西川和久の不定期コラム

Snapdragon 636/メモリ6GB/デュアルレンズ搭載で帰ってきた「ASUS ZenFone 5」

 ASUSは5月15日、新型スマートフォンを3モデル発表した。今回はその中から主力の「ZenFone 5」が編集部から送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。

各種AI対応で機能満載のミドルレンジ

 今回発表されたのは「ZenFone 5」、「ZenFone 5Z」と、「ZenFone 5Q」。5と5ZはSoCとストレージがおもな違い。5Zの方がより上位となる。5QはSoCやメモリ、パネルサイズなどは若干劣るものの、前面/背面カメラともデュアルレンズで、自撮りに強い構成だ。手元に届いたのはこの3モデルで主力の「ZenFone 5」。「ZenFone 4」の後継機の相当する。

 後継機は前モデルより作動が高速と言うのが一般的な認識だろう。その上でカメラ性能などが向上しているケースが多い。しかし「ZenFone 5」のSoCはSnapdragon 636、「ZenFone 4」のSoCはSnapdragon 660。SKUのナンバーからも分かるように、旧モデルの方が、若干ではあるが、性能の高いSoCを搭載している。この差をどう埋めているのか興味のあるところ。おもな仕様は以下の通り。

 なお、同時に発表されたZenFone 5ZはSnapdragon 845を搭載しているので、「ZenFone 4」と比較すれば明らかに高性能となっている。

【表】ASUS「ZenFone 5」の仕様
SoCQualcomm Snapdragon 636(オクタコア)/Adreno 509内包
メモリ6GB/LPDDR4X
ストレージ64GB
OSZenUI 5.0(Android 8.0ベース)
ディスプレイ6.2型/2,246×1,080ドット(Gorilla Glass 3)
ネットワークIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.0
SIMNano SIMカードスロット×2
FDD-LTEバンドB1/B2/B3/B5/B7/B8/B18/B19/B28
TD-LTEバンドB38/B39/B41
W-CDMAバンドB1/B2/B3/B5/B6/B8/B19
GSM/EDGEバンド850/900/1,800/1,900MHz
キャリアアグリゲーション2CA
インターフェイスUSB Type-C、microSDカードスロット(Nano SIMカードスロット兼)、マイク/ヘッドフォン・コンボジャック、デュアルスピーカーデュアルマイク
前面カメラ800万画素
背面カメラ1,200万画素+800万画素(広角)デュアルレンズ
センサーGPS(GLONASS、BeiDou、Galileoサポート)、加速度センサー、電子コンパス、光センサー、近接センサー、ジャイロスコープ、指紋センサー、RGBセンサー、NFC(Type A/B)
サイズ/重量約75.6×153×7.7mm(幅×奥行き×高さ)/約165g
バッテリ3,300mAh(Wi-Fi通信時約15.7時間、モバイル通信時約14.2時間)
カラーバリエーションシャイニーブラック、スペースシルバー
税別価格52,800円

 SoCはオクタコアのQualcomm Snapdragon 636、GPUにAdreno 509内包する。メモリは6GB搭載。この大容量メモリはZenFone 4同様、「OptiFlex」機能を搭載し、任意もしくは状況に応じて、アプリがメモリに常駐し高速切替を可能とする。ストレージは64GB。

 OSはAndroid 8.0ベースのZenUI 5.0を搭載。このZenUI 5.0は、「AI Display」(周囲の環境に応じてディスプレイの色温度を自動調整/見ている間はスリープしない)、「AIカメラ」、「AI着信音」(周囲の騒音レベルに応じて着信ボリュームを自動調節)、「AI充電」(就寝時に80%で充電を止めバッテリー寿命をのばす)、「AIブースト」、「AI Photo Learnig」と言った各種AIに対応したバージョンと位置付けられている。

 ディスプレイはGorilla Glass 3を採用した6.2型/2,246×1,080ドット。DCI-P3の色域に対応し、90%の画面占有率だ。また上部はiPhone Xなどでお馴染みのノッチがある。

 ネットワークはIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.0。そしてNano SIMカードスロットが2つ。対応バンドは表の通り。同社によると、DSDVと3社VoLTE対応はおそらく日本初とのこと。

 そのほかのインターフェイスは、USB Type-C、microSDカードスロット(Nano SIMカードスロット兼)、マイク/ヘッドフォン・コンボジャック、デュアルスピーカーデュアルマイク。なおサウンドは、Hi-Res(24bit/192kHz)、DTS Headphone:X、SonicMaster 5.0に対応、USB Type-CはDisplayport Alternate Modeに非対応となっている。

 センサーは、GPS(GLONASS、BeiDou、Galileoサポート)、加速度センサー、電子コンパス、光センサー、近接センサー、ジャイロスコープ、指紋センサー、RGBセンサー、NFC(Type A/B)を搭載する。

 カメラは、前面800万画素、背面1,200万画素と800万画素(広角)のデュアルレンズ構成だ。詳細は別途記載したので参考にして欲しい。

 サイズは約75.6×153×7.7mm(幅×奥行き×高さ)、重量約165g。カラーバリエーションは、シャイニーブラック、スペースシルバー。3,300mAhのバッテリを内蔵し、税別価格は52,800円。ZenFone 4が56,800円前後だったので若干安くなっている。

前面。パネル上部にノッチがある。見た目はiPhone Xにバンパーを付けた雰囲気だ。ナビゲーションボタンはソフトウェア式で非表示にも対応
背面。左上にデュアルレンズ。上が広角/下が標準。中央少し上に指紋センサー。レンズの部分が出っ張っているので机の上に置くとガタガタする
左/下。左側面にNano SIM/microSDカードスロット。下側面にマイク/ヘッドフォン・コンボジャック、USB Type-C、スピーカー
右/上。右側面に音量±ボタン、電源ボタン。上側面は特に何もない
Nano SIM/microSDカードスロット付近。奥側がSIM1、手前がSIM2/microSD
付属品はソフトケース、USB式ACアダプタ、USB/Type-Cケーブル、イヤホン、イヤーパッド、イジェクトピン
重量は実測で166g
iPhone Xとの比較。パネルサイズ分だけ大きいが雰囲気は似ている。厚みは気持ち厚め。パネルの発色は派手気味か

 手元に届いたのはシャイニーブラック。フロントから見るとブラック、裏は見る角度によっては少しブルーっぽい発色で、全体的に価格を考慮するとなかなかの質感。6.2型なので少し大きく、持ち難いなど個人差はありそうだ。

 前面は、パネル上部にノッチがある。ナビゲーションボタンはソフトウェア式で非表示にも対応。背面は、左上にデュアルレンズ。上が広角/下が標準。中央少し上に指紋センサー。右側面に音量±ボタン、電源ボタン。左側面にNano SIM/microSDカードスロット。下側面にマイクロホン/ヘッドフォン・コンボジャック、USB Type-C、スピーカーを配置。Nano SIM/microSDカードスロットは奥側がSIM1、手前がmicroSD/SIM2となる。

 充電はこのType-Cから行なうが、BoostMasterによる高速充電(32分で50%)は、付属のUSB式ACアダプタを使う必要がある。

 パネルは上部にノッチがあり、下側にハードウェア式のナビゲーションボタンもなく、6.2型のiPhone Xが出たらこんな感じか……と思ってしまう雰囲気がある。明るさ、コントラスト、発色、視野角全て良好。発色は少し派手目だろうか。周囲の環境に応じてディスプレイの色温度を自動調整、見ている間はスリープしないなどの機能=「AI Display」もなかなか気が利いている。

 サウンドはデュアルスピーカー搭載で、横位置時でも一応ステレオっぽく聴こえる。とはいえ、やはり音はType-Cなどがある側面に寄ってしまう。パワーはあきれるほどあり、これがスマートフォンから出ている音かと思ってしまうほどで、抜けも良い。この筐体でこれだけ出るなら、ノートPCやタブレットも頑張って欲しいところだ。

 その一方で、イヤフォンでのサウンドは逆にパワー不足で抜けが悪い……と、スピーカーでの印象と真逆になるのが残念だった。ちなみにどちらも「オーディオウィザード」を使って好みの音色に調整可能だ。

 全体的に以前試用したZenFone 4と比較して随分グレードアップした感じだ。この仕上がりで価格は若干下がっているのは驚くばかり。

多機能だが広角での歪みや写りなどベーシックな部分の作り込み不足

 カメラは前面800万画素、背面1,200万画素+800万画素(広角)のデュアルレンズだ。Exifによると後者は4mm/f1.8(標準)、2mm/f2.2(広角)。

 モードはオート、美人エフェクト、Pro、超解像度、GIFアニメーション、パノラマ、スローモーション、低速度撮影。設定/カメラは、カメラ解像度、タイムスタンプ、ASUSウォーターマークを挿入、タッチシャッター、フォーカスモード。設定/ビデオは、動画の解像度。設定/その他は、グリッド、場所サービス、ちらつき防止、音量ボタンを押した時の設定、保存先、インスタントカメラ、デフォルト設定に戻す。

 カメラ解像度は標準で12M/9M/8M/6M/5M(動画は4K/18:9/FHD 60fps/FHD 120fps/HD/HD 120fps/TV)、広角で8M/6M/5M(動画は18:9/FHD/HD/TV)。

 Proモードでは、シャッタースピード:1/50~32秒、ISO:25~3200、EV:-2~+2、WB:4500K~7500Kなどの設定が可能だ。

 本機の特徴であるAIシーン解析は、人、フード、犬、猫、サンセット、スカイ、フィールド、オーシャン、花、グリーン、雪、夜、ステージ、テキスト、QRコード、トライポットと、16のシーンタイプから最適な撮影モード選択し、カメラの設定などを自動的に最適化する。認識すると右上の部分に該当するアイコンが表示される。

 加えてAI Photo Learningは、日ごろよく使うフィルタを学習し、似た被写体のときにサジェストする。

カメラ/モード
カメラ/Auto
カメラ/Pro
カメラ/エフェクト
カメラ/設定
AI認識(フード)
カメラ/写真(ポートレートモード)
ポートレートモード作例(背面カメラ)

 ポートレートモードは前面カメラでも背面カメラでも機能する。ただ多少ロジックが異なり、前面カメラでは顔認識を行ないその周囲がボケる(つまり顔認識しないとボケない)。背面カメラは標準のみ機能し、デュアルレンズから奥行きの情報を得て、ピントを合わせた位置から前後が自然にボケる仕組みだ。この時、仮想絞りをf/22~f/0.95の範囲で設定できる。ただし、どちらも撮影後の編集でピントの位置やボケ味を再調整はできない。

広角作例1
広角作例2

 背面カメラはデュアルレンズで標準と広角を選択可能だが、ご覧のように広角側は樽型歪が凄まじく、(解像度を16:9などにすれば、より歪む外側はトリミングされるので若干ましにはなるものの)使いどころが難しい。広角対応と謳うには無理をしている印象だ。標準と比較して解像度も低いため、ポートレートモード演算用と割り切り、標準のみでの撮影をお勧めする。

 実際の作例を25枚掲載するので参考にして欲しい。モードはAuto、WBは触らず、露出補正は必要に応じて、またポートレートモードも数枚交じっている。起動やAFなどの速度は爆速ではないものの、ストレスない範囲で普通に使える。連続で撮影すると熱を持つが他機種と同程度だ。AIシーン解析もフードなど、該当するものは比較的容易に認識する。

 ただご覧のように少し派手目(彩度高め)で、かつ奥行きがなくのっぺりした感じで立体感があまり出ない。ホワイトバランスが微妙なシーンもある。この辺りは以前試用したZenFone 4と変わらない印象だ。またAIシーン解析までは行なうものの、その後の「ではそのシーンでの発色やコントラスト、WBなどをどうすれば適切か……」的な部分までは十分踏み込めていない印象だった。今後のブラッシュアップに期待したい。

セットアップ

 初期セットアップは、Wi-Fiを使い、Googleログインと指紋/顔認証はスキップして行なった。独自アカウントの設定など、若干画面数は多いものの、同社のありがちなパターンだったので画面キャプチャは省略する。

 指紋と顔の登録は、パターン、PIN、パスワードのいずれかを設定した後に行なえる。指紋の登録は一般的なもので、メイン部分の後にギャップを認識させる方法だ。顔認証も丸い枠内に顔を映すだけ。iPhone Xのように角度を変えつつ登録する必要はない。ただ「OPPO R11s」のように、個人情報が含まれるのが理由が画面キャプチャが撮影NGにはならず、ご覧のようにそのまま撮影可能だった。

指紋センサーに指を置きます
すぐに繰り返す
さらにキャプチャーする
指紋認証/指紋1と2が登録済
あなたの顔を登録できます
顔データの設定

 顔認識はメガネありで登録したところ、メガネの有無には関係なく認識したが、サングラスはNGだった。これから日差しが眩しいシーズンなので、屋外でサングラス着用時は、指紋の方がよさそうだ。

 デュアルSIM管理は、SIMスロット奥がSIM1、手前がmicroSDとSIM2となる。一般的なAPNは登録されているので選択するだけで即接続できる。SIMに紐づけるツインアプリは別メニューになっている。

モバイルネットワーク/SIM1
APN

シンプルな構成で使いやすZenUI 5.0

 初期起動時のホーム画面は3画面。アプリなどの配置はシンプルな構成で分かりやすい。ストレージは51.89GBが空き。Androidのバージョンは8.0となっている。IMEはATOK for ASUSを搭載。

 下部のナビゲーションボタンは非表示にも対応し、下から上へスワイプすると表示する。日頃iPhone Xを使っている筆者としては、この設定の方が自然に扱えた。

 通知パネルは上から下へスワイプすると表示と普通なのだが、実は設定の拡張機能/指紋ジェスチャーで「スワイプして通知を表示」をオンにすると、指紋センサーの部分をタッチパッドのように使い、下へスワイプすると通知パネルが表示される。なかなか面白い機能だ。

Home(1/6) Home1画面目
Home(2/6) Home2画面目
Home(3/6) Home3画面目
Home(4/6) Googleフォルダ(1/2)
Home(5/6) Googleフォルダ(2/2)
Home(6/6) ASUSフォルダ(1/2)
通知パネル
ストレージとメモリ
端末情報
言語と入力。ATOK for ASUS搭載
ツインアプリ。Facebook、Instagram、Messenger、YouTubeが対応
OptiFlex

 アプリは「電話」、「メッセージ」、「Google Play」、「Chrome」、「カメラ」、「モバイルマネージャー」、「テーマ」、「ギャラリー」、「Selfie Master」、「ファイルマネージャ」、「Facebook」、「Messenger」、「電子書籍」。Googleフォルダに「Google」、「Gmail」、「マップ」、「YouTube」、「ドライブ」、「Play Music」、「Play ムービー&TV」、「Duo」、「フォト」、「カレンダー」、「Android Pay」、「ドキュメント」、「スプレッドシート」、「スライド」、「Keep」。ASUSフォルダに「電卓」、「時計」、「連絡先」、「音声レコーダ」、「天候」、「WebStorage」。

 ZenFone 4同様、FacebookとMessengerは、SIMに紐づけ2アカウント同時利用できる「ツインアプリ」機能を搭載している。

モバイルマネージャー/Home
Selfie Master
テーマ
ファイルマネージャー

 ウィジェットは、「カメラ(2)」、「ファイルマネージャー」、「時計(6)」、「天候(2)」、「電卓」、「連絡先(4)」、「ZenUI Launcher(2)」、「カレンダー(2)」、「スプレッドシート」、「スライド」、「ドキュメント」、「ドライブ(3)」、「ホーム画面のヒント」、「マップ(5)」、「メッセージ(2)」、「設定」、「Chrome(2)」、「Gmail(2)」、「Google(3)」、「Google Play Music(3)」、「Keep」、「WebStorage」。

ホーム画面の管理
ウィジェット(1/4)
ウィジェット(2/4)
ウィジェット(3/4)
ウィジェット(4/4)

AIブーストで約12~13%のパワーアップ

 ベンチマークテストは簡易式だが、「AnTuTu Benchmark」と「Google Octane 2.0」を使用した。AIブーストの有無でのスコアは、AnTuTu Benchmarkは125,094:140,121、Google Octaneは8,253:9,386。AIブーストで約12~13%上昇する。ただZenFone 4のGoogle Octaneは10,199と(関連記事:背面がデュアルカメラになったスタンダード機、ASUS「ZenFone 4」、もう1ランク上となる(AnTuTuはバージョンが異なるので比較できない)。

 これだけのテストで判断できないが、少なくともJavaScriptに関してはSnapdragon 636と660の違いは、AIブーストしても吸収しきれていないようだ。いずれにしてもAIブーストは、クロックアップなので、ONにするとバッテリの消費に影響する。通常使用時はOFFの方がいいだろう。

AnTuTu Benchmark、AIブーストオフ時のスコアは125,094
AnTuTu Benchmark、AIブーストオン時のスコアは140,121
Google Octane 2.0、AIブーストオフ時のスコアは8,253
Google Octane 2.0、AIブーストオン時のスコアは9,386
電池消費量。11時間経過で11%、あと1時間18分。約12時間でパワーダウン

 バッテリ駆動時間は、AIブーストオフ、Wi-Fi接続オン、音量と明るさ50%でYuTubeを全画面連続再生したところ、約12時間で電源が落ちた。結構なスタミナだ。


 以上のようにASUS「ZenFone 5」は、Snapdragon 636、6GB/64GB、デュアルレンズ、6.2型パネル搭載のスマートフォンだ。いろいろな利用シーンに応じて反応する各AI機能も興味深い。前モデルのZenFone 4と比較するとSoCの違いなどから若干遅いパターンもあるようだが、目くじら立てるほどの差ではない。一般的な使い方なら十分高速に作動する。

 唯一、カメラに関しては少し辛口な評価となったが、これはハイエンドと比較してのこと。価格約半分の5万円代スマートフォンとして考えれば、かなり健闘している方だろう。仕様上これ以外は気になる部分もなく、ミドルレンジながら多彩な機能で楽しく便利に使えるスマートフォンを探しているユーザーにお勧めできる1台だ。