【COMPUTEX 2010レポート】
ASUS、スレート端末「Eee Pad」を発表
~電子メモ用端末「Eee Tablet」も

新製品を紹介するASUSTeK会長のJonney Shih氏

会期:6月1日~6月5日(現地時間)
会場:Taipei World Trade Center Nangang Exhibition Hall
   Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/3
   Taipei International Convention Center



 台湾ASUSTeKは31日(現地時間)、スレート端末「Eee Pad」をはじめとする新製品発表会を開催した。いくつかの製品群が発表されたが、ここでは話題をスレート端末に限定し、そのほかの製品は追ってブースレポートなどでお伝えする。

 なお、発表会では製品の詳細仕様はあまり公開されなかった。発売日や価格はすべて未定。また、ややあやふやな点もあることをご了承いただきたい。1日以降、ブースでは製品担当者が詳しい話をしてくれるそうなので、正しい情報が分かった際には追って別記事でカバーする。

 Eee Padは、その名が示すとおり、iPad型のスレート端末。製品全面がタッチ対応液晶となっており、厚さは1cm程度。液晶サイズ12型の「Eee Pad EP121」と10型の「同EP101TC」の2モデルが用意される。

 発表会では同社会長のJonney Shih氏が説明を行なった。その中で同氏は、一口にPad型製品と言っても、その目的や用途はユーザーや製品によって異なることを指摘。具体的には、文書作成などのオフィス用途、ブログの投稿や写真の簡単な編集、SNSなどの用途、そして音楽、動画、書籍の視聴/閲覧といった用途だ。

Eee Pad EP101TCPad製品もいくつかの用途に分けられると同社

 そういった異なる要望に応えるため、2つのEee Padは単に大きさだけでなく、プラットフォームや利用スタイルを支える周辺機器なども異なっている。EP121のプラットフォームはCULV Core 2 Duoで、OSはWindows 7 Home Premiumを採用。スレートでありながら、通常のPCと同じフル機能のOSや、Flashなどを含むブラウザなどを利用可能で、Shih氏は妥協のない性能/機能を提供すると表現した。

 もちろんこの製品も、カジュアルなブラウジングやメディア再生に使えるが、同社ではビジネスマン向けの製品と位置づけている。そこで、本製品を取り付けて、折りたたむことのできるキーボードドックをオプションで用意。これにより、完全にノートPCと同じようなスタイルで利用できるようになる。ドックにはセカンダリバッテリも内蔵しているので、組み合わせると最大で10時間の駆動が可能となる。

 キーボードを持ち運ぶ必要がないユーザーには、USBなど拡張性に富むドックと、それにつながる無線キーボードなども用意される。

 展示品は完全なモックで、動作のスムーズさなどは不明だったが、スペックから一般的なCULVノートに近い性能は発揮するものと思われる。

展示品はモックで電源は入らなかったノートPCスタイルにするためのドック取り付けると、ノートPCとほぼ見分けがつかない
折りたたんだところ左側面には電源や音量と思われるボタン類右側面は、カードリーダ、HDMI出力、USBポート、音声入出力などが並ぶ
スタイラスも付属こちらは、別のドックと無線キーボードドックは豊富なコネクタを備える

 EP101TCは、単体でよりカジュアルな使い方を想定しており、立ち位置としてはiPadに近い。プロセッサもx86ではなく、NVIDIAのTegra(新世代)で、OSはWindows Embedded Compact 7となる。

 本体全体の大きさは不明だが、厚さは12.2mmで、重量は675gとiPadよりも軽い。こちらも、FlashやWindows 7ベースの数多くの機能が利用できることを売りにしている。

 こちらはかなり限定的ではあるが、動作する実機が公開された。トップ画面は、時計や、天気情報、未読メール数などが大きな文字で表示され、スマートフォン的なものとなっている。WindowsのStartボタンはなく、すべて画面上のアイコンをタッチして操作する。

 ブラウザなどは操作しなくても自動的に動いていたので、動画が再生されているだけの可能性もあるが、画面上を指でなぞって、スクロールさせたりするのはリアルタイムで動作していた。それを見る限りは、割とスムーズに動作していたというのが率直な印象だ。また、電子書籍にも対応するようだ。

 なお、同社は、Intelと協業し、Eee Pad向けのApp Storeも展開していくことを合わせて発表した。

Eee Pad EP101TC。こちらは限定的ながら動作する実機厚さは12.2mm。デザインはEP121と共通
背面は白地にASUSロゴ電子書籍向けなど各種アプリも提供していく予定

【動画】Eee Pad EP101TCの動作の様子。ただし、基本的に自動実行されている

 発表会の最後にShih氏が紹介したのが、まだ製品のジャンルも確定していないメモ用端末「Eee Tablet」だ。非常に乱暴な言い方をすると、ペンで操作するポメラ+αといったところだろうか。

 本製品の基本的な用途は、学生や会社員が授業や会議などの内容を筆記でメモすること。表示デバイスは液晶と思われるが、64階調のモノクロで、ペンによる操作が可能。感覚としてはペン入力に対応した電子辞書の液晶に近い。反射型でバックライトは搭載しない。

 この液晶を採用したのは、バッテリ寿命を最大限引き延ばすためと思われるが、その一方で、ページの書き換え時間は約0.1秒と電子ペーパーよりは10倍程度速い。実際に、動作する端末に文字を書いてみたが、これも電子辞書と同じくらいの追随性はあった。

 センサー(デジタイザと思われる)はワコム製で、画面解像度は1,024×768ドット。ペンと画面との摩擦の具合にかなり注力しており、紙と同様の書き心地を実現したとしている。

 ノートを取る際の補助用に、各種罫線を表示する機能を搭載。残したメモにはタグをつけることで、後から検索できる。書くだけじゃなく、表示の面においても、TXTやPDF、そしてEPUBなどにも対応。さらに、内蔵カメラによる写真撮影機能、録音機能、テキスト文書の読み上げ機能なども搭載する。

 このほか、PCとUSBでつないで同期させたり、microSDカード内のコンテンツを表示させることもできる。バッテリ駆動時間は10時間。OSはLinuxベース。

Eee Tablet本体上部にペンが収納されている文字を書いてみたところ。写真ではストロボの具合でやや見えにくいが、薄暗い会場において、ひとまず視認性に問題はなかった
ノートを取りやすいよう、罫線や点を表示可能画面の上下端に各種メニューのアイコンが並ぶ本体下部には録音ボタンや、USBポートなど

(2010年 5月 31日)

[Reported by 若杉 紀彦]