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44TB HDD実現の新技術「Mozaic 4+」。2033年には100TBへ、Seagateの挑戦
2026年3月16日 06:02
日本シーゲートは3月13日、都内にて記者説明会を開催。最新技術「Mozaic 4+」を搭載したHDD、および今後の戦略について紹介した。
説明会では、同社代表取締役の新妻太氏、およびSeagate Technologyシニアディレクターのトーマス・チャン氏が登壇した。
新素材による大幅容量アップ
Mozaic 4+とは、世界でSeagateだけが実用化に成功している「熱アシスト磁気記録(HAMR)」技術の最新世代、および周辺技術の総称である。
先日弊誌でも紹介した44TB HDDにMozaic 4+が用いられており、すでにハイパースケーラ(大規模クラウド事業者)2社のもとで現場運用が開始されている。
HDDを大容量化するためには、中に含まれるプラッタ(データを記録するディスク)1枚当たりの容量を増やす必要があり、そのためには1bitごとの必要面積を減らさねばならない。あるいはプラッタそのものの枚数を増やすアプローチも考えられるが、トーマス氏は「技術的には可能」とした上で、継続的な容量増加を実現するためにデータ密度の改良を選択しているとした。
HDDでは以前より、コバルトプラチナ合金による垂直磁気記録(PMR)方式が主流だった。しかしこの素材では一定以上の微細化を行なおうとすると、保磁力が不安定になり、熱による影響などで長期保存が難しくなるという限界があった。
そこでSeagateでは、鉄プラチナ合金を材料としたプラッタを開発した。磁性体(磁気データの保持を担う物質)だが、剛性が低い鉄と、剛性が高い非磁性体のプラチナを、原子レベルで1層ずつ交互に積み重ねることで、高い安定性を実現している。
しかし、鉄プラチナ合金は安定し過ぎてしまい、既存の磁性体ヘッドではデータを書き込めない。そこで、レーザーによる加熱で一時的に構造を弱めてからデータを書き込むHAMRを導入し、微細なデータ書き込みを可能にしている。
レーザーの内製化による量産体制強化
上記のように、Mozaic 4+ではヘッドにレーザー照射機構を搭載している。ヘッドには「スライダ」と呼ばれる、1×1×3mmほどの微細なチップが取り付けられており、このスライダが磁気データを書き込むのだが、これまでは外注したレーザー装置をスライダの上に積み重ねていた。この場合、レーザーの特性に合わせてHDDを設計する必要があり、購入したレーザーがHDD設計の制約となり得る。
スライダはCPUなどのように、ウェハ上で各種構造を積層して実装してから切り分けることで生産されている。Seagateは独自のフォトニクス技術を活用し、ウェハレベルの生産段階でレーザー機構を統合することに成功した。これにより、生産効率とシステム設計の柔軟性が向上したという。現在は、他社製と自社製両方で製品を作る「デュアルソース戦略」を採用している。
100TB HDDの実現に向けて
Seagateでは、今後プラッタ当たりの容量を5TBまで増やすMozaic 5+の実用化を目指している。2032年にプラッタ当たり10TBを実現するMozaic 10+を完成させ、2033年にはドライブ当たり100TBを超える超大容量HDDを実用化する計画だ。Mozaic 10+までには解決すべき課題が複数あるが、2025年末頃に達成したとあるブレイクスルーにより、達成の道筋が立ったという。これに関しては後日別の場で公開予定だとした。
天井知らずのHDD需要
AIインフラやクラウドサービスの展開に伴い、全世界でのデータ生成量は増え続けている。新妻氏は「データが、価値を生み出す資産となった」と指摘。データをどう生成、管理、再利用するかが重要となり、そのために大規模なストレージがより強く求められているという。
2030年までに1万5,000のデータセンターが稼働し、その多くが現在主流なものの10倍の規模、100~300MW級に達すると見込まれるという。現在のクラウドストレージにおいて約87%を占めるHDDの役割はさらに重要になり、NANDの4倍の必要量が予測されるとした。
また、現在の製品選択では、性能や設備投資の削減に加え、環境負荷の低減も重要な要素であると説明。1台当たりの容量が多い最新製品を採用することで、前世代の30TB HDDと比較し、消費電力など総合して約47%の効率化につながるという。
コンシューマ市場については、日本国内での売れ筋容量が8TBから24TBへいきなり移り変わっており、コンシューマレベルでのストレージ需要の高まりに驚いていると述べた。Mozaic 4+を採用した大容量HDDのコンシューマ向けへの展開は、まだ時間が掛かるものの、将来的には実現する見込みだという。





























