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Tesla、自社開発の自動運転車向けプロセッサ
2019年4月23日 18:16
自動車企業の米Teslaは22日(現地時間)、完全自動運転車技術を紹介するプライベートイベント「Tesla Autonomy Day」を開催し、同社が開発したコンピュータおよびプロセッサを公開した。
車載コンピュータの形状は従来とほぼ同等だが、プロセッサはNVIDIAのXavierからTesla自社開発のものへと置き換わった。基板には自社製チップを2基載せており、それぞれ異なるラインから電源供給を受けることで冗長性をもたせている。
また、通常時はカメラやレーダー、GPSなどの情報取得も別々のプロセッサが担当している。車を制御するさいは、センサーなどから得られたフィードバックをもとに、制御したプロセッサ自身に加え、もう片方のプロセッサが二重に検証を行ない、安全性を確保する。
今回開発したチップは37.5×37.5mm四方のBGAパッケージに収められており、ピン数は2,116本。14nm FinFETプロセスで製造され、ダイサイズは260平方mm。60億トランジスタを集積しており、自動車向け集積回路の認定試験「AEC Q100」をクリアしている。昨今のハイエンドGPUが700平方mm超えであることを考えると、今回のTeslaのチップはスイートスポット(つまりミドルレンジGPU)と同じであり、リーズナブルである。
CPUは2.2GHz駆動/12基のCortex-A72を搭載。GPUは1GHz駆動で、演算性能は600GFLOPSとなっている。
特徴的なのは深層学習用のニューラルネットワークプロセッサ(NNP)の搭載で、プロセッサ1基あたり96×96基の乗算/加算アレイ、32MBのSRAM、ランプ関数(ReLU)およびプーリング層をハードウェアで実装している。2GHz駆動時で36TOPSの性能を誇る。Teslaはこの構造のNNPを2基搭載することで、合計72TOPSの処理性能を実現する。
プロセッサはエネルギー効率を重視し、ニューラルネットワーク処理の99.7%が加算と乗算命令であることを踏まえた上でNNPを採用した。NNPの整数加算では32bit、乗算では8bitを採用。SRAMを32MBも備えるのは、消費エネルギーがDRAMの100分の1だからとしている。
ニューラルネットワークの推論処理はリアルタイムに行なわれ、データをメインメモリやストレージに保存する必要はない。このためプロセッサ内にSRAMを設けている。その一方で大量にイメージデータを処理する必要があるため、1NNPあたり1TB/sのバンド幅を確保した。
このほかプロセッサ上には、1ギガピクセル/sの処理が行なえるISP、4,266Gbps/128bit幅で68GB/sのバンド幅を提供するLPDDR4 DRAMメモリインターフェイス、H.265に対応したビデオエンコーダ、ロックステップCPU/制御検証を行なうセーフティシステム、Teslaが提供したコードのみ実行することでセキュリティを高めたハードウェア機構などを備える。