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遠く離れた実家でPCトラブル発生!そんなときは「クイック アシスト」を使って救え

 離れた所に住んでいる親や友人から「PCで○○する方法が分からないから教えて」とか、「何もしていないのに壊れた」みたいな相談を受けたことがある人は少なくないだろう。

 とりあえず電話口でアドバイスしてみたものの、とんでもなく手間がかかり、口頭の説明では要領を得ないので現地に出向いて直接サポートすることになった、なんてパターンもあるかもしれない。

 そうしたときに導入するとお互いハッピーになりそうなのが、遠隔からWindowsの操作方法をサポートできる「クイック アシスト」という機能。今回はこのクイック アシストでどんなことができるのか、詳しく解説していきたい。

遠隔サポートを始めるための準備

 Windows 11の「クイック アシスト」は、サポートする側のPCと、サポートされる側のPCとの間で、1対1のリアルタイム遠隔サポートを可能にするMicrosoft純正の機能。Windows 10以降で利用できる。

 最初からアプリがインストールされている場合もあるが、スタートメニューから検索しても見つからない場合はMicrosoft Storeからインストールするとすぐに使えるようになる。もちろん互いにインターネットに接続した状態であることは必須条件だ。

クイックアシストの起動と入手方法
スタートメニューで「クイック アシスト」と入力して起動
検索しても見つからないときはMicrosoft Storeからダウンロードしよう

 機能は大きく分けて2つあり、1つはサポートする側から画面を通じて指示を出し、サポートされる側がそれに従って操作して問題解決できるようにする機能。もう1つはサポートする側がサポートされる側のPC画面を遠隔操作する、いわばリモートデスクトップ的な機能だ。

 前者は、あくまでもサポートされる側が自分でPCを操作するため、さほど難易度の高くない操作をするときや、学習意欲の高いユーザーに向けた支援機能となる。後者は、高いスキルを要求されるような作業が必要なとき、あるいは画面上に表示する指示では対応が難しいときなどに使う、ある意味最終手段的な機能と言える。

 遠隔サポートを開始するまでの手順は下記の通りだ。

1. 互いのPCにクイック アシストをインストールして、双方でアプリを起動する
2. サポートする側が「一覧にないユーザーを助ける」をクリック(Microsoftアカウントでのログインが必要になることがある)
3. 画面表示されたコードをサポートされる側に別途メッセージツールや電話などで伝える
4. サポートされる側がコードを画面に入力し「送信」
5. 確認画面で「許可」ボタンをクリック
6. サポートする側に、サポートされる側のデスクトップが表示される

 遠隔サポートが開始されると、サポートされる側のデスクトップが、サポートする側の画面にそのまま表示される。画面表示したものも、操作した内容も全て丸見えになってしまうので、サポートされる側は、クイック アシストを信頼のおける相手だけと使用するようにしておきたい。

実際に遠隔サポートをしてみる

 遠隔サポートの開始後は、先ほど説明した通り、画面に指示を出す機能と遠隔操作機能の2つが利用できる。まずは前者の画面に指示を出す機能について紹介しよう。

画面に指示を出す機能

 指示を出す具体的な方法としては、「レーザーポインター」「注釈」「(テキスト)チャット」の3種類がある。1つ目の「レーザーポインター」がどういうものかというと、サポートする側に表示されているサポート相手のデスクトップ画面上でマウスを動かすと、尾を引くようにしてその軌跡を表示する機能だ。

指示を出すための3つの機能

 軌跡はすぐに消えてしまうが、クリックしながら動かした部分の軌跡は数秒間表示して、その後消えるという動作になる。ポインターの色は白、黒、赤など6色から選択でき、指示箇所の背景色に合わせて見やすいものに切り替えられる。相手に注目してほしい箇所やクリックする場所、操作の流れなどを簡便に伝えたいときに使えるだろう。

レーザーポインター
レーザーポインターはマウスを動かすとその軌跡を表示する
ドラッグしながら動かすと数秒間だけ軌跡が残る

 「注釈」はデスクトップ画面上にマーカーで落書きできる機能となる。レーザーポインターに近い機能にも思えるが、こちらは一度画面上に描画すると消しゴムツールをクリックするまで残り続けるという点で異なる。色を6色から選べるほか、マーカーの太さを切り替えることもできる。操作する箇所を指し示すのに使えるほか、文字を手書きして指示するのもいいだろう。

注釈
注釈は消しゴムツールをクリックして消すまで画面に残り続ける
詳しい指示を書き込んだり、手書き文字で操作を教えたりするのに適している

 最後の「チャット」は、その名の通りテキストメッセージでチャットアプリ風に相互にやり取りできる機能。具体的な操作対象を文字で教えるときや、入力してほしい文字を伝えたいとき、補足説明を加えたいときなどに便利だ。レーザーポインターや注釈の機能とは同時に使えないので注意しよう。

 チャットは、サポートされる側がPCに不慣れでテキスト入力がおぼつかないようだとスムーズな会話にならない可能性もある。その場合はサポートする側から伝えることをメインにしたい。

チャット
サポートする側は相手デスクトップ画面の右側にチャット欄が表示
サポートされる側は好きな場所にチャットウィンドウを移動可能

 なお、レーザーポインターと注釈の2つは、あくまでもサポートされる側の画面上にオーバーレイ表示するような形で見えるだけなので、サポートされる側のWindowsの動作には影響を与えない。サポートされる側のユーザー自身が実際にWindowsの操作を行なって問題解決を図れるようにするもの、というわけだ。

遠隔操作機能

 そして、もう1つの遠隔操作機能は、サポートする側から「制御の要求」をした後、サポートされる側で承認してから利用開始となる。機能の中身は一般的なリモートデスクトップを同じと考えてよい。マウスやキーボードでサポート相手のデスクトップ画面に直接触れることができるので、操作手順を実演したり、迅速に問題解決を図ったりするのに向いている。

遠隔操作機能
サポートする側が「制御の要求」ボタンをクリック
サポートされる側が「許可」をクリックして遠隔操作開始となる
マウスやキーボードで相手側のデスクトップ操作がフルに行なえるように

 サポートする側としては、相手やその時の状況に合わせて、指示を出すだけにするか、遠隔操作をするかを判断しながら使い分けるとよいだろう。

電話やビデオチャットの併用も有効

 クイック アシストは遠隔からWindowsの操作を指示したり、直接操作したりするだけの、比較的シンプルな機能だけで構成されたアプリだ。ただシンプルなだけに、相手のスキルレベルによってはこれらの機能だけだと100%意図を伝えにくい場合もある。

 そういったときにはスマホで通話しながら、あるいはビデオ会議ツールで互いの様子を映像で送り合ったりしながらクイック アシストを利用するのもおすすめだ。

 たとえば問題解決にあたっては画面上での操作に留まらないこともある。キーボードのどのキーを押すのか具体的に示したいときもあるだろうし、外部機器をPCのどのポートに接続するのか指示が必要になるときもあるだろう。それらを口頭や映像でも確認しながら進められれば、より円滑な遠隔サポートにつながるはずだ。

「PrintScreenキーってどれ?」などと尋ねられたときにも、ビデオチャットしていれば説明しやすい

 重ねて言うが、遠隔制御を有効にするとほとんど自由にWindowsを操作できるようになるツールでもあるので、サポートされる側は、素性のよく分からない相手とは使わないようにしっかり自衛したい。サポートする体を装ってマルウェアをインストールするような事例もあるようだ。

 とはいえ、身内や気心の知れた人同士であれば、これほど気軽に使い始められて役に立つサポート機能はなかなかない。現地作業になってしまいそうなときには、まずはクイック アシストで解決できないか試してみてほしい。