イベントレポート

iLounge Pavilion / Lightningコネクタ編

~充電関連は今四半期? 2013年中盤以降に機能的な製品が増加の見込み

会期:1月8日~11日(現地時間)

会場:Las Vegas Convention Center/The Venetian/Pallazo

 大変長くお待たせしてしまったが、Intennational CESのiLounge Pavilionに展示されていた、Lightningコネクタを対象とした周辺機器の数々を写真を中心に紹介していこう。iLounge PavilionはもっともLightning関連機器を目にする企画展示エリアであることは間違いないが、企業によってはiLounge Pavilion以外の他のホールや会場に独自のブースを構えている場合もある。今回はLightningコネクタという括りで、便宜上これらもまとめて掲載させてもらう。Lightnigコネクタをとりまく状況については、同時のコラムにも一緒に目を通していただけると幸いである。

iPhone 5対応パワージャケットの数々

 2012年12月から順次流通が始まったLightning - USBケーブルのサードパーティ製正規ライセンス品に続いてLightningアクセサリ市場に投入されるのは、iPhone向けのパワージャケットのカテゴリになると思われる。一般的にはiPhoneなどスマートフォンを入れるカバーやケースにリチウムイオンあるいはリチウムポリマーなどの充電池を内蔵して、連続通話、待ち受け、操作時間などを延長する製品だ。スマートフォンの中でもiPhoneはバッテリ持続時間の長い製品の1つだが、連続使用時間を延ばすパワージャケットは特に北米では高い人気のある製品群でもある。

iPhone 5ではヘッドフォン/マイク端子が底面に移動したため、パワージャケットからLightningコネクタへの接続に工夫が必要。写真はMyChargeの製品モデル

 基本的な機能はiPhone 4/4Sまでの従来製品と大きく変わらないが、Lightningコネクタの採用に加えて、iPhone 5ではヘッドフォン/マイク端子となる4極端子が底面に移動したことから、各社がそれに対応すべく工夫を加えている。今までは上面にあったので、底面のスピーカーとマイク向けにスリットやホールのみを用意していたが、iPhone 5向けではそれ以外にプラグホールを設ける必要があるからだ。

 さて、これらのパワージャケットの発売時期だが、各ブースで尋ねると面白いことに判で押したように2013年3月頃という答えが返ってくる。ただ、その背景はメーカーの立ち位置で大きく異なり、例えば最大手と目される「Mophie」(日本国内代理店はフォーカルポイント)などは一般向けには製品を見せてはいない。とは言え関連コラムで触れたように、Apple Storeへの納入を中心に、関連製品をほぼ最速で投入してくるのは間違いないところだろう。これらはMFiライセンスを既に取得し、製造ラインまで含めてスケジュールが管理されて、発売時期を明確にアナウンスできるグループに該当する。

 続くのは、すでにAppleとの交渉を終え、MFiライセンスを取得しているグループ。こちらは、中国の旧正月にあたる春節のあとに製造工場による量産が動き出すため「製造・流通にかかる期間を考慮して」という見通しから3月という表現を使っているようだ。そして、もっとも楽観的なのはMFiライセンスについては現時点で未取得、あるいは交渉過程とした上で、1つ前のグループと同じ理由で3月と言っているところ。傍から見れば、これは実に悲観的にも見える見通しだ。

MyChargeの「Freedom1500」と「Freedom2000」。それぞれ1,500mAhと2,000mAhで価格は79.99ドルと99.99ドル。底面にあたる部分を開放し、ジャケットから収納可能なコネクタ付きケーブルを引き出してLightningコネクタに接続する。4極端子部分が開放されるのでヘッドフォンプラグの選択肢は広い
シンガポールに拠点をおくgosh!。展示されていた「PARALLEL for iPhone」は2,500mAh。前述のMyChargeの製品同様に、ケーブルで接続する構造を採用している。ケースは2つのパーツで構成されており、保護ケースだけ、+パワージャケットという使い方ができる
2,500mAhというODOYO INTERNATIONALの「Power+Shell EX」。背面に残量インジケータとキックスタンドがある。4極端子部分はくり抜き仕様で、Apple純正品以外に太めのプラグを持つイヤフォンなどでは接続に工夫が必要になりそうだ。フレームは全4色を予定
CES Unveiledの記事でも紹介したuNu Electronicsの「Endliss Smart Case」。8×16個のLEDと専用アプリケーションを使って背面にさまざまな情報を表示できるというもの。バッテリ容量は1,500mAh。iLounge内にあるブースに赴いたものの、やはり稼働モデルはなく、モックアップのみが展示
国内でもiPhone 4/4S向けに出荷されているiBattzのREMOVABLEシリーズのiPhone 5対応版。充電池をカバー一体ではなく取り外し可能にすることで、パワージャケットに対しても予備バッテリを用意することができる
INCIPIOのパワージャケットも、内部のバッテリが取り外し可能。「offGRID」と各種ケーブルや充電器の付属する「offGRID・PRO PLUS」。同社の日本国内代理店はリンクスインターナショナル
スタンダードなデザインのLENMARの「MERIDIAN」。背面のバッテリインジケータで、4極端子部分はくり抜き仕様。2,200mAhのリチウムポリマーバッテリを搭載。同カテゴリの製品としては珍しく1月末の出荷を目指していると言い、89.99ドルで予約を受付中
JOY Factoryの「Ergos with Stand」。見てのとおり、iPhone 5のスタンドとしても利用でき、FaceTimeなどをハンズフリーで行なうのが容易。側面のバンパーが2重化されるのもポイント。価格は89.99ドル。4極端子部分はくり抜きで、かなりタイトだった
中国企業「INNPU」の製品。容量は1,800mAhと小さめだが、専用のヘッドセット部分をビルトインして収納できるのが特徴。そのためジャケット側には4極端子が付いており、Lightningコネクタと一緒に差し込む。製品カタログにはMFiの記載はあるものの、実際は「取得に向けて交渉中」(取材時)とのこと
OEM向けと思われる深センiPtechの製品
オーストラリアのアクセサリーブランド「CYGNETT」が詳細なしで展示のみを行なっていた製品。CYGNETTは国内ではソフトバンクBBが代理店としていくつかの製品を販売している。
定番ブランドのiHomeによるパワージャケット「ultra slim Power Case」
TenergyのQi対応パワージャケット。iPhone 4/4S用、Galaxy S3用は既存製品で、iPhone 5向けは現在開発段階とのこと

充電するは我にあり。ポータブルバッテリ、ウオールアダプタ、同期・充電ケーブル

 パワージャケット以外にも、ポータブルバッテリというスタイルでiOSデバイス向けの充電ソリューションは登場する。汎用品まで含めるときりがないので、本稿の主旨にのっとりLightningコネクタを搭載するもののみを集めてみた。加えて、壁の電源コンセントから充電するウォールアダプタ、そして充電・同期が可能なLightning対応ケーブルを紹介する。

ScoscheのLightningコネクタ対応製品は「STRIKE」のシリーズ名称が付けられている。写真の「STRIKE BASE」は2.1A(12W)出力対応のウォールアダプタ。他にも、車のシガーソケットから給電するタイプ、5W+5Wモデルなど多彩なラインナップが順次出荷される。Lightningケーブルも既発の「STRIKE LINE PRO」に加えて「BOLT BOX」を展示。「BOLT BOX」は3月に29.99ドルで出荷の予定
お馴染みのMACALLYもチャージングドック、ポータブルバッテリ、Lightningケーブル、そしてMicro USB変換アダプタ等を出展。長めのLightningケーブル、6フィートは29.99ドル、10フィートは34.99ドルを予定。チャージングドックは2A(10W)出力に対応で、iPhone 5から第4世代iPadまで対応する。予価は49.99ドル
VogDuo Internationalのチャージングドック、ウォールアダプタなど。OEM中心と思いきや、米国ではOffice DEPOT、日本にも販売チャネルを持つとのこと。写真でのみ紹介されているウオールアダプタは3.1A出力があるほか、カタログ上の企画製品としては2,000mAhのバッテリ容量を持つトラベル用チャージングドックなどもある
MyChargeのポータブルバッテリ。それぞれLightningとMicro USBの出力用コネクタがある。容量はそれぞれ2,000mAhと3,000mAh。価格、発売時期は未定
香港に拠点をもつGoNuuの車載用マウンタ「Nuu Car Kit Swivel」。フロントウィンドウ、ダッシュボードに取り付けて利用する。180度回転するため水平垂直どちらでも使え、各種カバーをつけたままでも利用可能としている。パンフレットにはMFiの記載があり、iPhone 5と第5世代iPod touchに対応
HIPER JUICEでお馴染み、SanhoのLightning対応ポータブルバッテリ「HYPER JUICE PICO」。容量は3,000mAhで出力は最大15W。3つのスマートフォン(各5W)か、タブレット(10WのUSBポート利用)、スマートフォンを1つずつ同時充電が可能としている。コネクタはLightningとMicro USB
iPhoneやスマートフォンが流行る以前から、アダプタ交換によるマルチ充電ソリューションとしてCESに出展しているIDAPT。Lightning向けのアダプタを14.99ドルで発表したほか、ワイヤレス充電のQiとPowerMatに対応するアダプタも出展
LENMARの巻き取り式Lightningケーブルと、シガーソケット対応のカーチャージャーなど
iLuvのLightning関連展示。iLuvのブースはiLounge Pavilionではなく、ラスベガスコンベンションセンターの中央ホールに位置する。カーチャージャー、カールタイプの充電・同期ケーブルをはじめ、セルフパワーによる充電・同期が可能なドック製品「Charge Hub」なども展示している。Lightningと30ピンの2つのドックが前後に並んでいる「Double Up」は、いかにも過渡期にニーズがありそうな製品だ。そのほか、LightningとMicro USBコネクタをもつポータブルバッテリが発表され、CESのイノベーションアワードも受賞しているが、ブース内に実物がない。これに限らず、モックアップレベルでの“受賞”に今ひとつ首をかしげるのは筆者だけではあるまい
BlueLoungeの既存製品「Mini Dock」と「Saidoka」。30ピンコネクタ対応の従来製品に加えて、Lightning対応モデルが加わる。日本国内代理店はTrinity
ラバー素材の採用と優れたデザインで人気のTYLTによるLightningケーブル、カーチャージャー、そしてポータブルバッテリ。いずれも既存の30ピンコネクタタイプからLightningへとバリエーションを拡げるもの。発売時期、価格等は未発表
BelkinによるウォールタイプのUSBアダプタと、短いLightningケーブル。どちらかと言えばパワージャケットよりはポータブルバッテリの利用機会の多い日本では、こうした短いケーブルのニーズは高いと思われる。米国では2013年1月中の出荷を見込んでいる
iHOMEによる各種Lightning対応の充電・同期ケーブルとポータブルバッテリを兼ねるチャージングドック
PhoneSuitの「PhoneSuit Flex」。接続コネクタの違いで数モデルあるが、Lightning対応製品は2,600mAh。アルミニウム製の外装に加え、静電容量対応のスイッチを採用している

起ち上がりの早い音楽関連のLightning関連製品

 機能的な製品の中では、やはり音楽関連製品は起ち上がりが早い。コラムで触れたようにほぼ特別扱いとも言える形で早々にLightning対応のスピーカーシステムを発表・出荷したJBL(Harman International)に続いて、IK Multimedia、Griffin Technologyといった音楽系定番メーカーが次々とLightning対応製品を発表している。

JBL(Harman International)の展示。2012年12月の出荷を実現した「JBL OnBeat Micro Lightning Dock」、「JBL OnBeat Venue LT Lightningスピーカー」に加えて、「JBL OnBeat Mini Lightning Dock」、「JBL OnBeat RUMBLE」を展示。OnBeat Miniの価格は不明だが、OnBeat RUMBLEは399.95ドルで近日出荷予定とのこと
演奏者のためのiOSデバイスインターフェイスでお馴染みのIK Multimediaのブース

 演奏者にiOSデバイスのインターフェイスを次々と提供してきたIK Multimedia。2013年はギターインターフェイス「iRig」の高機能版「iRig HD」を発表した。24bitのA/D変換に対応したほか、専用ケーブルによるLightningコネクタへの接続もサポートする。また同社のブースでは、MIDI信号によるフットペダルコントローラ「iRig BlueBoard」も紹介。iOSデバイスとはBluetoothで接続。ギターアンプ切り替えなどを行なう。フットペダルとの接続コネクタも搭載する。あわせて、スタジオモニタースピーカーの「iLoud」、「iLoud mini」も発表した。

IK Multimediaを一気にメジャーにしたギターインターフェイス「iRig」の高機能版「iRig HD」を発表。2013年春の発売を予定している。あわせてBlutoothでiOSデバイスと接続するフットペダルコントローラ「iRig BlueBoard」、スタジオモニタースピーカーの「iLoud」、「iLoud mini」も展示
米国企業「COBY Electronics」のLightningコネクタ搭載スピーカーシステム。30ピン対応の製品はすでに出荷済み。Lightning対応モデルの発売時期、価格はともに未定
ION AUDIOのiLP。iOSデバイス向けのインターフェイスを搭載し、LPレコードからiOSデバイスへの録音が行なえる。2012年のCESで30ピンコネクタ版が紹介され、2012年中盤に出荷済み。2013年はこのiLPに木目などのデザインバリエーションを追加したほか、Lightningコネクタに対応する「iLP Lightning」を発表。2013年春以降の出荷を予定している。LPレコードのデジタル化としては手軽なソリューション
Griffin TechnologyのiOSデバイス向け音楽インターフェイスとなる「StudioConnect for iOS」。2012年に発表された30ピンコネクタモデルに続いてLightningコネクタモデルを発表
iLuvの「Aud 5」。Lightning対応のスピーカードック。Blurtooth接続にも対応。2013年5月に出荷の見通し

 Lightningコネクタに依存しないその他のiOS関連製品に関しては別稿にてお届けする。

(矢作 晃)