イベントレポート
【nano tech 2013レポート】
レアメタル・レアアースの削減技術に注目が集まる
(2013/2/4 12:48)
「nano tech 2013」は、ナノテクノロジーに関する総合展示会/技術会議であり、今回で12回目の開催となる。ナノテクノロジー専門の展示会としては、世界最大の規模を誇る。ナノテクノロジーとは、ナノメートル(1mの10億分の1)オーダーで物質を制御する技術の総称であり、さまざまな分野での応用が期待されている。nanot tech 2013では、ナノテクノロジーを利用した電子デバイスや研究開発、超微細加工のための機器や計測器など、さまざまな展示が行なわれていたが、ここではその中から、読者の関心が高いと思われるIT関連の話題を取り上げる。
CNT複合材料は高性能ヒートシンクやTIMの材料として有望
毎回、nano techで最大のブース規模を誇るのが、NEDOのブースである。NEDOは、新エネルギー・産業技術総合開発機構の略で、エネルギーや地球環境問題の解決および産業技術の競争力強化を目指すために作られた独立行政法人である。
今回のNEDOブースの大きなテーマが「レアメタル・レアアースの代替材料の開発や削減技術」であった。レアメタルやレアアースは、産業にとって欠かせない材料であるが、供給が不安定になる可能性もあり、削減技術の開発が求められている。例えば、レアアースの1つであるジスプロシウムは、高性能磁石ネオジム磁石の保磁力を高めるために使われているが、代替材料の開発により、削減目標の40%減を達成したという。
CNT(カーボンナノチューブ)に関する展示も多かった。CNTは、カーボンの1原子厚の薄膜であるグラフェンを筒状に巻いたような構造をしており、その巻き方によって単層と多層に大別でき、構造によってさまざまな特性が変わるため、半導体の材料としても期待されている。従来のDIPS法(直噴熱分解合成)を改良したeDIPS法のさらなる改良により、より欠陥が少ない単層CNTの製造が可能になり、直径や形状の制御もできるようになったという。また、CNTをゴムや金属と複合させることで、両者の長所を併せ持つ新材料を作ることができる。
例えば、CNTとCF、ゴムを複合させたCNT/CF(カーボンファイバー)/ゴム複合材料は、軽さと柔らかさを持ちながら、鉄並みの熱伝導率を実現しており、CPUダイとヒートスプレッダなどの間で熱を伝えるTIMや放熱シートとして有望である。CNTとアルミを複合した材料は、純アルミの約4倍の熱伝導率を実現し、伝熱方向も制御可能なので高性能ヒートシンクに最適だ。
スライドリング・マテリアルと呼ばれる新規高分子材料を用いた、低電圧で駆動する高分子誘電アクチュエータの展示も興味深かった。出力はそれほど大きくはないが、材料そのものが柔らかく、駆動音がしないという利点があるため、筋電義手や床ずれ防止マット、電動歯ブラシなどへの応用が期待される。
そのほか、発光効率や寿命が長い照明用有機ELや全印刷プロセスで作る有機TFTアレイなどの展示にも注目が集まっていた。数年前から有機ELを照明に使おうという提案がなされているが、発光効率や生産性が向上してきたこともあり、近いうちに製品化されそうだ。
また、リチウムポリマー二次電池の正極材料として、新たな有機硫黄ポリマーが提案されていた。この有機硫黄ポリマーは、硫黄系材料と多電子反応の有機正極系材料を利用していることが特徴であり、反応に数個の電子が寄与するため、従来の2~5倍の高容量化が可能だという。あくまで研究開発段階だが、今回のnano techでは、こうしたリチウムイオン/リチウムポリマー二次電池の高容量化に関する展示が多く、高容量化へのニーズはやはり大きいという印象を受けた。
ハイブリッドHDDや高性能透明導電フィルムなどを展示していた東芝
東芝は、ナノテクノロジーに力を入れており、毎年nano techに出展を行なっている。東芝は、NAND型フラッシュメモリ分野で世界2位のシェアを誇るが、nano tech 2013のブースにも、最新の19nmプロセスで製造されるNAND型フラッシュのウェハが展示されていた。
このフラッシュメモリは、1セルあたり3bitの情報を記録するTLC NANDであり、1チップで128Gbitの容量を実現する。なお、説明員によれば、TLCフラッシュメモリは、1セルあたり2bitの情報を記録するMLCフラッシュメモリに比べて、書き換え可能回数などのスペックが劣るため、当面はSSDに採用する予定はなく、USBメモリやSDカードに採用されているとのことだ。さらに、ダイを積層する多段パッケージ技術により、64Gbitチップを16段積層することで、1パッケージで128GBの大容量を実現可能だ。
また、NAND型フラッシュメモリの利用例として、HDDとフラッシュメモリを組み合わせたハイブリッドHDDの展示やデモも行なっていた。SSD搭載ノートPCとハイブリッドHDD搭載ノートPC、通常のHDD搭載ノートPCで、Windows 7の起動やアプリケーション起動時間を比較していたが、ハイブリッドHDDはSSDに迫る性能を発揮していた。展示されていたハイブリッドHDDの最新モデル「MQ01ABD100H」は、1TB HDD+8GB SLCフラッシュメモリという構成になっている。
HDDの記録密度を高めるためには、記録媒体、再生ヘッド、記録ヘッドの3つが高密度記録に対応する必要がある。東芝は、1平方インチあたり5Tbitという、現行の記録密度の6~7倍の記録密度に対応可能な新しい構造の再生ヘッドに関する展示を行なっていた。東芝が開発した再生ヘッドは、現行のTMRヘッドの進化形であり、絶縁体にナノメートルスケールのコンタクト部を設けたことが特徴だ。コンタクト部を設けることで、MR比(磁気抵抗比)が高くなり、より感度が高くなる。
グラフェン(炭素原子でできた原子1個分の厚さの膜)複合透明導電フィルムに関する展示も興味深かった。透明導電フィルムは、タッチパネルや液晶ディスプレイ、太陽電池などに使われており、現在はITOと呼ばれる素材が主流である。ITOにはレアメタルの1つであるインジウムが含まれており、その代替材料に注目が集まっている。グラフェンは、安定かつ平坦なことが利点だが、比較的抵抗が高いことが欠点である。そのグラフェンの上に低抵抗だが、不安定な銀ナノワイヤを積層してポリマーで支持することによって、両者の長所を併せ持った高性能な透明導電フィルムを実現している。
東芝は、以前からSCiBと呼ばれる独自リチウムイオン電池の開発を行なっており、ブースではSCiBの実用例として、スズキの新型ワゴンR FXリミテッドと2012年11月に販売が開始された定置式家庭用蓄電システム「エネグーン」が展示されていた。新型ワゴンR FXリミテッドには、ブレーキ回生システム「ENE-CHARGE」が搭載されているが、ブレーキで発生するエネルギーを蓄えるためにSCiBが使われているのだ。
OLED(有機EL)とLEDを組み合わせた、次世代照明に関する展示にも注目が集まっていた。OLEDとLEDを利用したペンダント型照明が展示されており、両者を使い分けることで、暮らしのシーンにあわせたあかり空間を提供できるという。展示されていたOLEDは、発光効率が91lm/Wと高いが、色温度が3,000Kと低めで、光がかなり赤っぽく感じられる。日本を含むアジア圏ではもっと色温度の高い照明が好まれるが、色温度を高くしようとすると、発光効率が下がってしまうとのことだ。また、青色レーザーダイオードを利用した照明のデモも行なわれていた。これは、青色レーザーダイオードの光を光ファイバーで発光部まで運び、発光部の蛍光体に当てることで白色光を得るというものだ。
そのほか、室内光でも発電効率が高い有機薄膜太陽電池やレアメタルであるジスプロシウムを使わずに、ほぼ同等の磁力を実現したモーター用磁石に関する展示も行なわれていた。
産総研が有機薄膜太陽電池やハンディ燃料電池システムなどを展示
産総研(産業技術総合研究所)のブースでも、フレキシブルな有機薄膜太陽電池をより低コストで製造する方法や、熱を電気に変換するフレキシブル熱電材料など、さまざまなナノテクノロジー関連の展示が行なわれていた。
PCやスマートフォンに関係の深いテーマとしては、高容量で低コストなリチウムイオン二次電池や全固体型薄膜リチウム空気電池に関する研究が挙げられる。カセットコンロなどで使われるLPGカセットボンベを燃料として用いる、ハンディ燃料電池システムにも注目が集まっていた。このハンディ燃料電池システムは、その名の通り、片手で持ち運べるサイズと重量を実現しており、LPGカセットボンベ1本で約24時間の発電が可能だ(出力50W仕様の場合)。従来のガソリン発電機に比べてコンパクトで静かなため、災害時や屋外での電源として期待される。
また、CNTを利用したアクチュエータも興味深かった。従来の誘電アクチュエータは、動作に高電圧が必要であったが、ナノカーボンソフトアクチュエータは、数Vという低電圧で動作が可能である。CNT関連の話題としては、CNTトランジスタの印刷形成技術に関する展示もあった。製造工程の改良により、出力電流のバラツキが抑制され、キャリア移動度が従来の40倍に向上したという。
帝人は各種ナノファイバーやSiインクなどを展示
帝人ブースでは、帝人が得意とする各種ナノファイバーに関する展示が行なわれていた。ナノフロントは、超極細繊維により、高い遮熱性を実現した生地である。一般的なUVカット加工生地との遮熱性比較を行なっていたが、7.3℃もナノフロントの方が温度が低くなっており、日傘や帽子などに最適であろう。また、カーボンナノファイバーや、カーボンナノファイバーを電極として利用したコイン電池の試作品も展示されていた。そのほか、プリンタブルエレクトロニクス用材料として開発中のSiインクや、Siインクを利用して作られたTFTなどの展示も行なわれていた。
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