福田昭のセミコン業界最前線
キオクシア、極低温環境で7bit/セル超多値3D NANDフラッシュの信頼性を確認
2026年2月27日 06:13
半導体デバイスの信頼性技術に関する世界最大の国際会議「国際信頼性物理シンポジウム(IRPS: IEEE International Reliability Physics Symposium)」が2026年3月22日~同年3月26日に米国アリゾナ州ツーソンで開催される。
最先端の半導体デバイス、具体的には大規模ロジック回路や最新ロジック用トランジスタ、大規模ロジック用多層配線、不揮発性メモリ(磁気メモリや強誘電体メモリ、フラッシュメモリなど)、化合物デバイス(パワーデバイスおよび高周波デバイス)、パッケージなどの信頼性に関連する研究成果が披露される。開催形式は前年と同様、リアルとバーチャルを併用するハイブリッド開催になる。
IRPSの基本的なスケジュールは5日間で、日曜日から木曜日までを予定する。日曜と月曜の2日間は技術講座(チュートリアル)とイヤーインレビュー(前年の技術的な進展を振り返る講演: 「最近の話題」と以降は表記)で構成される。今年(IRPS 2026)は23件のチュートリアルと3件のイヤーインレビューを予定する。チュートリアルの件数は前年(IRPS 2025)の20件から3件増えた。イヤーインレビューの件数は3件で、前年と変わらない。
メインイベントである技術講演会(テクニカルカンファレンス)は火曜日から木曜日までとなる。今年は4件の基調講演、105件の一般講演、6件の招待講演、95件のポスター発表を予定する。一般発表の合計(一般講演とポスター発表の単純合計)は200件となり、前年(IRPS 2025)の189件から増加した。なお一昨年(IRPS 2024)の一般発表は159件だった。
前年よりも11件多い、200件の研究成果発表を予定
スケジュールをもう少し詳しく説明すると、3月22日(日曜日)は午前に5件、午後に9件のチュートリアルを予定する。翌23日(月曜日)は午前に6件、午後に3件のチュートリアルを設けたほか、夕方には3件のイヤーインレビュー(最近の話題に関する講演)を用意した。
メインイベント初日の3月24日(火曜日)はチェア(議長)による開会挨拶から始まる。続けて午前に2件の基調講演を実施する。基調講演の後は技術講演会(テクニカルカンファレンス)のセッションとなる。午前の後半と午後をあわせて合計で9個のセッションを予定する。時間枠(タイムスロット)は3つ(午前に1つ、午後に2つ)あり、3個のセッションを同時並列に実施する。夕方はワークショップ(討論会)、その後にレセプションと進む。ワークショップは5件のテーマが同時並列に進行する。
メインイベント2日目の3月25日(水曜日)は午前の最初に1件の基調講演があり、その後は夕方まで技術講演会のセッションとなる。午前と午後の合計で12個のセッションがある。タイムスロットは4つ(午前と午後に2つずつ)あり、前日と同様に3個のセッションを同時並列に実施する。夜にはポスター発表のセッションを予定する。
最終日の3月26日(木曜日)も、午前の最初に1件の基調講演がある。その後は午後まで技術講演会となる。合計で9個のセッションを予定する。タイムスロットは3つ(午前に2つ、午後に1つ)あり、前日と同様に3個のセッションを同時並列に実施する。夕方にはチェアによる閉会挨拶と次回予告がある。
基調講演ではLLNL、TSMC、imec、AMDが講演
すでに述べたように3日間で4件の基調講演を実施する。初日(24日)は始めにローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)のBruce Hendrickson氏が「Reliability and High Performance Computing – Lessons From the Bleeding Edge(信頼性と高性能コンピューティング: 最先端から学ぶ)」と題して高性能コンピューティング(HPC)の信頼性について述べる。
続いてTSMCのJun He氏が「Advancing 3DIC Technologies to Propel AI Innovations(AIのイノベーションを推進する先端3次元集積化技術)」と題して先進パッケージング技術の将来を展望する。
2日目(25日)は、imecのSri Samavedam氏が「Technology Strategies for Evolving Compute Challenges(コンピューティングの進化による課題に対する技術戦略)」と題して急増するコンピューティング需要にCMOSスケーリングでは対応できないという問題とその対策を述べる。
3日目(26日)はAMDのVilas Sridharan氏が「Data Center Reliability: What Have We Learned?(データセンターの信頼性: 我々は何を学んでいるのか?)」と題してデータセンターの信頼性を解説する。
3日間に30の技術講演セッションで111件の講演を実施
技術講演会(テクニカルカンファレンス)の口頭発表では、3つの講演セッションが同時に進む(「パラレルセッション」と呼ばれる)。少し詳しく見ていこう。
技術講演会初日である3月24日の午前(後半)は、
- 2A: Transistors(トランジスタ)
- 2B: Emerging Memory(次世代メモリ)
- 2C: GaN Power Devices(窒化ガリウムパワーデバイス)
のセッションが同時並行で実施される。それぞれ4件の講演を実施する。
同日午後は前半と後半の2つのタイムスロットがある。前半は、
- 3A: Radiation Effect Reliability(放射線が信頼性に与える影響)
- 3B: ESD and Latchup(静電気放電とラッチアップ)
- 3C: Reliability Testing(信頼性試験)
のセッションが並列に進む。いずれも4件の講演を実施する。
後半は、
- 4A: Packaging & 2.5/3D Assembly(パッケージングと2.5/3次元組み立て)
- 4B: Failure Analysis(不良解析)
- 4C: Process Integration(プロセス集積化)
のセッションが同時並行に実施される。それぞれ3件の講演を実施する。
技術講演会の2日目である3月25日の午前は、前半と後半のタイムスロットがある。前半は、
- 5A: Product Reliability(製品の信頼性)
- 5B: Process Integration(プロセス集積化)
- 5C: SiC Devices(炭化シリコンデバイス)
のセッションが並列に進む。それぞれ3件の講演を実施する。
後半は、
- 6A: Circuit Reliability & Aging(回路の信頼性とエージング)
- 6B: Neuromorphic Computing Reliability(ニューロモルフィック計算の信頼性)
- 6C: Failure Analysis(不良解析)
のセッションが同時並行で進行する。いずれも3件の講演を実施する。
同日(25日)の午後も、前日と同様に前半と後半のタイムスロットがある。前半は、
- 7A: Transistors(トランジスタ)
- 7B: Neuromorphic Computing Reliability(ニューロモルフィック計算の信頼性)
- 7C: Packaging & 2.5/3D Assembly(パッケージングと2.5/3次元組み立て)
のセッションが並列に進む。それぞれ3件の講演を実施する。
午後の後半は、
- 8A: GaN Power Devices(窒化ガリウムパワーデバイス)
- 8B: Radiation Effect Reliability(放射線が信頼性に与える影響)
- 8C: Emerging Memory(次世代メモリ)
のセッションが同時並行で進行する。いずれも5件の講演を実施する。
技術講演会の最終日である3月26日の午前は、前日と同様に前半と後半のタイムスロットがある。前半は、
- 9A: SiC Devices(炭化シリコンデバイス)
- 9B: Reliability Testing(信頼性試験)
- 9C: Circuit Reliability & Aging(回路の信頼性とエージング)
のセッションが同時並列に進む。講演件数はいずれのセッションも3件である。
午前の後半は、
- 10A: Product Reliability(製品の信頼性)/System Electronics Reliability(電子システムの信頼性)
- 10B: GaN Power Devices(窒化ガリウムパワーデバイス)
- 10C: Gate/MOL Dielectrics(ゲートとコンタクトの誘電体)
のセッションが同時並列に進行する。いずれも4件の講演を実施する。
26日の午後は、前半のタイムスロットしかない。
- 11A: Metallization/ BEOL Reliability(多層配線工程の信頼性)
- 11B: RF/mmW/5G(高周波/ミリ波/第5世代)
- 11C: Memory Reliability(メモリの信頼性)
のセッションが同時並行で進む。講演件数はいずれも5件である。
化合物半導体がセッション数と講演数でいずれも17%を占める
プログラムを通じて感じるのは、化合物半導体関連のセッション数と講演件数の多さだろう。全体で30セッションがある中で、「GaNパワーデバイス」のセッションは3つ、「SiCデバイス」のセッションは2つと少なくない。化合物半導体のセッションだけで全体(30セッション)の17%(16.7%)を占める。同一テーマのセッションが3つあるのはGaNパワーデバイスだけだ。
セッションが2つあるのはSiCデバイス、「次世代メモリ」「トランジスタ」「プロセス集積化」「パッケージングと2.5/3次元組み立て」「不良解析」「信頼性試験」「放射線が信頼性に与える影響」「回路の信頼性とエージング」「ニューロモルフィック計算の信頼性」「製品/電子システムの信頼性」である。
一方でセッション別の講演件数を数えると、やや違った景色となる。「GaNパワーデバイス」が13件と最も多い。次が「次世代メモリ」と「放射線が信頼性に与える影響」で、いずれも9件と多い。それから「トランジスタ」「信頼性試験」「製品/電子システムの信頼性」がそれぞれ7件で続く。
そのほかにセッションが2つある講演の数は、いずれも6件である。「SiCデバイス」の講演数も6件であり、化合物半導体全体では19件となる。講演件数(一般講演と招待講演の合計、基調講演は除く)は111件なので、化合物半導体のセッションが件数でも17%を占める。
フラッシュメモリと磁気メモリの注目講演
ここからは注目すべき講演を紹介していく。始めはフラッシュメモリ、次に磁気抵抗メモリ(MRAM)に関する講演を簡単に説明しよう。これらの分野では、キオクシアの研究成果が目立つ。
キオクシアは、77Kの低温で3D NANDフラッシュメモリを動作させることで、データ保持期間と書き換え寿命が大幅に向上するとともに、読み出し雑音が低下することを示した(講演番号11C.2、招待講演)。7bit/セルの超多値記憶を実証している。さらに低温の30Kで3D NANDを動作させ、データ保持期間などの信頼性がさらに高まることも確認した。
キオクシアはまた、極低温動作におけるMONOS方式フラッシュセル(3D NANDフラッシュで一般的なセル技術)の動作サイクル劣化が室温よりも遅いことに着目し、欠陥の生成とアニールによる回復のメカニズムを明らかにした(講演番号11C.3)。このほかMicron Technologyが、3D NANDフラッシュの書き込み動作で隣接ワード線に印加する電圧(VPASS)とデータ保持期間の関係を調べた結果を報告する(同11C.5)。VPASSが上昇すると蓄積電荷の減少が緩和されてデータ保持期間が延びるとする。
磁気抵抗メモリでは、TSMCがSTT-MRAMの耐磁性に関する外部磁界角度依存性を報告する(講演番号2B.4)。読み出し動作のデータ保持では45度が不良率を最大化する。書き込み動作では平行書き込みの場合に90度、反平行書き込みの場合に30度が、耐磁性が最も低くなる。
そのほかのテーマに関する注目講演は、機会を改めて紹介する。どうかご容赦願いたい。




















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