イベントレポート
めんどうなことは“先生”にお任せ。次世代Photoshopで垣間見たAIの万能感
~Adobe MAX Japan 2017レポート
2017年11月28日 18:25
Adobeは11月28日、国内でのクリエイターの祭典「Adobe MAX Japan 2017」を神奈川県のパシフィコ横浜にて開催。グラフィックデザイン、写真、Web製作、映像製作などにたずさわるクリエイター向けのイベントとなっており、さまざなセッションやデモ、関係各社によるブース展示が行なわれた。
Adobe MAXについては、すでにアメリカで10月に開催されており、今回のCreative Cloud製品の新機能やアップデート内容については別記事(「Adobe Sensei」はクリエイターの創造性を助けるAIに)が詳しいので、そちらを参照いただきたい。ここでは、基調講演で行なわれた内容を要約してお届けする。
AI機能のAdobe Senseiがユーザーを支援
基調講演で壇上に上がったAdobe Systems本社でデジタルメディア事業部門担当エグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるブライアン・ラムキン氏は、2,000人以上が詰めかけた今回のAdobe MAX Japan 2017に感激した様子を見せるとともに、コンシューマエレクトロニクスの分野などで強い力を持つ日本について、クリエイティブの分野でさらにコラボレーションを進めていく必要性を説いた。
ラムキン氏は、AdobeがCCを通して提供していくものとして、次世代の体験、アセットとインスピレーション、クリエイティビティの加速が重要であるとし、Adobe SenseiというAIを用いることで、より利用者の創造性を高めるなど、インテリジェントなツールを提供し、コミュニティの変革を支援していきたいとした。
このあとはラムキン氏に続き、アドビの各担当者が新しくなったPhotoshopやIllustrator、Capture、Xd、Dimension、Lightroom、Premiere Pro、After Effectsなどを紹介した。
次世代のPhotoshop CCをチラ見せ
基調講演の最後には次のCreative Cloud製品がどうなっていくのか、ちょっとしたお披露目も行なわれた。今回のアップデートでAdobeはたびたびAI機能の「Adobe Sensei」によるクリエイター支援機能をアピールしており、次回のCreative Cloudではこれがさらに進化したものとして提供されるそうだ。
実際にPhotoshop CCを使ったデモが行なわれたが、このデモでは宇宙船や女性が描かれたラフをもとに、Adobe SenseiがサポートしつつSF映画風のポスターデザインを作っていくというもので、制作上のめんどうな作業をAdobe Senseiがうまく助けていくことで、クリエイターの負担を大幅に減らしていた。
とくに、何千枚という写真のなかから人物写真を選ぶさいに、人物の顔の向きなどちょっとしたフィルタをかけることで、写真の絞り込みが行なわれ、ユーザーはスライダーを動かすだけで前後の写真を高速に切り替えてどれが最適な1枚かを選び出せる、といった作業は便利そのもの。
また、ポスターのデザインが完成した段階で、依頼主からやっぱり人物を男性に変えてみてほしいと言われた場合でも、Adobe Senseiでは自動的に使用されている要素をタグ付けしており、現在ポスターのタグを女性から男性に変更するだけで、似たような目線を向けている男性の写真を選び出し、切り抜きまでしてポスターに配置するといったさまは圧巻である。
AdobeはAIを人の仕事を奪うものとしてではなく、もっとクリエイターたちの創作力を高めるツールとして人に寄り添った形で提供することを目指していきたいと述べており、これからのAdobe Senseiの進化によるCreative Cloudの高機能化に期待がふくらむ。