西川和久の不定期コラム

2,880×1,920ドット3:2液晶を採用したIntel N100搭載の2in1タブレット

CHUWI N100 Hi10 Max(ペンとキーボードはオプション)

 この連載ではここのところミニPCの紹介ばかり続いていたが、今回は久々の着脱式2in1。プロセッサはIntel N100と強くないものの、パネルは12.9型IPS式2,880×1,920ドット!編集部から実機が送られてきたので試用レポートをお届けしたい。

Intel N100を搭載した12.9型2,880×1,920(3:2)の2in1

 ここのところRyzenやCore Ultra搭載の強そうなミニPCばかり続いたが、久々にWindowsを採用した2in1の登場となる。

 プロセッサがIntel N100なのであまり重い処理には向いていないものの、何といっても12.9型IPS式2,880×1,920ドット(アスペクト比3:2)のパネルが筆者的には魅力的だ。加えてキーボードバックライトあり、キックスタンド式の2in1となれば、好みにジャストフィット(笑)。

 本体のみ、本体+キーボード、本体+ペン+キーボードなど、何パターンかあるが、手元に届いたのは全部入り。主な仕様は以下の通り。

CHUWI「N100 Hi10 Max」の仕様
プロセッサIntel N100(4コア/4スレッド、クロック最大3.4GHz、キャッシュ6MB、TDP 15W)
メモリ12GB(LPDDR5)
ストレージSSD 512GB
OSWindows 11 Home(23H2)
グラフィックスIntel UHD Graphics/Micro HDMI、Type-C
ディスプレイ12.9型IPS式2,880×1,920ドット(3:2/タッチ対応)、輝度最大300cd/平方m
ネットワークWi-Fi 6、Bluetooth 5.2
インターフェイスUSB 3.2 Gen 1 Type-C 2基、USB 3.2 Gen 1 1基、3.5mmジャック1基、500万画素前面/800万画素背面カメラ
バッテリ36.48Wh (7.6V/4,800mAh)
サイズ/重量287.4×208.5×9mm(幅×奥行き×高さ)、重量1,060g
価格5万2,900円(本体のみ)。HiPen H7/新バージョン/3,500円と、キーボード/6,000円は別売。手元に届いた本体+キーボード+HiPen H7/新バージョンだと6万500円

 プロセッサはIntel N100。4コア4スレッドでクロックは最大3.4GHz。キャッシュ6MB、TDP 15W。Eコアのみの構成で、第6~7世代Core iプロセッサと同性能程度と言われ、過去実際試してもそんな感じだ。ただメモリがシングルチャンネルなので、GPUも含め、この点は不利となる。

 メモリはLPDDR5で12GB、ストレージはSSD 512GB。OSはWindows 11 Home。23H2だったので、この範囲でWindows Updateを適応し評価した。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel UHD Graphics。外部出力用にMicro HDMI、USB Type-Cを備え、本体のパネルも含め同時3画面出力に対応する。

 ディスプレイは12.9型IPS式2,880×1,920ドット。アスペクト比3:2は筆者の好み。2in1なのでもちろんタッチ対応となる。明るさは最大300cd/平方m。

 ネットワークは、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2。そのほかのインターフェイスは、USB 3.2 Gen 1 Type-Cが2基、USB 3.2 Gen 1が1基、3.5mmジャック、500万画素前面/800万画素背面カメラ。

 36.48Wh (7.6V/4800MA)のバッテリを内蔵し、サイズ287.4×208.5×9mm、重量1,060g(キックスタンド兼裏カバー込み)。

 価格は本体のみで5万2,900円。これには裏側のキックスタンド兼カバーも付属する。手元に届いた本体+キーボード+HiPen H7/新バージョンだと6万500円。本体+キーボードだと5万7,900円。用途にもよるだろうが、後で追加購入も面倒なので、全部入りがベストかもしれない。

前面。パネル中央上にWebカメラ。フチはそれなりにある
背面。右上に背面カメラ。色はスペースグレーぽい
右側面は3.5mmジャックとType-A。下側面はキーボード用のコネクタ(キーボードを接続した状態)
左側面にUSB 3.2 Gen 1 Type-Cが2基とMicro HDMI。上側面に電源ボタンと音量±ボタン
キックスタンドは上側を倒す仕組み。初め下側が磁石でなかなか外れず?となった(笑)
横から。9mmなので結構薄い。キーボードはこの写真では直置きになっているが、扉の写真のように少し傾けることもできる
キーボード(オプション)。USキーボード。日本キーボードよりキーが少ない分、スッキリしている。実測で377g
キーピッチは実測で18mm
重量(本体)。キックスタンド兼裏カバーで1,022g。裏カバーを外すと778g
ACアダプタとHiPen H7/新バージョン(オプション)。ACアダプタは実測で129g。Type-Cで36Wなので多くのACアダプタで充電可能。ペンは単6電池1本使用。重量は実測で20g(電池込み)
ペン使用中。ペアリングなどは必要なく即使用可能。特に可もなく不可もなく的な感じだ

 筐体はスペースグレーっぽい色、質感で悪くない。重量は本体のみで778g、キックスタンド兼裏カバーで1,022g。オプションのキーボードを加えると1,399g。安価な12.9型としては軽い方ではないだろうか?

 前面はパネル中央上にWebカメラ。フチはそれなりにある。背面は右上に背面カメラ。右側面は3.5mmジャックとUSB 3.2 Gen 1 Type-A。下側面はキーボード用のコネクタ(写真はキーボードを接続した状態)。左側面にUSB 3.2 Gen 1 Type-C×2とMicro HDMI。上側面に電源ボタンと音量±ボタンを配置。充電するType-Cが上側にあるのは、キーボードを付けてノートPC風に使う時、ケーブルが邪魔になる。下にできなかったのだろうか?

 付属品はACアダプタとキックスタンド兼裏カバー。ACアダプタはUSB Type-Cで36W。おそらくこれがなくてもどこでも充電できる。キックスタンド兼裏カバーは、写真から分かるように、上半分を折り曲げる。キックスタンド=下半分を折り曲げるっと思っていたので、届いてすぐは「?」となった(笑)。掲載した写真の傾きが上限となる。

 12.9型のディスプレイは3:2の2,880×1,920と筆者の好みだ。2in1も含めノートPC系のパネルは3:2が使いやすい(タブレット時縦でも)。明るさ、コントラスト、発色、視野角は十分以上。特にクラスを考えると色が綺麗だ。また明るさ0でも夜など暗めの場所で使うと結構明るい。

 i1 Display Proを使い特性を測ったところ、最大輝度374cd/平方m。写真の鑑賞/編集で最適とされる標準の明るさ120cd/平方mは、最大から-8が111cd/平方m、-7が147cd/平方m。従って後者で計測。黒色輝度は0.087cd/平方mと少し浮いているがIPSパネルなら一般的。リニアリティはかなりいい。ただしBの補正量だけ気持ち下げ目(=補正前は少し青い)。

測定結果1/白色点と黒色輝度
測定結果2/R・G・Bのリニアリティ

 発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると上側に少し熱を持つ。ただ持つ手が熱いと思うほどでもなく、大したことはない。

 前面カメラはビデオ会議でよく見かける画質だ=ノートPCのWebカメラと同程度。背面カメラは、パノラマ、ビデオ、写真、ドキュメント、ホワイトボード、バーコードのモードがある。写りは掲載した通り。大きく重いので何かで固定しないと手ブレする上、肝心の画質もご覧の通り。スマホで撮った方がいいだろう。

背面カメラの作例

 サウンドは横からの写真、側面の下の方にドットがあるが、それがスピーカー。横位置時にステレオとなる。が、ちょっとパワー不足。音質は仕方ない(=一般的なノートPC程度)として、もう少し最大音量を上げてほしいところか。

 キーボードはオプション。US配列でOFF+3段階のバックライトキー付きとなる。扉の写真では後ろの部分がタブレット下側に付き、キーボード自体が少し傾くようになっている。が、ここに磁石があるわけでもなく、気を抜くと横からの写真のように、平置きになってしまう。キーピッチは実測で18m。打鍵感はストロークが深めだが悪くない。傾けてる時は宙に浮いているため、フワフワするのは仕方ないところ。

オプションのキーボードはバックライト付き。OFF+3段階

 ペンはHiPen H7、HiPen H7/新バージョン、HiPen H8と3タイプある。H7はどちらも単5電池、H8はUSB Type-C充電池を利用する。H7とH7/新バージョンはペン先1.9mm/感圧レベル4,096か、ペン先2.0mm/1,024かなどの違いとなる。またMPP 1.51対応でSurfaceシリーズでも使用可能だ。手元に届いたのはHiPen H7/新バージョン。

 筆者は元々絵が描けず、ペンはメモ書き程度の用途なのだが、普通に扱え悪くない。タブレットとして使うのにも2in1として使うにもあった方がベターだろう。価格も3,500円と安い。

 総じて価格を考えると、良くできた2in1で(USB Type-Cの位置、サウンドとあるにはあるが)特に不満点はない。あとは用途的にN100でパワーが十分か!?というところで、購入の基準は、この一点になるだろう。

パフォーマンスとバッテリ駆動時間はそれなりだが、普段使いなら十分!

 初期起動時、特にプリインストールのアプリなどはなく、Windows 11 Home標準のまま。Intel N100なので最近扱ってきたハイエンドミニPCと比べると、体感でも明らかに反応が鈍い。とは言え、Google Octane 2.0のスコアは38,750。ネットをサーフィンしたり、動画や音楽を楽しむ感じであれば問題ない。

 ストレージは512GB SSDの「RS512GSSD510」。調べても情報はなく(ネット販売のサイトで見つかったものの実際の製品ページはない)詳細は不明だ。CrystalDiskMarkによるとシーケンシャルリード3,267.587 MB/s、シーケンシャルライト2,688.354 MB/s出ているので、特別遅いわけでもない。C:ドライブのみの1パーティションで約474GBが割り当てられ空き448GB。

 Wi-FiはIntel「Wi-Fi 6 AX101」、BluetoothもIntel製だ。

初期起動時のデスクトップ。特にプリインストールのアプリなどはなく、Windows 11 Home標準
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージは512GB SSDの「RS512GSSD510」。Wi-FiはIntel「Wi-Fi 6 AX101」、BluetoothもIntel製
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約474GBが割り当てられている

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Officeを使用した。最近よくレビューしているミニPCと比較すると、ざっくり2分の1~3分の1程度の性能となる。またグラフィックスはかなり遅い。

 おそらくN100と知った時点でパフォーマンスは期待していないと思うので、これでも特に問題はないだろう。

 PCMark 10/BATTERY/Modern Officeは6時間40分(電源モード/バランス、明るさ、バッテリモードなどはシステム標準)。こちらはそれなりに持った。このクラスで6時間超えれば……的な感じだ。

【表】ベンチマーク結果
PCMark 10 v2.2.2704
PCMark 10 Score3,177
Essentials6,991
App Start-up Score9,015
Video Conferencing Score6,023
Web Browsing Score6,293
Productivity5,005
Spreadsheets Score4,844
Writing Score5,173
Digital Content Creation2,489
Photo Editing Score2,977
Rendering and Visualization Score1,592
Video Editting Score3,254
3DMark v2.29.8294
Time Spy374
Fire Strike Ultra284
Fire Strike Extreme550
Fire Strike1,146
Sky Diver4,062
Cloud Gate6,761
Ice Storm Extreme27,468
Ice Storm37,211
Cinebench R23
CPU3,003
CPU(Single Core)930
CrystalDiskMark 8.0.5
[Read]
  SEQ    1MiB (Q=  8, T= 1):  3267.587 MB/s [   3116.2 IOPS] <  2244.80 us>
  SEQ    1MiB (Q=  1, T= 1):  2028.055 MB/s [   1934.1 IOPS] <   516.40 us>
  RND    4KiB (Q= 32, T= 1):   413.849 MB/s [ 101037.4 IOPS] <   306.57 us>
  RND    4KiB (Q=  1, T= 1):    51.802 MB/s [  12647.0 IOPS] <    78.92 us>

[Write]
  SEQ    1MiB (Q=  8, T= 1):  2688.354 MB/s [   2563.8 IOPS] <  3111.56 us>
  SEQ    1MiB (Q=  1, T= 1):  2313.954 MB/s [   2206.8 IOPS] <   452.42 us>
  RND    4KiB (Q= 32, T= 1):   299.362 MB/s [  73086.4 IOPS] <   436.94 us>
  RND    4KiB (Q=  1, T= 1):   113.538 MB/s [  27719.2 IOPS] <    35.92 us>

 以上のようにCHUWI「N100 Hi10 Max」は、プロセッサにN100、パネルが2,880×1,920ドット表示対応の12.9型IPS、そしてバックライトありのキーボードを採用した2in1だ。N100なのでパワーは期待できないものの、ネットサーフィンなど普段使いなら12GB/512GBということもあり十分。

 同じクラスのAndroidやiPadと比較してバッテリ駆動時間は6時間40分と、少し短いものの、そこはOSがWindowsというメリットがある。

 特に気になる部分もなく、12.9型3:2のWindowsの2in1を探しているユーザーに是非使ってほしい1台だ。