西川和久の不定期コラム
2,880×1,920ドット3:2液晶を採用したIntel N100搭載の2in1タブレット
2024年10月18日 06:21
この連載ではここのところミニPCの紹介ばかり続いていたが、今回は久々の着脱式2in1。プロセッサはIntel N100と強くないものの、パネルは12.9型IPS式2,880×1,920ドット!編集部から実機が送られてきたので試用レポートをお届けしたい。
Intel N100を搭載した12.9型2,880×1,920(3:2)の2in1
ここのところRyzenやCore Ultra搭載の強そうなミニPCばかり続いたが、久々にWindowsを採用した2in1の登場となる。
プロセッサがIntel N100なのであまり重い処理には向いていないものの、何といっても12.9型IPS式2,880×1,920ドット(アスペクト比3:2)のパネルが筆者的には魅力的だ。加えてキーボードバックライトあり、キックスタンド式の2in1となれば、好みにジャストフィット(笑)。
本体のみ、本体+キーボード、本体+ペン+キーボードなど、何パターンかあるが、手元に届いたのは全部入り。主な仕様は以下の通り。
CHUWI「N100 Hi10 Max」の仕様 | |
---|---|
プロセッサ | Intel N100(4コア/4スレッド、クロック最大3.4GHz、キャッシュ6MB、TDP 15W) |
メモリ | 12GB(LPDDR5) |
ストレージ | SSD 512GB |
OS | Windows 11 Home(23H2) |
グラフィックス | Intel UHD Graphics/Micro HDMI、Type-C |
ディスプレイ | 12.9型IPS式2,880×1,920ドット(3:2/タッチ対応)、輝度最大300cd/平方m |
ネットワーク | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2 |
インターフェイス | USB 3.2 Gen 1 Type-C 2基、USB 3.2 Gen 1 1基、3.5mmジャック1基、500万画素前面/800万画素背面カメラ |
バッテリ | 36.48Wh (7.6V/4,800mAh) |
サイズ/重量 | 287.4×208.5×9mm(幅×奥行き×高さ)、重量1,060g |
価格 | 5万2,900円(本体のみ)。HiPen H7/新バージョン/3,500円と、キーボード/6,000円は別売。手元に届いた本体+キーボード+HiPen H7/新バージョンだと6万500円 |
プロセッサはIntel N100。4コア4スレッドでクロックは最大3.4GHz。キャッシュ6MB、TDP 15W。Eコアのみの構成で、第6~7世代Core iプロセッサと同性能程度と言われ、過去実際試してもそんな感じだ。ただメモリがシングルチャンネルなので、GPUも含め、この点は不利となる。
メモリはLPDDR5で12GB、ストレージはSSD 512GB。OSはWindows 11 Home。23H2だったので、この範囲でWindows Updateを適応し評価した。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel UHD Graphics。外部出力用にMicro HDMI、USB Type-Cを備え、本体のパネルも含め同時3画面出力に対応する。
ディスプレイは12.9型IPS式2,880×1,920ドット。アスペクト比3:2は筆者の好み。2in1なのでもちろんタッチ対応となる。明るさは最大300cd/平方m。
ネットワークは、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2。そのほかのインターフェイスは、USB 3.2 Gen 1 Type-Cが2基、USB 3.2 Gen 1が1基、3.5mmジャック、500万画素前面/800万画素背面カメラ。
36.48Wh (7.6V/4800MA)のバッテリを内蔵し、サイズ287.4×208.5×9mm、重量1,060g(キックスタンド兼裏カバー込み)。
価格は本体のみで5万2,900円。これには裏側のキックスタンド兼カバーも付属する。手元に届いた本体+キーボード+HiPen H7/新バージョンだと6万500円。本体+キーボードだと5万7,900円。用途にもよるだろうが、後で追加購入も面倒なので、全部入りがベストかもしれない。
筐体はスペースグレーっぽい色、質感で悪くない。重量は本体のみで778g、キックスタンド兼裏カバーで1,022g。オプションのキーボードを加えると1,399g。安価な12.9型としては軽い方ではないだろうか?
前面はパネル中央上にWebカメラ。フチはそれなりにある。背面は右上に背面カメラ。右側面は3.5mmジャックとUSB 3.2 Gen 1 Type-A。下側面はキーボード用のコネクタ(写真はキーボードを接続した状態)。左側面にUSB 3.2 Gen 1 Type-C×2とMicro HDMI。上側面に電源ボタンと音量±ボタンを配置。充電するType-Cが上側にあるのは、キーボードを付けてノートPC風に使う時、ケーブルが邪魔になる。下にできなかったのだろうか?
付属品はACアダプタとキックスタンド兼裏カバー。ACアダプタはUSB Type-Cで36W。おそらくこれがなくてもどこでも充電できる。キックスタンド兼裏カバーは、写真から分かるように、上半分を折り曲げる。キックスタンド=下半分を折り曲げるっと思っていたので、届いてすぐは「?」となった(笑)。掲載した写真の傾きが上限となる。
12.9型のディスプレイは3:2の2,880×1,920と筆者の好みだ。2in1も含めノートPC系のパネルは3:2が使いやすい(タブレット時縦でも)。明るさ、コントラスト、発色、視野角は十分以上。特にクラスを考えると色が綺麗だ。また明るさ0でも夜など暗めの場所で使うと結構明るい。
i1 Display Proを使い特性を測ったところ、最大輝度374cd/平方m。写真の鑑賞/編集で最適とされる標準の明るさ120cd/平方mは、最大から-8が111cd/平方m、-7が147cd/平方m。従って後者で計測。黒色輝度は0.087cd/平方mと少し浮いているがIPSパネルなら一般的。リニアリティはかなりいい。ただしBの補正量だけ気持ち下げ目(=補正前は少し青い)。
発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると上側に少し熱を持つ。ただ持つ手が熱いと思うほどでもなく、大したことはない。
前面カメラはビデオ会議でよく見かける画質だ=ノートPCのWebカメラと同程度。背面カメラは、パノラマ、ビデオ、写真、ドキュメント、ホワイトボード、バーコードのモードがある。写りは掲載した通り。大きく重いので何かで固定しないと手ブレする上、肝心の画質もご覧の通り。スマホで撮った方がいいだろう。
サウンドは横からの写真、側面の下の方にドットがあるが、それがスピーカー。横位置時にステレオとなる。が、ちょっとパワー不足。音質は仕方ない(=一般的なノートPC程度)として、もう少し最大音量を上げてほしいところか。
キーボードはオプション。US配列でOFF+3段階のバックライトキー付きとなる。扉の写真では後ろの部分がタブレット下側に付き、キーボード自体が少し傾くようになっている。が、ここに磁石があるわけでもなく、気を抜くと横からの写真のように、平置きになってしまう。キーピッチは実測で18m。打鍵感はストロークが深めだが悪くない。傾けてる時は宙に浮いているため、フワフワするのは仕方ないところ。
ペンはHiPen H7、HiPen H7/新バージョン、HiPen H8と3タイプある。H7はどちらも単5電池、H8はUSB Type-C充電池を利用する。H7とH7/新バージョンはペン先1.9mm/感圧レベル4,096か、ペン先2.0mm/1,024かなどの違いとなる。またMPP 1.51対応でSurfaceシリーズでも使用可能だ。手元に届いたのはHiPen H7/新バージョン。
筆者は元々絵が描けず、ペンはメモ書き程度の用途なのだが、普通に扱え悪くない。タブレットとして使うのにも2in1として使うにもあった方がベターだろう。価格も3,500円と安い。
総じて価格を考えると、良くできた2in1で(USB Type-Cの位置、サウンドとあるにはあるが)特に不満点はない。あとは用途的にN100でパワーが十分か!?というところで、購入の基準は、この一点になるだろう。
パフォーマンスとバッテリ駆動時間はそれなりだが、普段使いなら十分!
初期起動時、特にプリインストールのアプリなどはなく、Windows 11 Home標準のまま。Intel N100なので最近扱ってきたハイエンドミニPCと比べると、体感でも明らかに反応が鈍い。とは言え、Google Octane 2.0のスコアは38,750。ネットをサーフィンしたり、動画や音楽を楽しむ感じであれば問題ない。
ストレージは512GB SSDの「RS512GSSD510」。調べても情報はなく(ネット販売のサイトで見つかったものの実際の製品ページはない)詳細は不明だ。CrystalDiskMarkによるとシーケンシャルリード3,267.587 MB/s、シーケンシャルライト2,688.354 MB/s出ているので、特別遅いわけでもない。C:ドライブのみの1パーティションで約474GBが割り当てられ空き448GB。
Wi-FiはIntel「Wi-Fi 6 AX101」、BluetoothもIntel製だ。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Officeを使用した。最近よくレビューしているミニPCと比較すると、ざっくり2分の1~3分の1程度の性能となる。またグラフィックスはかなり遅い。
おそらくN100と知った時点でパフォーマンスは期待していないと思うので、これでも特に問題はないだろう。
PCMark 10/BATTERY/Modern Officeは6時間40分(電源モード/バランス、明るさ、バッテリモードなどはシステム標準)。こちらはそれなりに持った。このクラスで6時間超えれば……的な感じだ。
【表】ベンチマーク結果 | |
---|---|
PCMark 10 v2.2.2704 | |
PCMark 10 Score | 3,177 |
Essentials | 6,991 |
App Start-up Score | 9,015 |
Video Conferencing Score | 6,023 |
Web Browsing Score | 6,293 |
Productivity | 5,005 |
Spreadsheets Score | 4,844 |
Writing Score | 5,173 |
Digital Content Creation | 2,489 |
Photo Editing Score | 2,977 |
Rendering and Visualization Score | 1,592 |
Video Editting Score | 3,254 |
3DMark v2.29.8294 | |
Time Spy | 374 |
Fire Strike Ultra | 284 |
Fire Strike Extreme | 550 |
Fire Strike | 1,146 |
Sky Diver | 4,062 |
Cloud Gate | 6,761 |
Ice Storm Extreme | 27,468 |
Ice Storm | 37,211 |
Cinebench R23 | |
CPU | 3,003 |
CPU(Single Core) | 930 |
[Read]
SEQ 1MiB (Q= 8, T= 1): 3267.587 MB/s [ 3116.2 IOPS] < 2244.80 us>
SEQ 1MiB (Q= 1, T= 1): 2028.055 MB/s [ 1934.1 IOPS] < 516.40 us>
RND 4KiB (Q= 32, T= 1): 413.849 MB/s [ 101037.4 IOPS] < 306.57 us>
RND 4KiB (Q= 1, T= 1): 51.802 MB/s [ 12647.0 IOPS] < 78.92 us>
[Write]
SEQ 1MiB (Q= 8, T= 1): 2688.354 MB/s [ 2563.8 IOPS] < 3111.56 us>
SEQ 1MiB (Q= 1, T= 1): 2313.954 MB/s [ 2206.8 IOPS] < 452.42 us>
RND 4KiB (Q= 32, T= 1): 299.362 MB/s [ 73086.4 IOPS] < 436.94 us>
RND 4KiB (Q= 1, T= 1): 113.538 MB/s [ 27719.2 IOPS] < 35.92 us>
以上のようにCHUWI「N100 Hi10 Max」は、プロセッサにN100、パネルが2,880×1,920ドット表示対応の12.9型IPS、そしてバックライトありのキーボードを採用した2in1だ。N100なのでパワーは期待できないものの、ネットサーフィンなど普段使いなら12GB/512GBということもあり十分。
同じクラスのAndroidやiPadと比較してバッテリ駆動時間は6時間40分と、少し短いものの、そこはOSがWindowsというメリットがある。
特に気になる部分もなく、12.9型3:2のWindowsの2in1を探しているユーザーに是非使ってほしい1台だ。