西川和久の不定期コラム

5万円を切るCore i3搭載ミニPC!CHUWI「LarkBox S」

 CHUWIは、Core i3-1220P搭載で5万円を切るミニPC「LarkBox S」を販売中だ。直販では4万5,900円にて購入できる。編集部から実機が送られてきたので試用レポートをお届けしたい。

Core i3-1220P/16GBメモリ/512GB SSDを搭載

 これまで筆者の連載ではミニPCを数多く扱ってきたものの、Ryzenの上位モデルを搭載するハイエンド機や、Intel N100などを搭載したローエンド機が多かった。今回ご紹介する「LarkBox S」は、Alder Lake世代のCore i3-1220Pを搭載しており、ミドルレンジのやや下に位置付けられる製品と言えるだろう。

 ハイエンドと比べると厳しいだろうが、どの程度の性能なのかは気になるところだ。加えて16GBメモリ/512GB SSD/Windows 11 Proの構成ながら、価格は約4万6,000円と安価だ。主な仕様は以下の通り。

【表1】CHUWI「LarkBox S」の仕様
CHUWI LarkBox S
プロセッサCore i3-1220P
(10コア/12スレッド、2Pコア+8Eコア、クロック最大4.4GHz/キャッシュ12MB)
メモリ16GB(DDR4-3200 1基、SO-DIMM最大2基/64GB)
ストレージM.2 2280 SSD 512GB(PCIe 3.0接続)
OSWindows 11 Pro
グラフィックスUHD Graphics
ネットワークGigabit Ethernet、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.1
インターフェイスUSB Type-C(映像/データ対応)、USB 3.2 Gen 1 Type-C、USB 3.2 Gen 1 2基、USB 2.0 2基、3.5mmジャック、HDMI 2.0、HDMI 1.4、ダイナミックRGBフロント照明
サイズ/重量118×118×41.3mm、478g
価格4万5,900円

 プロセッサはAlder Lake世代のCore i3-1220P。Pコア2基+Eコア8基の10コア/12スレッド、クロックは最大4.4GHz。Core iシリーズのエントリーSKUだが、N100などと比較すればずっと速い。

 メモリは16GB。形状はSO-DIMMで、DDR4-3200が2枚まで、容量は最大64GBまで対応する。標準では16GBが1枚なので、もう1枚16GBを加えて32GBとすれば、容量アップだけでなくデュアルチャネル動作によって、性能向上が見込めるだろう。ストレージは512GBのM.2 2280 SSD。

 OSはWindows 11 Pro。バージョンは「23H2」だったのでこの範囲でWindows Updateを適応し評価した。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵のUHD Graphics。外部映像出力用にHDMI 2.0、HDMI 1.4、USB Type-Cの3つを備えている。最大解像度およびリフレッシュレートは、順に4K/60Hz、4K/30Hz、4K/144Hz。

 ネットワークはGigabit Ethernet、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.1。Wi-Fiの対応規格がやや古めだ。そのほかのインターフェイスはUSB 3.2 Gen 1 Type-C、USB 3.2 Gen 1 2基、USB 2.0 2基、3.5mmジャックなどを備える。また面白い機能として前面にダイナミックRGB照明を搭載している。7色にいろいろなパターンで光ってこれはこれで雰囲気がある。

 サイズ118×118×41.3mm、重量478g。今回の構成で価格は4万5,900円と、5万円を大きく切る。ゲームなど重い処理には向かないものの、一般的な作業であればストレスなく動作する。普段使う事務処理用PCとしては、価格も安くいいのではないだろうか?

前面。3.5mmジャック、USB Type-C 2基(左側が映像出力対応)、USB 3.2 Gen 1 2基、電源ボタン。周囲の半透明の枠がダイナミックに7色に光る
背面。電源入力、HDMI 2基、Gigabit Ethernet、USB 2.0 2基
iPhone 16 Proと並べた場合。一般的なハイエンドミニPCよりは少し小さい
付属品。ACアダプタ(140×60×35mm、重量420g、出力19V/4.74A)、VESAマウンタ
重量は実測で483g。一般的なACアダプタとあまり変わらないぐらい
前面左側のUSB Type-Cは映像出力に対応しているので、Type-C to Type-Cケーブル1本で接続可能。前面のLEDが光っているのも分かる

 筐体は上下は黒、側面が灰色とされているが、実際には深緑っぽい感じだ。アルミニウム+プラスチック製なので高級感はそこそこ。ミニPCは概ねこんな感じだろう。重量は実測で483g。これならカバンに入れられそうなのだが、付属のACアダプタが意外と大きく重い。

 前面は3.5mmジャック、USB Type-C(映像/データ対応)、USB 3.2 Gen 1 Type-C、USB 3.2 Gen 1 2基、電源ボタン。キーボード付きモバイルモニターに接続した写真からも分かる様に、ケーブル1本で給電/映像出力ともに可能だった。インターフェイス周囲の半透明な枠がダイナミックに7色に光る。背面には電源入力、HDMI 2.0、HDMI 1.4、Gigabit Ethernet、USB 2.0 2基を配置する。

 付属品はACアダプタとVESAマウンタ。ご覧のようにACアダプタが結構大きく、出力も約90Wある。ミニPC自体は据え置きで使うことが多いので、ACアダプタの大きさはどうでもいいかもしれないが、筐体のサイズ/重量に対してちょっと大きすぎるという感じがしないでもない。

BIOS画面(Main)
BIOS画面(Advanced)。前面のLEDはこのRGB Light Controller Configurationでオフにする

 BIOS画面は起動時に「Delete」キーで表示する。フロントの7色照明がうるさい時は、BIOSのAdvancedオプションにあるRGB Light Controller Configurationでオフにできる。

 内部へのアクセスは、まず裏蓋四隅にあるゴム足と、その下にあるネジを外す。すると内部にもう1枚金属のパネルがあり、四隅にネジがあるので、これを全部外せば無事メモリとM.2 2280 SSDが見える。

 ノイズは耳を近づけてもよく分からないレベルだ。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけるとリアパネル側から暖かい風が出る。とはいえ、心配になる熱さではない。

ゴム足の裏にネジがあるので、これを外せば裏パネルが開くが、その中にもう1枚パネルがある
さらにネジ4本外して内部にアクセスできる。奥がSO-DIMMで、2スロット中1つに16GB、もう1つは空き。手前にM.2 2280 SSD

ハイエンドには劣るものの通常用途なら十分な性能

 初回起動時は、プリインストールや壁紙のカスタマイズなどはなく、Windows 11 Proの標準のままだ。評価用アプリのインストールやファイル操作などを行なっても、特に遅いと感じることはなかった。第10世代以前のCore i5よりは速いように感じる。

 ストレージはM.2 2280 SSD 512GBの「RS512GSSD510」。CrystalDiskMarkのシーケンシャルリード/ライトともに約3,000MB/s出ているので、遅くはないものの、特別速いわけでもない。Cドライブのみの1パーティションで、約476GBが割り当てられおり、空きは446GBだった。

 Gigabit EthernetはRealtek製、Wi-FiはIntel製のWireless-AC 9560。BluetoothもIntel製だ。

初回起動時のデスクトップ。Windows 11 Pro標準のものだ
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージはM.2 2280 SSD 512GBの「RS512GSSD510」。Gigabit EthernetはRealtek製、Wi-FiはIntel製のWireless-AC 9560。BluetoothもIntel製
ストレージのパーティション。Cドライブのみの1パーティションで、約476GBが割り当てられている

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMarkを使用した。

 Ryzen 7 8845HS搭載のハイエンドミニPC「GMKtec NucBox K8 Plus」(約8.4万円、32GBメモリ/1TB SSD)と比較すると、ざっくり2分の1から3分の2ぐらいのスコアを記録した。項目によっては似たスコアのものもある。

 ただし、内蔵GPUは相手がRadeon 780Mと言うことでかなり大きな差だ。とはいえ、価格差が約2倍あると思えば妥当なところだろう。

【表2】ベンチマーク機の仕様
LarkBox SGMKtec NucBox K8 Plus
プロセッサCore i3-1220P
(10コア/12スレッド、2Pコア+8Eコア、クロック最大4.4GHz/キャッシュ12MB)
Ryzen 7 8845HS
(8コア/16スレッド、クロック3.8~5.1GHz/L2キャッシュ8MB、L3キャッシュ16MB)
メモリ16GB(DDR4-3200 1基、SO-DIMM最大2基/64GB)32GB(16GB/DDR5-5600 2基/SO-DIMM最大96GB)
ストレージM.2 2280 SSD 512GB(PCIe 3.0接続)M.2 2280 SSD 1TB(PCIe 4.0接続)
OSWindows 11 ProWindows 11 Pro
グラフィックスUHD GraphicsRadeon 780M
価格4万5,900円8万3,953円(発売時点)
PCMark 10 v2.2.2704
3DMark v2.30.8330
Cinebench R23
CrystalDiskMark 8.0.5

 以上のようにCHUWI「LarkBox S」は、Core i3-1220P/16GBメモリ/512GB SSDを搭載したミニPCだ。ハイエンドミニPCには及ばないものの、普通の処理なら問題ないレベルの性能を兼ね備えている。ただし、内蔵GPUが弱いのでゲーム系は不向きだろう。

 Intel N100では心細いし、かといってハイエンドは財布事情が……といった、5万円を切る価格帯でミニPCを探しているユーザーに使って欲しい1台だ。余裕があるなら、性能向上を見込んでメモリを+16GBすることもおすすめしたい。