ASUS、スレート端末「Eee Pad」を発表
新製品を紹介するASUSTeK会長のJonney Shih氏 |
会期:6月1日~6月5日(現地時間)
会場:Taipei World Trade Center Nangang Exhibition Hall
Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/3
Taipei International Convention Center
台湾ASUSTeKは31日(現地時間)、スレート端末「Eee Pad」をはじめとする新製品発表会を開催した。いくつかの製品群が発表されたが、ここでは話題をスレート端末に限定し、そのほかの製品は追ってブースレポートなどでお伝えする。
なお、発表会では製品の詳細仕様はあまり公開されなかった。発売日や価格はすべて未定。また、ややあやふやな点もあることをご了承いただきたい。1日以降、ブースでは製品担当者が詳しい話をしてくれるそうなので、正しい情報が分かった際には追って別記事でカバーする。
Eee Padは、その名が示すとおり、iPad型のスレート端末。製品全面がタッチ対応液晶となっており、厚さは1cm程度。液晶サイズ12型の「Eee Pad EP121」と10型の「同EP101TC」の2モデルが用意される。
発表会では同社会長のJonney Shih氏が説明を行なった。その中で同氏は、一口にPad型製品と言っても、その目的や用途はユーザーや製品によって異なることを指摘。具体的には、文書作成などのオフィス用途、ブログの投稿や写真の簡単な編集、SNSなどの用途、そして音楽、動画、書籍の視聴/閲覧といった用途だ。
Eee Pad EP101TC | Pad製品もいくつかの用途に分けられると同社 |
そういった異なる要望に応えるため、2つのEee Padは単に大きさだけでなく、プラットフォームや利用スタイルを支える周辺機器なども異なっている。EP121のプラットフォームはCULV Core 2 Duoで、OSはWindows 7 Home Premiumを採用。スレートでありながら、通常のPCと同じフル機能のOSや、Flashなどを含むブラウザなどを利用可能で、Shih氏は妥協のない性能/機能を提供すると表現した。
もちろんこの製品も、カジュアルなブラウジングやメディア再生に使えるが、同社ではビジネスマン向けの製品と位置づけている。そこで、本製品を取り付けて、折りたたむことのできるキーボードドックをオプションで用意。これにより、完全にノートPCと同じようなスタイルで利用できるようになる。ドックにはセカンダリバッテリも内蔵しているので、組み合わせると最大で10時間の駆動が可能となる。
キーボードを持ち運ぶ必要がないユーザーには、USBなど拡張性に富むドックと、それにつながる無線キーボードなども用意される。
展示品は完全なモックで、動作のスムーズさなどは不明だったが、スペックから一般的なCULVノートに近い性能は発揮するものと思われる。
展示品はモックで電源は入らなかった | ノートPCスタイルにするためのドック | 取り付けると、ノートPCとほぼ見分けがつかない |
折りたたんだところ | 左側面には電源や音量と思われるボタン類 | 右側面は、カードリーダ、HDMI出力、USBポート、音声入出力などが並ぶ |
スタイラスも付属 | こちらは、別のドックと無線キーボード | ドックは豊富なコネクタを備える |
EP101TCは、単体でよりカジュアルな使い方を想定しており、立ち位置としてはiPadに近い。プロセッサもx86ではなく、NVIDIAのTegra(新世代)で、OSはWindows Embedded Compact 7となる。
本体全体の大きさは不明だが、厚さは12.2mmで、重量は675gとiPadよりも軽い。こちらも、FlashやWindows 7ベースの数多くの機能が利用できることを売りにしている。
こちらはかなり限定的ではあるが、動作する実機が公開された。トップ画面は、時計や、天気情報、未読メール数などが大きな文字で表示され、スマートフォン的なものとなっている。WindowsのStartボタンはなく、すべて画面上のアイコンをタッチして操作する。
ブラウザなどは操作しなくても自動的に動いていたので、動画が再生されているだけの可能性もあるが、画面上を指でなぞって、スクロールさせたりするのはリアルタイムで動作していた。それを見る限りは、割とスムーズに動作していたというのが率直な印象だ。また、電子書籍にも対応するようだ。
なお、同社は、Intelと協業し、Eee Pad向けのApp Storeも展開していくことを合わせて発表した。
Eee Pad EP101TC。こちらは限定的ながら動作する実機 | 厚さは12.2mm。デザインはEP121と共通 |
背面は白地にASUSロゴ | 電子書籍向けなど各種アプリも提供していく予定 |
【動画】Eee Pad EP101TCの動作の様子。ただし、基本的に自動実行されている |
発表会の最後にShih氏が紹介したのが、まだ製品のジャンルも確定していないメモ用端末「Eee Tablet」だ。非常に乱暴な言い方をすると、ペンで操作するポメラ+αといったところだろうか。
本製品の基本的な用途は、学生や会社員が授業や会議などの内容を筆記でメモすること。表示デバイスは液晶と思われるが、64階調のモノクロで、ペンによる操作が可能。感覚としてはペン入力に対応した電子辞書の液晶に近い。反射型でバックライトは搭載しない。
この液晶を採用したのは、バッテリ寿命を最大限引き延ばすためと思われるが、その一方で、ページの書き換え時間は約0.1秒と電子ペーパーよりは10倍程度速い。実際に、動作する端末に文字を書いてみたが、これも電子辞書と同じくらいの追随性はあった。
センサー(デジタイザと思われる)はワコム製で、画面解像度は1,024×768ドット。ペンと画面との摩擦の具合にかなり注力しており、紙と同様の書き心地を実現したとしている。
ノートを取る際の補助用に、各種罫線を表示する機能を搭載。残したメモにはタグをつけることで、後から検索できる。書くだけじゃなく、表示の面においても、TXTやPDF、そしてEPUBなどにも対応。さらに、内蔵カメラによる写真撮影機能、録音機能、テキスト文書の読み上げ機能なども搭載する。
このほか、PCとUSBでつないで同期させたり、microSDカード内のコンテンツを表示させることもできる。バッテリ駆動時間は10時間。OSはLinuxベース。
Eee Tablet | 本体上部にペンが収納されている | 文字を書いてみたところ。写真ではストロボの具合でやや見えにくいが、薄暗い会場において、ひとまず視認性に問題はなかった |
ノートを取りやすいよう、罫線や点を表示可能 | 画面の上下端に各種メニューのアイコンが並ぶ | 本体下部には録音ボタンや、USBポートなど |
(2010年 5月 31日)
[Reported by 若杉 紀彦]