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ゲームするならFreeSync/G-SYNCでより快適に

描画が間に合わないときの“ズレ”
スタッタリングは垂直同期を無効化すると解消できるが、無効化すると画面が中途半端に更新されるテアリングが発生するようになる。画面中央付近でこれが出ると非常に見づらい(画像はイメージ)

 液晶の表示は一定間隔で発生する「リフレッシュ」のタイミングに合わせて切り換わる。一般的なもので秒間60回、ゲーマー向けのもので144回などだが、PCゲームのフレームレートと液晶のリフレッシュレートが食い違うと表示が崩れる(テアリング)、あるいはモタ付く(スタッタリング)という症状が出る。どちらも動きの激しいゲームで発生すると視認性が悪くなったり、操作が遅れたりする。

 これに対する回答がVRR(Variable Refresh Rate)技術であり、GeForceなら「G-SYNC」、Radeonなら「FreeSync」という規格が該当する。フレームレートがリフレッシュレートを下回りやすい環境なら、G-SYNCやFreeSync液晶を使うことで画面表示がワンランク上のなめらかさを感じられるようになるだろう。(TEXT:加藤勝明)

速すぎても遅過ぎても“ダメ”
描画処理が次のリフレッシュタイミングに間に合わないと、一つ前のフレームの絵がそのまま使われる。これがスタッタリングだ。これが発生するとプレイヤーの反応も遅れてしまう

NVIDIA G-SYNC

 GeForce系専用のVRR規格が「G-SYNC」。液晶側に専用基板を必要とするため製品が高価だが、30fpsまで追従してくれたりリフレッシュレートが変動したときに信号強度を調整して画質の変化を抑えたりなどの工夫がある。今年に入ってHDR1000対応の“G-SYNC Ultimate”という規格も登場した。

  • 低fps時の追従性が高い
  • 画質も考慮される
  • 入力はDisplayPortのみ
全部入りの最強液晶
ASUSTeK Computer
ROG Swift PG27UQ
実売価格:265,000円前後
4Kでリフレッシュレート144Hz、さらに量子ドット採用のIPS、HDR1000対応のG-SYNC Ultimateと欲しい機能をすべて集結させた超ハイエンド液晶。これで心ゆくまでゲームを楽しみたい

AMD FreeSync

 Radeon用のVRR規格だが、もともとはVESA規格にある「Adaptive Sync」をAMDが製品化したもの。液晶側に専用回路を必要としないため安価であり、HDMI入力でも効くのが強み。その半面低fpsの追従性に劣る(45fpsまで)。最近GeForce系でも利用できるようになった。

  • 専用基板が不要なので安価
  • DisplayPortとHDMIで利用可能
  • GeForceでも限定的ながら対応
エンタメ向けの大画面4K
BenQ
EW3270U
実売価格:60,000円前後
4K液晶はGPUパワーを盛ってもフレームレートが落ち込みやすい。ゆえにVRRの恩恵を受けやすい領域だ。リフレッシュレートは60Hzまでだが、普通のゲームプレイには十分な実力

FreeSync液晶でG-SYNCを使う

 つい最近まで、FreeSync対応液晶でVRRを使うにはRadeonが必須というのが常識だった。しかしNVIDIAが417.71ドライバより追加した“G-SYNC Compatible”対応によって、FreeSync液晶をGeForceにつないでもVRRが利用できるようになった。G-SYNC Compatibleとは、NVIDIAのラボが表示品質(この品質とはリフレッシュレートが変動したときの見え方のこと)などをチェックし、問題ないとしたFreeSync液晶に与えられる認証のことだが、この認証のないFreeSync液晶であってもVRRを有効にできる。

 GeForceでFreeSync液晶を使うための条件は三つある。まずPascal世代以降のGPUであることと、対象の液晶とはDisplayPortで接続されていること(HDMIでは不可)。そして417.71以降のドライバが導入されていることだ。条件が正しく揃っていれば、NVIDIAコントロールパネル上に「G-SYNC」の設定が出現する。もし条件が揃っているのに設定が出現しない場合は、液晶側のFreeSync設定が無効になっていないか調べよう。

 しかしこうなると気になるのは割高なG-SYNC液晶の存在意義だが、それは杞憂に過ぎない。G-SYNC CompatibleでFreeSyncを利用しても、ゲーム画面の表示に難ありだったり、リフレッシュレートを下げないとVRRにならない、などの不具合が出ることがあるのだ。逆に言えば、G-SYNCは表示や動作を保証するための規格なのだ。より高付加価値を求めるならG-SYNCがよいが、コスパを求めるならFreeSync液晶を利用するのがよいだろう。

条件を満たせば出現する
GPUやドライバなどの条件が揃っていれば左側に「G-SYNC」の設定が出現。右下に出るボックスにチェックを付けると、G-SYNC Compatible認証のない液晶でもG-SYNC液晶として扱われる。最後に画面右下にでる「適用」をクリックだ
リフレッシュレートは120Hzを推奨
Optix MPG27CQは専用のツールを使うとリフレッシュレートを120Hzから144Hzに引き上げることができるが、144Hzだと残像感がキツくなるので、120Hzのままで使うことをオススメしたい
144Hz&高視野角モデル
Micro-Star International
Optix MPG27CQ
実売価格:62,000円前後
湾曲27型WQHD液晶。VAパネルを採用しているため視野角が広いわりにはお値段お安めなのが特徴。G-SYNC Compatible認証は受けていないが、GeForceでVRR動作が確認できた。

残像感が出るケースも

G-SYNCは動作するが……
MG279Qでリフレッシュレートを90Hzに抑えればVRR動作が確認できたが、この液晶とG-SYNCの相性が悪いせいか、残像感が強くあまり快適とは言えなかった
NVIDIAの認定リスト
NVIDIAが公開しているG-SYNC Compatible認証済み液晶のリスト。これはVRR動作が確認されただけでなく、リフレッシュレートが変動したときに画質が荒れないなどの表示品質もチェックされ、検査をパスした製品が掲載されている
4年前の高性能ゲーミング液晶
ASUSTeK Computer
MG279Q
実売価格:84,000円前後
27型WQHDなFreeSync液晶。リフレッシュレートは144Hzまで上げられるが、4年前の製品だけにFreeSync(VRR)使用時は90Hzまでという制約がある。

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