。ブルーライトを42%削減すると書いてあったので期待したのだが、バックライトの青みがよほど強いのか、効果を感じられなかった。
しかし予想外に良かったのは「光沢液晶が非光沢になった」こと。NEXTGEAR-NOTE i300は光沢液晶で反射がかなり多く、暗い画面などでは自分の姿をはっきり確認できるし、天井の光もかなり反射するので、使用中ストレスが溜まるのだが、EF-FL116WBLを貼ってから明らかに反射が減り見やすくなった。先ほど述べた通り、枠にピッタリハマっているため液晶との一体感も高く、フィルムを貼っていることを感じさせない。まるで最初から非光沢液晶のノートPCを買ったかのようだ。
というわけで、このフィルムで本来の趣旨を実現できなかったのは残念であるが、液晶が非光沢になったことで、ストレスがかなり減ったのは予想外の結果だ。「使っている、もしくは欲しいノートPCが光沢液晶しかないのだが、光沢液晶の反射が気になってストレスになる」という人は、試す価値があると言えるだろう。製品名に反してブルーライト削減はあくまでもオマケ程度だが、近年のノートPCは色温度も下がってきている気がするので、大した問題にならないかもしれない。