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WD、2019年からNAND/HDDのコントローラを順次RISC-Vベースに移行

マーティン・フィンク氏

 Western Digital(WD)は21日(日本時間)、都内で記者会見を開き、来日した同社エグゼクティブバイスプレジデント 兼 最高技術責任者のマーティン・フィンク氏が、自社製品で採用を進めているRISC-Vアーキテクチャについて解説した。

 WDは2017年11月に、自社製品にRISC-Vアーキテクチャを採用していくことを発表している。具体的には、現時点ではプロプライエタリのHDDやNANDコントローラを、オープンソースのRISC-Vに置き換えていくことを目指しており、年間10億コア以上の採用を約束している。

 RISC-Vの採用がはじまった背景には、この数年でデータ自身の使われ方が大きく進化してきたからだとする。当初はワープロや表計算といった単純なデータだったが、やがて人々のコミュニケーションに使われるようになり、さらにはビッグデータで生産性の向上に使われるようになった。そしていまや仮想通貨としてもデータは存在し、その価値は年々高まりつつある。

 WDは、今後データは二極化していくとする。1つ目はこれまで業界が注力してきたビッグデータで、大容量データを保存できるコストパフォーマンスが求められている。もう1つはファストデータで、より低い処理レイテンシが求められている。

 これらのデータの処理には、もはや従来の汎用プロセッサだけでは賄えなくなると同氏は言う。というのも、汎用プロセッサの仕様がデータやアプリケーションの可能性を拘束してしまうからだ。平たく言えば、4ドアセダンの自動車だけでは、人間の移動に対するニーズに応えられず、場合によってはトラックを利用したり、電車を利用したり、航空機を利用したりする必要がある、というわけだ。

 ことビッグデータに関しては、HDDやSSDといったストレージ主体のアーキテクチャを採る必要がある。一方でファストデータに対しては、メモリ主体のアーキテクチャが必要だ。RISC-Vでは、各々のワークロードに対して個別な拡張性を実現できるオープン性が担保されており、WDはこの特徴を活かしたコントローラを開発し、現在のコントローラよりも低コストでかつ効率性に優れたものを実現するとした。

 なお、WDはRISC-Vベースのコントローラを採用した製品を2019年から提供開始していき、5~7年以内をめどに既存製品を置き換えていくとのことだった。ただ、RISC-Vを使ったプロセッサやコントローラの販売やライセンス提供などは考えておらず、基本的に今までどおり自社のデバイスに組み込み、デバイスのかたちでエンドユーザーに届けていくとのことだ。

データの役割の変化
ビッグデータとファストデータの違い
汎用アーキテクチャは限界を迎えつつある
データを主体とした環境
ビッグデータとファストデータのニーズに応えられるRISC-V
カスタムにより、ストレージ主体のアーキテクチャにもメモリ主体のアーキテクチャにも適応可能
RISC-V Foundationの加盟企業
WDのRISC-Vへの貢献