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微細化の次はパッケージング。半導体の未来を担う技術が国際学会ECTCに集結

ECTCの会場である「JWマリオット・アンド・ザリッツカールトン・グランドレイクスリゾート」の外観。現地時間2026年5月26日に筆者が撮影

 半導体および電子部品のパッケージング技術と半導体パッケージをプリント基板に接続する技術の研究開発成果を発表する世界最大の国際学会「The 2026 IEEE 76th Electronic Components and Technology Conference」(ECTC 2026)が5月26日に米国フロリダ州オーランドのリゾートホテル「JWマリオット・アンド・ザリッツカールトン・グランドレイクスリゾート」で始まった。

 ECTCは、半導体パッケージング技術と実装技術の研究開発コミュニティでは、知名度が最も高く、なおかつ開催規模でも最大の学会だといえる。特にここ数年は半導体パッケージング技術の重要性が急激に高まっていることから、ECTCの開催規模は急速に増加してきた。

ECTCの概略

 2026年のECTCは450件を超える成果発表を予定しており、2,000名を超える参加者が集まると期待される。また併設の展示会には、130社/組織を超える出展者が展示を予定する。会期は4日間。始めの1日間(5月26日)はプレイベント。2日目から4日目(5月27日から29日)がメインイベント(技術講演会およびポスター発表)とサブイベント(展示会やレセプションなど)というスケジュールだ。

ECTC 2026の開催概要。公式Webサイトからまとめたもの

前日イベントでは16件の技術講座と10件の特別技術セッションを実施

 ここからは火曜日~金曜日の日程を簡単に説明しよう。5月26日はすでに述べたように、プレイベントが実施される。半導体国際学会では通常、プレイベントとして技術講座(「ショートコース」や「チュートリアル」などと呼ばれることが多い)を用意する。

 ECTCでも「プロフェッショナル開発コース(PDC: Professional Development Course)」と呼ぶ技術講座を予定する。午前と午後にそれぞれ8件の講座を並列に実施する。なおPDCの参加料金はECTCの参加料金とは別扱いなので、注意されたい。

ECTC 2026の主なスケジュール(5月26日)。プレイベント日であるにもかかわらず、技術講座以外にも多彩な催しが実施される。公式Webサイトの掲載情報を筆者がまとめたもの
26日午前のPDCの講演題目。公式Webサイトから筆者がまとめたもの
26日午後のPDCの講演題目。公式Webサイトから筆者がまとめたもの

 ECTCがほかの電子技術系国際学会と大きく異なるのは、技術講座以外のプレイベントが数多く用意されていることだろう。5月26日には「スペシャルセッション」および「ワークショップ」と呼ばれるパネル討論会が、午前から午後、夜間まで合計で10件も用意されている。これらのサブイベントは追加料金なし(技術講座を除く)で参加できる。このため、前日午前の段階で現地での登録を完了させる参加者が少なくない。

36セッション×7件と大量の研究成果を3日間の技術講演会で披露

 5月27日には、メインイベントである技術講演会が始まる。基調講演に続いて午前と午後にそれぞれテーマ別に6つの講演セッションを並行して実施する。セッションごとの講演数は7件である。さらに午前と午後には、ポスター発表と展示会を開催する。そして夕方には、展示会場で歓迎会が催される。

 5月28日は始めに、パネル討論会を予定する。続いて前日と同様に、午前に6テーマ、午後に6テーマの講演セッションを並行して実施する。ポスター発表と展示会も前日と同様に、午前と午後に開催する。また夜には、公式レセプションを予定する。

5月27日~28日の主なスケジュール。公式Webサイトの掲載情報を筆者がまとめたもの

 最終日の5月29日は始めに、パネル討論会を予定する。続いて前日と同様に、午前に6テーマ、午後に6テーマの講演セッションを並行して実施する。ポスター発表は午前のみとなる。

5月29日の主なスケジュール。公式Webサイトの掲載情報を筆者がまとめたもの
プレナリーセッションのイベント予定。基調講演が初日の1件だけと少ない。公式Webサイトの掲載情報を筆者がまとめたもの

将来の3D NANDフラッシュを支えるハイブリッド接合

 ここからは、技術講演会の注目発表を紹介していく。ECTC2026の技術委員会が選択したハイライト論文から、一部を選択した。分野別のテーマは「ハイブリッド接合およびヘテロ集積」、「フォトニクスとコパッケージオプティクス」、「アセンブリ技術と製造技術」、「信頼性」である。

 「ハイブリッド接合およびヘテロ集積」分野では、Applied MaterialsとEV Groupの共同研究チームが、450nmと狭いピッチで2,000万と数多くの銅(Cu)ビア電極同士をハイブリッド接合し、98%と高い歩留まりを達成した(講演番号18.4)。Cu結晶粒の精密な寸法制御と結晶配向の精密な制御が欠陥の低減に寄与した。

 キオクシアは、反りの大きなウェハをハイブリッド接合するときの位置合わせ(アラインメント)誤差を補正する技術を開発した(講演番号26.4)。800nm以下のピッチでデイジーチェーン接続する接合の歩留まりとエレクトロマイグレーション特性、ストレスマイグレーション特性(ボイド発生)が改善する。将来の3D NANDフラッシュメモリ製造に役立つとする。

 ASMLとimecの共同研究チームは、ダイとウェハをハイブリッド接合するときの重ね合わせ精度を最適化するシステマチックなアプローチについて述べる(講演番号31.2)。カギとなるのは高精度のグリッド測定であり、ダイの歪みを正確に定量化しつつ、歪みの発生要因を特定可能にする。

 CEA-Letiは、電解メッキで作成したインジウム(In)マイクロバンプで5μmピッチの微細な接続を実現するための方策を説明する(講演番号21.7)。目標とするマイクロバンプの直径は3μmとかなり小さい。

「ハイブリッド接合とヘテロ集積化」に関する注目発表。ECTC2026技術委員会が選定したもの

光関連では超高速光基板と低損失高信頼コネクタに注目

 「フォトニクスとコパッケージオプティクス」分野では、産業技術総合研究所と京セラの共同研究グループが、16チャンネルのシリコンフォトニクス送受信回路チップやマイクロミラー、光再配線層(ORDL)などを搭載したアクティブな光パッケージ基板の研究成果を披露する(講演番号7.4)。試作品で112Gbit/sのPAM4方式データ伝送を実施した。基板1枚当たりの最大伝送速度は6.4Tbit/sに達するとする。

 GlobalFoundriesとCorningの共同研究チームは、着脱可能な光導波路コネクタ「GLASSBRIDGE」とシリコンフォトニクスのチップをイオン交換技術によって受動的に集積させた(同15.2)。接続損失は1.5dB/面以下。280mWの電力を扱える。

 Intelは、低損失かつ高信頼の端面結合(エッジカップリング)アーキテクチャを披露する(ポスター発表番号38.17)。ファンアウト型ガラス結合器と着脱可能な光ビーム拡張コネクタを組み合わせた。光ファイバからシリコン光回路(PIC)までの単方向損失は約1.55dBである。100回超の着脱テストによる性能変化は0.01dB未満にとどまる。

「フォトニクスとコパッケージオプティクス」に関する注目発表。ECTC2026技術委員会が選定したもの

巨大なパネル基板の一括製造と微細な配線の形成を両立させる

 「アセンブリ技術と製造技術」分野では、University of Floridaが、電解メッキによる銅/コバルト(Cu/Co)多層構造のメタ導体によってCu導体ワイヤに比べて高周波損失の低い有線伝送媒体を開発した(講演番号11.2)。37.5GHzにおける挿入損失は0.065dB/mmと低い。10ペアの媒体では、30GHz~50GHzの周波数領域ではCuワイヤに比べると平均して0.075dB/mmの損失低減が見込める。

 レゾナックは、320mm角と大きなガラスパネルに幅/間隔(L/S)が2/2μmと微細な配線を形成する技術を報告する(同14.2)。パネルレベルのCMPによる平坦化とダマシン技術によって微細な「銅/チタン/有機ポリマー」配線を形成した。平坦度(粗さ)は100nm以下である。HBM4クラスの高密度再配線層(RDL)への適用を想定した。

 ウシオ電機は、継ぎ目部分なしでレチクル18枚相当の巨大な面積を露光する技術を開発し、幅/間隔がいずれも1.5μmと狭い配線を形成してみせた(同28.2)。露光対象はガラス基板で、大きさは510mm × 515mmである。

 NopionとHanyang Universityの共同研究グループは、ナノサイズのはんだ粒子を含んだ導電性接着剤による自己アセンブリ技術を提案する(同29.1)。シリコン基板に10μm角の接着剤パッドを設けたときの接続を評価した。自己アセンブリは熱処理によって生じる。

「アセンブリ技術と製造技術」の注目発表。ECTC2026技術委員会が選定したもの

高性能先進パッケージ「CoWoS」の信頼性データが続出

 「信頼性」分野では、TSMCが先進パッケージ技術「CoWoS」の機械的な故障メカニズムを分析した結果を発表する(講演番号6.3)。モールド封止材料(EMC)とシリコンダイの熱膨張係数の違いによる応力を中間基板(インターポーザ)の剛性が緩和しており、このことがシリコンダイの角におけるEMCのはく離を防いでいた。

 Delft University of Technologyは、エージェント型AIチームが運用する機械学習モデルを活用した信頼性評価の仕組みを構築した(同24.1)。具体的にはまず、断片的に存在する信頼性文献情報を構造化して知識ベースとする。次にAIエージェントがエレクトロニクスの信頼性評価に必要とする試験条件を推奨し、試験結果を知識ベースに組み込む。パワーエレクトロニクス用IGBTデバイスをパワーサイクリング条件下で評価する事例に適用してみせた。

 TSMCはまた、OCP(Open Compute Project)のアクセラレータモジュール向けに開発したCoWoS-Rパッケージの包括的な信頼性をボードレベルで調査した(ポスター発表番号37.15)。CoWoS-Rのサイズはレチクルの3.3倍である。信頼性調査の対象はアクセラレータモジュール全体。温度サイクル試験、振動試験、衝撃試験を実施したところ、ボードレベルの信頼性を大きく左右するのは温度サイクル試験であること、BGAパッケージのクラックがパッケージ基板側とボード側の両方で生じることが分かった。

 ルネサス エレクトロニクスは、チップレット(ミニダイ)と有機材料の中間基板(インターポーザ)を使う2.5次元パッケージでミニダイとインターポーザを接続するマイクロバンプの信頼性を評価した(講演番号35.3)。マイクロバンプはCu/ニッケル(Ni)/Cu/はんだの4層構成、直径は25μm~58μmである。マイクロバンプの直径が短くなると「はんだ」組成の減少によって金属間化合物の生成による抵抗上昇が高温環境で顕著になる。高温環境が必須の自動車用途には、バンプ組成とバンプ形状の両方を精密に制御しなければならないとする。

「信頼性」の注目発表。ECTC2026技術委員会が選定したもの

 このほかにも個人的に興味深い発表が少なくない。そのいくつかは現地レポートでご報告する予定だ。ご期待されたい。