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先進パッケージ技術に関する世界最大の国際学会「ECTC」、前日イベントから大盛況
2025年5月29日 06:06
半導体(および電子部品)のパッケージング技術と、半導体パッケージをプリント基板に接続する技術(実装技術、あるいはボードアセンブリ技術)の研究開発成果を発表する世界最大の国際学会「The 2025 IEEE 75th Electronic Components and Technology Conference」(ECTC 2025)が、米テキサス州ダラスのリゾートホテル「Gaylord Texan Resort & Convention Center」で5月27日に始まった。
ECTC(「イーシーティーシー」と呼ぶことが多い)は、半導体パッケージング技術と実装技術の研究開発コミュニティでは、知名度が最も高く、なおかつ開催規模でも最大の国際学会だと言える。特にここ数年は、半導体パッケージング技術の重要性が急激に上昇してきたことから、開催規模が急速に拡大しつつある。
2025年のECTCは、400件を超える成果発表を予定しており、2,000名を超える参加者が集まると期待される。また併設の展示会には、135を超える企業や組織が出展を予定している。
会期は4日間、初日(火曜日)はプレイベント(前日イベント)。2日目~4日目(水曜日~金曜日)がメインイベント(技術講演会およびポスター発表)とサブイベントというスケジュールだ。今年は5月27日がプレインベント、28日~30日がメインイベントおよびサブイベントとなる。
プレイベント恒例の技術講座は合計16件を予定
ここからはECTCの日程を簡単に説明しよう。初日はすでに述べたように、プレイベントが実施されるが、半導体国際学会では通常、プレイベントとして技術講座(「ショートコース」や「チュートリアル」などと呼ばれることが多い)を用意する。
ECTCでも「プロフェッショナル開発コース(PDC : Professional Development Course)」と呼ばれる技術講座を予定する。午前と午後にそれぞれ8件の講座を並列に実施する。なお、PDCの参加料金はECTCの参加料金とは別扱いなので注意されたい。
チュートリアル以外に、パネル討論会などが充実の前日イベント
ECTCの基本的な日程は、1日間のプレイベントと3日間のメインイベントで構成される。ECTCがほかの電子技術系国際学会と異なるのは、技術講座以外のプレイベントが数多く用意されていることだろう。
5月27日には「スペシャルセッション」および「ワークショップ」と呼ばれるパネル討論会が、午前から午後、夜間まで合計で10件も用意されている。ここまで「豪華な」メニューの前日イベントは、ECTC以外の国際学会では見たことがない。
「豪華」と表現したのには2つの意味がある。まずスペシャルセッションの参加料金は、技術講演会の参加料金に含まれていることだ。追加料金なしに聴講できるのはありがたい。また前日イベントであるにもかかわらず、プロフェッショナル開発コース(別料金)の受講者以外にも、昼食が提供される。
5月28日には、メインイベントである技術講演会が始まる。キーノート講演に続いて、午前と午後にそれぞれ6つのテーマ別講演セッションを並行して実施する。さらに午前と午後には展示会も開催する。すでに説明したように135を超える企業と組織が出展を予定しており、半導体系の国際学会では規模が非常に大きな展示会となっている。そして夕方には、展示会場で歓迎会(レセプション)が催される。
5月29日は初めに、「電源供給技術」をテーマとするパネル討論会を予定する。続いて前日と同様に、午前に6テーマ、午後に6テーマの講演セッションを並行して実施する。展示会も前日と同様に、午前と午後に開催する。また、夜には公式レセプションを予定する。
5月30日はまず、ECTCの第75回を記念したパネル討論会を予定する。続いて前日と同様に、午前に6テーマ、午後に6テーマの講演セッションを並行して実施する。各講演セッションはすべて、7件の技術講演で構成される。
追加すると、技術講演以外にはポスター発表のセッションが用意される。28日の午前と午後、29日の午前と午後、30日の午前と計5つのセッションがある。なお、ECTCはポスターセッションを「インタラクティブセッション」と呼んでいるので留意されたい。
高性能コンピューティングを支える中間基板とシリコンブリッジ
ここからは、技術講演会の注目発表を紹介していこう。紹介の都合から、分野別テーマを「高性能コンピューティング」、「ハイブリッド接合」、「放熱/冷却」、「自動車/高信頼パッケージ」、「大型パッケージ」、「ガラス基板」、「マシンラーニング/AIの活用」、「光電融合」に区分けした。技術講演セッションのテーマとは合致していないので、あらかじめ了承されたい。
「高性能コンピューティング」には、HPC/AIに向けた2.5次元および3次元の先進パッケージング技術をまとめた。まずIntelが、20Tbit/s/mmのD2D(隣接ダイ間)高転送密度を実現する先進パッケージング技術を発表する(講演番号および論文番号5.1)。それからMarvell Technologyが、チップレット時代の高速パッケージ設計とその最適化について述べる(番号5.3)。
TSMCは、1.4/1.4μmの高密度RDLと3μm極小ビアを駆使した高密度CoWoS-Rパッケージの開発成果を披露する(番号7.1)。同社はまた、CoWoSパッケージに組み込む集積化定電圧回路の電源供給特性を報告する(番号5.4)。
シリコンブリッジ関連では、Samsung Electronicsが、HPC/AI向けパネルレベルパッケージに埋め込むマルチシリコンブリッジを開発した(番号7.2)。IBMグループは、はんだ接合の毛細管力を利用したアクティブシリコンブリッジのセルフアラインメント技術を発表する(番号7.3)。Intelは、EMIBとTSVの組み合わせによる次世代の先端パッケージング技術について述べる(番号7.5)。
このほかGlobal Unichipが、AIアクセラレータのASICダイとHBM3モジュールをSi中間基板に2.5次元集積したシステムの信号品質と消費電力、放熱の協調設計を報告する(番号7.7)。Samsungは、次世代の高密度接続向けにパネルレベルRDL中間基板パッケージを開発した(番号13.2)。
さらにSK-hynixは、半導体メモリ用FOWLPパッケージの多層再配線層で接着力を強化する手法を発表する(番号13.4)。ASE(Advanced Semiconductor Engineering)は、300mmパネルによるファンアウトチップラスト方式のFOPLP製造技術を開発した(番号13.7)。
なお、誌面と作業時間の都合により、「ハイブリッド接合」以降の注目発表は次回の本コラムでご紹介する。どうかご了承いただきたい。




















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