Ubuntu日和

【第57回】Ubuntuしか入ってないけどBIOSはどう更新する?MINISFORUMの「UM780XTX」で試してみた

UM780XTX外観

 今となっては旧モデルとなってしまったが、ちょっと信じがたい価格でMINISFORUMの「UM780XTX」のベアボーンモデルを手に入れてしまった。

 AmazonではよくMINISFORUMのPCやマザーボードをクーポンで割り引いているが、たまにタイムセールもやる。タイミングによってはその両方で割引があってとても安く買えることもあるのだ。

こんな価格なら衝動買いしてしまったも致し方あるまい

 本誌を含めた各種レビューサイトでも評判がよかったのと、USB4対応が決め手であった。あとなぜか不思議なことに、たまたま手元に未使用の対応メモリとSSDがあるのも大きかった。

 どうせWindowsは使用しないので、ベアボーンモデルで十分であった。

ハードウェア

 ベアボーンということで、あと最低限必要なのはメモリとSSDだ。具体的にはDDR5 SO-DIMMとNVMe SSDだ。それぞれ2枚ずつ入るが、後者は1枚とした。

 メモリはPCショップアークのバルク品で、購入価格は1万円を下回っていたと記憶している。うちにあるDDR5のメモリはすべて(とはいえ2組だが)SK hynix製のチップが載っているが、全く問題がなかったので特に不安もなかった。

 NVMe SSDはSSD-CK1.0N4PLG3Nにした。最近はキオクシアのSSDを積極的に買うようにしており、新モデルを試してみたくて安価なときに買っておいたものだ。この前のAmazonのセールのときのほうがさらに安かったが。

 組み込むと次のようになった。

メモリとSSDを組み込んだところ

OSとベンチマーク

 インストールするUbuntuのバージョンは24.04 LTSとした。インストール方法は第51回の通りだ。実は今インストールすると少し違ったことになるが、特に迷うこともないだろう。

Ubuntu 24.04 LTSでのシステム詳細

 インストール後、初めて使用するSSDなので、KDiskMarkでベンチマークを実行してみた。

KDiskMarkの結果。おおむね公称通り

 シーケンシャルの公称値がリード5,000MB/s、ライトが3,900MB/sとのことで、ファイルサイズを変更してもおおむねこれに近い結果となった。smartctlコマンドで温度を確認しても十分に低く、価格と性能と発熱のバランスが取れたモデルといえる。

UEFI BIOSのアップデート

 手元に届いたUM780XTXのUEFI BIOSは1.04といういささか古いバージョンであった。これをアップデートしたい。

 アップデート自体はサポートページで入手できる。最新版は1.06であった。

 これをダウンロードし、FAT32でフォーマットしたUSBメモリに展開して置く。事前の準備は一般的なこれだけだ。

 MINISFORUMは公式にはUEFI BIOSのアップデートはWindowsで行なうことになっているが、実はWindowsなしでもアップデートできる。

 それがflashromコマンドを使用する方法と、UEFI Shellから行なう方法で、前者の方法はflashromコマンド自体がUM780XTXには非対応だったので、後者の方法で行なうことにした。

flashromコマンドを使用すると、SMBusのりビジョンが一致しないというエラーが出る

 Deleteキーを連打してUEFI BIOSメニューを起動し、「UEFI Shell」をクリックする。

UEFI BIOSメニュー

 筆者の場合は次のようなコマンドを入力した。

fs1:
cd F7BSD_PHX_1.06_240328
AfuEfix64.efi F7BSD_PHX.rom /p /b /n /x
reset
UEFI Shellでコマンド入力中

 無事にUEFI BIOSのアップデートができた。

 UEFI BIOSをアップデートすると個別の設定はリセットされる。セキュアブートをオフにした場合や、RGB LEDをオフにした場合は、忘れずに再設定しよう。

 ちなみにリリースノートをつらつらと読んでいると、1.06に「Fix 5200 memory can’t use issue.」なる修正が入っていた。ベアボーンを購入して手持ちのメモリを使用しようとするも起動しないという事態があり得るようだった。

USB4

 第46回で紹介したRyzen 7 8700GにもUSB4コントローラは内蔵されているが、対応マザーボードはほぼ存在せず、宝の持ち腐れとなっている。

 一方このUM780XTXではUSB4が使用できる。第43回で紹介したTCM2U4とWestern Digital SN770(WDS100T3X0E-00B3N0)の組み合わせで接続してみた。

 lshwコマンドを実行してみると、きちんとUSB4/Thunderboltデバイスとして認識されているようだった。

USB4/Thunderbolt PCIeトンネルとASMediaの変換チップ(ASM2464PD)をブリッジにしてWD Black SN770を認識していることが分かる

 第43回と同じ条件でKDiskMarkにてテストを行なってみると、次のようになった。

1回目の結果
2回目の結果
3回目の結果

 もちろんUbuntuのバージョンが違うということはカーネルのバージョンも違うということであり、完全に同じ条件というわけではない。

 それにしても3回ともにRND4KQ32T1を除いて速度は上回り、かつばらつきもあまりなかった。ということは、Thunderbolt 4 AIC R2.0に搭載された「JHL8540」よりもRyzen 7 7840HS内蔵のUSB4コントローラのほうが優秀であると考えられる。リリース時期を考えると比べるのは悪い気もするが。

 ただ、どうやらUSB4だとリムーバブルメディアとは認識しないらしく、アンマウントはできるが取り出しや電源オフはできないようだ。理屈の上ではアンマウントできていれば問題ないはずではあるが。

左側のペンにマウントボリュームとして表示されないので、リムーバブルメディアとしては認識していないことが分かる

NPU編へ続く

 ちなみにUbuntuでもRyzen 7 7840HSに内蔵されているNPUは使用できるはずだが、非常に手間がかかるようなので、動作確認後に別の機会に紹介したい。