やじうまミニレビュー

ノイズキャンセリングマイク搭載の骨伝導ヘッドセットはテレワークに好適。「聞こえる」が心地いいAfterShokzの「OpenComm」

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
OpenComm。モールドされたポーチも付属

 AfterShokzのBluetooth接続骨伝導ヘッドフォンの最新モデル「OpenComm」。12月発売のこのモデルを、台湾CyberMedia Communicationsの協力により試用する機会に与ったのでレポートする。

 筆者のもとにメーカーから送られてきたのは11月頭のこと。そこから、骨伝導ヘッドホン未体験の筆者がさまざまな環境下で使用した。本製品のコンセプトも、従来モデルの「Aeropex」と同様、ながら聞きができることが大きなメリットだ。

 しかし、筆者は骨伝導式のヘッドフォンなどを使用したことがなく、おもにソニーの「WF-1000XM3」など、完全ワイヤレスイヤホンを使用してきたことから、「ながら聞き」は初体験である。

耳穴を塞がない「骨伝導」

 そのほか、イヤフォンにありがちな長時間の装用による耳穴の痛みもなく、車や自転車を運転しながら使用できる(もちろん、音楽などに没頭し、安全が疎かになってはいけないが)利点もある。

 だが、懸念材料もあった。おもに骨伝導ヘッドフォンを使用したことがないという点からくる懸念だが、「音質がどうなんだろうか?」、「装用感はどうだろうか?」という2点だった。この2点については後述する。

初体験の骨伝導。ただただ驚嘆

オンラインで授業を受ける筆者。本製品の長いブームが目立つ。

 筆者は現在、大学院に在籍しながらインプレスで働かさせていただいている。その都合、Web会議だけでなく、授業もしばらく(どうやら来年まで)オンライン上で実施されており、ヘッドセットを使うことが多い。

 ただ、基本的に授業はオンラインで実施しているものの、ゼミ活動や図書館でのリサーチなどで、大学に出向かねばならない事情もあり、大学のキャンパス内のスターバックスなどでそのまま授業を受けることもしばしば。

みんな淡々と課題をこなしているが、ちょっと騒がしい

 大学内のスペースは、基本的に大声を出さないというルールがあるだけで、図書館ではないので、オンライン授業などで発言する程度の声量ならばお咎めはない。しかし、オンライン体制に移行して以降、多くの学生が同じスペースでオンライン授業を受けたり、OB訪問などで会話をしていることが多く、カブリを防ぐためにある程度の声量で発言しなければならないという事情も生まれていた。

 筆者は、オンライン授業が始まった2020年春当初から、ヘッドセットはSennheiserの「G4ME ZERO」しか持ち合わせておらず、ゲーミングヘッドセット特有の大きな筐体を持ち運んで使用していた。

 ただ、友人から「テレビのディレクターみたい」とツッコミを受けてしまい恥ずかしさを感じたことや、ゲーミング用途の製品ゆえ、遮音性が高くつい「大きめの声」になってしまうこと、ヘッドセット特有の連続装用による側圧や重量などのデメリットを感じ、用途による使い分けを検討していた。

 そんな中、骨伝導ヘッドセットは軽量で持ち運びに苦慮せず、見た目も目立たないことから、積極的に「OpenComm」を利用することにした。

 その上で大きく感じた良い点は以下の3点。

これはWeb会議にお誂え向きかもしれない

 はじめて装用したさいに感じたことは、懸念だった「装着感の良さ」だ。まず重量は、本製品の重量は33g。公称値約310gのG4ME ZEROのおおよそ10分の1ほどである。本体はチタン製のヘッドバンドにラバーコーティングを施しており、ヘッドセットと違って側圧もないので、長時間の装用でもストレスに感じることはなかった。

 その次に「音質」について。クラウドファンディングの公式ページによると、「中音域から高音域周波数の再生クオリティを向上させ、人間の声を聞き取りやすくした」とのことで、通話向けのヘッドセットという印象を受けたが、実際に音楽を聴いてみてもなかなかの音質だった。また、周囲の音が聞こえることから、自分の声量もコントロールでき、ノイズキャンセリングのように強制的に打ち消すものではないので、かなり自然に音声を聞くことができた。

本体には音量調節ボタンとマルチファンクションボタン(ミュートボタンとしても機能)を搭載

 最後に「マイク」。Zoomなどで授業を実施する都合上、やはりマイクは必要不可欠なもの。通信環境の問題もあるものの、音割れやノイズが発生している学生が多いことから、大学側から「発言時以外はミュートにしろ」とお達しがでるほど問題になっていて、筆者の場合、従来のヘッドセットのマイク音質はまったく問題がなかったものの、ブームの調整範囲が狭く、生活音や鼻息が入ってしまうことがあった。

 ところが、このOpenCommのブームマイクは長く、加えてノイズキャンセリング機能も備えることで、かなりクリアな音質を実現している。実際に、それなりに騒がしい時間帯にオンライン授業を受けたものの、まったくノイズも入らず、しゃべる側も快適だった。

 はじめての骨伝導ヘッドセットは、想像していた、高齢者向きの「骨伝導」と異なり、かなり驚愕した。周囲の音が聞こえるというのも、音声に没頭しすぎないという点で適度な刺激になり、ノイズキャンセリング派だった自分も病みつきになってしまった。

ちょっと気になった点も

 先ほどの項では、大きくメリットを3つほどお伝えしたが、気になった点も3つほどあった。

マグネット式の充電コネクタ

 1つ目は「充電コネクタ」だ。本製品はマグネット式の充電コネクタを採用しており、充電のさいは本体の側部にある端子にUSBケーブルを吸着させて充電する。充電端子は、磁石の極性で反対向きに取り付けることがないように工夫されているほか、ケーブル自体も癖のないしなやかなケーブルで取り回しのしやすいものだが、専用ケーブルが断線したときのリスクや、持ち運ぶケーブルを減らしたいという点から考えると同社の「OpenMove」のようにType-Cを採用して欲しいとも感じた。

 2つ目は「接続がまれに不安定になる」点。筆者はマルチペアリング設定(電源ボタンとマルチファンクションボタンの同時押しで設定可能)で、Windows 10搭載パソコンとスマートフォン(Samsung Galaxy Z Flip)をペアリングさせ使用していたが、まれにマルチペアリングにならずにそのまま接続が切れてしまうことがあり、本体の電源をオン/オフすることで対処していた。

 3つ目は「バッテリ残量に関する音声アナウンス」だ。本製品の音声アナウンスは日本語に完全対応しており、他社製品より流ちょうなアナウンスをしてくれる。電源オン/オフ時やバッテリ残量についてアナウンスしてくれるのだが、通話中に突然「充電してください」というアナウンスがされ、会話を遮られてしまうことがあった。

ちょっと高いけど、値段以上のパフォーマンス

 本製品のパフォーマンスの高さは前述のとおりで、Web会議やオンライン授業といった会話が主体の使用方法のほか、その製品特性から運動時や運転のさいにも使用できる利点もある。ただ、ネックとなるのが1万8,180円(税別)という価格だ。この値段であれば、ヘッドセットであればワイヤレスのゲーミングヘッドセット、イヤホンであればAppleの「AirPods」なども視野に入るだろう。

 しかし、両者とは異なる「耳穴」をふさがないというスタイルは唯一無二のものであり、マイク性能などの基本性能も非常に高い。また、骨伝導ゆえに難聴などのトラブルも避けられることから、ニューノーマル環境下での「快適性への投資」としてぜひおすすめしたい。