イベントレポート
CRYORIG、さらに楽に大型CPUクーラーを装着できる新リテンション
2018年6月6日 06:00
台湾CRYORIGは、COMPUTEX TAIPEI 2018にブースを構え、今後投入する予定の新製品群を展示した。展示製品の多くは、すでにCOMPUTEX開幕前にリリース済みだ。
「Frostbit」は、厚さ1mmの超薄型ヒートパイプを内蔵したメインのヒートスプレッダと、そこから伸びるヒートパイプで上空にある補助ヒートシンクに熱を誘導する2ピース構成の、同社初となるM.2 SSD用のヒートシンク。補助ヒートパイプは可動式で、GPUや大きなCPUクーラーと干渉しないよう、手で上下に傾けられる。
製品担当のSteve Shen氏の説明によれば、補助ヒートシンクを取り付けた場合では最大20℃、たとえスペースの問題で補助ヒートシンクが使えずメインのヒートスプレッダだけ取り付けても10℃の温度低下を実現するという。
「C7 RGB」は既存のMini-ITX向け小型CPUクーラー「C7」をベースに、ファンをRGB LED内蔵に変更したモデル。RGB LEDの制御は、近年のRGB LED制御用ピンヘッダ付きマザーボードに対応する。性能面では変更がない。
「Crona 120 RGB」は、リング状のRGB LEDを備えた120mm角ファン。特徴はフレーム部で、1枚板のようなシンプルなデザインとし、RGB LEDの光りを投影させて、柔らかいグローのような効果を生み出せる。ファンはPWM制御に対応し、RGB LEDはマザーボード制御のほか、付属の制御ユニットと無線コントローラを介しても行なえる。制御ユニットは合計14種類の速度/色/エフェクトの組み合わせを用意する。
「H7 Ultra RGB」は、既存のミドルレンジヒートシンク「H7」をベースに、ヒートパイプを3本から4本に増やして冷却性能を高めつつ、ファンをCorna 120 RGBに変更。そしてヒートシンク上部のCRYORIGロゴをRGB LEDで光るようにしたモデルとなる。
今後は新しいリテンションキットに順次差し替え
ここまではリリース済みなのだが、ブースではこのほかに、昨年(2017年)のCOMPUTEXで発表されたハイエンドなシングルタワーCPUクーラー「R5」の改良版を展示した。R5は発表してから1年経ったいまでも市場投入に至っていないが、Shen氏によれば「この1年間リテンションキットの改良に注力していた」という。
そもそもCRYORIGのハイエンドCPUクーラーに採用されているリテンションキット「MultiSeg」は、CPUクーラーのなかでもトップクラスの取り付けやすさで定評があり、ユーザーからも不満はとくに挙がっていないのだが、Shen氏は「リテンションにもっと改良を加えることで、ユーザービリティの向上が図れると考えている」とし、改良に至ったという。
今回改良したリテンションの仕組みはこうだ。最初の手順は従来どおり、バックプレートとCPUクーラーを固定するフレームを取り付ける。しかしこのあと、従来はベース部を押さえるブリッジをネジでフレームに固定するやり方であったのに対し、新リテンションはツメでブリッジをフレームのガイド部に引っかけ、その後本体中央のネジを回すことでブリッジを締め上げ、ツメを固定する方式に変わった。
具体的には、ツメの片方が固定なので、まずそちらを内側からスライドして固定する。もう片方はバネで動くようになっていて、押し込んでガイドにツメが嵌まるとバネの弾力でツメが戻るため、ネジを締めなくてもCPUクーラー全体がリテンションに引っかかる。そのあとネジで締め上げれば完全に固定される、というわけだ。なお、取り外し時はまずネジを緩め、それからレバーを押し下げれば抜ける。
従来、大型のCPUクーラーを装着するさいは、まずマザーボードを水平にする必要があり、それから上からねじ穴の位置を確認しながら合わせ、ドライバでネジを回す必要があった。リテンション自体の装着がラクでも、CPUクーラーの装着は決してラクだとは言えなかった。
一方で新リテンションでは、ツメとフレーム部のガイドの位置さえ合わせておけば簡単に仮留めができるので、マザーボードが垂直のままでも、片手でも簡単に装着できる。これによってCPUクーラー取り付けにおける労力を大幅に軽減できるのが特徴だ。
この新リテンション、まずは新規投入されるR5で採用する予定で、そのあと、既存ラインナップにも順次展開するとしている。