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もう変態とは言わせない。2画面ノートPC「ASUS Zenbook Pro 14 Duo OLED」実機レビュー

ASUS「Zenbook Pro 14 Duo OLED(UX8402)」直販価格32万9,800円~

 ASUS JAPANは、メインの14.5型OLEDに加え、キーボード奥に12.7型液晶を積んだデュアルディスプレイ搭載ノートPC「Zenbook Pro 14 Duo OLED(UX8402)」を8月4日に発表、同日より販売開始した。

 本製品はデュアルディスプレイ、76Whの大容量バッテリを搭載しつつ、重量は約1.7~1.75kgと「比較的」軽量に抑えられている。またディスプレイはメイン、セカンドともにリフレッシュレートが120Hzで、上位モデルは「GeForce RTX 3050 Ti」を内蔵しており、ゲーム用途にも活用可能だ。今回本製品の製品版を借用したので実機レビューをお届けしよう。

今回はCore i7-12700H/Iris Xe Graphics/メモリ16GB/SSD 512GBという構成の下位モデル「UX8402ZA-M3033W」を借用している

ディスクリートGPUの有無で上位/下位モデルを用意

 Zenbook Pro 14 Duo OLEDはOSにWindows 11 Home、CPUに第12世代(Alder Lake)のCore i9-12900HまたはCore i7-12700Hを採用。メモリは32GBまたは16GB(LPDDR5-4800)、ストレージは1TBまたは512GBのSSD(PCIe 4.0 x4接続)を搭載している。

 モデルは、Core i9-12900H/メモリ32GB/SSD 1TBの「UX8402ZE-M3034W」(直販価格39万9,800円)、Core i7-12700H/メモリ16GB/SSD 512GBの「UX8402ZA-M3033W」(同32万9,800円)の2種類が用意されており、ディスクリートGPU「GeForce RTX 3050 Ti Laptop」は上位モデルのみに搭載されている。

 これら以外のスペックは基本的に共通。ディスプレイは14.5型OLED(2,880×1,800ドット)、12.7型液晶(2,880×864ドット)を搭載。ディスプレイ上部には92万画素IR(赤外線)カメラが内蔵。オーディオ機能はステレオスピーカー(1W×2)、クアッドアレイマイクが搭載されている。

 インターフェイスはThunderbolt 4×2、USB 3.1、HDMI、microSDカードスロット、3.5mmコンボジャックを用意。ワイヤレス通信はWi-Fi 6、Bluetooth 5.1をサポートしている。

 本体サイズは約323.5×224.7×17.9~19.6mm(幅×奥行き×高さ)、重量は上位モデルが約1.75kg、下位モデルが約1.7kg。76Whのリチウムポリマーバッテリが内蔵されており、バッテリ駆動時間は上位モデルが約5.1時間、下位モデルが約5.5時間だ。

 スペックで最も留意すべき点はディスクリートGPUの有無。一般的な用途が中心であれば下位モデルでもよいが、3Dゲームをプレイしたり、GPU支援を得られるクリエイティブ系アプリを頻繁に利用するのであれば上位モデルを購入するべきだ。

【表1】Zenbook Pro Duo 14 OLEDのスペック
Zenbook Pro 14 Duo UX8402ZEZenbook Pro 14 Duo UX8402ZA
型番UX8402ZE-M3034WUX8402ZA-M3033W
OSWindows 11 Home
CPUCore i9-12900H(14コア[Pコア×6、Eコア×8]、20スレッド、最大5GHz、45W)Core i7-12700H(14コア[Pコア×6、Eコア×8]、20スレッド、最大4.7GHz、45W)
GPUGeForce RTX 3050 Ti Laptop GPU
Intel Iris Xe Graphics(1.45GHz)
Intel Iris Xe Graphics(1.40GHz)
メモリLPDDR5-4800 32GBLPDDR5-4800 16GB
ストレージ1TB PCIe 4.0 x4 SSD512GB PCIe 4.0 x4 SSD
ディスプレイメイン:14.5型OLED(2,880×1,800ドット、234ppi、16:10、550cd/平方m、1,000,000:1、120Hz、0.2ms、DCI-P3 100%、VESA DisplayHDR True Black 500認証、PANTONE認証、グレア、ペン対応、タッチ対応)
サブ:12.7型液晶(2,880×864ドット、237ppi、500cd/平方m、120Hz、DCI-P3 100%、ノングレア、ペン対応、タッチ対応)
ワイヤレス通信Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1
WWAN
インターフェイスThunderbolt 4×2、USB 3.1、HDMI、microSDカードスロット、3.5mmコンボジャック
カメラ92万画素IR(赤外線)カメラ
サウンドステレオスピーカー(1W×2)、クアッドアレイマイク
バッテリ容量76Wh
バッテリ駆動時間約5.1時間(JEITA2.0準拠)約5.5時間(JEITA2.0準拠)
バッテリ充電時間約1.8時間
本体サイズ約323.5×224.7×17.9~19.6mm(幅×奥行き×高さ)
重量約1.75kg約1.7kg
セキュリティWindows Hello対応顔認証カメラ
オフィスアプリWPS Office 2 Standard Edition (3製品共通ライセンス付)
同梱品ACアダプタ、電源ケーブル、専用スリーブ、ASUS Pen 2.0、スタンド、説明書類
直販価格39万9,800円32万9,800円
筐体はテックブラウン色のアルミニウム合金素材。新しいASUSロゴが飾られている
本体底面。各種ロゴシールはすべて底面に貼られている
メインディスプレイは14.5型OLED(2,880×1,800ドット、234ppi、16:10、550cd/平方m、1,000,000:1、120Hz、0.2ms、DCI-P3 100%、VESA DisplayHDR True Black 500認証、PANTONE認証、光沢、ペン対応、タッチ対応)。セカンドディスプレイは12.7型液晶(2,880×864ドット、237ppi、500cd/平方m、120Hz、DCI-P3 100%、非光沢、ペン対応、タッチ対応)
キーボードは86キーの日本語配列
本体背面にはHDMI×1、microSDカードスロット×1、電源端子を用意
右側面にはThunderbolt 4×2、USB 3.1、左側面には3.5mmコンボジャックを配置
パッケージには本体、専用スリーブ、ACアダプタ、電源ケーブル、説明書類、ASUS Pen 2.0が同梱
同梱されるスタンドは底面に貼り付ける。粘着性があり何度でも貼り付け可能だ
ディスプレイの最大展開角度は142度
スタンドを装着するとメインディスプレイ、セカンドディスプレイの角度をさらに立てられる
メインディスプレイを開くと、セカンドディスプレイが12度の角度へ上昇し、エアフローが38%強化される
ACアダプタのコード長は実測180cm、電源ケーブルの長さは実測90cm
ACアダプタの型番は「ADP-150CH B」。仕様は入力100-240V~2.5A、出力20V 7.5A、容量150W
ASUS Pen 2.0には、充電用ケーブル、ペンチップ×4(2H、H、HB、Bの4種類)、ペンチップリムーバブルツール、説明書が同梱
ペンチップはが用意。好みの書き味を選べる
メインディスプレイ、セカンドディスプレイともにタッチ操作、ペン操作に対応
本体の実測重量は1,724g
ACアダプタと電源ケーブルの合計重量は実測425g

高画質化が図られたメイン、セカンドディスプレイ

 Zenbook Pro 14 Duo OLEDは前述の通り、メインディスプレイに14.5型OLED、「ScreenPad Plus」と名付けられているセカンドディスプレイに12.7型液晶が採用されている。輝度はメインが550cd/平方m、セカンドが500cd/平方mと違いはあるが、120Hzのリフレッシュレート、DCI-P3 100%の色域はスペック上は同じだ。

 ただし、下の写真を見ていただければ分かる通り、実際の利用時にはそれぞれのディスプレイを見る角度が異なり、またメインが光沢、セカンドが非光沢と表面処理が違うため、発色の差は感じる。実際に使用しているとそれほど気にならないが、限りなく見え方を近づけたいのであれば、輝度や色味を調節するといいだろう。

白地、薄いグレー地で比較すると発色の差は感じる
このような強めの色では発色の差が気にならなくなる

 ディスプレイの実際の色域をカラーキャリブレーション機器「iDisplay Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で計測したところ、下記のような結果となった。色域はどちらも「DCI-P3 100%」と謳われているが、実際には違いはある。セカンドも広色域ではあるが、色調整などの作業はメインで行なうことをおすすめする。

【表2】Zenbook Pro Duo 14 OLEDの色域
メインディスプレイセカンドディスプレイ
sRGBカバー率100.00%100.00%
sRGB比150.20%138.40%
Adobe RGBカバー率95.20%92.00%
Adobe RGB比111.30%102.60%
DCI-P3カバー率100.00%92.00%
DCI-P3比110.70%102.60%
実測したメイン画面のsRGBカバー率は100.0%、sRGB比は150.2%
メイン画面のAdobe RGBカバー率は95.2%、Adobe RGB比は111.3%
メイン画面のDCI-P3カバー率は100.0%、DCI-P3比は110.7%
セカンド画面のsRGBカバー率は100.0%、sRGB比は138.4%
セカンド画面のAdobe RGBカバー率は92.0%、Adobe RGB比は102.6%
セカンド画面のDCI-P3カバー率は92.0%、DCI-P3比は102.6%
ほぼ真横からでもなにが映っているか分かるぐらい、広い視野角が確保されている

 Zenbook Pro 14 Duo OLEDはメイン、セカンドディスプレイともに高画質化が図られているが、デュアルディスプレイとしての使い勝手も進化を続けている。新しいコントロールパネルとして「Illustrator」用が追加されたほか、コントロールセンターにカメラとマイクのオン/オフ機能も追加された。

 コントロールパネルは「Photoshop」「Premiere」「After Effects」を含めて4本のAdobeアプリで利用可能になったわけだ。ダイヤルによるアナログ的な操作感はクリエイティブワークにおいて重宝するはずだ。

「Illustrator」用のコントロールパネルが追加
ウィンドウをつかんで少しずらすとアプリスイッチャーが表示され、どちらのディスプレイのどの位置に表示するか選択できる
コントロールセンターには、明るさ、App Navigator、ディスプレイ入れ替え、カメラとマイクのオン/オフ、ランチャー、設定アイコンが並ぶ
アプリとその配置を「タスクグループ」として登録できる

右側に配置されたタッチパッドのためにキーボードはやや窮屈

 Zenbook Pro 14 Duo OLEDのキーボードはやや窮屈。キーピッチは実測17mm前後、キーストロークは実測1.5mm前後、文字キー(Fキー)の押圧力は実測0.53N前後。

 キーボード面の剛性が高く、打鍵感は良好なのだが、14.5型ディスプレイを搭載するノートPCとしては、やはりキーピッチが狭いと言わざるを得ない。またホームポジションに指を置くと、両手が左側に寄ってしまうことにどうしても違和感があった。

 個人的には、タッチパッドではなくキーボード中央にポインティングスティックを装備し、キーボードをフルサイズ化してほしいと考えている。

キーピッチは実測17mm前後
キーストロークは実測1.5mm前後
文字キー(Fキー)の押圧力は実測0.53N前後。
【表3】キーボードの押圧力の例
FキーEnterキーSpaceキー
Zenbook Pro Duo 14 OLED0.53N0.52N0.57N
Zenbook 13 UX325EA0.53N0.5N0.51N
13インチMacBook Air(2022)0.48N0.55N0.52N
14インチMacBook Pro(2021)0.5N0.5N0.52N
キーボードバックライトは白色で、明るさは3段階で調整できる
タッチパッドの面積は実測53×77mm。3本指ジェスチャーもぎりぎり可能だ

 本製品の92万画素IR(赤外線)カメラの画質は良好。室内灯下でも明るく、自然な発色で撮影できる。HDRをオンにしても、オフにしてもノイズは少なめだ。Web会議用途であれば実用上十分な画質を備えている。

ディスプレイ上部には92万画素IR(赤外線)カメラとマイクを内蔵
Windows 11の「カメラ」アプリで撮影(HDRオフ)
Windows 11の「カメラ」アプリで撮影(HDR proをオン)
YouTubeで公開されている「前前前世(movie ver.) RADWIMPS MV」を最大ボリュームで再生した際の音圧レベルは最大85.1dB(50cmの距離で測定)

CPU性能は十二分。ディスクリートGPUも欲しいところ

 最後にパフォーマンスをチェックしてみよう。今回借用しているのは、Core i7-12700H/Iris Xe Graphics/メモリ16GB/SSD 512GBという構成の下位モデルだ。

 比較対象機種としてはCore i7-11800H(8コア/16スレッド、2.3~4.6GHz)/GeForce RTX 3050 Laptop/メモリ16GB/SSD512GBという構成の「DAIV 5P(2022年モデル)」を採用した。

 第12世代(Alder Lake)と第11世代(Tiger Lake)の差、またディスクリートGPU搭載ノートPCとどのぐらい3D性能に差が出るのかという視点からベンチマーク結果をご覧いただきたい。

ベンチマークは「ProArt Creator Hub」でファンモードを「フルスピードモード」に設定して実施している

 まずCPU性能については、Zenbook Pro 14 Duo OLEDはDAIV 5Pに対して、Cinebench R23で約1.72倍のスコアを記録した。冷却システムの差もあるだろうが、最終的にはコア数、スレッド数の差が大きく寄与した結果と言えよう。

Cinebench R23.200
「Cinebench R23.200」実行中のCPU温度は平均80.33℃、最大86℃、クロック周波数は平均3,225.41MHz、最大3,236.1MHz(室温23.2℃で測定)
消費電力は、アイドル中は平均25.87W、「Cinebench R23.200」実行中は平均120.24W

 一方、PCMark 10では総合スコアはほぼ同等。すべてのスコアをよく見ると、項目ごとに勝敗が大きく分かれており、たまたま総合スコアでは並んだという結果だ。

 バッテリ駆動時間については、ディスプレイ輝度50%という条件で「PCMark 10 Modern Office Battery Life」を実行したところ、311分(5時間11分)とカタログスペックと同様に5時間超えを記録した。バッテリ駆動時間としては、モバイル用途に活用できるスペックだ。

PCMark 10 v2.1.2556
PCMark 10 v2.1.2556

 3Dグラフィックス性能については、今回のZenBook Pro 14 DuoがディスクリートGPUを搭載していないため、GeForce RTX 3050 Laptop GPUを搭載するDAIV 5Pに対して3DMarkで約38~56%のスコアに留まっている。FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.3でも約36%のスコアだ。やはり、3Dゲームをプレイするのなら、予算が許せばディスクリートGPUを搭載する上位モデルを選ぶべきだ。

3DMark v2.22.7359
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.3

 ストレージ速度についてはPCIe 4.0 x4接続SSDを搭載するZenBook Pro 14 Duoが圧倒的なパフォーマンスを見せた。ただしDAIV 5Pもカスタマイズ購入時にPCIe 4.0 x4接続のSSDを選べることはお伝えしておこう。

CrystalDiskMark 8.0.4a

 実アプリでは興味深い結果となった。Lightroom ClassicではZenbook Pro 14 Duoが約57%、Premiere ProではDAIV 5Pが約65%の所要時間で処理を終えたのだ。Lightroom ClassicではCPU性能が優れるZenbook Pro 14 Duoが、Premiere Proでは3Dグラフィックス性能が優れるDAIV 5Pが高いパフォーマンスを発揮したことになる。

「Adobe Lightroom Classic」で100枚のRAW画像を現像
「Adobe Premiere Pro」で実時間5分の4K動画を書き出し

 高負荷時の表面温度については、キーボード面で最大35.5℃、底面で34.4℃となった。Zenbook Pro 14 Duoには、エアフローを最大38%改善したと謳う「ASUS Active Aerodynamic System Ultra」、2基の高効率12Vファン、2本の8mmヒートパイプ、各コンポーネントの温度を検出するスマートセンサーなどによる冷却システム「ASUS IceCool Plusサーマルテクノロジー」が採用されている。本体の表面温度は比較的低く抑えられており、効率的に冷却されているようだ。

「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.3」実行中のキーボード面の最大温度は35.5℃ (室温22.4℃で測定)
底面の最大温度は34.4℃
ACアダプタの最大温度は35.4℃

ディスプレイ1枚のノートPCでは物足りない方はぜひ試してほしい

 ASUSのDuoシリーズには複数のラインナップがあるが、Zenbook Pro 14 Duo OLEDは重量が約1.7~1.75kgで、バッテリ駆動時間は5時間超えとモバイル可能なマシンとして仕上げられている。それでいて上位モデルであればGeForce RTX 3050 Tiを搭載しており、3Dゲームなどもプレイできるパフォーマンスを備えている。

 発売直後は「変態ノートPC」と呼ばれることもあったDuoシリーズだが、ASUSが少しずつ改良を重ねて、ハードウェア的にもソフトウェア的にも完成度が高くなっている。

 普段デュアルディスプレイ環境で作業していて、ノートPCのディスプレイ1枚では窮屈に感じている方は、ぜひZenbook Pro 14 Duo OLEDを試してみてほしい。ディスプレイを開くだけで2枚の画面を利用できる本製品は、一度使ったら手放せなくなるほどの魅力があるのだ。