西川和久の不定期コラム

Ryzen 7 7840HSに加えOCuLink搭載ミニPC!「MINISFORUM UM780 XTX」

 MINISFORUMは11月14日、Ryzen 7 7840HSに加えOCuLink搭載のミニPC、「UM780 XTX」を発表、販売を開始した。編集部から実機が送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。なお、OCuLinkに関しては、12月にOCuLink対応のPCI Express変換基板などが届き次第、再度レポートする予定だ。

Ryzen 7 7840HS搭載、インターフェイスも豊富なミニPC

 これまで本連載で何度かRyzen 7 7840HS搭載のミニPCをご紹介したが、今回の「UM780 XTX」は、USB 4×2、2.5Gigabit Ethernet×2、OCuLink……など、ポートや機能などを考えると現時点では最強だと思われる。

 中でもOCuLinkは、筆者が結構長期間使用したThunderbolt 3接続のeGPU Boxよりも帯域幅が広く(まんまPCIe x4/有効帯域幅63Gbps)、GPU接続時も威力を発揮しそうだ。

 手元に届いたのはOSあり/32GB/1TBモデル(虎のエッチングシート付き)。主な仕様は以下の通り。

MINISFORUM「UM780 XTX」の仕様
プロセッサRyzen 7 7840HS(8コア/16スレッド/クロック最大5.1GHz/キャッシュ 521KB/8MB/16MB/TDP 35-54W
メモリ32GB/16GB×2(DDR5)、SODIMM×2(空き0)
ストレージM.2 2280 SSD(PCIe4.0×2) 1TB×1(空き1)
OSWindows 11 Home(22H2)
グラフィックスRadeon 780M(12コア/2,700MHz)、HDMI 2.1(8K@60Hz)、DisplayPort 1.4(4K@240Hz)、USB 4(8K@60Hz)×2
ネットワーク2.5Gigabit Ethernet×2、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2
インターフェイスUSB 4×2、USB 3.1×4、OCulink、音声入出力
サイズ/重量182×159×120mm(幅×奥行き×高さ)、実測で745g
価格10万2,490円(バックライトエッチングシート虎あり)

 プロセッサはRyzen 7 7840HS。8コア/16スレッド、クロックは3.8GHzから最大5.1GHz。キャッシュは521KB/8MB/16MB、TDPは35-54W。本連載で何度か登場しているミニPC用としてはハイエンドなものとなる。

 メモリはDDR5 16GB×2の計32GB。SO-DIMM×2で最大96GBまで対応する。ストレージはM.2 2280 SSD(PCIe4.0×2) 1TB×1。1つ空きスロットがあり増設可能だ。OSはWindows 11 Home。22H2だったのでこの範囲でWindows Updateを適用し評価した。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Radeon 780M(12コア/2,700MHz)。外部出力用にHDMI 2.1(8K@60Hz)、DisplayPort 1.4(4K@240Hz)、USB 4(8K@60Hz)×2と、4つのポートを備えている。またOCuLinkはPCIe x4をそのまま外部に出したような規格なので、ケーブルとコネクタ、電源を用意すれば、GPUを接続することも可能だ。この辺りの話は12月に機材が届いた時に別途記事にする予定。

 ネットワークは2.5Gigabit Ethernet×2、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2。そのほかのインターフェイスは、USB 4×2、USB 3.1×4、OCuLink、音声入出力。USB 4が2つ、USB 3.2 Gen2が4つと、これもなかなか強力と言えよう。

 なお専用のACアダプタが付属するものの、USB PDでの駆動も可能。65~100WのUSB PD給電で作動する。

 天板は、磁力で付く仕様。バックライトエッチングシートを挟み込めば模様が浮き出す仕掛けになっている(R/G/B LED)。

 サイズ182×159×120mm(幅×奥行き×高さ)、重量は実測で745g(シートあり)。価格は今回の構成(OSあり/32GB/1TB)で12万9,980円が10万2,490円と値引きされている。ブラックフライデー期間中だとさらに5,000円クーポンが使え、これだけのスペックのPCを10万円を切って購入可能。構成を考慮するとかなり安い。

 また、OSなしのベアボーンは9万5,980円のところを7万6,980円。ブラックフライデークーポンも有効。なお、ほぼ同時に発表されたメカニカルキーボード「MKB i83」を同時購入すると4,000円オフになる。手持ちのパーツがあるなら、お買い得と言えよう。

前面。3.5mmジャック、USB4、USB 3.1×2、電源ボタン
背面。電源入力、2.5Gigabit Ethernet×2、OCulink、HDMI、DisplayPort、USB4、USB 3.1×2
トップカバーと虎のシート。トップカバーは磁石で付いているだけなので簡単に外れる。ここへバックライトエッチングシートを挟み込む
側面とiPhone 13 Pro。一般的なミニPCと比較して高さは120mmと少しあるものの、フットプリントは変わらない
付属品。ACアダプタ(サイズ約80×80×30mm、重量279g、出力120W)、VESAマウンタ、スタンド用パーツ、HDMI/HDMIケーブル
スタンドを取り付けたところ(裏)。VESAマンタ用のネジを使って固定する
BIOS / Top。起動時[DEL]キーで表示。いきなりBIOSでなくこの様なメニューが出る
BIOS / Main
重量は実測で745g(バックライトエッチングシートあり)
いつものキーボード付きモバイルモニターへ接続。USB4なのでType-C/Type-Cケーブル1本で接続可能

 筐体はいつものミニPCといった感じ。オールブラックでコンパクト。どこにでも設置可能だ。ただ多くのミニPCと比較して高さが120mmと少し高め。

 前面は3.5mmジャック、USB4、USB 3.1×2、電源ボタン。背面は、電源入力、2.5Gigabit Ethernet×2、OCulink、HDMI、DisplayPort、USB4、USB 3.1×2を配置。裏にVESAマウンタ用のネジがある。

 付属品は、ACアダプタ(サイズ約80×80×30mm、重量279g、出力120W)、VESAマウンタ、スタンド用パーツ、HDMI/HDMIケーブル。なお、付属のACアダプタは120WなのだがUSB PD(65~100W)での駆動も可能。

 トップカバーは少し変わった構造になっており、磁石で付いているだけと簡単に取り外しができ、その下にLEDライトパネルが仕込まれている。ここへバックライトエッチングシート(今回は虎)を挟めばR/G/Bに光るという仕掛けだ。

 ただこの関係でさらに下にSO-DIMM×2、M.2スロット×2(1つ空き)があるのだが、ネジ4本を外してもご覧のようにLEDパネルへのケーブルがあるため簡単に外すことができず、半開きの状態となる。痛し痒し……と言った感じだろうか。

トップカバーは磁石なのですぐは外れるものの、その下にLED光源があり、これを外さないと(ネジ4本)内部にアクセスできない。またケーブルがあるため完全に外すのは困難。メモリ×2とM.2×2。M.2は1つ空きが見える

 またこのイルミネーションを見える向きにするため、ありがちな縦型スタンドではなく、トップカバーが斜めにそして手前に向く珍しいパターンとなっている。左側にケーブル類が見えることになるが、この辺りはどうなのだろうか?

 ノイズと発熱に関しては試用中まったく気にならなかった。冷却システムがうまく機能していているものだと思われる。

 このように同社としては手慣れていることもあり完成度が高いシステムに仕上がっている。ただSO-DIMMとM.2スロットにアクセスしにくいのが(そう頻繁に交換する部分でもないが)マイナスポイントとなるだろうか。

やはりIntelのiGPUとは一味違うRadeon 780M

 初期起動時、プリンストールのアプリなど特になし。壁紙も含め素のWindows 11となる。スペックがスペックなだけに、一般的なアプリであれば非常に快適に操作可能だ。

 ストレージはM.2 2280 1TBの「KINGSTON OM8PGP41024Q-A0」。テストサイトによると、シーケンシャルリード4,600MB/s、シーケンシャルライト3,634MB/s。CrystalDiskMarkの結果もほぼそのまま出ている。C:ドライブのみの1パーティションで約952GBが割り当てられ空き917GB。この手のミニPCとしては珍しくBitLockerで暗号化されている。

 2.5Gigabit Ethernetは「Realtek Gaming 2.5Gigabit Ethernet Family Controller」、Wi-Fiは「Killer Wi-Fi 6E AX1675x」、BluetoothはIntel製だ。

初期起動時のデスクトップ。特にプリインストールアプリなどはなく、素のWindows 11 Home
デバイスマネージャー/主要なデバイス。ストレージはM.2 2280 1TBの「KINGSTON OM8PGP41024Q-A0」。2.5Gigabit Ethernetは「Realtek Gaming 2.5Gigabit Ethernet Family Controller」、Wi-Fiは「Killer Wi-Fi 6E AX1675x」、BluetoothはIntel製
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約952GBが割り当てられている。BitLockerで暗号化
Ryzen Software

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMarkを使用した。

 少し前に掲載したCore i5-13500H搭載のミニPC、CHUWI「CoreBox 5th」のスコアと見比べているが、やはりGPUが関係する部分は大幅にアップ。加えて純粋なCPUパワーを見るCinebenchもシングル/マルチともに上回っている。ミニPCとしてはなかなか凄いスコアと言える。

【表】ベンチマーク結果
PCMark 10 v2.1.2662
PCMark 10 Score7,447
Essentials10,972
App Start-up Score15,010
Video Conferencing Score8,640
Web Browsing Score10,187
Productivity10,443
Spreadsheets Score13,255
Writing Score8,229
Digital Content Creation9,782
Photo Editing Score14,272
Rendering and Visualization Score9,763
Video Editting Score6,718
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.05,581
Creative Accelarated 3.0N/A
Work Accelarated 2.05,567
Storage5,011
3DMark v2.28.8213
Time Spy3,274
Fire Strike Ultra2,315
Fire Strike Extreme4,134
Fire Strike7,843
Sky Diver27,722
Cloud Gate40,543
Ice Storm Extreme179,682
Ice Storm216,562
Cinebench R23
CPU16,671
CPU(Single Core)1,782
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード4,801.327MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト3,888.545MB/s
4K Q8T8 ランダムリード1,602.614MB/s
4K Q8T8 ランダムライト461.932MB/s
4K Q32T1 ランダムリード540.918MB/s
4K Q32T1 ランダムライト658.964MB/s
4K Q1T1 ランダムリード55.486MB/s
4K Q1T1 ランダムライト141.644MB/s

 以上のようにMINISFORUM「UM780 XTX」は、Ryzen 7 7840HSを搭載したミニPCだ。2.5Gigabit Ethernet×2、USB 4×2、そしてOCuLinkとインターフェイスも多く、加えてトップカバーがLEDで光る仕掛け付き。パワーと拡張性、そして遊び心を兼ね備えた1台となる。

 試用した範囲では特に気になる部分もなく、筆者お勧めの1台だ。ブラックフライデーは11月30日に終了するとされているため、欲しい人はクーポンが有効の間にぜひゲットして頂きたい。

 なお冒頭でも触れたが、OCuLinkについてと、同社が扱っているメカニカルキーボードに関しては、12月に別途記事にする予定だ。