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8コアCPUとRTX 2070採用の「LEVEL-R039-i7K-TOVI」は、コストを抑えて最新ゲームが楽しめる1つの最適解
2018年11月28日 11:00
パソコン工房を展開するユニットコムは、LEVEL∞ブランドから、最新CPU&GPUを搭載したATXミドルタワーのゲーミングPC「LEVEL-R039-i7K-TOVI」をリリースした。
ちょうどこの秋がCPU/GPUの切り換わりどきということもあり、せっかくならば最新パーツが出たタイミングを見計らった上で、PCを新調したいといった方もいることだろう。そんな人たちにとって、ちょっと誤算だったのが価格面。CPUは品不足気味なところにメインストリームにまでCore i9が投入され、GPUも性能向上ははたしたが、より大きなダイになって価格帯が引き上げられてしまった。
どうしたら予算内でお買い得に乗り換えられるか。その1つの答えが今回紹介する「LEVEL-R039-i7K-TOVI」にあるかもしれない。LEVEL-R039-i7K-TOVIのベースモデルの価格は、税別で219,980円だ。
最新パーツを搭載するのは落ち着いた外観と高い拡張性のR-Class筐体
LEVEL-R039-i7K-TOVIは、LEVEL∞の各種筐体サイズがあるなかでミドルタワーのR-Class筐体を採用している。海外のゲーミングPCなどのようにハデな外観をしているわけではなく、傾斜やおうとつのないフラットな前面パネルで落ち着いたデザインだ。前面パネルを縁取る赤いラインと、左右非対称の5インチ光学ドライブベイがR-Classの個性と言える。
幅については190mmと、ミドルタワー型としてはスリムであるが、奥行きは477mm、高さも432mmあり設置はおもに床置きとなるだろうか。光学ドライブも最上段付近となるため、このアクセスを考えても机の横に置くのがベストだろう。
吸気は赤いラインの左右部分にスリットを設け、排気は背面から行なう。ベースモデルでは前面ファン非搭載だが、BTOモデルのためカスタマイズを行なえば12cmファンを追加搭載可能だ。
背面は電源を底面配置し、拡張スロットカバーは7本分、バックパネル横に120mm角ファンを搭載するレイアウトだ。左側板は手回しネジを採用しており、簡単に取り外して内部のメンテナンスを行なえる。その側板だが、左はくぼみ、右は膨らむ独特のスタイル。光学ドライブベイにつづき、左右非対称はこの筐体のコンセプトだ。
内部は、電源こそ底面配置だが万人向けのPCだけあって伝統的なレイアウトだ。最前面には下に3.5インチベイ、上に5インチベイを設けており、その間をビデオカード用のスペースに空けている。
3.5インチベイは4基、5インチベイは3基となる。本製品では3.5インチベイ1基にHDD「Seagate ST1000DM010」を、5インチベイ1基にDVDスーパーマルチドライブを搭載しているが、このあたりは「なし」を含めて柔軟にカスタマイズ可能だ。3.5インチベイに搭載するHDD/SSDは2基目までオプションが用意されている。
これとは別にベースモデルではNVMe対応SSDの「Intel SSD 600pシリーズ 256GBモデル」を採用しており、マザーボード上のM.2スロットに搭載している。OSはこの高速なSSDにインストールされており、DドライブとなるHDDはデータのために利用できる。ゲーミングPCではこうしたSSD&HDDの組み合わせがポピュラーだが、SSD側を256GBという実用的な容量とし、そして高速なモデルにしているところがポイントだ。
今の最新を楽しめるあえて最上位ではないCPU&GPU
引き続き内部を見ていくと、トップフロー型のCPUクーラーの下に搭載されているのは第9世代Coreプロセッサの「Core i7-9700K」。第9世代のメインストリーム向けCoreに“i9”が登場してしまったため最上位ではなくなった。しかしCore i7も強力な性能を持つことに変わりはない。Core i9では8コア16スレッドとなったが、Core i7は8コア8スレッド。第7世代までのCore i7は4コア8スレッドだったので、実コア数で8コアとなり性能は向上している。
また、最大クロックは4.9GHzと高く、4GHz台半ばだった旧Core i7と比べるとシングルスレッド性能が向上している。もう1つ付け加えるならば、価格的にも従来のCore i7とほぼ同じなので、1つ高いところに行ってしまったCore i9と比べるとサイフに優しい。こうして総合すると、ゲーム性能を引き出す上では十分かつ、現実的な価格に収まる選択と言える。
GPUはGeForce RTX 2070を組み合わせている。ご存知のとおり、RTXシリーズは3モデルが登場しているが、最上位のRTX 2080 Tiは20万円近く、それ1つで従来のゲーミングPCが買えるほどの価格になってしまった。1つ下のRTX 2080も10万円を超えており、従来のGTX 1080 Tiに相当する価格だ。性能も向上し、新機能も搭載されたRTXは魅力だがこの価格をポンと出すのはなかなかキビシイ。その点、RTX 2070は7~8万円あたりで、これも十分に高価だが従来のハイエンドGPUクラスの価格で販売されている。
RTX 2070はおよそ2,560×1,440ドット(WQHD)でのゲームプレイが想定される性能だ。3,840×2,160ドットを目指さなければ、CPUもCore i7-9700Kなのでボトルネックとなるシーンはごくかぎられた状況しか考えられない。現在主流の1,920×1,080ドットの液晶ディスプレイならば、最高画質に引き上げても実用的なフレームレート+αの余裕が得られる。
もちろん、これからは4Kの時代だと意気込むならばRTX 2080やその上を狙うのもよいが、今リリースされているタイトルを現状のディスプレイ環境で存分に楽しむならば、RTX 2070はコスト的にも性能的にもよい選択肢と言えるだろう。
RTX 2070ではTuringアーキテクチャで採用された新機能が現時点でもっとも低コストに体験できる。たとえば「DLSS」、「リアルタイムレイトレーシング」といった機能だ。LSSはTeslaで採用されたAI用コア「Tensor Core」を活用しアンチエイリアス的な処理を行なうもので、アンチエイリアス処理をGPUからオフロードすることでフレームレートを向上させる。
そしてとくに今後のPCゲーミング機能として注目されるのが後者のリアルタイムレイトレーシングだ。リアルタイムレイトレーシングは、Windows 10のOctober 2018 Updateで対応し、RTX GPUが搭載するレイトレーシング用コア「RT Core」によって実現する機能だ。
レイ(光線の経路を)トレーシング(追跡する)という名のとおり、マッピング手法ではなく光の反射を計算で求めるため、よりリアルな光沢・反射を表現できる。このリアルタイムレイトレーシングにBattlefield Vが対応したので、効果のほどはスクリーンショットで見ていただきたい。
かなり重めの最新ゲームも2,560×1,440ドットなら高画質で楽しめる
それではベンチマークテストの結果を紹介していこう。
LEVEL-R039-i7K-TOVI | LEVEL-R037-i7K-XYR | |
---|---|---|
CPU | Core i7-9700K(3.6~4.9GHz) | Core i7-8700K(3.7~4.7GHz) |
チップセット | Intel Z390 | Intel Z370 |
GPU | GeForce RTX 2070 | GeForce RTX 2080 Ti |
メモリ | DDR4-2666 SDRAM 16GB | |
ストレージ | 256GB SSD(NVMe)+1TB HDD | 256GB SSD(SerialATA)+1TB HDD |
まず紹介するベンチマークソフトは、「PCMark 10」、「3DMark」、「VRMark」、「CINEBENCH R15」だ。
LEVEL-R039-i7K-TOVI | LEVEL-R037-i7K-XYR | |
---|---|---|
PCMark 10 | v1.1.1739 | |
Extended Score | 8,757 | 8,868 |
Essentials Scenario | 10,394 | 9,543 |
App Start-up Test | 14,653 | 11,776 |
Video Conferencing Test | 8,176 | 8,190 |
Web Browsing Tset | 9,375 | 9,013 |
Productivity Scenario | 9,471 | 8,624 |
Spreadsheets Test | 11,820 | 11,078 |
Writing Test | 7,590 | 6,723 |
Digital Content Creation Scenario | 9,957 | 9,923 |
Photo Editing Test | 11,951 | 12,242 |
Rendering and Visualization Test | 13,119 | 13,396 |
Video Editing Test | 6,297 | 5,959 |
Gaming Scenario | 16,218 | 20,492 |
Fire Strike Graphics Test | 21,880 | 32,731 |
Fire Strike Physics Test | 18,643 | 18,791 |
Fire Strike Combined Test | 10,992 | 10,231 |
3DMark | v2.6.6174 | v2.5.5029 |
TimeSpy Extreme | 3,938 | 5,503 |
TimeSpy Performance | 8,125 | 11,470 |
NightRaid Performance | 53,442 | - |
FireStrike Ultra | 5,203 | 7,619 |
FireStrike Extreme | 9,898 | 14,508 |
FireStrike Performance | 19,234 | 24,056 |
SkyDiver Performance | 45,003 | 51,889 |
CloudGate Performance | 44,311 | 44,671 |
IceStorm Unlimited | 237,017 | 195,916 |
IceStorm Extreme | 214,284 | 190,366 |
IceStorm Performance | 232,797 | 192,638 |
VRMark | ||
Blue Room | 2,684 | 4,379 |
Cyan Room | 8,417 | 12,711 |
Orange Room | 12,479 | 10,644 |
CINEBENCH R15 | ||
Rendering (Multiple CPU) | 1,498.35cb | 1,370.79cb |
Rendering (Single CPU) | 214.24cb | 194.43cb |
PCMark 10のExtended Scoreは8,757。これは直近で計測した同じLEVEL∞の第8世代Core i7搭載モデル「LEVEL-R037-i7K-XYR」とほぼ同じだ。ただし、LEVEL-R037-i7K-XYRはGPUがさらに上位のRTX 2080 Tiを搭載しており、そのGPU性能もExtended Scoreを引き上げている。
そこでGamingシナリオ以外に目を向けると、9割方今回のLEVEL-R039-i7K-TOVIのほうが高いスコアだった。CPU中心のProductivityシナリオでもリードしているので、Core i7-9700Kは、6コア12スレッドのi7-8700Kよりも高い性能であると言えるだろう。
そこがよくわかるのがCINEBENCH R15で、Multiple CPUでは1,498.35cbまでスコアを伸ばし、一方のSingle CPU側も200cb台に乗せている。Core i9ではなくCore i7というところに引っかかっていた方も、前世代最上位を十分に上回っているこの結果を見れば納得がいくだろう。
3DMarkは、RTX 2070が狙うところの性能であり、上位のRTX 2080 Ti搭載モデルと比べてしまうとやや低い。ただし、Fire Strikeでは2万ポイント目前に迫り、2,560×1,440ドットのテストであるFire Strike Extremeも快適ラインの1万ポイントに迫っている。そしてもちろんVR性能を見るVRMarkでも、Orange、Cyanと十分なスコアを出している。
実ゲームテストは、「Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands」、「Shadow of the Tomb Raider」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」、「World of Tanks enCore」を試している。
LEVEL-R039-i7K-TOVI | LEVEL-R037-i7K-XYR | |
---|---|---|
Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands | ||
3,840×2,160ドット(ウルトラ) | 31.86fps | 46.24fps |
3,840×2,160ドット(非常に高い) | 44.78fps | 63.70fps |
3,840×2,160ドット(低) | 76.78fps | 106.23fps |
2,560×1,440ドット(ウルトラ) | 50.69fps | - |
2,560×1,440ドット(非常に高い) | 73.89fps | - |
1,920×1,080ドット(ウルトラ) | 63.63fps | 86.68fps |
1,920×1,080ドット(非常に高い) | 98.14fps | - |
Shadow of the Tomb Raider(DX12) | ||
3,840×2,160ドット(最高) | 35fps | 53fps |
3,840×2,160ドット(最低) | 69fps | 101fps |
2,560×1,440ドット(最高) | 66fps | - |
1,920×1,080ドット(最高) | 98fps | 122fps |
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク | ||
3,840×2,160ドット(高品質) | 3,835(普通) | 5,711(やや快適) |
3,840×2,160ドット(軽量品質) | 5,924(やや快適) | 9,565(とても快適) |
2,560×1,440ドット(高品質) | 6,371(快適) | - |
1,920×1,080ドット(高品質) | 8,653(快適) | 12,098(とても快適) |
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク | ||
3,840×2,160ドット(最高品質) | 6,564(とても快適) | 10,834(非常に快適) |
2,560×1,440ドット(最高品質) | 13,340(非常に快適) | - |
1,920×1,080ドット(最高品質) | 17,485(非常に快適) | - |
World of Tanks enCore | ||
超高品質(1,920×1,080ドット、TSSAA HQ) | 31,014 | 37,937 |
中品質(1,920×1,080ドット、AAなし) | 60,258 | 55,696 |
最低品質(1366×768ドット、AAなし) | 107,890 | 108,762 |
Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsは、3,840×2,160ドットの場合低画質まで引き下げる必要があるが、2,560×1,440ドットなら最大プリセットの1つ下の「非常に高い」で60fpsを余裕で超えた。最大プリセットの「ウルトラ」は、ゲーム内でも1,920×1,080ドット向けとされているとおり、1,920×1,080ドットなら本機も60fpsを満たしている。
Shadow of the Tomb Raiderも基本的に同様の傾向で、2,560×1,440ドットなら最大プリセットまで可能、1,920×1,080ドットならかなり余裕をもったフレームレートでプレイ可能だ。
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークはかなり重めだが、2,560×1,440ドットなら高品質でも快適評価が得られており、1,920×1,080ドットならさらにフレームレートに余裕を持たせることができた。
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマークとWorld of Tanks enCoreは一般的なPCとの比較の意味で提示しているが、このくらい軽いタイトルではスコアもインフレを起こしている印象だ。
最後にストレージのテストとしてCrystalDiskMarkの結果を紹介しよう。
Cドライブ | Dドライブ | |
---|---|---|
Sequential Read(Q32T1) | 3,157.300MB/s | 204.750MB/s |
Sequential Write(Q32T1) | 1,266.341MB/s | 200.672MB/s |
Random Read 4K(Q8T8) | 812.758MB/s | 1.611MB/s |
Random Write 4K(Q8T8) | 788.390MB/s | 1.386MB/s |
Random Read 4K(Q32T1) | 645.035MB/s | 1.624MB/s |
Random Write 4K(Q32T1) | 371.560MB/s | 1.238MB/s |
Random Read 4K(Q1T1) | 73.146MB/s | 0.669MB/s |
Random Write 4K(Q1T1) | 157.608MB/s | 1.317MB/s |
まずNVMe対応のCドライブはライト側こそ1.2GB/s台だが、リード側は3GB/sを超えて、現在の最速クラスに迫るものが見られた。また、4K Q1T1もリード73MB/s、ライト157MB/sなので十分に速い。普段の操作ではシーケンシャルよりも4K側の体感のほうが効くこともあり、実用での速度はかなり快適と言える。
DドライブのHDDは、SATA HDDなりの速度と言えるが、シーケンシャルならリード/ライトともに200MB/sを超えて、HDDのなかでも速度は十分なクラスと言える。このあたりはCPU性能がさらに向上したことも効いているだろう。
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このように2,560×1,440ドットであれば最新タイトルの高画質もかなり快適に、1,920×1,080ドットならとくに重いシーンを迎えてもフレームレートに余裕があり全編を通じて不安がない。その上で、先に紹介したとおりDLSSやDXRリアルタイムレイトレーシングのような次世代グラフィック技術にふれることができる。
今、1,920×1,080ドットディスプレイを利用しているならばなんら不満のない、つねに快適なゲームプレイができ、1つ上の2,560×1,440ドットディスプレイにステップアップすることも視野に入る。3,840×2,160ドットならよりピクセル/インチは精細になるものの、GPU的には画質を引き下げる必要が生じる。ここをどう捉えるかが決め手だろう。
筆者の視点としては、Turing第1世代はさすがに高価すぎて気軽に買えるものではないと思っている。それにCPUも現在の品不足やプロセス・ルールの移行が2019年後半から2020年初頭と予想すれば、3,840×2,160ドットへの移行はそこまで待ち、それまでの2年、本機の構成で2,560×1,440ドット、1,920×1,080ドットを味わい尽くすのがコストパフォーマンス的には最適なのだろうという印象だ。