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NVIDIA、RTX 2060搭載ゲーミングノートを999ドルから提供可能に。Max-Q改良やノート向けRTX 2080/2070 SUPERも投入

新しいMax-Qデザインを採用したRazer Blade

 NVIDIAは4月3日、ノートPC向けGPUの価格改定および、ノートPC向け「GeForce RTX 2080 SUPER」や「同2070 SUPER」の追加、熱設計デザインのMax-Qの改良を発表した。

 同社は昨年(2019年)まで、おおまかにGeForce GTX 1050搭載ノートを699ドルから、GTX 1660 Ti搭載品を999ドルからという価格帯で提供していたとするが、今年(2020年)の春よりGTX 1650搭載品を699ドルから、RTX 2060搭載品が999ドルからになるように価格改定を行なった。

 さらに、これまでノートPC向けに存在しなかったGeForce RTX 2080 SUPERと同2070 SUPERを追加して、ハイエンドクラスのラインナップを拡充した。

【表1】ノートPC向けGeForceシリーズのおもなスペック(上位)
RTX 2080 SUPERRTX 2070 SUPERRTX 2080RTX 2070
CUDAコア3,072基2,560基2,944基2,304基
ブーストクロック1,080~1,560MHz1,155~1,380MHz1,095~1,590MHz1,125~1,455MHz
メモリ構成GDDR6 8GB
メモリバス幅256bit
メモリ帯域448GB/s(最大)
TGP(Total Graphics Power)80~150+W80~115W80~150+W80~115W
【表2】ノートPC向けGeForceシリーズのおもなスペック(下位)
RTX 2060GTX 1660 TiGTX 1650 TiGTX 1650
CUDAコア1,920基1,536基1,024基1,024基(最大)
ブーストクロック1,185~1,560MHz1,335~1,590MHz1,200~1,485MHz1,125~1,560MHz
メモリ構成GDDR6 6GBGDDR6 4GBGDDR6 4GB
GDDR5 4GB
メモリバス幅192bit128bit
メモリ帯域336GB(最大)288GB192GB/s(最大)
TGP65~115W60~80W35~55W30~50W

 NVIDIAによれば、ゲーマーによるゲーミングノートPCの買い換えサイクルはおおよそ4年とのことで、2016年時点で999ドルで販売されていたGeForce GTX 960M搭載ノートは、今回999ドルからとなったRTX 2060では性能が5倍向上しているほか、レイトレーシング機能やAIを駆使するポストプロセス処理のDLSS(Deep Learning Super Sampling)が利用できるといった利点を挙げる。

 また、今回のノートPC向け新GPU投入にともない、ゲーミングノートPCの熱設計デザイン「Max-Q」の改良を実施。その改良点の1つとして「Dynamic Boost」を取り入れた。

 Dynamic Boostは、CPUとGPUで消費される電力のバランスを取り、性能を最適化するという機能で、たとえばゲーム中にGPUに大きな負荷がかかっている場合、GPUがボトルネックとなってそれ以上の性能向上が見込めないが、ここでCPU側の電力を意図的に下げることで、GPU側にその分の余力を回し、GPUをブーストさせるというもの。

 NVIDIAが今回示しているMax-Qでは、CPUとGPUを合わせて総合115W(CPU: 35W + GPU: 80W)の熱設計となっており、ゲーム中にCPUの電力を15W下げることで、GPU側は95Wを利用可能になり、15W分の性能向上によってボトルネックの解消につなげる。これにより、熱設計の限界を超えずに性能を調整できる。

 Dynamic Boostを有効にすることで、性能は6%~10%ほど向上するという(RTX 2080 SUPERの場合)。なお、Dynamic Boostに対応するゲーミングノートPCは新設計を採用したものにかぎられ、既存のMax-Qデザインのノートでは利用できない。

 新しいMax-Qでは、CPU内蔵のGPUとディスクリートGPU(GeForce)を状況に応じて切り替えることで、バッテリの節約/省電力化を図るOptimus Technologyが「Advanced Optimus Technology」へと刷新され、切り替え時に生じるレイテンシなどを改善。

 これまでのOptimusではディスクリートGPUがディスプレイを直接駆動できないため、4Kといった高解像度での高リフレッシュレートを提供できなかったが、今回これを改善するハードウェアボードとして「Dynamic Display Switch」をパートナー企業と協力して開発した。Intelだけでなく、AMDのCPUでも利用可能としている。

 これ以外には、低電圧で駆動するGDDR6を考案し、メモリが消費する電力を下げることで、GPU性能の向上に貢献させたほか、新世代の電源回路を実装させることで、電力効率を改善させている。