やじうまミニレビュー
小型筐体で2TBの大容量を実現したポータブルSSD「X6」
2020年11月25日 06:50
マイクロンジャパンは、CrucialブランドのポータブルSSD新モデルとなる「X6 ポータブルSSD」の発売を開始した。
エントリークラスのポータブルSSDとして位置付けられており、大容量ながら比較的安価な価格を実現。また、小型軽量で軽快に持ち運べる点も特徴となっている。今回、容量2TBモデルを試用する機会を得たので、製品の仕様や速度などをチェックしていこう。すでに発売中で、価格はオープンプライス、Amazon.co.jpでの販売価格は36,800円。
手のひらに収まる小型軽量ボディで2TBの大容量
「X6 ポータブルSSD」は、CrucialブランドのポータブルSSD新モデルだ。従来モデルとしては、リード最大1,050MB/sの高速アクセスを実現する「X8 ポータブルSSD」が発売済みとなっているが、X6 ポータブルSSDはエントリークラスの製品として位置付けられている。
SSDはここ数年の間に、3D NANDやQLC仕様のNANDが登場したことで、大容量化と低価格化が一気に進んでいる。もっとも安価なものでは、容量1TBで実売価格が10,000円前後という製品も登場しており、もはや価格の面でSSDの選択をためらうことはなくなったと感じる。
そういったなか、X6の実売価格は1TBモデルが19,980円、2TBモデルが36,800円と、もっとも安価な製品に比べるとやや高価ではあるものの、Crucialブランドの製品であるという安心感を考えると、十分納得できる安さと言っていいだろう。
本体が小型軽量で、軽快に持ち歩ける点もX6の特徴の1つだ。本体サイズは69×64×11mm(幅×奥行き×高さ)と、容量2TBのポータブルSSDとしてトップクラスのコンパクトさ。しかも重量は公称で約42g、実測では本体のみで41.1g、付属USBケーブル込みでも55gと非常に軽い。
実際に手にすると、手にひらにすっぽり収まるその小ささとともに、圧倒的な軽さにかなり驚かされる。サイズの小ささと軽さだけならUSBメモリのほうが上かもしれないが、X6はポータブルSSDとしてUSBメモリにはない高速アクセスを実現しており、そういった中でこの小ささと軽さはかなり魅力がある。
この軽さは、筐体素材に樹脂を採用しているために実現できている。とはいえ、高さ2mからの落下試験をクリアする耐久性や、衝撃や振動、高温・低温環境での利用などへの耐性も備えるとされている。防水性能については言及がないため、雨などには気を付ける必要はあるが、これだけの耐久性があるなら外出先でも安心して利用できそうだ。
X6の接続インターフェイスはUSB 3.1 Gen2準拠USB Type-Cを採用しており、データ転送速度はシーケンシャルリード最大540MB/sとなる。Crucialは、採用するNANDフラッシュメモリの種類など、X6の細かな内部仕様を公表していない。ただ、速度を考えるとX6はSATA仕様のSSD利用していると判断できる。実際に、CrystalDiskInfo 8.8.9を利用して内部SSDの仕様をチェックしてみたところ、SATA 6Gbps準拠であることが確認できた。
PCなどとの接続には、付属のUSB Type-Cケーブルを利用する。このUSB Type-CケーブルはUSB 3.1 Gen2準拠で、長さが実測で約23cmと短い。ただ、ケーブル部分がやや固く取り回しはやや面倒な印象だ。
ところで、X6の登場と合わせ、上位モデルとなるX8 ポータブルSSDにも容量2TBの製品が追加されている。仕様は従来モデルと同じで、接続インターフェイスはUSB 3.1 Gen2で、アクセス速度はシーケンシャルリード最大1,050MB/s。サイズは110×53×11.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量は99.8g。X6と比べて重量が倍近くあるが、これはPCIe/NVMe SSD採用のため、熱を効率良く発散できるよう金属筐体を採用しているためだ。
Amazon.co.jpでの販売価格は45,980円と、X6に比べると高価だが、圧倒的なアクセス速度を考えるとこちらも納得の価格と言える。
性能はまさしくSATA SSDそのもの
では、簡単にベンチマークテストの結果を紹介しよう。今回は、「CrystalDiskMark 7.0.0h」と、「ATTO Disk Benchmark V4.00.0f2」の2種類のベンチマークソフトを利用してアクセス速度を計測した。テスト環境は以下にまとめたとおりで、マザーボードの背面I/Oパネルに用意されているUSB 3.2 Gen2x2準拠USB Type-Cポートに接続して計測を行なった。また、X8 ポータブルSSDの2TBも用意できたので、比較としてそちらの結果も合わせて紹介する。
【テスト環境】
- マザーボード:MSI MAG Z490 TOMAHAWK
- CPU:Core i5-10400
- メモリー:DDR4-2666 16GB
- システム用ストレージ:Samsung SSD 840 PRO 256GB
- OS:Windows 10 Pro
結果を見ると、いずれもシーケンシャルリードは公称を上回る速度が計測されていることがわかる。また、シーケンシャルライトは公称の速度こそ公開されていないものの、ほぼシーケンシャルリードと同等の速度を発揮している。USBメモリでは、リードは高速でもライトはかなり遅い製品が少なくないが、ポータブルSSDであるX6とX8では、ライトが極端に遅いといったことがなく、リード/ライトとも快適に利用できそうだ。
また、アクセス時の発熱は、X6に関してはほぼ気にならないレベルだった。これも、アクセス時の発熱が少ないSATA SSDを採用しているからで、熱を気にせず利用できる点は嬉しい。対するX8は、アクセスが長時間続くと本体がかなり高温となる。触れないほど熱くなるわけではないものの、かなり高温となるため、長時間のアクセスが必要となる場合には熱対策も考えた方がよさそうだ。
コストパフォーマンスに優れるポータブルSSDとして魅力的な存在
ベンチマークテストの結果を見るかぎり、X6はSATA 6Gbps対応SSDそのものの速度が問題なく発揮されている。もちろん上位モデルのX8はリード/ライトともに1,000MB/s超の高速アクセスが可能なので、大容量データを短時間で転送したい場合に有利となるが、ポータブルストレージとして考えるとX6でも十分に高速であり、大容量データの転送時間に大きな不満を感じる場面は少ないはずだ。
また、X6はSATA 6Gbps対応SSD同等の速度が発揮されるということで、PCなどで高速・大容量な外付けストレージとしての活用だけでなく、PlayStation 4などのゲーム機用外付け増設ストレージとして利用した場合でも、内蔵HDDに比べてゲームの起動時間やロード時間が短くなり、快適なゲームプレイ環境を構築できるだろう。
そしてなにより、大容量で低価格という点は、非常に心強い魅力だ。そのため、X6は大容量で低価格な、コストパフォーマンスに優れるポータブルSSDとして、魅力的な製品と言える。また、X8の2TBモデルは、X6よりもやや高価だが、高速なポータブルSSDとしては特別高いわけではなく、とにかく高速を優先したい場合にはこちらもおすすめしたい。