西川和久の不定期コラム
5万円を切るCore i3搭載ミニPC!CHUWI「LarkBox S」
2024年12月17日 06:12
CHUWIは、Core i3-1220P搭載で5万円を切るミニPC「LarkBox S」を販売中だ。直販では4万5,900円にて購入できる。編集部から実機が送られてきたので試用レポートをお届けしたい。
Core i3-1220P/16GBメモリ/512GB SSDを搭載
これまで筆者の連載ではミニPCを数多く扱ってきたものの、Ryzenの上位モデルを搭載するハイエンド機や、Intel N100などを搭載したローエンド機が多かった。今回ご紹介する「LarkBox S」は、Alder Lake世代のCore i3-1220Pを搭載しており、ミドルレンジのやや下に位置付けられる製品と言えるだろう。
ハイエンドと比べると厳しいだろうが、どの程度の性能なのかは気になるところだ。加えて16GBメモリ/512GB SSD/Windows 11 Proの構成ながら、価格は約4万6,000円と安価だ。主な仕様は以下の通り。
CHUWI LarkBox S | |
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プロセッサ | Core i3-1220P (10コア/12スレッド、2Pコア+8Eコア、クロック最大4.4GHz/キャッシュ12MB) |
メモリ | 16GB(DDR4-3200 1基、SO-DIMM最大2基/64GB) |
ストレージ | M.2 2280 SSD 512GB(PCIe 3.0接続) |
OS | Windows 11 Pro |
グラフィックス | UHD Graphics |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.1 |
インターフェイス | USB Type-C(映像/データ対応)、USB 3.2 Gen 1 Type-C、USB 3.2 Gen 1 2基、USB 2.0 2基、3.5mmジャック、HDMI 2.0、HDMI 1.4、ダイナミックRGBフロント照明 |
サイズ/重量 | 118×118×41.3mm、478g |
価格 | 4万5,900円 |
プロセッサはAlder Lake世代のCore i3-1220P。Pコア2基+Eコア8基の10コア/12スレッド、クロックは最大4.4GHz。Core iシリーズのエントリーSKUだが、N100などと比較すればずっと速い。
メモリは16GB。形状はSO-DIMMで、DDR4-3200が2枚まで、容量は最大64GBまで対応する。標準では16GBが1枚なので、もう1枚16GBを加えて32GBとすれば、容量アップだけでなくデュアルチャネル動作によって、性能向上が見込めるだろう。ストレージは512GBのM.2 2280 SSD。
OSはWindows 11 Pro。バージョンは「23H2」だったのでこの範囲でWindows Updateを適応し評価した。
グラフィックスはプロセッサ内蔵のUHD Graphics。外部映像出力用にHDMI 2.0、HDMI 1.4、USB Type-Cの3つを備えている。最大解像度およびリフレッシュレートは、順に4K/60Hz、4K/30Hz、4K/144Hz。
ネットワークはGigabit Ethernet、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.1。Wi-Fiの対応規格がやや古めだ。そのほかのインターフェイスはUSB 3.2 Gen 1 Type-C、USB 3.2 Gen 1 2基、USB 2.0 2基、3.5mmジャックなどを備える。また面白い機能として前面にダイナミックRGB照明を搭載している。7色にいろいろなパターンで光ってこれはこれで雰囲気がある。
サイズ118×118×41.3mm、重量478g。今回の構成で価格は4万5,900円と、5万円を大きく切る。ゲームなど重い処理には向かないものの、一般的な作業であればストレスなく動作する。普段使う事務処理用PCとしては、価格も安くいいのではないだろうか?
筐体は上下は黒、側面が灰色とされているが、実際には深緑っぽい感じだ。アルミニウム+プラスチック製なので高級感はそこそこ。ミニPCは概ねこんな感じだろう。重量は実測で483g。これならカバンに入れられそうなのだが、付属のACアダプタが意外と大きく重い。
前面は3.5mmジャック、USB Type-C(映像/データ対応)、USB 3.2 Gen 1 Type-C、USB 3.2 Gen 1 2基、電源ボタン。キーボード付きモバイルモニターに接続した写真からも分かる様に、ケーブル1本で給電/映像出力ともに可能だった。インターフェイス周囲の半透明な枠がダイナミックに7色に光る。背面には電源入力、HDMI 2.0、HDMI 1.4、Gigabit Ethernet、USB 2.0 2基を配置する。
付属品はACアダプタとVESAマウンタ。ご覧のようにACアダプタが結構大きく、出力も約90Wある。ミニPC自体は据え置きで使うことが多いので、ACアダプタの大きさはどうでもいいかもしれないが、筐体のサイズ/重量に対してちょっと大きすぎるという感じがしないでもない。
BIOS画面は起動時に「Delete」キーで表示する。フロントの7色照明がうるさい時は、BIOSのAdvancedオプションにあるRGB Light Controller Configurationでオフにできる。
内部へのアクセスは、まず裏蓋四隅にあるゴム足と、その下にあるネジを外す。すると内部にもう1枚金属のパネルがあり、四隅にネジがあるので、これを全部外せば無事メモリとM.2 2280 SSDが見える。
ノイズは耳を近づけてもよく分からないレベルだ。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけるとリアパネル側から暖かい風が出る。とはいえ、心配になる熱さではない。
ハイエンドには劣るものの通常用途なら十分な性能
初回起動時は、プリインストールや壁紙のカスタマイズなどはなく、Windows 11 Proの標準のままだ。評価用アプリのインストールやファイル操作などを行なっても、特に遅いと感じることはなかった。第10世代以前のCore i5よりは速いように感じる。
ストレージはM.2 2280 SSD 512GBの「RS512GSSD510」。CrystalDiskMarkのシーケンシャルリード/ライトともに約3,000MB/s出ているので、遅くはないものの、特別速いわけでもない。Cドライブのみの1パーティションで、約476GBが割り当てられおり、空きは446GBだった。
Gigabit EthernetはRealtek製、Wi-FiはIntel製のWireless-AC 9560。BluetoothもIntel製だ。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMarkを使用した。
Ryzen 7 8845HS搭載のハイエンドミニPC「GMKtec NucBox K8 Plus」(約8.4万円、32GBメモリ/1TB SSD)と比較すると、ざっくり2分の1から3分の2ぐらいのスコアを記録した。項目によっては似たスコアのものもある。
ただし、内蔵GPUは相手がRadeon 780Mと言うことでかなり大きな差だ。とはいえ、価格差が約2倍あると思えば妥当なところだろう。
LarkBox S | GMKtec NucBox K8 Plus | |
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プロセッサ | Core i3-1220P (10コア/12スレッド、2Pコア+8Eコア、クロック最大4.4GHz/キャッシュ12MB) | Ryzen 7 8845HS (8コア/16スレッド、クロック3.8~5.1GHz/L2キャッシュ8MB、L3キャッシュ16MB) |
メモリ | 16GB(DDR4-3200 1基、SO-DIMM最大2基/64GB) | 32GB(16GB/DDR5-5600 2基/SO-DIMM最大96GB) |
ストレージ | M.2 2280 SSD 512GB(PCIe 3.0接続) | M.2 2280 SSD 1TB(PCIe 4.0接続) |
OS | Windows 11 Pro | Windows 11 Pro |
グラフィックス | UHD Graphics | Radeon 780M |
価格 | 4万5,900円 | 8万3,953円(発売時点) |
以上のようにCHUWI「LarkBox S」は、Core i3-1220P/16GBメモリ/512GB SSDを搭載したミニPCだ。ハイエンドミニPCには及ばないものの、普通の処理なら問題ないレベルの性能を兼ね備えている。ただし、内蔵GPUが弱いのでゲーム系は不向きだろう。
Intel N100では心細いし、かといってハイエンドは財布事情が……といった、5万円を切る価格帯でミニPCを探しているユーザーに使って欲しい1台だ。余裕があるなら、性能向上を見込んでメモリを+16GBすることもおすすめしたい。