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使わなくなったiPhoneがMacの3台目モニターに!無料の「OpenDisplay」を試した

 Macの画面をiPadやiPhoneに広げて使いたい。そんな願いを無料でかなえてくれるのが、オープンソースアプリ「OpenDisplay」です。Apple標準の「Sidecar」と異なり、Apple IDの紐付けが不要で、iPhoneもサブディスプレイとして利用できます。2026年6月の公開以来、注目を集めているこのアプリの特徴から導入方法、実際の使い勝手までを紹介します。

iPadとiPhoneを同時に接続し、Macを含めた3画面のマルチディスプレイ環境を構築したところ。それぞれを独立した拡張ディスプレイとして利用できます

Sidecarの制約を解消する無料のオープンソースアプリ

 iPadをMacの外部ディスプレイとして利用できる「Sidecar」は、macOSとiPadOSに標準搭載された便利な機能です。

 据え置きのディスプレイをデスクに設置するスペースがないときや、外出先で作業領域を広げたいときなどに重宝します。

 ただし、Sidecarを利用するにはいくつかの制約があります。たとえば、MacとiPadで同じApple IDにサインインしていることや、利用できるデバイスがiPadに限られることなどです。

 こうした制約を回避する手段として、「Duet Display」や「Luna Display」などのサードパーティ製アプリを利用する手もあります。

 しかし、Duet Displayは有料で、Luna Displayは専用のハードウェアドングルを購入する必要があるなど、いずれも利用には費用がかかります。

 そこでおすすめしたいのが、2026年6月に公開されたオープンソースアプリ(GPL-3.0ライセンス)の「OpenDisplay」です。

 このアプリの大きな特徴は、Apple IDによる紐付けが不要で、iPadはもちろん、Sidecarでは対応していないiPhoneもMacの外部ディスプレイとして利用できること。

 また、無料でありながら、Duet DisplayやLuna Displayと比べても遜色のない充実した機能を備えていることです。

 SidecarやDuet Display、Luna Displayに代わる選択肢を探していた人にとって、うってつけのアプリといえるでしょう。

OpenDisplayの公式サイト。「No account, ever」「Free & open source」を掲げるほか、SidecarやDuet Display、Luna Displayとの比較表も掲載されています
Mac版のOpenDisplayは、公式サイトの[Sender]にある[Download]ボタンからダウンロードします(2026年9月下旬時点の最新版はv1.22.1)
ダウンロードしたDMGファイルを開き、「OpenDisplay」を[アプリケーション]フォルダへドラッグ&ドロップすればインストールは完了です
初回起動時に、ローカルネットワーク上のデバイスを見つけることを許可するか確認されるので[許可]をクリックします
iPad/iPhone版はApp Storeからインストールします。初回起動時にローカルネットワーク上のデバイスへのアクセスを求められたら、Mac同様に[許可]をタップします

基本的な使い方と接続手順

 OpenDisplayを利用するには、まずMacとiPad/iPhoneを接続する必要があります。

 接続方法はUSBとWi-Fiの2通りがありますが、最初は遅延が少なく、安定して接続できるUSBがおすすめです。

 接続には、iPad/iPhoneに付属の充電ケーブルを利用できます。ただし、ケーブルはデータ通信に対応している必要があり、充電専用のものでは動作しないので注意しましょう。

 USBで接続したあとは、MacとiPad/iPhoneの両方でOpenDisplayを起動し、MacのメニューバーにあるOpenDisplayのアイコンをクリックします。

 すると設定画面が開くので、OpenDisplayの動作に必要な権限の許可を行ないましょう。

 そして問題なく設定を済ませれば、通常は自動的に接続され、iPad/iPhoneにMacのデスクトップが表示されます。

 標準設定では拡張ディスプレイとして表示されますが、設定画面の[Mode]欄で[Extend]から[Mirror]に変更すればミラーリングに切り替えられます。

 また、設定画面の[Quality]欄から表示品質を変更したり、[Display Layout]欄の[Arrange Displays]から「システム設定」の[ディスプレイ]を開いて解像度を変更したり、配置を調整したりすることも可能です。

 なお、ケーブルをつなぐのが煩わしい場合は、Wi-Fi接続に切り替えることもできます。

 MacとiPad/iPhoneが同じWi-FiネットワークにあればBonjourによって自動検出されるため、IPアドレスなどを入力する必要はありません。

初回接続時、iPad/iPhoneに「このコンピュータを信頼しますか?」と表示されたら[信頼]をタップし、iPad/iPhoneのパスコードを入力します
MacのメニューバーにあるOpenDisplayのアイコンをクリックすると、接続状態やアクセス権限を確認できます。画面下部に[1 device connected]のように表示されていれば、iPad/iPhoneは正しく認識されています
続いて、OpenDisplayの動作に必要な権限を設定します。[Permissions]欄にある[Screen Recording]と[Accessibility]の[Open Settings]をクリックし、それぞれ「システム設定」で[OpenDisplay]のスイッチをオンにします
権限の設定時に、アクセサリの接続や画面・システムオーディオ収録など、別の許可を求めるダイアログが表示された場合は、こちらも許可します
設定が完了すると、Macのデスクトップ(図右)がiPad/iPhoneにも表示され(図左)、サブディスプレイとして利用できるようになります。デフォルトでは拡張ディスプレイとして動作します
OpenDisplayの設定画面では[Devices]欄で接続のオン/オフ、[Mode]欄で拡張ディスプレイとミラーリングの切り替え、[Quality]欄で表示品質の変更が可能です
[Display Layout]欄の[Arrange Displays]をクリックすると、「システム設定」の[ディスプレイ]が開きます。通常の外部ディスプレイと同様に、配置や解像度を調整できます
Wi-Fi接続する場合は、MacとiPad/iPhoneが同じWi-Fiネットワークに接続されていることを確認したうえで、[Devices]欄に表示されたiPad/iPhoneの[Connect]をクリックします
Wi-Fi接続でiPad/iPhoneが見つからない場合は、MacとiPad/iPhoneの設定で、OpenDisplayのローカルネットワークへのアクセスが許可されているか確認しましょう

高画質&低遅延、タッチ操作や画面回転にも対応

 OpenDisplayを実際に使ってみて驚かされるのは、なんといっても表示の美しさです。

 Retina(HiDPI)表示に対応しているため、iPad/iPhoneの高解像度ディスプレイを生かし、文字や画像が細部までくっきりと表示されます。

 一般的な外部ディスプレイと比べても遜色がなく、長時間の作業にも十分使える表示品質です。

 また、外部ディスプレイとして使ううえで気になる操作時の遅延も、USB接続ではほとんど感じられません。

 Appleの動画エンコード/デコード用フレームワーク「VideoToolbox」を利用したハードウェアH.264エンコードが採用されているためでしょう。加えて、データ送信時の待ち時間を抑えるための「TCP_NODELAY」や、処理状況に応じてデータ量を調整するバックプレッシャー制御など、低遅延化のための技術も取り入れられています。

 Webブラウジングや文書作成、チャットツールなどの一般的な作業なら、ストレスを感じることはほとんどありません。

 操作性の面では、iPad/iPhoneのタッチ操作に対応しているのも便利です。画面のタップでクリック、ドラッグでドラッグ操作、2本指のパンでスクロールと、iPad/iPhoneからMacを直接操作できます。

 また、デバイスの向きに応じた画面の自動回転にも対応。iPadを縦向きにしたり、iPhoneを横向きにしたりすると、画面表示も自動的に切り替わります。

 たとえば、iPad/iPhoneを縦向きにすれば、チャットアプリやログ、長文のドキュメントなど、縦に長いコンテンツを確認しやすくなります。

 さらに、複数台のデバイスを同時に接続して使うことも可能です。

 iPadとiPhoneを同時に接続すれば、Macを含めて3画面のマルチディスプレイ環境を構築でき、それぞれの配置も調整できるため、デスクのスペースや用途に合わせて柔軟に使い分けられます。

iPadを縦向きにすると、画面表示も自動的に縦向きに切り替わります。チャットやログ、ドキュメントなど、縦に長いコンテンツの表示に便利です
iPadとiPhoneを同時に接続し、Macを含めた3画面のマルチディスプレイ環境を構築したところ。それぞれを独立した拡張ディスプレイとして利用できます
各ディスプレイの位置は、「システム設定」の[ディスプレイ]→[配置]で調整できます
メニューバーの画面共有アイコンをクリックすると、OpenDisplayで表示しているiPad/iPhoneの画面をプレビューできます
メニューバーのミラーリングアイコンからも、OpenDisplayで接続しているiPad/iPhoneの画面を確認できます

完成度は高く、手持ちデバイスの有効活用に

 OpenDisplayはApple IDの制約がないため、家族のiPadを借りて使ったり、使わなくなったiPhoneをサブディスプレイ専用機として活用したりと、手持ちのデバイスを柔軟に活用できます。

 また、画面のデータはMacとiPad/iPhoneの間で直接やりとりされ、外部サーバーを経由しない仕組みになっています。

 アカウント登録を必要とせず、使用状況も収集されないため、プライバシーを気にする人にとっても使いやすいでしょう。

 さらに、ソースコードがGitHubで公開されているため、アプリ内部の処理を確認できる透明性の高さも安心材料の1つです。

 OpenDisplayは個人開発のプロジェクトで、開発者はKo-fiを通じた支援も受け付けています。これだけ完成度の高いアプリを無料で公開し続けるには、ユーザーからの支援も大きな力になるはずです。

 実際に使って気に入ったら、コーヒー1杯分の支援で開発を応援してみてはいかがでしょうか。

 今回はmacOS Tahoe 26やiOS 26、iPadOS 26で試してみましたが、最新のmacOS 27 Golden GateとiOS 27、iPadOS 27でも動作することを確認しています。

OpenDisplayの公式サイトでは、Ko-fiを通じて開発者を支援できます。金額は任意で設定可能です