後藤弘茂のWeekly海外ニュース

【Google I/O現地レポート】
次期Android『Ice Cream Sandwich』の概要を発表
~タブレットとスマートフォンが共通のOSに



●Android関連のアップデートが山盛りのキーノートスピーチ

 Googleは米サンフランシスコで開発者向けカンファレンス「Google I/O」を開催している。初日(5月10日)は、Androidのキーノートスピーチからスタート。Android OS自身やAndroidをベースにしたサービスなどさまざまなアップデートが発表された。

 OSでは、タブレット用の「Android 3.0(Honeycomb)」のアップデート「Android 3.1」の概要や、次期Android「Ice Cream Sandwich」の開発方針とロゴが発表された。Androidは現在、スマートフォン用のAndroid 2.3(Gingerbread)と、タブレット用のHoneycombに分かれている。Ice Cream Sandwichでは両系統が統一され、フェイストラッキングのようなナチュラルユーザーインターフェイスが加わるなど機能も拡張される。また、Googleの頻繁なOSアップデートに対して、デバイス側には18カ月間は新OSへのアップデートが提供されるようになることも明らかにされた。

 Androidデバイスをターゲットに含めたサービスでは、クラウドベースの音楽サービスのベータ版「Music Beta」が開始されることが明らかにされた。ストリーミング音楽サービスで、最高320Kbpsの品質で提供する。また、Android Marketを通じてムービーレンタルサービスも開始されたことが発表された。

 さらにGoogleは、Androidのさらにその先の展開として、Androidをコアにさまざまな機器を制御する方向を示した。まず、Androidで周辺デバイスをコントロールするAndroid Open Accessoryを発表。USB接続によってデバイスを制御したり、デバイス側のデータを取りこむ。対応デバイスを開発するためのサンプルキットを含めた「Accessory Development Kit (ADK)」を発表した。また、GoogleはAndroidで家庭の電気機器を制御する「Android@Home」イニシアチブを発表した。

 この他、キーノートスピーチ後のプレスQAセッションでは、Googleブランドのスマートフォンである「Nexus」シリーズの次期デバイスが、次のホリデーシーズンまでに登場することが、Androidの産みの親であるAndy Rubin(VP of Engineering, Google)氏によって明らかにされた。次期NexusのOSはIce Cream Sandwichになることが示唆された。

●ついに1億台を突破したAndroidデバイス

 急成長するGoogleの勢いを反映して、第4回目となる今回のGoogle I/Oは約5,000人のデベロッパが集まる大カンファレンスとなった。朝一番に行なわれたオープニングのキーノートスピーチは、開場30分以上前に、すでに入場待ちの列がフロアを埋め尽くす盛況。キーノート会場も満席となった。

 キーノートスピーチはまずVic Gundotra氏(Vice President, Engineering, Google)によるイントロダクションで始まった。Gundotra氏は、ドロイドがアップルを食べる風刺画を示して笑いを誘った。過去1年に起こったことはこれだと説明するGundotra氏は、AppleがiPhone/iPadで占めてきたスマートフォン&タブレット市場を、Androidが食っている現状を示唆した。

 Gundotra氏に代わって登場したHugo Barra氏(Product Management Director, Android, Google)は、まず、Androidのモーメンタム(慣性)がいかに大きいかを数字で説明した。Barra氏によると、Androidのアクティベーションが1億に達し、すでに1億台を超えるデバイスが市場で使われているという。現在は、毎日40万台がアクティベートされている現状だと言う。

 Androidデバイスを提供するOEMメーカーは36に上り、310種類のデバイスが、112の国で提供され、キャリアは215がサポートする。Androidプラットフォームには、45万のデベロッパがおり、Android Appsは20万、インストールされたアプリケーションは45億に達するという。拡大するAndroid世界に応じて、エコシステムも育ちつつある。


●Honeycombがさらに機能強化

 Barra氏に続いて登場したAndroidチームのMike Cleron氏は、Android OSのロードマップについて説明。まず、Motorolaのタブレット「Xoom」に、Honeycombの新バージョンAndroid 3.1をロールアウトしたことを発表した。HoneycombはAndroid 3.0のコードネームだが、3.1も同様にHoneycombとなる。

 Android 3.1の新フィーチャでは、まず、タスクスイッチングの向上が説明された。Android 3.1では下の画面のように、左にタスクスイッチャのウインドウ列がポップアップするようになった。また、ユーザーインターフェイスでは、これまで固定されていたwidgetのウインドウを動的に縦横にリサイズできるようになった。デモでは、Honeycombと同じ小さなwidgetウインドウを指で広げて大きくする様子が示された。

 Android 3.1ではインターフェイスも拡張された。USBホストモードがサポートされ、USBホスト機能を持つAndroid端末ならUSBクライアントを接続できるようになった。USB接続したカメラから写真を取り込んだり、ゲームコントローラやジョイスティックを接続してAndroidゲームをプレイすることが可能になった。キーノートスピーチでは、実際にタブレットにUSBゲームコントローラを接続、ゲームをプレイして見せた。

 また、Android 3.1はタブレットだけではく、Google TVにも夏には提供されるという。Google TVは、Android 3.1に刷新されると同時にAndroid Marketも載るようになる。Android 3.1でのGoogle TVデバイスは、ソニーやSamsung、Vizio、Logitechなどから登場するという。


●新機能も加わるIce Cream Sandwich

 Cleron氏は次期Android OSであるIce Cream Sandwichについても一部を明らかにした。Ice Cream Sandwichのスケジュールは2011年第4四半期。Gingerbreadからは4四半期、Honeycombからは3四半期空くことになる。スケジュールは明らかにされたが、Ice Cream Sandwichがバージョン名としてAndroid 4.0になるのかどうかは明らかにされなかった。

 Ice Cream Sandwichの重要なポイントは、2系列のAndroidを1つにまとめたこと。Ice Cream Sandwichは、HoneycombとGingerbreadの両方の後継OSとなる。タブレットもスマートフォンも、さらには他のデバイスも全てカバーする。Googleが『One OS Everywhere』と呼ぶコンセプトだ。

 Claren氏は、「1つのOSが全てのデバイスで走ることが必要だと考えた。デバイスの差異をできる限り開発者から隠蔽する」と説明する。画面サイズの違いやコンフィギュレーションの違いなどはOSに吸収され、異なるデバイスに最適化するためのAPIが新設されるという。デバイスタイプをまたがるアプリケーションの開発が容易になるほか、HoneycombでGoogleが試した試みがスマートフォンにももたらされる。例えば、Honeycombで搭載された「ホログラフィックユーザーインターフェイス」とGoogleが呼ぶ、3D的なUIやアプリケーションランチャーもスマートフォンにもたらされる。

 また、Honeycombで加えられた機能だけでなく、Ice Cream Sandwichには、多くの新機能拡張も加えられる。キーノートスピーチでは、ナチュラルユーザーインターフェイスのデモがIce Cream Sandwichの新機能として公開された。

 スピーチでは、まず、Androidデバイス側のカメラを使ったヘッドトラッキングによってAndroid上のOpenGLの3Dオブジェクトを動かすデモが公開された。また、同様にAndroidデバイスのカメラによる顔認識で、顔の一部を動的に変形させるデモも行なわれた。さらに進んでで、Webカンファレンス時に、Androidデバイスが話者を認識、話者の顔をズームアップするというデモも公開された。Claren氏によると、こうした機能がIce Cream Sandwichでは提供されるという。

 キーノートスピーチの後に行なわれたQAセッションでは、Ice Cream Sandwichの最優先の仕事は1つにすることだったと説明。しかし、同時に多くの新機能を盛り込んでおり、キーノートスピーチで見せたのは、その一部のヒントに過ぎないと説明された。

 またCleron氏は、Ice Cream Sandwichのロゴも初公開。これまで通り、名前の由来であるお菓子を意匠にしたコミカルなロゴとなることが明らかになった。

 さらに、Cleron氏はIce Cream Sandwichがオープンソースになることも発表した。GoogleはHoneycombではソースの公開を遅らせていた。Andy Rubin氏はQAセッションで、オープンソースとコミュニティドリブンなプロジェクトは同義ではないと説明。Androidはコミュニティドリブンよりもオープンソースの比重が強く、Googleはプラットフォームを作るベンダーとしての責任があると説明した。