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「Windows+V」から始める快適クリップボード生活
2024年8月23日 06:23
Windowsでは「Ctrl+C」と「Ctrl+V」のショートカットキーでクリップボードのコピー&ペースト機能を利用できることがよく知られている。Windows 10以降は、さらにWindowsキーを使った「Windows+V」でクリップボードの履歴を表示する機能も加わった。
「Windows+V」を使いこなすことができれば、これまで以上にPC作業の効率アップを図れること間違いなし。今回は「Windows+V」の使い方に加えて、それを軸にしたちょっと便利なテクニックを紹介していきたい。
(1) 「Windows+V」でできることとは?
(2) クリップボード履歴の具体的な活用例
(3) スクリーンショットをすばやく貼付、SNS投稿も
(4) バッチファイルを組み合わせた応用テクニック
(5) クリップボード周りの進化に対応してどんどん効率化していこう
「Windows+V」でできることとは?
Windows 10から加わった「Windows+V」というショートカットキーは、押してみると分かるように、過去にクリップボードにコピーした内容を一覧表示し、再利用できるようにするものだ。もし押しても何も表示されないようなら、設定画面の「システム」→「クリップボード」で、「クリップボードの履歴」をオンにしてから試してみてほしい。
ウィンドウがサイズ固定のため一覧性はさほど高くないものの、ポップアップにはクリップボードにコピーしたことのある内容の履歴がリスト表示される。ここからマウス操作やキーボード操作で、項目の選択とクリップボードへのコピーおよび貼付(現在の編集画面への挿入)ができるのだ。
履歴に残るのはクリップボードにコピーしたテキストや画像などで、最大保持件数は25件(後述のピン留めしたものを除く)。Word、Excel、PowerPointの書式付きテキストや図形などをコピーしたときも正しく記録され、再貼付できるようにもなっている。ただし履歴の一覧上は書式付きテキストと書式なしテキストの区別は付かない。
ここで注意しておきたいのは、Windowsを再起動するとクリップボードの履歴もクリアされてしまうこと。それだと困るなら、項目を個別に「ピン留め」するのをおすすめしたい。ピン留めしたものは再起動後も履歴に残り続けるので、普段からよく使う文言や、忘れがちなメモなどを設定しておくと良さそうだ。
クリップボード履歴の具体的な活用例
では、このクリップボードの履歴機能は、具体的にはどんな活用の仕方が考えられるだろうか。
たとえば文書編集が伴う業務では、日常的に似たような文言を使い回すことがよくあるもの。経費精算のような作業でも、同じ支払い先や科目などをコピペしたくなるときが度々あるはずだ。Webサービスのアカウントに使っているメールアドレスも、ログインのたびに入力するのが手間に感じやすかったりする。
Windows 10より前だと、頻繁に使う文言をコピーしていても、間に一度別の文言をコピーしてしまうと、そこでおしまい。過去の文言を再利用したくなったときは改めてその文言を見つけてコピーしなければならなかった。なので、何度も使いそうな文言はドキュメントの脇に残しておき、必要になったらコピーし直す、みたいなやり方をしてきた人もいるのでは?
でも「Windows+V」のクリップボードの履歴機能を使えば、そうした非効率な作業は不要になる。テキスト入力だけでなく、パワポのスライドや画像を編集する時も、繰り返し使いたくなる画像パーツなどをコピーしておけば、履歴から貼り付けることで作業スピードの大幅アップが期待できそうだ。
なお、クリップボードの履歴一覧のポップアップでは、ほかに絵文字や顔文字、特殊記号などを簡単に入力できるようにもなっている。これらは選択してもクリップボードにはコピーされず(履歴にも残らない)、単純に現在の編集画面に挿入されるだけなので、キーボード入力の補助的な機能と考えて利用すると良いだろう。
スクリーンショットをすばやく貼付、SNS投稿も
クリップボードの履歴には画像も記録されることを説明したが、この仕組みを考慮することでさらに便利になりそうなのが「PrintScreen」キーだ。
PrintScreenはご存じの通り、デスクトップのスクリーンショットをクリップボードにコピーするためのキー。Windows 11ではSnipping Toolが起動し、画面全体、アクティブウィンドウ、選択領域のいずれかを選んでコピーでき、それと同時に画像ファイルとしても保存してくれる。
関連して、一発で画面全体をコピー&保存する「Windows+PrintScreen」や、同様にアクティブウィンドウを対象にした「Windows+Alt+PrintScreen」というショートカットキーもある。これらはプライベートだとゲームや動画のとっておきシーンを切り取ったり、仕事だと社内システムのマニュアルを作ったりなど、わりと頻繁に活用するのではないだろうか。
そんなときに「Windows+V」もぜひ併用したい。連続的にクリップボードにコピーしたスクリーンショットも、クリップボードの履歴にすべて残るので容易にさかのぼって好きなシーンの画像を貼り付けられる。いちいちファイル保存されたフォルダにアクセスしなくても、キーボード操作だけでスクショ一覧として参照しながらコピペできるのだ。
順序よくスクリーンショットを差し込んでいきたい手順書を作成するときにも役立ってくれるし、Gmail(Web版)だと「Windows+V」(Ctrl+V)からの貼り付け操作でファイル添付できたりもする(HTMLモードでは本文に画像挿入される)。スクリーンショットを使って相手に何かを伝えたいときも簡単だ。
さらにXやFacebookなどのSNSでも、現在は「Windows+V」(Ctrl+V)から投稿欄に画像貼付が可能。ファイルをドラッグ&ドロップするような手間すらかけずに、画像付きでの投稿がすばやく行なえるのである。
ただし、挙動面では少し気になるところもある。少なくとも筆者の環境では、画像をクリップボードにコピーしても時々履歴に追加されなかったり、過去のクリップボード履歴が(最大件数に達していないにも関わらず)勝手にクリアされたりなど、動作が不安定なときもあった。
「Windowsキー+PrintScreen」の利用時に発生しやすいように感じられたが、このあたりは常駐ソフトなどが影響している可能性も考えられる。最初のうちは注意しつつ作業したい。
バッチファイルを組み合わせた応用テクニック
さらに一歩進んだ応用も考えてみよう。たとえば現在の日付や時刻を特定の書式で文書内に挿入したいとき、「Windows+V」のクリップボード履歴が活用できないだろうか。
日付だけであれば、最初に一度手入力したものをコピーしておけば日が変わるまでは簡単に再利用できる。が、現在時刻となると面倒だ。クリップボードの履歴には静的なテキストや画像が残るだけなので、現在時刻のように逐一変化するものを貼り付けていくのには向かない。
そこで少し凝ったテクニックとして提案したいのが、バッチファイルを組み合わせた方法。現在時刻をクリップボードにコピーするコマンドが含まれるバッチファイルを作成し、それを簡便に実行することで、最後に「Windows+V」で貼付できるようにするのだ。設定の手順は下記の通り。
【手順1】 以下の内容を「dt.bat」などのファイル名で作成し、ユーザーフォルダ直下(C:¥Users¥ユーザー名¥)に保存する
@echo off
set /p dt="%date:~0,4%年%date:~5,2%月%date:~8,2%日 %time:~0,2%時%time:~3,2%分%time:~6,2%秒"
【手順3】日時がクリップボードにコピーされるので「Ctrl+V」や「Windows+V」で貼付
これをベースにして日時の表記方法をカスタマイズしてもいいし、異なる表記パターンを複数のバッチファイルに保存して、用途に合わせて使い分けるのもアリだろう。コマンド実行の手間はどうしてもかかってしまうが、バッチファイルの名前をできるだけ短くすることで最小限のタイムロスに抑えられる。
日時のコピー&ペーストは最も分かりやすい例だが、それ以外にも使い道はありそうだ。たとえば日々の業務でほかのメンバーと共有しながら頻繁に更新しているファイルの中身を確認したいときはどうだろうか。
そういった特定のファイルにいちいちアクセスしに行って参照するのではなく、ファイルの中身を読み取ってクリップボードにコピーし、手元の文書に挿入できるようにする。そんな仕組みを作り上げるのもおもしろいのでは?
この場合のコマンドの書式は(テキストデータの場合は)シンプルで、下記の通り。これを先ほどと同じようにユーザーフォルダ内にバッチファイルとして保存し、実行するようにすれば、データファイルの内容がそのままクリップボードにコピーされ、貼り付けられるようになる。
@echo off
type data.txt | clip
※data.txtは読み込みたいファイルのパスに書き換える
クリップボード周りの進化に対応してどんどん効率化していこう
Windowsに限ったことではないが、PCを使っていく上ではクリップボードの活用は不可欠。そのコピー&ペースト操作をOS標準の機能で支援してくれる「Windows+V」をうまく使いこなすことで、作業効率は今よりずっと高まるはずだ。
SNSで直接クリップボードから画像貼付できることも紹介したが、Webブラウザ(Webサービス)におけるクリップボード周りの扱いもどんどん改善・進化している。生産性高く仕事していこうとしたとき、「Windows+V」のような便利な機能をいかに活用するかは、今後さらに重要なポイントになってくるかもしれない。