Ubuntu日和

【第43回】UbuntuでThunderbolt 4の速度を活かした外付けSSDを使用する

今回使用したThunderbolt 4 AIC R20

 前回2024年にはNPUが普及しそうだと書いたが、もう1つ注目しているのがThunderbolt 4の普及だ。

 Thunderbolt 4対応PCはIntelモデルを中心にそれなりに普及しており、AMDも先日発表されたRyzen 8040シリーズRyzen 8000GシリーズでUSB 4対応が行なわれた。

 Ryzen 8040シリーズはノートPC用なのでどうにでもなるとして、Ryzen 8000Gシリーズはデスクトップ用なので、マザーボードでの対応はどうなるかが若干気になっている。

 なおThunderbolt 4とUSB4の関係は僚誌『AKIBA PC Hotline!』に掲載されたThunderbolt 4とUSB4は同じ?が分かりやすい。本記事では詳細な説明を省略してThunderbolt 4 ≒ USB4として扱う。

 そんなわけで前々から興味を持っていたものの、実際にデバイスを買い求めるところまではいかなかった。しかし、試すのにいい機会だなということで機材を揃えて動かしてみたらいろいろなことが分かった。詳しく見ていこう。

使用するハードウェア

 今回使用するハードウェアを確認しておこう。基本的には前回使用した筆者の検証用PCとなる。

分類メーカー型番
CPUIntelCore i5-13500
メモリーCrucialCT32G4DFD832A
マザーボードASRockB660M Pro RS
ThunderboltボードASRockThunderbolt 4 AIC R2.0
SSDCrucialCT500MX500SSD1
ケースSilver StoneSST-SG11B
電源玄人志向KRPW-SXP600W/90+

 B660M Pro RSにはThunderbolt 4 AIC R2.0が接続できることを思い出し、ケースもフルハイトに対応しているので問題なく挿さることが明らかであった。

 Thunderbolt 4 - NVMe変換ケースはTCM2U4にした。筆者が購入した時点では1万円程度で、変換チップがASMedia ASM2464PDというのが決め手だった。どうもこれは従来品よりも性能がよさそうなのだ。

TCM2U4に搭載されたASM2464PD

 TCM2U4には「12世代以前のInter(12世代を除く)のThunderboltポートには互換性がありません。」(原文ママ)という注意がある。なんとも難解だが、12世代目以降のIntel Core iシリーズに対応しているということを言いたいのだと思われる。

 余談だが現在CHUWI CoreBox 4thが巡り巡って筆者の手元にある。このモデルは評価機にはThunderboltポートがあるものの、製品版では取り除かれているようだ。せっかくなのでNVMe SSDを入れたTCM2U4を接続してみたが、認識しなかった。USB接続にしても認識しなかったので、これはCoreBox 4thの問題であり、また製品版からThunderboltポートが取り除かれた理由と思われる。

 NVMe SSDはSamsung 970 EVO Plus(MZ-V7S2T0B)、KIOXIA EXCERIA PRO(SSD-CK1.04P/N)、Western Digital SN770(WDS100T3X0E-00B3N0)をざっと試し、SN770の性能が一番よかったため今回これを使用することにした。

TCM2U4+WD SN770

 どれも正常に動作していたことは付記しておくが、970 EVO Plusは書き込みの性能が1/3くらいしか出ていなかった。やはりどうしても相性はあるようだ。

 なおUbuntuのバージョンは22.04.3 LTSで、カーネルのバージョンは6.5だ。

取り付け

 まずはThunderbolt 4 AIC 2.0が接続できるマザーボードかどうかを確認する。マザーボードサポート一覧表が公開されており、チップセットで並んでいるので探しやすい。B660M Pro RSはもちろん掲載されている。

 接続はThunderbolt 4 AIC 2.0に添付のマニュアルに沿って行なう。B660M Pro RSではPCI-Eスロットは手前(PCIE3)に接続する。奥(PCIE1)では認識しなかった。これは添付のマニュアルには書かれておらず、サポートからダウンロードできるPDFのマニュアルには書かれていた。

 今回はThunderboltのDisplayPort Alt Modeを使用しないので、DisplayPortケーブルは使用しない。TBT HeaderとUSB 2.0 Headerのみ使用する。

 念のためB660M Pro RSのUEFI BIOSを最新版(12.03)にアップデートし、さらにUEFI BIOSでThunderboltを有効にする。

「Advanced」にある「Intel(R) Thunderbolt」を開く
「Thunderbolt Support」を有効にする。なお「Windows 10 Thunderbolt support」を有効にしないとUbuntuからTCM2U4が認識しなかった

 これでTCM2U4を接続すれば認識するはずだが、しない。試しにWindows 11でも接続してみたがやはり認識しない。気になるところといえばジャンパーの設定だが、今回は変更しなくてもいいはずた。マニュアルを見てみよう。

Thunderbolt 4 AIC R2.0のマニュアルより該当箇所を引用

 ふむふむ、Intel機とAMD機でジャンパーを変更する必要があると書かれている。しかし今回はIntel機なので問題ないはずだ。とはいえもう試してみるのはジャンパーの位置変更くらいのものなので、やってみたところ実にあっさり認識した。

 どういうことなのかは予想するしかないが、前出のマザーボードサポート一覧表をよく読むとDisplayPort Alt Modeに対応するのはIntel機のみで、AMD機では対応しないと書かれている。ということは、実はIntel機かAMD機かではなくDisplayPort Alt Modeを使用するかどうかによってジャンパーの位置が異なるのではないだろうか。

ベンチマーク

 ベンチマークソフトは第41回でも使用したKDiskMarkとした。某有名ディスクベンチマークソフトのそっくりさんだ。

 かなりバラつくため、1回目から3回目までの結果とする。とはいえ少なくともランダムはシーケンシャルよりもバラつかない。

1回目の結果
2回目の結果
3回目の結果

ちなみにWindowsでは

 同一のPCでCrystalDiskMarkを3回実行した。結果は次の通りだ。

1回目の結果
2回目の結果
3回目の結果

 KDiskMarkと同じテストを実行していると思われるが(実際には逆だがそれはさておき)、同じベンチマークソフトではないため、数値の直接の評価は避けたい。しかしいくらなんでもバラけすぎる。

 もしかしたらUbuntuのほうが、最新のThunderbolt 4対応SSDを安定して使用できるのかもしれない……ということを、今回の結論としたい。