Hothotレビュー
低価格ながら快適さを追求したユニットコム製15.6型ノート「STYLE-15FH038-i3-HMES」
2018年4月23日 12:00
ユニットコムは、iiyamaブランドのメインストリームノートPC「iiyama STYLE∞ N-Class H」シリーズの新モデル「STYLE-15FH038-i3-HMES」を発売した。
STYLE∞ N-Class Hシリーズは、快適さを追求した15.6型液晶搭載のメインストリームノートシリーズで、STYLE-15FH038-i3-HMESは、税別79,980円からという低価格ながら、標準でSSDを搭載するなど、コストパフォーマンスに優れる点が特徴となっている。
シンプルで落ち着いたデザイン
ではまず、STYLE-15FH038-i3-HMESのデザインから見ていくことにしよう。
低価格のメインストリームノートでは、コスト的に本体のデザイン性を追求することが難しい場合が多い。STYLE-15FH038-i3-HMESについても同様で、iiyamaブランドのメインストリームノートシリーズで広く採用されている筐体を採用している。素材は樹脂で、金属ボディを採用する製品のほどの高級感は感じられない。
ただ、全体的にシンプルで落ち着いたなデザインのボディは、キーボード面や底面も含めてブラックで統一されており、いかにも低価格PCとわかるチープさはない。天板と液晶下部に“STYLE∞”のロゴが印刷されているが、それも奇抜なものではなく、逆にいいアクセントになっていると感じる。
本体サイズは、379×257×31mm(幅×奥行き×高さ)。特別コンパクトで薄型というわけではないが、メインストリーム向けの15.6型ノートPCとしては標準的なサイズといえる。重量は公称で約2.08kg、実測では2,099gだった。このクラスとしてはまずまず軽い方で、家庭内で持ち運んで利用する場合でもそれほど苦にはならないだろう。
フルHD表示対応の15.6型液晶を採用
ディスプレイには、1,920×1,080ドット表示対応の15.6型液晶を採用。一般的に、低価格のメインストリームノートではHD(1,366×768ドット)液晶を採用する例が多いが、STYLE-15FH038-i3-HMESでは標準でフルHD液晶のため、より多くの情報を一度に表示でき、快適な作業環境を確保できる。とくに動画は解像度を落とさず表示できるため、競合製品に対する優位点となる。
パネルの種類は非公開だが、上下左右に視点を移動させると、色合いや明るさの変化を感じるため、おそらくTNパネルを採用しているものと思われる。このあたりは、コストダウンの影響と考えられる。ただ、ノートPCでは斜めの位置からディスプレイを見る機会はほとんどないため、視野角の狭さが問題となる場面は少ないだろう。
表示品質は、このクラスとして標準的だ。パネル表面が非光沢処理となっているため、発色の鮮やかさはそれほど感じられない。それでも、デジタルカメラで撮影した写真を表示しても自然な色合いが再現されている。また、視野角は狭いが、正面付近から見る限り、色ムラや輝度ムラも感じられない。そのため、このクラスのノートPCのディスプレイとして申し分ない品質を備えていると言っていいだろう。
テンキー付きキーボードを搭載
キーボードは、キーの間隔が開いた、アイソレーションタイプのキーボードを搭載する。15.6型クラスのノートPCでは、テンキーを搭載しない製品も珍しくないが、STYLE-15FH038-i3-HMESではテンキーも備わっている。そのため、数字入力も快適にこなせる。
ただ、テンキー付きキーボードを搭載するには、15.6型ノートの横幅はやや厳しいという印象もある。実際STYLE-15FH038-i3-HMESのキーボードは、主要キーのキーピッチが約18mmと、フルピッチに届いていない。テンキーを搭載せず、フルピッチのキーボードを搭載するという選択肢もあったとは思うが、STYLE-15FH038-i3-HMESではテンキー搭載による利便性を優先したかたちとなっている。
キーピッチがやや狭いため、フルサイズキーボードと比べるとやや窮屈な印象もあるが、このあたりは慣れれば問題なく操作できるだろう。キータッチはやや軽めだが、キーストロークは1.5mmほどあり、クリック感もまずまずしっかりとしている。配列は標準的で、無理な配列となっている部分もなく、タッチタイプも余裕だろう。
ただ、キーボード面の剛性がやや低く、キーボード面全体がしなる。また、テンキーがEnterキーの右側に間隔を置かずに配置されており、Enterキー下部にカーソルキーが配置されている。とくに、カーソルキーの影響で右Shiftキーが小さくなっている点は、扱いにくく感じる。筆者は右Shiftキーを利用することが多いが、そのたびにカーソルキーの上に指がかかることが多く、気になった。個人的には、カーソルキーを1段下に配置するなどの工夫が欲しかった。
ポインティングデバイスには、クリックボタン独立型のタッチパッドを採用する。パッドの面積は十分に広く、ジェスチャー操作にも対応しているので、操作性は申し分ない。また、クリックボタンが独立しているため、しっかりとクリック操作が行なえる。外付けマウスを利用する場合でも、タッチパッドの動作をオフにできるようになっているため、誤動作の心配がない点も嬉しい。
低価格ながら標準でSATA SSDを搭載
搭載CPUは、Core i3-7100Uを採用する。2コア4スレッド処理に対応し、動作クロックは2.40GHzとなる。最新の第8世代Core i3-8130Uは、ターボ・ブースト・テクノロジーに対応し、最大3.40GHzで動作すため、ピーク性能ではじゃっかん劣る部分もあるだろう。
ただ、第8世代Core i3も第7世代Core i3同様に2コア4スレッド処理となっている。そのため、実際の利用時の性能が大きく異なることはないはずだ。もちろん、最新の第8世代Coreプロセッサを搭載していればなおよかったが、メインストリームノートということを考えると、大きな問題ではないだろう。
メインメモリは、DDR4-2133を標準で8GBと、このクラスとしては余裕の量を搭載する。それも4GBモジュールを2枚搭載し、デュアルチャネル動作となっているため、CPUや内蔵GPUの性能を最大限に引き出せる点は嬉しい。
内蔵ストレージは、標準で容量240GBのSATA SSDとDVDスーパーマルチドライブを搭載する。このクラスのPCでは内蔵ストレージにHDDを採用する製品も少なくないが、SSDの採用によってディスクアクセス性能が向上し、体感の性能が大きく高まるため、この点は大いに歓迎できる。実際に、Core i3搭載のメインストリームノートながら、アプリも高速に起動するなど、上位モデルに匹敵する快適度という印象だった。
側面のポート類は、左側面に電源コネクタ、ミニD-Sub15ピン、Gigabit Ethernet、HDMI出力、USB 3.0×1、USB 3.0 USB Type-C×1を、右側面にヘッドフォンジャック、マイクジャック、USB 2.0×2を、正面下部にSDカードスロットをそれぞれ備える。
無線機能は、IEEE 802.11a/b/g/n/ac準拠無線LANとBluetooth 4.2を標準搭載する。無線LANは1×1仕様となるが、11ac接続時には最大433Mbpsの高速通信が可能なので、速度は十分だろう。このほかの機能としては、ディスプレイ上部に100万画素のWebカメラを搭載する。
付属ACアダプタは、出力40Wの小型のものが付属する。モバイルPCではないが、家庭内で本体と一緒にACアダプタも持ち運ぶ場合には便利だろう。なお、ACアダプタの実測の重量は、付属電源ケーブル込みで212.5gだった。
スペック相応の性能が発揮され、大きな不満はない
では、ベンチマークテストの結果を見ていこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 10 v1.0.1457」、「PCMark 8 v2.8.704」、「3DMark Professional Edition v2.4.4264」、Maxonの「CINEBENCH R15.0」、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」の5種類。また、比較用として、LGエレクトロニクス・ジャパンの「LG gram 13Z980-GA56J」の結果も加えてある。
STYLE-15FH038-i3-HMES | LG gram 13Z980-GA56J | |
---|---|---|
CPU | Core i3-7100U(2.40GHz) | Core i5-8250U(1.60/3.40GHz) |
チップセット | ― | ― |
ビデオチップ | Intel HD Graphics 620 | Intel UHD Graphics 620 |
メモリ | DDR4-2133 SDRAM 8GB | DDR4-2400 SDRAM 8GB |
ストレージ | 240GB SSD(SATA) | 256GB SSD(SATA) |
OS | Windows 10 Home 64bit | Windows 10 Home 64bit |
PCMark 10 v1.0.1457 | ||
PCMark 10 Score | 2689 | 3206 |
Essentials | 6421 | 6682 |
App Start-up Score | 7429 | 7435 |
Video Conferencing Score | 6170 | 6500 |
Web Browsing Score | 5776 | 6174 |
Productivity | 4212 | 5584 |
Spreadsheets Score | 5527 | 6656 |
Writing Score | 3210 | 4686 |
Digital Content Creation | 1952 | 2398 |
Photo Editing Score | 2422 | 2902 |
Rendering and Visualization Score | 1291 | 1653 |
Video Editting Score | 2382 | 2878 |
PCMark 8 v2.8.704 | ||
Home Accelarated 3.0 | 2597 | 3165 |
Creative accelarated 3.0 | 2517 | 3289 |
Work accelarated 2.0 | 3830 | 4558 |
Storage | 4891 | 4857 |
CINEBENCH R15.0 | ||
OpenGL (fps) | 44.95 | 44.87 |
CPU | 251 | 531 |
CPU (Single Core) | 93 | 143 |
3DMark Professional Edition v2.4.4264 | ||
Cloud Gate | 5844 | 7310 |
Graphics Score | 8414 | 8108 |
Physics Score | 2825 | 5438 |
Sky Diver | 3849 | 4039 |
Graphics Score | 3797 | 3771 |
Physics Score | 4058 | 6735 |
Combined score | 3957 | 3792 |
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク | ||
1,280×720ドット 標準品質(ノートPC) | 3018 | 3011 |
結果を見ると、さすがに上位CPUを搭載するgram 13Z980-GA56Jの結果と比べると低い。これに関しては、搭載CPUの違いを考えると、スペック相応の結果であり、当然の結果だろう。とは言え、大幅に劣っているわけではなく、コスト重視のメインストリームノートと考えると、十分に満足できるスコアが得られていると言える。実際に使ってみても、アプリの起動や動作に不満を感じる部分はほとんどなく、十分快適に利用できた。
3D描画能力に関しては、さすがに最新3Dゲームをプレイするには物足りない。それでも、カジュアルゲームであれば問題なくプレイできる性能は備えているため、こちらも基本的に問題ないレベルと言える。
続いて、バッテリ駆動時間だ、このクラスのノートPCはモバイル向けではないが、念のため計測してみた。公称の駆動時間は約5.5時間(JEITAバッテリー動作時間測定法 Ver2.0での数字)となっている。れに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」、電源モードを「(バッテリー)より良いバッテリー」、バックライト輝度を50%に設定し、無線LANを有効にした状態で、BBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測したところ、約4時間43分だった。公称の駆動時間には届いていないが、測定条件を考えるとまずまず納得の範囲内。これなら、家庭内で持ち運んで利用する場合でも、ACアダプタはほぼ不要だろう。
コストパフォーマンスに優れるメインノートとして魅力あり
STYLE-15FH038-i3-HMESは、価格が税別79,980円からという低価格なメインストリームノートということで、多くの部分で妥協が必要という印象があるかもしれない。しかし実際には、標準でフルHD表示対応の15.6型液晶や240GBのSATA SSDを採用するなど、仕様面はかなり充実している。全体的にはよくまとまったスペックで、性能面はこのクラスとして十分満足できるものとなっている。
最新3Dゲームのプレイや、高度な動画編集といった作業では厳しい部分もあるが、Webアクセスや動画のストリーミング視聴、Officeなどのビジネスアプリの利用、カジュアルゲームのプレイといった用途であれば、まったく不満なく利用できるだろう。家庭で利用するメインノートとしてはもちろん、文字入力が中心のビジネスマシンとしても、十分活躍してくれるだろう。コストパフォーマンスに優れるメインノートを探している人にお勧めしたい。