西川和久の不定期コラム
第2世代Ryzen 7とGTX 1080を搭載するG-TuneのゲーミングPC「NEXTGEAR-MICRO am540PA2」
2018年5月17日 11:00
株式会社マウスコンピューターマウスは4月20日、ゲーミングブランドのG-Tuneより、第2世代Ryzen 7とGeForce GTX 1080を搭載したミニタワー型のゲーミングPC「NEXTGEAR-MICRO am540PA2」を発表した。編集部より実機が送られてきたので試用レポートをお届けしたい。
8コア/16スレッドのRyzen 7 2700XとGeForce GTX 1080を搭載
昨年(2017年)3月にRyzen 7 1800XとGeForce GTX1080を搭載したデスクトップPCのレビュー記事を書いているが(ユニットコム「LEVEL-R0X3-R8X-VNR」参照)。このときのプロセッサは14nmプロセスでいわゆる第1世代だった。その後のIntelの反撃など、ハイエンドCPUにおいて、両社がひさびさにヒートアップしたのはご存知のとおりだ。
そして一段落したかと思えた今年(2018年)、AMDはさらなる刺客として第2世代のRyzen 7を投入、4月19日より販売開始した。この第2世代では、12nmプロセスの「Zen+」アーキテクチャとなり、キャッシュやメモリへのレイテンシを改善、自動オーバークロック機能が「Precision Boost 2」となるなど、いろいろ強化されている。なお、第1世代との詳細なベンチマークテスト比較などは別記事(クロック向上で注目される第2世代Ryzenをベンチマーク)を参考にしてほしい。
現在第2世代としては、Ryzen 7 2700X/2700、Ryzen 5 2600X/2600と4つのSKUがあり、今回ご紹介する「NEXTGEAR-MICRO am540PA2」は、最上位のRyzen 7 2700Xを搭載したデスクトップPCとなる。
おもな仕様は以下のとおり。
【表】NEXTGEAR-MICRO am540PA2のスペック | |
---|---|
プロセッサ | Ryzen 7 2700X(8コア/16スレッド、クロック 3.7GHz/4.3GHz、キャッシュ16MB、TDP 105W) |
チップセット | AMD B350 |
メモリ | DDR4-2400 16GB(8GB×2、最大64GB) |
ストレージ | 1TB HDD(7,200rpm) |
OS | Windows 10 Home |
グラフィックス | GeForce GTX 1080(8GB) |
インターフェイス | PS/2×2、USB 3.1(Type-A 背面×2)、USB 3.0×5(前面×1、背面×4)、USB 2.0×2(前面)、Gigabit Ethernet、音声入出力 |
拡張スロット | PCIe x16×1(空き0)、PCIe x1×2(空き1) |
電源 | 700W 80PLUS Bronze |
サイズ/重量 | 196×430×417mm(幅×奥行き×高さ)/約10.2kg |
税別直販価格 | 174,800円 |
【お詫びと訂正】本製品出荷時のPCIe x16空きスロットは0となります
プロセッサは最上位のAMD Ryzen 7 2700X。8コア16スレッドでクロックは3.7~4.3GHz。キャッシュは16MBでTDPは105W。チップセットはAMD B350。メモリはDDR4-2400の8GB×2で、4スロット中の2つが空いており、最大64GBまで搭載可能だ。ストレージは7,200rpmの1TB HDD。プロセッサとのバランスを考えるとSSDがほしいところか。
グラフィックスはPascalアーキテクチャのGeForce GTX 1080(8GB)。デスクトップ用としては、TITAN X、GeForce GTX 1080 Tiに続くハイエンドクラスとなる。映像出力端子はDVI-D、HDMI、DisplayPort×3。
インターフェイスは、PS/2×2、USB 3.1×2、USB 3.0×5、USB 2.0×2、Gigabit Ethernet、音声入出力。拡張スロットは、PCIe x16×1、PCIe x1×2。ただし空きはPCIe x1×1のみ。
サイズは196×430×417mm(幅×奥行き×高さ)、重量約10.2kg。80PLUS Bronzeの700W電源を搭載し、今回の構成で価格は税別174,800円。
カスタマイズも可能で、Windows 10 Pro、メモリ、電源、光学ドライブ、カードリーダ、M.2 SSD、2TBまでのSSD、8TBまでのHDDなど、さまざまな構成が選択可能だ。
筐体の大きさは一般的なミニタワー型。ただ前面が少し丸みがかってたり、通気の良いメッシュの部分が多いなど、四角四面の筐体とは若干雰囲気が異なる。
前面は上部に音声入出力、USB 2.0×2、USB 3.0×1、電源ボタンなど。下部に2つのファンを内蔵。各パネルはワンタッチで外れる構造になっている。
トップにファンが1つ。背面は、PS/2×2、USB 3.0×2、USB 3.1×2、USB 3.0×2、Ethernet、音声入出力と、GeForce GTX 1080側にDVI-D×1/HDMI×1/DisplayPort×3。加えてファンが1つの計4つ(トップ×1、背面×1、前面×2)搭載している。
これらのファンの役割としては、トップと背面がおもにプロセッサ周辺、前面中央がGPU、前面下側はストレージ冷却用となっている。
内部はメモリスロットが4本。内2つは8GBが装着済だ。PCIe x16×1にGeForce GTX 1080、2スロット占有するため横のPCIe x1は塞がってしまうので使用できない。さらに横のPCIe x1のみ空きとなる。またプロセッサの脇にM.2スロットがある。マザーボードは刻印からASUS「PRIME B350M-A」が使われているのがわかる。
前面下側にドライブベイを配置。これもワンタッチで着脱可能だ。電源は700W(80PLUS Bronze)を搭載する。この構成ならSSDなどを増やしても余裕があるだろう。前面上部には光学ドライブなどを搭載可能なベイがある。
また、側面パネルをクリアパネルにしたり、高品位なインシュレーターにしたり、筐体のカスタマイズも可能になっている。
写真からもわかるように、構造的には一般的なのだが、筐体にファンが4つに、プロセッサとGPUで計6つと、ファンの数はかなり多い。さすがに通常使用時は低速回転しているとはいえ、ブーンと低い音が聴こえてくる。。
プロセッサ、GPU、メモリは十分の性能だがストレージが惜しい
OSは64bit版のWindows 10 Home。初回起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面。ユーザーサポートのグループが追加部分となる。デスクトップは壁紙の変更のみとシンプル。プロセッサ、GPU、メモリと十分な仕様だが、ストレージがHDDのため、OSやアプリの起動などはさほど速くないのが残念なところ。ただ、リソースモニターのCPUが16並んでいるのは圧巻だ。
ストレージはHDD 1TB、7,200rpm、64MBのSeagate製「ST1000DM010」。Cドライブのみの1パーティションで約930GBが割り当てられ、空きは906GB。ネットワークアダプタはRealtek製だ。
プリインストールされているソフトウェアは、「マカフィーリブセーフ」と、同社いつもの「Windows 10ユーザーガイド」、「ハードウェアマニュアル」のPDFのみ。ASUS「PRIME B350M-A」のユーティリティなどは含まれていない。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMarkを実行した。結果は以下のとおり。
【表】NEXTGEAR-MICRO am540PA2のベンチマーク結果 | |
---|---|
PCMark 10 v1.0.1457 | |
PCMark 10 Score | 5,072 |
Essentials | 7,072 |
App Start-up Score | 5,582 |
Video Conferencing Score | 7,945 |
Web Browsing Score | 7,977 |
Productivity | 6,344 |
Spreadsheets Score | 8,706 |
Writing Score | 4,624 |
Digital Content Creation | 7,896 |
Photo Editing Score | 9,281 |
Rendering and Visualization Score | 10,889 |
Video Editting Score | 4,872 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 4,951 |
Creative Accelarated 3.0 | 7,452 |
Work Accelarated 2.0 | 4,822 |
Storage | 2,734 |
3DMark v2.4.4264 | |
Time Spy | 7,419 |
Fire Strike Ultra | 5,229 |
Fire Strike Extreme | 9,898 |
Fire Strike | 17,574 |
Sky Diver | 44,772 |
Cloud Gate | 45,598 |
Ice Storm Extreme | 190,974 |
Ice Storm | 198,205 |
CINEBENCH R15 | |
OpenGL | 106.86 fps |
CPU | 1745 cb |
CPU(Single Core) | 169 cb |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 196.644 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 144.189 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 1.253 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 1.086 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 1.276 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 0.981 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 0.557 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 0.990 MB/s |
ストレージ以外のスコアは圧巻。とくにCINEBENCH R15のCPU 1745 cbは、ベンチマークテスト中の画面を眺めているとあっという間に終了した。余談になるが、筆者が使用しているPCのCPUはCore i5-6600(4コア4スレッド、3.3~3.9GHz)であり、CINEBENCH R15のスコアは592 cbとかなりの差だ。本機は位置づけ的にはゲーミングとなっているが、クリエイティブ系でも十分な性能を発揮できるだろう。
以上のようにG-Tune「NEXTGEAR-MICRO am540PA2」は、第2世代のRyzen 7 2700XとGeForce GTX 1080、メモリ16GBを搭載したハイエンドデスクトップPCだ。ベンチマークテストのスコアからもわかるように、その性能は相当なもの。
ただ標準ではストレージがHDDなので、その分足回りが遅くなっており、できればカスタマイズでSSDを選びたいところだ。
自作でも同様のマシンは組み立て可能だが、国内メーカー製で安心、そして即使える第2世代のRyzen 7マシンを探しているユーザーにおすすめだ。