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「次のゲーミングPCはノートがいい」と言えるこれだけの理由。ちょい古デスクトップと比べてみた
~MSI「Raider GE67 HX 12Uシリーズ」をレビュー
- 提供:
- エムエスアイコンピュータージャパン株式会社
2022年10月26日 06:30
今、高性能なゲーミングノートPCへの注目度がますます高くなっている。別途ディスプレイも必要なデスクトップPCに比べて、圧倒的に設置スペースが少なくて済むのに加え、性能が大きく向上したことで“できること”が拡大。eスポーツ系ゲームの“ガチ”なプレイにも、AAAタイトルの高画質プレイにも対応でき、写真や動画編集も十分可能、Web会議も快適にこなせるなど、遊び・創作・仕事・学業のどれにも対応できる“汎用力”が強みだ。
そんなハイパワーゲーミングノートPCの代表例として今回紹介するのが、MSIの「Raider GE67 HX 12Uシリーズ」だ。16コア24スレッドの第12世代Coreと、GeForce RTX 3080 Ti Laptop GPUという強力な基本スペックに加え、240Hzと高リフレッシュレート駆動が可能なOLED(有機EL)の15.6型ディスプレイ、高速なストレージ、高い冷却性能、高音質なスピーカーなどなど、全方位でスキのない仕様。“現役最強クラス”のノートPCであることは間違いない。
PCの買い換えサイクルは3~5年くらいと言われており、数年前にゲーミングPCを買ったという方の中には、デスクトップタイプのユーザーが多いかもしれない。当時はまだRaider GE67 HX 12Uのように、薄型・軽量・高性能を実現できたゲーミングノートPCがなかったので、ノートタイプを選ぶメリットを今ほど見いだしにくかったため、当然と言える。
デスクトップPCは非常に部屋の面積を取るし、持ち運びの自由度はないに等しい。今のPCの性能がキツくなってきて、買い換えを検討しているなら、ゲーミングノートPCは有力な選択肢だ。
Raider GE67 HX 12Uは、358×267×25.4mm(幅×奥行き×高さ)で重量は2.38kgと、モバイルノートPCのような軽さではないが、持ち運びが苦になるほどではない。友人とゲームをプレイするために持ち運んだり、LANパーティに参加したり、クリエイティブ系の仕事であればハイスペックPCを撮影スタジオなどの現場に持ち込んで使えるといった、デスクトップPCにはできないメリットを享受できる。
先ほど述べたとおり、PCの買い換えサイクルは3~5年ほどと言われている。そこで今回は、5年前のデスクトップタイプのゲーミングPCを用意し、イマドキのゲーミングノートPCであるRaider GE67 HX 12Uがどれほど性能アップしているのか、どのような特徴を備えているのかを紹介していく。
古いミドルレンジクラスのデスクトップPCを使っていて、最新のマシンに買い換えたい場合、実はノートPCに乗り換えるというのもありなのである。ノートPCでも性能はデスクトップPCに比肩しつつも、最新製品は非常にコンパクトに仕上がっており、設置のしやすさなど、デスクトップPCにないメリットがあるからだ。
5年前のゲーミングPCが置いてけぼりをくらう性能差!
早速だが性能チェックに入ろう。Raider GE67 HX 12Uのスペックは下表の通りだ。製品の特徴について、次のセクション以降で紹介しているので、先に知りたいという方は、目次からそちらに飛んでほしい。
【表】「Raider GE67 HX 12U(GE67HX-12UHS-100JP)」の仕様 | |
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CPU | Core i9-12900HX (Pコア: 2.3GHz~5GHz、Eコア: 1.7GHz~3.6GHz) |
メモリ | DDR5-4800 64GB(32GB×2) |
ストレージ | 1TB NVMe SSD |
GPU | GeForce RTX 3080 Ti Laptop GPU |
液晶 | 15.6型WQHD(2,560×1,440ドット) |
OS | Windows 11 Pro |
インターフェイス | Thunderbolt 4、USB 3.2 Gen 2 Type-C(DisplayPort出力対応)、USB 3.2 Gen 2 Type-A、USB3.2 Gen 1 Type-A×2、HDMI、2.5Gigabit Ethernet、SDカードリーダ、Webカメラ、ステレオスピーカー、音声入出力端子 |
無線 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2 |
本体サイズ | 358×267×25.4mm(幅×奥行き×高さ) |
重量 | 2.38kg |
今回は5年前のミドルレンジクラスのゲーミングデスクトップPCから、ハイエンドゲーミングノートPCへの乗り換えを想定。デスクトップPCには、Core i5-8600KにGeForce GTX 1060というミドルレンジクラスの組み合わせを選んだ。当時としては人気の構成だったので、まだまだ現役で使っている人も少なくないはずだ。ほかに、メモリ16GB×2、SATA SSD 1TB、Windows 11 Pro(22H2)を搭載している。
最初は、CGレンダリングでCPUパワーを見る「Cinebench R23」、PCの基本性能を測定する「PCMark 10」の定番ベンチマークを実行しよう。
Cinebench R23を見るとCPUパワーの差は圧倒的だ。Multi CoreのスコアはRaider GE67 HX 12Uのほうが約3.6倍も高い。Core i9-12900HXは16コア24スレッド、旧世代PCのCore i5-8600Kは6コア6スレッドなので、当然と言える結果ではあるが、それにしても性能差が激しい。
なお、Raider GE67 HX 12Uの22,316ptsというスコアは、デスクトップPC向けの上位CPUであるCore i7-12700K(12コア20スレッド)や、Ryzen 5900X(12コア24スレッド)に匹敵する。ゲームパフォーマンスに影響を与えることが多いシングルスレッド性能も、Core i5-8600Kに対して1.7倍ものスコアを記録している。まさにモンスターノートPCと言ってよいだろう。
PCMark 10はそれほど負荷が高い処理ではないので、Cinebench R23ほどの差はないが、Web会議/Webブラウザ/アプリ起動の「Essentials」、表計算/文書作成の「Productivity」、写真や映像編集の「Digital Content Creation」のすべてで約20%のスコア向上が見られた。一般的な処理でも快適度がアップしているのが分かる。
次は、ゲーミングPCとして重要な3D性能を見ていく。3DMarkからDirectX 11ベースの「Fire Strike」とDirectX 12ベースの「Time Spy」を実行している。
Fire Strikeでは約2.6倍、Time Spyでは約3.1倍ものスコアアップを確認できた。ノートPC向けとは言え、現役最上位の「GeForce RTX 3080 Ti Laptop GPU」と5年前の大ヒットミドルレンジGPU「GeForce GTX 1060」では、これだけ性能に差があるということだ。
では実際のゲームではどうだろうか。今回は軽量級から重量級まで以下の5本をテストした。
- レインボーシックス シージ
- Apex Legends
- GUNDAM EVOLUTION
- エルデンリング
- サイバーパンク2077
レインボーシックス シージのフレームレートは、旧世代に対して約2.5倍と圧倒的性能差があるのに加えて、WQHD(2,560×1,440ドット)の解像度で平均240fps出ている点に注目してほしい。Raider GE67 HX 12Uのリフレッシュレートは最大240Hzなので、それをゲームで生かしきるには240fps以上のフレームレートが必要になる。高いハードルを見事にクリアしているわけだ。
Apex Legendsは平均240fpsには届いていないが、WQHDでも平均151.6fpsと高いフレームレートを実現できている。旧世代PCでは、WQHDだと快適なプレイの目安である60fpsを下回ってしまった。
2022年9月22日にPC版の正式サービスがスタートしたばかりの「GUNDAM EVOLUTION」は、最大120fpsまでのゲーム。それほどグラフィックの負荷が高くないようで、Raider GE67 HX 12Uなら、WQHDでもほぼ平均120fpsに到達。ほとんどのシーンで最高フレームレートの状態でプレイできるのが分かる。
そして「エルデンリング」は最大60fpsのゲーム。Raider GE67 HX 12UはフルHDなら、ほぼ平均60fpsに到達。WQHDでも平均55.3fpsと十分快適にプレイ可能なフレームレートが出ている。
最後は2020年発売ながら、現在でも高画質設定では最重量級の描画負荷と言える「サイバーパンク2077」だ。これはレイトレーシングを使わない最高画質設定と、レイトレーシングと描画負荷を軽減するアップスケーラーのDLSSの両方を有効にした状態の2パターンで測定している。
Raider GE67 HX 12Uは、レイトレーシングを使っても使わなくてもWQHDでプレイできるだけのフレームレートが出ている。美麗なサイバーパンクの世界をWQHDで快適に堪能できるのはすばらしいの一言だ。旧世代PCのGeForce GTX 1060はレイトレーシングやDLSSに対応していない。性能不足に加えて、機能面でも最新世代とは差が出るわけだ。
クリエイティブな作業も試して見よう。ここでは、写真編集アプリのPhotoshopとLightroom Classicを実際に動作させてさまざまな処理を行なう「UL Procyon Photo Editing Benchmark」と、動画編集アプリのPremiere Proを動作させる「UL Procyon Video Editing Benchmark」を実行する。
UL Procyon Photo Editing Benchmarkでは、CPUパワーの差がスコアに現れているが、Lightroom Classicを中心に処理するBatch Processingはメモリの速度差もスコアに影響されやすいため、旧世代PCのDDR4に対して、より高速なDDR5を搭載するRaider GE67 HX 12Uのスコアが特に高くなっている。
UL Procyon Video Editing Benchmarkは、2種類の動画をH.264とH.265のそれぞれにエンコードを行なう。総合スコアでRaider GE67 HX 12Uが8,459と旧世代PCよりも2倍以上のスコアを出している。これだけだと少々分かりにくいので、それぞれの処理時間も掲載しよう。
ほとんどが半分以下の時間で処理が終わっている。ゲームが快適になるだけではなく、画像の処理もエンコードも旧世代PCから乗り換えるだけで大きく短縮できるのが分かる結果だ。
最後にシステム全体の消費電力もチェックしよう。OS起動10分後をアイドル時として、3DMark Time Spy実行時とCinebench R23実行時の最大値も掲載する。電力計にはラトックシステムの「REX-BTWATTCH1」を使用している。
ハイエンド仕様だけあってRaider GE67 HX 12Uのほうが高負荷時の消費電力は大きいが、Time Spyはスコアが約3.1倍も上、Cinebench R23は約3.6倍も上。消費電力は2倍も増えていないので、ワットパフォーマンスを考えると圧勝だ。
ノートPC向けとして現役最高クラスのCPUとGPUを備え、ディスプレイは高リフレッシュレートかつ広色域のOLEDを採用と、文句なしの超ハイエンドゲーミングノートPCと言ってよいだろう。
高性能を実現する「Raider GE67 HX 12U」のCPUとGPU
ここからはRaider GE67 HX 12Uの特徴を紹介していこう。
MSIの「Raider GE67」シリーズは、最高峰のスペックを搭載するゲーミングノートPCとして有名だ。最新モデルもRaider GE67 HX 12Uもまさに“ウルトラハイエンド”と呼べる仕様になっている。まずはCPUとGPUに注目したい。
CPUはIntelのノートPC向け第12世代Coreプロセッサで上位クラスの「Core i9-12900HX」を採用。ゲーミングやエンスージアスト向け「HXシリーズ」ということもあり、16コア(Pコア8基、Eコア8基)24スレッドのメニーコアかつ最大動作クロックは5GHzと、ノートPCとは思えない強烈な仕様だ。コア数が重要になるマルチスレッド処理にも、クロックの高さが求められるシングルスレッドの処理にも強い。
GPUは、NVIDIAのノートPC向けとしては最上位になる「GeForce RTX 3080 Ti Laptop GPU」を搭載。CUDAコアが7,424基、メモリがGDDR6 16GB、メモリバス幅256bitとデスクトップPC版のRTX 3080に匹敵するスペックだ。
しかも、ノートPC向けのGeForceは熱設計などに合わせて、メーカーが消費電力やブーストクロックを変更できるようになっているが、本機のブーストクロックは仕様上の最大値である1,590MHzに設定。GeForce RTX 3080 Ti Laptop GPUの性能を最大限引き出せるようになっている。
ハイエンドなCPUとGPUに組み合わせで問題になるのが電力供給だ。ACアダプタ駆動となるノートPCでは、電力の供給にどうしても限界があり、そのため処理内容に合わせてCPUとGPUの電力供給バランスを調整する技術などが導入されている。
しかし、本機ではCore i9-12900HXを55W(PBP値)とGeForce RTX 3080 Ti Laptop GPUを165W(Dynamic Boost 2.0有効時)、合計220Wで動作させる独自の「MSI OVERBOOST テクノロジー」によって、CPUとGPUの両方のパフォーマンスを最大限引き出せるようになっている。ハイスペックを余すことなく使えるのは、Raider GE67 HX 12Uの大きな特徴と言えるだろう。
ディスプレイはWQHD/240HzでDisplayHDR 600 True Black認証
高リフレッシュレートのディスプレイは、FPSやTPSをメインにプレイするゲーマーにとって必須アイテムと呼べるもの。その点も本機は抜かりない。Raider GE67 HX 12Uは、WQHD(2,560×1,440ドット)の高解像度かつ240Hzという高リフレッシュレート仕様だ。
一般的なディスプレイのリフレッシュレートは60Hz、つまり1秒に60コマの描画だが、240Hzなら240コマと実に4倍も描画できる。WQHDの高解像度と合わせれば、わずかな隙間を移動する敵や、遠くにいる敵のちょっとした動きを把握しやすくなり、ゲームを優位に進められる可能性が高くなる。
また、高リフレッシュレートはマウスカーソルの動きやWebブラウザのスクロールも画面の表示が滑らかになるので、一般的な用途でも快適度はアップする。
それに加えて、パネルはOLED(有機EL)を採用。OLEDはバックライトで光らせる液晶とは異なり、素子自体が発光する仕組みなので完全な黒を作り出せるのが最大の強み。そのため、映画撮影に用いられている色空間「DCI-P3」相当の幅広い色域と100万:1の高コントラストを実現している。
実際にキャリブレータ(i1Display Studio)で色域を測定したところ、DCI-P3カバー率は99.3%、DCI-P3比で101.2%。sRGBカバー率99.9%、sRGB比で137.3%と確かにDCI-P3相当の広色域を確認できた。
さらに、ダイナミックな明るさと繊細な暗部の表現が求められるDisplayHDR 600 True Black認証も取得しており、HDRコンテンツも存分に楽しめる。DisplayHDR 600 True Black認証を取得している単体ディスプレイはほとんどなく、これは大きな強みと言ってよいだろう。
両側面にはデンマークのハイエンドオーディオメーカー「DYNAUDIO」とコラボしたスピーカーを配置。パッシブラジエータを内蔵したウーファも備えており、ノートPCとしてはステレオ感と迫力のある音を楽しめる。OLEDと合わせて、映像コンテンツをじっくり視聴したくなる環境が整っている。
キーボードはゲーミングデバイスで有名なSteelSeriesとコラボ
ディスプレイ上部にはWebカメラ、マイクを搭載。Web会議にもすぐ対応できる。インターフェイスは左側面にUSB 3.2 Gen 2、USB 3.2 Gen 2 Type-C(映像出力対応)、ヘッドセット端子、右側面にUSB 3.2 Gen 1 Type-A×2、SDカードスロット、背面にThunderbolt 4、HDMI出力、2.5Gigabit Ethernetを備えている。
全部で3系統の映像出力を備え、3画面同時出力できる「Matrix Display」に対応しているのもポイントだ。ワイヤレス機能は、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2をサポートしている。
キーボードには、「SteelSeries Per-Key RGB」を採用。日本語配列を採用し、テンキーレスということもあって、ほとんどのキーが正方形で、入力しやすい環境が整っている。
FPSや音ゲーをいくつかプレイしたが、SteelSeriesはゲーミングデバイスメーカーとして定評があるだけに、キーを押したあとの戻りもよく非常に快適だった。高耐久設計ということもあり、激しいプレイでも安心と言える。RGBバックライトも内蔵されており、専用アプリやキーボードのショートカットで発光色や発光パターンのコントロール可能だ。
AIにお任せで最適なパフォーマンスに
本機は総合ユーティリティの「MSI Center」で、動作状況をチェックしたり、パフォーマンスを調整したりすることができる。しかも、Raider GE67 HX 12Uでは「Smart Auto」というAIが状況合わせて、最適なパフォーマンスを設定してくれる動作モードを用意している。
たとえばゲームを起動すると、それを感知してパフォーマンスを重視するGaming Modeに自動で切り換えてくれる。ハードウェアに詳しくなくても、ユーザーがあれこれ悩む必要がないのは非常にありがたい。