やじうまミニレビュー

ミニPCより大きいかもしれないが……Thunderbolt 4ドック「TB4-01」がシブくてイイ

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
MINISFORUM「TB4-01」

 MINISFORUMの「TB4-01」は、Thunderbolt 4に対応した小型のドッキングステーションだ。既に販売中となっており、価格は3万1,990円となっている。

 同社はこのところミニPCのみならず、ポータブルモニターやゲームコントローラなど多くの周辺機器も手広く展開している。TB4-01もその一環だろう。同社のミニPCはUSB4やThunderbolt 4を搭載している機種が多いので、そのインターフェイスをさらに充実させるという意味では有意義な製品である。

 TB4-01のポートは、以下のようになっている。

  • Thunderbolt 4アップストリーム(USB PD 85W給電対応、PC接続)
  • USB 3.2 Gen 2 Type-C 1基(20W給電対応)
  • USB 3.2 Gen 2 3基
  • HDMI 2.1
  • DisplayPort 1.4
  • 2.5Gigabit Ethernet(Realtek Gaming USB 2.5GbE Family)
  • SDカードスロット(UHS-II対応)
  • microSDカードスロット(UHS-I対応)
  • Thunderbolt 4ダウンストリーム(15W給電対応)
  • 3.5mmミニジャック音声入出力
製品パッケージと内容物
前面インターフェイス
背面インターフェイス
製品情報では縦置き写真もあるが、足がないため若干不安定か

 メインコントローラとしてはIntelの「JHL8440」の搭載が謳われている。このコントローラは2020年第3四半期に出荷開始されたものとなっている。最新世代ではないが、一通りの機能は揃っている。

 また、本製品には180W出力(21V/8.57A)に対応した比較的強力なACアダプタが付属している。Thunderbolt 4アップストリームポートがUSB PD 85Wの給電が可能となっているほか、Thunderbolt 4ダウンストリームで15W、そしてUSB 3.2 Gen 2 Type-Cで20Wと、合計120Wの給電が可能であるため、このACアダプタとなっているのだろう。

 欲を言えば100W給電に対応してほしかったところではあるが、TDP 20~35WクラスのCPUを搭載したほとんどのノートPCでは十分足りるため、PC付属のACアダプタが不要になりそうだ。

 今回は同社のUSB PD給電駆動対応のミニPC「EM780」(Ryzen 7 7840U搭載)と組み合わせてみた。EM780はThunderbolt 4ではなくUSB4だが、各ポートとも機能的には何ら問題なく利用でき、負荷をかけたら電源が落ちるといったような挙動もなかった。EM780にはmicroSDカードスロットはあるが、SDカードスロットがないのでTB4-01の利便性は高い。

インターフェイス数が限られていて、USB PDで動作するEM780とは機能的には相性抜群だが、どっちが本体やら……という感じの大きさに

 これなら、たとえばACアダプタ、モバイルモニター、Bluetoothキーボード/マウスはカバンに入れたままにして持ち運んで外出先で使い、家に帰ったらEM780だけカバンから取り出して、TB4-01にケーブル1本つなげて別のモニターやキーボード/マウスで使う……という「EM780を持ち運ぶスタイル」が現実味を帯びてきそうだ。ちなみにEM780のほうがTB4-01より小さい……。

 なお、パッケージや製品側面には「Wi-Fi 7」のロゴが入っていて、オプション扱いとされている。中がどうなっているのか気になったので分解してみたところ、Wi-Fiモジュール用と思われるM.2スロットが用意されていた。

 つまり、“将来的にあるかもしれないバリエーション”では、Wi-Fi 6搭載のPCをWi-Fi 7にアップグレード……なんてこともできるのだろう。側面のWi-Fi 7と書かれたプラスチック板は、電波を通すためのアンテナを配置する場所だと思われる。そのアンテナとモジュール単体は入手が困難なので、ユーザーが今すぐどうこうできるわけではないが。

製品側面にWi-Fi 7のロゴ。ThunderboltドックとWi-Fi 7とはなんの関係が?というところに引っかかって、「分解して確認しろ」という神のお告げが聞こえた気がしたので分解した
底面のゴム足を剥がせばネジがある、というのは余裕で予測できたのだが、組み立て精度が高く隙間がほとんど見えないため、「前後から開けられる構造」だというのに気づくまで10分ぐらい費やしてしまった

 分解したついでに思ったのだが、内部は相当にチップ数が多いためか、電源以外にも何から何まで排熱に配慮しているようで、基板を2層構造にして表裏のチップの熱による相互の影響を抑えたり、かなり大型のヒートシンク/放熱板を備えるなど工夫を凝らしていた。このような複雑な構造では、Intel N100搭載ミニPCより高い3万円台の価格になるのも無理もないような気がした。

上部LED光拡散用パーツを外せば基板を取り出せる。いきなり超大型ヒートシンクがお出迎え
底面も厚みがかなりある放熱板で覆われている。ヒートシンク側のネジを外せばこちらも外せる
ヒートシンク面。なるほどM.2スロットが見える。ちなみにヒートシンクを外さなくても差し込めるスペースはある
底面もチップがみっちり
基板は2階建てとなっており、熱による影響を抑えているようだ

主要チップのリスト

  • Intel JHL8440 - Thunderbolt 4コントローラ
  • Realtek RTS5453H - Type-C/Thunderboltポートコントローラ
  • Realtek ALC4050 - USBオーディオコントローラ
  • Realtek RTD2188 - DisplayPort 1.4レシーバ兼DisplayPort/HDMIトランスミッター
  • Fresco Logic FL5801 - USB 2.0ハブコントローラ
  • Realtek RTS5420 - 4ポートUSB 3.2 Gen 2ハブコントローラ
  • Realtek RTS5423 - USB 3.2 Gen 2ハブ & USB PD 3.0コントローラ
  • Realtek RTL8156BG - USB 3.2 Gen 1対応2.5Gigabit Ethernetコントローラ
  • Genesys Logic GL3231S - USB 3.2 Gen 1デュアルLUNカードリーダコントローラ

 最後に本製品の評価をまとめると、仮にミニPCでなくても、複数のUSB Type-Cによる複数の充電が行なえるので、ノートPCなどでも活躍しそうな雰囲気だ。値が張るのが難点だが、シブいデザインに高い質感も相まって、卓上に1台欲しいガジェットになると強く感じた。