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Anker、「充電器の過電流は通常の使用では問題なし」。ただし、今後は仕様を変更

Anker 736 Charger (Nano II 100W)

 Ankerは5日、GaN採用の3ポートUSB充電器「Anker 736 Charger (Nano II 100W)」の使用時に過電流が流れることがある問題について、「本事象は強制的に大きな電流を引く電子負荷装置を用いた場合に発生し、PCの充電等の通常使用では安心してお使いいただけます」といった声明を発表した。本機についてレビューしたブログ記事の指摘を受けたもの。


 指摘の内容は、本機に3Aケーブルを接続した際に5Aの電流が流れることがあるというもの。USB PDの規格では3Aケーブルを用いた際の最大出力は60W(20V/3A)となるところを、本機では3Aケーブル使用時でも100W(20V/5A)で出力できてしまったという。一般に導体(今回はケーブル)の許容電流値を超えた電流を流すと、機器の焼損や火災などを起こす可能性がある。

 当該ブログの記事では検証のために電子負荷装置(負荷抵抗器)を使用しており、通常使用において充電器が供給できる範囲以上の電流を要求することができた。Ankerではこれを「特殊環境」とみなしており、通常の使用では起こりえない事象であることから、安全性に問題はないとの認識を示している。

 その根拠として、通常使用時においては、充電器側からケーブル内蔵のeMarker(ケーブルの製造者情報や電気特性などを登録しているICチップ)の有無を確認し、機器側に供給可能な電流の範囲を送信し、機器側で最適な負荷電流を決定する一連の流れが「通常使用」にあたることを挙げている。

 ただしAnkerは「特殊環境」において今回の現象は再現性があることを認めており、理論上は3Aケーブル使用時でも5Aの電流を引くことは可能であるとしている。

 今後の対応として、5日以降に製造するAnker 736 Chargerについては、接続中のケーブルがeMarkerに非対応の場合でも、ソース側で電流を制御する仕様に更新するとしている。また、5日までに購入したユーザーで、今後も本機の使用に懸念がある場合は返金対応も受け付ける。

 なお、記事執筆時点では仕様変更に伴う製品の回収などについて告知がないことから、今後は仕様変更前と変更後の製品が混在して流通するとみられる。