国内未発売のIntel Arc A380先行入手！GPUの第三の選択肢になるのか？

3DMark

　3DMarkでは、DirectX12テスト「Time Spy」、DirectX11テスト「Fire Strike」、Vulkanテスト「Wild Life」、DXR(DirectX Raytracing)テストの「Port Royal」と「DirectX Raytracing feature test」、「PCI Express feature test」を実行した。

　Time Spyでは、Arc A380がGeForce GTX 1660に次ぐ全体2番手のスコアを記録。Iris Xe MAXを約159%、Radeon RX 6400を約19%上回り、GeForce GTX 1660を19%下回った。

　Fire StrikeでのArc A380は、Radeon RX 6400を約3%下回って全体3番手に後退。Iris Xe MAXを約77%も上回っているが、GeForce GTX 1660を約24%下回った。

　Wild Lifeと同Extremeでは、Iris Xe MAXを122～140%、Radeon RX 6400を16～23%上回ったArc A380が全体2番手のスコアを記録。GeForce GTX 1660を11～25%下回った。

　DXRテストのPortRoyalでは、Radeon RX 6400を約250%、GeForce GTX 1660を約15%上回り、Arc A380が全体ベストのスコアを記録した。ただし、Radeon RX 6400はVRAM容量不足、GeForce GTX 1660はレイトレーシング描画に破綻が生じていたため、レイトレーシング処理性能を正しく反映した結果とは言い難い。「DirectX Raytracing feature test」でもRadeon RX 6400を約124%上回っているが、Arc A380の平均フレームレートは9.05fpsであり、優秀なレイトレーシング性能を備えていると言えるレベルの結果ではない。

【グラフ01】3DMark v2.22.7359「Time Spy」

【グラフ02】3DMark v2.22.7359「Fire Strike」

【グラフ03】3DMark v2.22.7359「Wild Life/Wild Life Extreme」

【グラフ04】3DMark v2.22.7359「Port Royal」

【グラフ05】3DMark v2.22.7359「DirectX Raytracing feature test」

【グラフ06】3DMark v2.22.7359「PCI Express feature test」

VRMark

　VRMarkでは、「Orange Room」、「Cyan Room」、「Blue Room」を実行した。

　Arc A380のスコアは、従来モデルであるIris Xe MAXを84～131%も上回っているものの、Radeon RX 6400を0～13%、GeForce GTX 1660を26～49%下回った。

【グラフ07】VRMark v1.3.2020「ベンチマークスコア」

【グラフ08】VRMark v1.3.2020「平均フレームレート」

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク

　FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは、フルHD解像度で3種類の描画設定プリセットをテストした。

　Arc A380はIris Xe MAXを68～93%上回ったものの、Radeon RX 6400を13～23%、GeForce GTX 1660を40～49%下回った。

【グラフ11】FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク v1.3

Forza Horizon 5

　Forza Horizon 5では、ゲーム内ベンチマークモードを利用して、フルHD解像度で6種類の描画設定プリセットをテストした。

　Arc A380は描画設定「中」以下で60fps以上の平均フレームレートを記録し、Iris Xe MAXを116～176%上回った。一方、Radeon RX 6400を9～25%、GeForce GTX 1660を34～55%下回っている。

【グラフ12】Forza Horizon 5 (v1.488.996.0.HV)

DIRT 5

　DIRT 5では、ゲーム内ベンチマークモードを利用して、フルHD解像度で5種類の描画設定プリセットとレイトレーシングの有無をテストした。なお、グラフィックスドライバ「31.0.101.3220」を適用したArc A380はDirt 5を起動できなかったため、このテストでのみ「30.0.101.1743」を適用している。

　レイトレーシング無効時は、Iris Xe MAXを132～172%上回り、GeForce GTX 1660を36～41%下回った。Radeon RX 6400との比較では、「Medium」以下で13～22%下回っている一方、描画設定「High」以上では逆に11～16%上回った。Radeon RX 6400はテスト時にVRAM容量不足の警告が表示されており、この逆転はVRAM容量不足でRadeon RX 6400のパフォーマンスが低下したことにより生じたものと考えられる。

　Dirt 5でリアルタイムレイトレーシングを有効にできたのは、レイトレーシング専用コアを備えるGPUのみで、Arc A380はRadeon RX 6400を15～73%上回った。ただ、Arc A380も「Ultra Low」設定で60fpsを下回っており、レイトレーシングを有効にして快適に遊べるだけのパフォーマンスが得られるわけではない。

【グラフ13】DIRT 5 (v1.0.276742.503)「レイトレーシング無効」

【グラフ14】DIRT 5 (v1.0.276742.503)「レイトレーシング有効」

フォートナイト

　フォートナイトでは、フルHD解像度で4種類の描画設定プリセットと2種類のグラフィックスAPIをテストした。テストしたグラフィックスAPIは「DirectX11」と「DirectX 12」で、レイトレーシングは無効。いずれの描画品質でも3D解像度は「100%」に設定している。

　DirectX 12では、Arc A380がIris Xe MAXを148～164%上回ったが、描画設定「中」以外ではRadeon RX 6400を約5%下回り、全ての設定でGeForce GTX 1660を23～28%下回った。なお、描画設定「最高」でのIris Xe MAXはVRAM容量不足からか正常な描画がされず、描画設定「中」のRadeon RX 6400は最適化不足からかGPU性能を十分に発揮できていなかった。

　DirectX 11でのArc A380はIris Xe MAXを115～141%上回ったものの、Radeon RX 6400を18～27%、GeForce GTX 1660を42～46%下回った。DirectX 12時に比べ、Arc A380は大きくフレームレートが低下しており、DirectX 11でのパフォーマンスが振るわない様子がみてとれる。

【グラフ15】フォートナイト (v21.30)「DirectX 12」

【グラフ16】フォートナイト (v21.30)「DirectX 11」

レインボーシックス シージ

　レインボーシックス シージでは、ゲーム内ベンチマークモードを利用して、フルHD解像度で5種類の描画設定プリセットをテストした。グラフィックスAPIは「Vulkan」で、レンダリングのスケールは「100%」に設定している。

　Arc A380はIris Xe MAXを147～154%上回っており、描画設定「超高」以上ではVRAM容量不足が生じるRadeon RX 6400を11～18%上回った。一方、描画設定「高」以下ではRadeon RX 6400を12～14%下回り、GeForce GTX 1660を36～39%下回った。

　Arc A380の平均フレームレートは全ての条件で100fpsを超えているが、描画設定「最高」ではVRAM使用量の目安がArc A380のVRAM容量(6GB)を超えているので、実際にプレイする場合は「超高」以下を選択することになるだろう。

【グラフ17】レインボーシックス シージ (build 9192641)

Apex Legends

　Apex Legendsでは、フルHD解像度で3種類の描画設定をテストした。テスト時の上限フレームレートは300fps。

　ここでのArc A380は、Iris Xe MAXを117～124%上回り、Radeon RX 6400とほぼ同等のパフォーマンスを発揮した。一方、GeForce GTX 1660を26～28%下回っている。

　Arc A380は、テクスチャストリーミング割り当てを「最高(6GB)」にしたことを除き、全ての設定を最高画質にした描画品質「最高」でも60fps以上の平均フレームレートを記録しており、フルHD解像度であればApex Legendsをプレイするのに十分な性能を備えていると言える。

【グラフ18】Apex Legends (v3.0.8.47)

オーバーウォッチ

　オーバーウォッチでは、フルHD解像度で5種類の描画設定プリセットをテストした。テスト時の上限フレームレートは400fpsで、すべての描画品質でレンダー・スケールを「100%」に設定している。

　ここでのArc A380はGPU性能を十分に発揮できておらず、描画設定「高」と「ウルトラ」ではIris Xe MAXを12～20%も下回って最下位に沈んでいる。ほかのGPUとの比較では、Radeon RX 6400を30～71%、GeForce GTX 1660を49～74%下回った。

　テスト中のArc A380はGPU使用率が100%を大きく割り込んでおり、GPUの性能を十分に発揮できていない様子だった。Arc A380でオーバーウォッチを快適にプレイするには、グラフィックスドライバの最適化を待つ必要があるようだ。

【グラフ19】オーバーウォッチ (v1.72.2.0.102337)

サイバーパンク2077

　サイバーパンク2077では、フルHD解像度で7種類の描画設定プリセットをテストした。

　Arc A380はレイトレーシングを用いない描画設定で、Iris Xe MAXを158～166%、Radeon RX 6400を4～26%上回り、GeForce GTX 1660を28～30%下回った。

　レイトレーシングを用いる描画設定では、Radeon RX 6400を54～98%上回った。「レイトレーシング：中」以下ではGeForce GTX 1660を2～23%下回っているが、「レイトレーシング：ウルトラ」では38%上回った。ただし、レイトレーシングを用いる描画設定でのArc A380は全ての条件で30fpsを下回っており、プレイするのに十分なパフォーマンスは得られていない。

【グラフ20】サイバーパンク2077 (v1.52)

アサシン クリード ヴァルハラ

　アサシン クリード ヴァルハラでは、ゲーム内ベンチマークモードを利用して、フルHD解像度で5種類の描画設定プリセットをテストした。

　Arc A380はIris Xe MAXを128～208%上回り、描画設定「高」以上ではRadeon RX 6400を8～33%上回った。一方、GeForce GTX 1660を22～36%下回り、描画設定「中」以下ではRadeon RX 6400を9～16%下回った。

【グラフ21】アサシン クリード ヴァルハラ (v1.6.0)

モンスターハンターライズ：サンブレイク

　モンスターハンターライズ：サンブレイクでは、フルHD解像度で3種類の描画設定プリセットをテストした。

　ここでも、Arc A380はIris Xe MAXを93～115%上回った。一方、Radeon RX 6400を23～33%、GeForce GTX 1660を15～45%下回った。

　Radeon RX 6400に差をつけられてしまってはいるものの、平均フレームレート的にはモンスターハンターライズ：サンブレイクをプレイするのに十分な実力をArc A380は備えているように見える。ただし、Arc A380はプレイ中にゲームがクラッシュするという現象が今回のテストだけでも数回発生しており、安定性に難があるように感じた。

【グラフ22】モンスターハンターライズ：サンブレイク (v10.0.3.0)

エルデンリング

　エルデンリングでは、フルHD解像度で4種類の描画設定プリセットをテストした。上限フレームレートは60fpsで、自動描画調整については無効にしている。

　Arc A380はIris Xe MAXを86～106%上回る一方、Radeon RX 6400を6～19%、GeForce GTX 1660を6～35%下回った。

　いずれの描画設定でもArc A380は30fps以上の平均フレームレートを記録しているので、フルHD解像度でエルデンリングをプレイできるだけの実力は備えているが、描画設定「低」でも60fpsの維持はできていない。

【グラフ23】エルデンリング (v1.05)

Microsoft Flight Simulator

　Microsoft Flight Simulatorでは、フルHD解像度で4種類の描画設定プリセットをテストした。グラフィックスAPIは「DirectX 11」で、羽田空港から関西国際空港へのルートをエアバスA320neoでAIに飛行させ、離陸から3分間の平均フレームレートを計測している。

　Arc A380の平均フレームレートはIris Xe MAXを95～117%上回った。一方、GeForce GTX 1660を43～46%下回り、描画設定「ウルトラ」以外ではRadeon RX 6400を3～17%下回った。

【グラフ24】Microsoft Flight Simulator (v1.26.5.0)

システムの消費電力

　ワットチェッカーを使ってシステムの消費電力を測定し、アイドル時の最小消費電力と、ベンチマーク実行中の平均消費電力および最大消費電力をグラフ化した。

　アイドル時の消費電力は68.0Wを記録したArc A380がもっとも高く、以下は61.6WのGeForce GTX 1660、54.9WのIris Xe MAX、52.3WのRadeon RX 6400の順だった。

　ベンチマーク実行中のArc A380は平均148.0～164.6W、最大158.2～195.8Wの消費電力を記録しており、この数値はGeForce GTX 1660に次ぐ2番目に高いものだった。ワットパフォーマンス的にはIris Xe MAXを大きく上回っているが、AMDの最新GPUであるRadeon RX 6400には及ばない。

【グラフ25】システムの消費電力 (平均/最大)

ベンチマーク実行中のモニタリングデータ

　モニタリングソフトの「HWiNFO64 Pro」を使って、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク(フルHD/最高品質)」を実行中のモニタリングデータを取得し、温度やGPUクロックなどのデータをグラフ化した。

　Arc A380のGPU温度は平均57.7℃(最大63℃)で、平均51.3W(最大58.4W)の電力を消費しながら、平均2,449.9MHzで動作していた。テスト中はほぼ最大クロックである2,500MHzを維持できていることから、サーマルスロットリングをはじめとする各種スロットリングが発生していないことが分かる。

【グラフ26】ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク 実行中の動作温度 (平均/最大)

【グラフ27】ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク実行中の消費電力 (平均/最大)

【グラフ28】ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク 実行中の動作クロック (平均/最大)

【グラフ29】Arc A380のモニタリングデータ

【グラフ30】Iris Xe MAXのモニタリングデータ

【グラフ31】Radeon RX 6400のモニタリングデータ

【グラフ32】GeForce GTX 1660のモニタリングデータ