西川和久の不定期コラム
マウス「m-Book C100BN」
~39,800円からの11.6型Gemini Lake Celeron搭載モバイルノートPC
2018年6月20日 06:00
マウスコンピューターは5月31日、11.6型でGemini Lake Celeronを搭載したモバイルノートPCを数モデル発表した。
どのモデルもメモリ4GB以上で実用的に使える構成だ。編集部から実機が送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。
Celeron N4100/4GB/64GBの最小構成で39,800円から
今回発表のあった「m-Book Cシリーズ」は、「m-Book C100EN」が4GBメモリ/64GB SSDで税別39,800円、「m-Book C100BN-S1」が4GBメモリ/128GB SSD、「m-Book C100BN」が4GBメモリ/500GB HDDで同44,800円、「m-Book C100BN-C」が8GBメモリ/500GB HDDで同49,800円、「m-Book C100SN-S2」が8GBメモリ/240GB SSDで同54,800円と、5モデル用意されている。
プロセッサやディスプレイなどはそのまま、メモリが4GBか8GBか、ストレージはSSD 64GBから240GB、HDD 500GBのいずれかの構成となる。
カスタマイズに関しては、最小構成の「m-Book C100EN」は未対応だが、それ以外は可能だ。メモリを8GB(+7,800円)へ、ストレージはSSDかHDDかでそれぞれ同種の容量違いを選択、Windows 10 Proの搭載にも対応する。
今回手元に届いたのは、4GBメモリ/500GB HDD搭載の「m-Book C100BN」。おもな仕様は以下の通り。
マウス「m-Book C100BN」の仕様 | |
---|---|
プロセッサ | Celeron N4100(4コア4スレッド/1.1GHz~2.4GHz/キャッシュ4MB/TDP 6W) |
メモリ | DDR4-2400 SODIMM 4GB、スロット1/最大8GB |
ストレージ | HDD 500GB(5,400rpm) |
OS | Windows 10 Home(64bit) |
ディスプレイ | 11.6型HD(1,366x768ドット)、光沢なし、タッチ非対応 |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 600、ミニD-Sub15ピン、HDMI |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5 |
インターフェイス | USB 3.0、USB 2.0×2、100万画素Webカメラ、マルチカードリーダ、音声入出力 |
バッテリ駆動時間 | 約6.1時間 |
サイズ/重量 | 292.4×206.5×24.5~29.9mm(幅×奥行き×高さ)/約1.3kg(HDDモデル) |
価格 | 44,800円(税別) |
プロセッサは、Gemini LakeのCeleron N4100。4コア4スレッドで、クロックは1.1GHzから最大2.4GHz。キャッシュは4MBでSDP/TDPは4.8W/6W。
現在Gemini Lakeは、 Pentium Silver J5005、Pentium Silver N5000、Celeron J4105、Celeron J4005、Celeron N4100、Celeron N4000と、6つのSKUがあり、J系がデスクトップ用、N系がモバイル用だ。モバイル向けに限ると、N4100はちょうど真ん中に相当する。
メモリはDDR4-2400で4GB。1スロットで最大8GBに対応。前世代のApollo LakeはDDR3/DDR4両対応だったものの、製品の多くはDDR3で設計されていたが、Gemini LakeはDDR4のみサポートとなり、この点が従来と異なる。ストレージはHDD 500GB。OSは64bit版のWindows 10 Homeを搭載。
グラフィックスはIntel UHD Graphics 600。ここもGemini LakeでIntel “HD” GraphicsからIntel “UHD” Graphicsに替わっている。外部出力用にミニD-Sub15ピンとHDMIを装備。アナログ接続時で最大1,920x1,200ドット、デジタル接続時で最大3,840×2,160ドット出力に対応する。
ディスプレイは非光沢で、11.6型HD(1,366x768ドット)だ。タッチには未対応。
ネットワークはGigabit Ethernet、IEEE 802.11ac無線LAN、Bluetooth 5。このクラスのわりに、11ac/Gigabit Ethernet対応はポイントが高い。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0、USB 2.0×2、100万画素Webカメラ、マルチカードリーダ、音声入出力。
バッテリは着脱可能で、駆動時間は約6.1時間。サイズは292.4×206.5×24.5~29.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量はHDDモデルで約1.3kg。11.6型とコンパクトなだけに、重量はあと一歩頑張って欲しいところか。
価格は今回のモデルで44,800円(税別)だ。拡張性などは異なるものの、Celeron J4005を搭載したMini-ITXマザーボードが約1万円。筐体、メモリ、ストレージ、パネル、電源、バッテリなどを考えると、リーズナブルだと思われる。
筐体はプラスチック製で、濃いめのシルバーとブラック。11.6型ということもあり、昔流行ったネットブックを思い出す。1kg以上あるので、持った時に見た目の印象より少し重く感じるが、実測では重量1,192gと、仕様の約1.3kgよりは若干軽かった(SSDモデルは約1.2kg)。
前面はパネル中央上に100万画素Webカメラ、正面側面左サイドに各種ステータスLED。左サイドにはミニD-Sub15ピン、HDMI、USB 3.0、音声入出力。右サイドにはロックポート、電源入力、Ethernet、マルチカードリーダ、USB 2.0×2を配置。
パネルの角度は写真の位置が最大となる。裏は手前左右にスピーカー用のスリット。ストレージやメモリなどにアクセスできるパネルはない。
付属のACアダプタはサイズ約85×35×25mm(同)/重量154g、出力19V/2.1A。バッテリは重量177g。
11.6型のディスプレイは、明るさ、コントラスト、視野角、発色ともに高品質ではないものの、十分実用レベル。クラス相当といったところだ。非光沢なので映り込みも少なく見やすいが、輝度最小はかなり暗い。使用する場所や環境にもよるが、50%以上で使うのが良いだろう。
キーボードは、アイソレーションタイプの日本語87キー。仕様ではピッチ約17.43mm/ストローク約1.7mmとなっている。サイズ的に、17mm程度のキーピッチは仕方ない部分だ。
とくに破綻している並びもなく、手前と右側の一部のキーが狭いものの許容範囲。打鍵感も、昔のこのクラス製品のキーボードはたわむことがあったが、強く押さない限りたわむこともなく、普通の感覚で扱える。
タッチパッドはボタンが1本のバータイプ。パームレストも含め十分な面積とは言いがたいが、とくに問題なく操作できる。
振動やノイズは、試用した範囲では感じず、発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると、キーボード左上の辺りが若干熱を持った。サウンドは、シャリシャリした鳴り方だが、パワーはそれなりにあり、最大だと少しうるさいレベルとなる。
パワーとメモリはそれなりなのでSSDで試したい
OSは64bit版のWindows 10 Home。Gemini Lakeでメモリ4GBなので、それなりに動くのだが、やはりHDDが足を引っ張る。
初期起動時、スタート画面(タブレットモード)は1画面。ユーザーサポートグループに、いつものPDFマニュアルが2つ並んでいる。デスクトップは壁紙のみの変更とシンプルだ。
ストレージはWD製で、500GB/5,400rpm/16MBのHDD「WDC WD5000LPCX」。Cドライブのみの1パーティションで、約464GBが割り当てられ空きは448GB。Wi-FiとBluetoothはIntel製。Gigabit EthernetはRealtek製だ。
インストール済のソフトウェアは、「マカフィー リブセーフ(60日体験版)」と、同社お馴染みPDFのマニュアル、「Windows 10ユーザーガイド」と「ハードウェアマニュアル」のみ。ほぼ素のWindowsとなっている。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark、BBench。結果は以下の通り。
ベンチマーク | |
---|---|
PCMark 10 v1.0.1457 | |
PCMark 10 Score | 1,554 |
Essentials | 3,760 |
App Start-up Score | 2,544 |
Video Conferencing Score | 4,695 |
Web Browsing Score | 4,453 |
Productivity | 2,545 |
Spreadsheets Score | 3,213 |
Writing Score | 2,016 |
Digital Content Creation | 1,065 |
Photo Editing Score | 1,075 |
Rendering and Visualization Score | 789 |
Video Editting Score | 1,428 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 1,964 |
Creative Accelarated 3.0 | 1,672 |
Work Accelarated 2.0 | 2,982 |
Storage | 2,114 |
3DMark v2.4.4264 | |
Time Spy | n/a |
Fire Strike Ultra | n/a |
Fire Strike Extreme | n/a |
Fire Strike | 368 |
Sky Diver | 1,324 |
Cloud Gate | 3,086 |
Ice Storm Extreme | 20,260 |
Ice Storm | 36,284 |
CINEBENCH R15 | |
OpenGL | 19.20 fps |
CPU | 234 cb |
CPU(Single Core) | 69 cb |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 111.930 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 110.644 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 0.958 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 1.258 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 0.991 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 1.313 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 0.390 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 1.272 MB/s |
BBench(ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能) | |
バッテリ残量6%まで | 6時間36分20秒(仕様では約6.1時間) |
Gemini LakeのCeleronかつ、ストレージがHDDなので、爆速にはほど遠いスコアとなっている。
ただ、たとえば少し前にご紹介した「MateBook D (2018年モデル)」(Core i7-8550U/GeForce MX150搭載)と比較すると、CINEBENCH R15はCPU 234 vs 407、Single CPU 69 vs 122。PCMark 8はHome Accelarated 3.0で1,964 vs 3,574、PCMark 10は1,554 vs 3,362と、さすがにGPUはかなりの差があり、3DMarkは比較にならないため書かなかったが、単にプロセッサ単独に近い性能で見ると、ざっくり半分だ。これが速いか遅いかは受け止め方にもよるだろうか。
バッテリ駆動時間は、ほぼ仕様通り。ただし輝度0%は暗いので、実際はもう少し短くなると思われる。6時間程度の駆動時間は、モバイルノートとしては微妙だが、バッテリが着脱可能で、177gなので、必要であれば予備でもう1本カバンへ入れれば何とかなる。
余談になるが、筆者の作業環境は、macOSにParallels Desktop/Windows 10を入れ、テキスト系(+軽いPhotoshop作業)の仕事は、macOSを使わずおもにこちらで行なっている。VMは2コア/メモリ4GB/ストレージ64GBの構成だ。データはすべてクラウドかNASにあり、ストレージが約半分も残っている。
つまり、このような使い方であれば、エントリーPCモデルの4GBメモリ/64GBストレージで十分というわけだ。実際Braswell世代には、省エネ目的で同様の構成をメインマシンとして使った時期もあった。そういう意味では、最小構成でも結構使えるのではないだろうか。
以上のように、マウス「m-Book C100BN」は、Gemini LakeのCeleronと11.6型/HD解像度のパネル、4GBメモリ/HDD 500GBを搭載したモバイルノートPCだ。予算に応じてメモリ4GBか8GB、ストレージHDDかSSDかを選べ、4GB/64GBの最小構成で39,800円(税別)からと、財布にも優しい。
サイズの割に重量約1.2kgと少し重たいのが残念ではあるものの、それ以外は仕様的に気になる部分もなく、パワーはほどほどでコンパクト、そして安価なノートPCを探しているユーザーにおすすめしたい1台だ。