【CES 2012レポート】iLounge Pavilion/iOSデバイス編
~定番機器は過当競争か? Androidへの取り組みも進む

iLounge Pavilionに展示されている歴代のiPodやiOSデバイス

会期:1月10日~13日(現地時間)
会場:米国ネバダ州ラスベガスコンベンションセンター



 Mac編に続いて、iLounge Pavilionで見つけたiOS関連機器について紹介する。

●Android端末分野に参入する老舗のmophie。エクスターナルバッテリの競争は激化
 INCIPIOのiPhone 4/4Sに対応するジャケット型拡張バッテリ。特徴はバッテリをバッテリパック式にしたことで、パック単位で交換が可能。セットにはバッテリパックが2個とUSB接続によるチャージャーユニット、そしてバッテリパックを内蔵できるジャケットが付属する。3月に販売を予定しており、価格は99.99ドルとなる見込み。現時点ではサンプルのため、バッテリパックあたりの容量は明らかにされていない

 iPhoneをはじめとするiOSデバイス向けのケースやエクスターナルバッテリの老舗ともいえるmophie。ジャケット型バッテリパックの「Juice Pack」シリーズは、日本国内でもフォーカルポイントコンピュータを代理店として販売されており、ネームバリューのある製品だ。言うなればiPhoneとともに企業規模も拡大してきた同社だが、ついにAndroid端末向けのジャケット型バッテリパックにも参入する。

 最初のターゲットデバイスはLG製のNitro HDで、製品名称も同じ「mophie Juice Pack」。Nitro HD本体と同じ2,000mAhの容量をもち稼働時間を倍増させる。同社ではこれはあくまでAndroid向けの第1弾としており、以降のターゲットデバイスがあることを示唆している。

 iPhone向けのジャケット型バッテリパックは参入企業が多く、過当競争になりつつあるのが現状だ。言葉は悪いが、安かろう悪かろうの製品も市場に出回っているが、一般ユーザーにはさほど品質の差も伝わりにくく、ブランド力だけではなかなか勝ち続けられなくなっている。そこでリチウムイオンタイプだけではなく、リチウムポリマータイプを使ってより薄い構造にしたり、あるいはappと連携することでバッテリのモニタリングや使用の最適化を行なうなど、各社ともに差別化に工夫を凝らしている。

 mophieもアウトドア企業のNeoTreksと提携し、同社のJuice PackシリーズにOutdoor Editionを用意した。これは2,000mAhという最大容量クラスのiPhone 4/4S向けジャケット型バッテリパックJuice Pack Plusに、トレッキング用のappを付属させたもの。

 3G/2Gともに通信圏外となるエリアのトレッキングで使えるように、周辺地図データを事前に取得。GPSデータを元に、通信圏外でも地図上で自分の現在位置を把握でき、その移動経過も記録できるappである。Outdoor Editionの購入者のみが無償でApp Storeからダウンロードできる。価格は通常のJuice Pack Plusよりも20ドル高い119.95ドル。

「mophie Juice Pack」のAndroid端末対応版が登場する第一弾となるターゲットデバイスは、「LG Nitro HD」。本体のバッテリ容量と同じ2000mAhの容量をもつジャケット型バッテリパックだヘビーデューティ仕様の「mophie Juice Pack PowerStation PRO」。IP-65相当の防塵・防水仕様に6000mAhの容量を持つ製品。最大2.1Aの充電仕様に対応する
mophieの「Juice Pack Plus Juice Pack Plus」。こうしたappの付属も差別化の一環だ。

□mophieのホームページ(英文)
http://www.mophie.com/

●iOSのコンパニオンデバイスとして進むデジタルヘルスケア

 2011年は「iHealth Blood Pressure Dock」として、iOSデバイスと有線で接続するタイプの血圧計を出展していたiHealth。2012年は競合するWithingsと同じBluetoothで接続するタイプの血圧計「iHealth Blood Pressure Monitor」も出展した。

 両社は製品ラインアップ的にも似た製品が多く、先日のUnveiled記事でも紹介されたWithingsの赤ちゃん用体重計も、製品の展示こそなかったもののiHealthからも同用途の製品が発表されている。デジタル体重計にしても然りで、iHealthは既存のBluetoothで接続する体重計「iHealth Digital Scale」に続いて、体組成のデータも計測できるデジタル体重計「iHealth Wireless Body Fat Scale」も発表した。こちらはWi-Fi接続となる。2012年第2四半期に出荷予定となっているが、価格は未定。

 そしてiHealthが次に繰り出したのが血糖値の測定である。糖尿病患者およびその予備軍は自分で微量の血液を採取して血中の血糖値を測るが、これをiOSのコンパニオンデバイスにした。製品名は「iHealth Blood Glucometer」。以前より個人測定用の機器は存在しており、PC連携の例がないわけではないが、30ピンコネクタを使うiOS向けの製品は初めてだ。

 測定結果は血糖値、測定日時などが自動的に記録され、週単位、月単位で推移を見ることができるようになる。グラフを見ることで、生活習慣の改善や体調のコントロールを行なおうという考えだ。製品化は2012年後半の見込みで、価格等の詳細は未定とのこと。

Bluetoothで接続する「iHealth Blood Pressure Monitor」。発売時期、価格とも未定。
体重計の分野。発売中のBluetooth接続による体重計「iHealth Digital Scale」に続いて、体組成計の機能を持つ「iHealth Wireless Body Fat Scale」も登場する
「iHealth Blood Glucometer」。試験紙に微量の血液をとってiOSの30ピンコネクタに接続された機器に差し込むと自動的に血糖値を測定。結果が数値、日時などとともに自動記録される

□iHealthのページ(英文)
http://www.ihealth99.com/

●Android版も登場するKogetoのパノラマレンズ

 iPhone 4/4S向けに出荷されている360度パノラマレンズの「Kogeto Dot」。iLounge Pavilionでは、すでに出荷が始まっているiPhone 4/4S向けの製品が販売代理店であるDr.Bottのブースに展示されている。いっぽう、併催イベントとなるShowStopperの会場では、Android端末向けの試作品が紹介されていた。

 Kogeto Dotは、携帯カメラのレンズ部分にアダプタを付けて円錐状の鏡を配置。360度の周囲をフレーム内におさめて記録する仕組み。撮影データは専用ソフトウェアで処理され、視点の変更が可能な動画として再生することができる。iPhone 4/4S向けとしては昨年(2011年)11月頃に出荷が始まっており、すでに人気製品となっている。

 Android対応版は、当初Galaxy Nexus向けに製品を出荷予定。予約の受付を1月中にも始めるとしている。会場で聞いた予定価格は79.99ドル。他の製品への対応は未定だが、説明によるとソフトウェア処理のための高いプロセッサパフォーマンスとともに、出荷数の望める端末から選んでいく方針とのこと。iPhone 4/4Sはすでにその出荷実績からある程度の数が見込めるが、Galaxy Nexus以外のAndroid端末については対応機種の選択に慎重な姿勢をみせている。

 もう1つ、iPhone 4/4S向けとしてはこちらも発売中のアダプタ「ollo Clip」が面白い。iPhone 4/4Sに挟み込んで使うことで、魚眼レンズ、ワイドアングル、マクロといった3種類の撮影が行なえる製品だ。日本国内にも販売代理店があって、6,195円で入手が可能。魚眼レンズは前面に約180度の視界。ワイドアングルは標準レンズのほぼ倍の視野角を撮影することができるという。マクロは倍率が約10倍で撮影範囲は被写体から12~15mmとのこと。

iPhone 4/4S向けに販売されている「Kogeto Dot」。周囲にある円錐状の鏡に写る映像を撮影する仕組み。iPhone 4/4Sのカメラ位置に固定できるアダプタの色は四色展開試作中のGalaxy Nexus向け製品。レンズの基本的な構造は同一だが、やはり端末形状の多様なAndroid端末では、安定した固定がカギになるとのことiPhone 4/4Sに挟み込んで使用するollo Clip。魚眼とワイドアングルの切り替えはレンズの前後を入れ換えて行なう。ワイドアングル撮影はレンズの組み合わせで行なわれていて、ワイドアングルレンズをはずすことでマクロ撮影を行なうことができる

□Kogetoの製品情報(英文)
http://kogeto.com/
□ollo Clipの製品情報(英文)
http://olloclip.com/

●その他の見所

 このほか、iLounge Pavilionで見つけた面白い製品は写真を中心に紹介する。

iPadのマウントシステム「LaunchPort」。iPad本体にロック機能のあるマウントキットを設置。マウントキットは独自仕様の無接点充電に対応しており、30ピンコネクタに対しての給電を行なうことができる仕組み、アダプタ自体にバッテリは含まれていない。壁面への固定には電気配線工事が必要となる

□LaunchPortの製品情報(英文)
http://www.launchport.com/

Griffin TechnologyのiOSデバイス向け音楽インターフェイスとなる「StudioConnect for iOS」と「MIDIConnect for iOS」。前者はジョグシャトルが付き、RCAとステレオミニ、そしてMIDIの入出力に対応する。後者はiOSデバイス向けのMIDIインターフェイス。いずれもGarageBandなどの音楽ソフトで利用できる。「StudioConnect for iOS」は2月に149.99ドルで、「MIDIConnect for iOS」はこの春に79.99ドルで出荷予定

□Griffin Technologyのホームページ(英文)
http://www.griffintechnology.com/

(2012年 1月 13日)

[Reported by 矢作 晃]