西川和久の不定期コラム

第2世代Ryzen 7とGTX 1080を搭載するG-TuneのゲーミングPC「NEXTGEAR-MICRO am540PA2」

NEXTGEAR-MICRO am540PA2

 株式会社マウスコンピューターマウスは4月20日、ゲーミングブランドのG-Tuneより、第2世代Ryzen 7とGeForce GTX 1080を搭載したミニタワー型のゲーミングPC「NEXTGEAR-MICRO am540PA2」を発表した。編集部より実機が送られてきたので試用レポートをお届けしたい。

8コア/16スレッドのRyzen 7 2700XとGeForce GTX 1080を搭載

 昨年(2017年)3月にRyzen 7 1800XとGeForce GTX1080を搭載したデスクトップPCのレビュー記事を書いているが(ユニットコム「LEVEL-R0X3-R8X-VNR」参照)。このときのプロセッサは14nmプロセスでいわゆる第1世代だった。その後のIntelの反撃など、ハイエンドCPUにおいて、両社がひさびさにヒートアップしたのはご存知のとおりだ。

 そして一段落したかと思えた今年(2018年)、AMDはさらなる刺客として第2世代のRyzen 7を投入、4月19日より販売開始した。この第2世代では、12nmプロセスの「Zen+」アーキテクチャとなり、キャッシュやメモリへのレイテンシを改善、自動オーバークロック機能が「Precision Boost 2」となるなど、いろいろ強化されている。なお、第1世代との詳細なベンチマークテスト比較などは別記事(クロック向上で注目される第2世代Ryzenをベンチマーク)を参考にしてほしい。

 現在第2世代としては、Ryzen 7 2700X/2700、Ryzen 5 2600X/2600と4つのSKUがあり、今回ご紹介する「NEXTGEAR-MICRO am540PA2」は、最上位のRyzen 7 2700Xを搭載したデスクトップPCとなる。

 おもな仕様は以下のとおり。

【表】NEXTGEAR-MICRO am540PA2のスペック
プロセッサRyzen 7 2700X(8コア/16スレッド、クロック 3.7GHz/4.3GHz、キャッシュ16MB、TDP 105W)
チップセットAMD B350
メモリDDR4-2400 16GB(8GB×2、最大64GB)
ストレージ1TB HDD(7,200rpm)
OSWindows 10 Home
グラフィックスGeForce GTX 1080(8GB)
インターフェイスPS/2×2、USB 3.1(Type-A 背面×2)、USB 3.0×5(前面×1、背面×4)、USB 2.0×2(前面)、Gigabit Ethernet、音声入出力
拡張スロットPCIe x16×1(空き0)、PCIe x1×2(空き1)
電源700W 80PLUS Bronze
サイズ/重量196×430×417mm(幅×奥行き×高さ)/約10.2kg
税別直販価格174,800円

【お詫びと訂正】本製品出荷時のPCIe x16空きスロットは0となります

 プロセッサは最上位のAMD Ryzen 7 2700X。8コア16スレッドでクロックは3.7~4.3GHz。キャッシュは16MBでTDPは105W。チップセットはAMD B350。メモリはDDR4-2400の8GB×2で、4スロット中の2つが空いており、最大64GBまで搭載可能だ。ストレージは7,200rpmの1TB HDD。プロセッサとのバランスを考えるとSSDがほしいところか。

 グラフィックスはPascalアーキテクチャのGeForce GTX 1080(8GB)。デスクトップ用としては、TITAN X、GeForce GTX 1080 Tiに続くハイエンドクラスとなる。映像出力端子はDVI-D、HDMI、DisplayPort×3。

 インターフェイスは、PS/2×2、USB 3.1×2、USB 3.0×5、USB 2.0×2、Gigabit Ethernet、音声入出力。拡張スロットは、PCIe x16×1、PCIe x1×2。ただし空きはPCIe x1×1のみ。

 サイズは196×430×417mm(幅×奥行き×高さ)、重量約10.2kg。80PLUS Bronzeの700W電源を搭載し、今回の構成で価格は税別174,800円。

 カスタマイズも可能で、Windows 10 Pro、メモリ、電源、光学ドライブ、カードリーダ、M.2 SSD、2TBまでのSSD、8TBまでのHDDなど、さまざまな構成が選択可能だ。

筐体は少し丸みがかったブラックのミニタワー型。通気の良いメッシュパネルが多く使われている
前面には音声入出力、USB 2.0×2、USB 3.0×1、電源ボタンなどがある
ワンタッチで前面のパネルを外すことができる
背面。GeForce GTX 1080のビデオカードは2レーンを占有している
バックパネルインターフェイスはPS/2×2、USB 3.0×2、USB 3.1×2、USB 3.0×2、Gigabit Ethernet、音声入出力
左側面。通気の良いメッシュ構造になっている(右側面は普通のパネル)
内部のファンは上×1、背面×1、前面×2と多め
プロセッサ周辺
拡張スロット周辺。CPUの脇にM.2スロット。PCIe x16×1、PCIe x1×2。空きはPCIe x1×1のみ。マザーボードはASUS「PRIME B350M-A
ドライブベイは筐体の下部に配置。ワンタッチで外すことができる
搭載するビデオカードはGeForce GTX 1080
起動時に[F2]か[Del]キーを押すことで表示

 筐体の大きさは一般的なミニタワー型。ただ前面が少し丸みがかってたり、通気の良いメッシュの部分が多いなど、四角四面の筐体とは若干雰囲気が異なる。

 前面は上部に音声入出力、USB 2.0×2、USB 3.0×1、電源ボタンなど。下部に2つのファンを内蔵。各パネルはワンタッチで外れる構造になっている。

 トップにファンが1つ。背面は、PS/2×2、USB 3.0×2、USB 3.1×2、USB 3.0×2、Ethernet、音声入出力と、GeForce GTX 1080側にDVI-D×1/HDMI×1/DisplayPort×3。加えてファンが1つの計4つ(トップ×1、背面×1、前面×2)搭載している。

 これらのファンの役割としては、トップと背面がおもにプロセッサ周辺、前面中央がGPU、前面下側はストレージ冷却用となっている。

 内部はメモリスロットが4本。内2つは8GBが装着済だ。PCIe x16×1にGeForce GTX 1080、2スロット占有するため横のPCIe x1は塞がってしまうので使用できない。さらに横のPCIe x1のみ空きとなる。またプロセッサの脇にM.2スロットがある。マザーボードは刻印からASUS「PRIME B350M-A」が使われているのがわかる。

 前面下側にドライブベイを配置。これもワンタッチで着脱可能だ。電源は700W(80PLUS Bronze)を搭載する。この構成ならSSDなどを増やしても余裕があるだろう。前面上部には光学ドライブなどを搭載可能なベイがある。

 また、側面パネルをクリアパネルにしたり、高品位なインシュレーターにしたり、筐体のカスタマイズも可能になっている。

 写真からもわかるように、構造的には一般的なのだが、筐体にファンが4つに、プロセッサとGPUで計6つと、ファンの数はかなり多い。さすがに通常使用時は低速回転しているとはいえ、ブーンと低い音が聴こえてくる。。

プロセッサ、GPU、メモリは十分の性能だがストレージが惜しい

 OSは64bit版のWindows 10 Home。初回起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面。ユーザーサポートのグループが追加部分となる。デスクトップは壁紙の変更のみとシンプル。プロセッサ、GPU、メモリと十分な仕様だが、ストレージがHDDのため、OSやアプリの起動などはさほど速くないのが残念なところ。ただ、リソースモニターのCPUが16並んでいるのは圧巻だ。

 ストレージはHDD 1TB、7,200rpm、64MBのSeagate製「ST1000DM010」。Cドライブのみの1パーティションで約930GBが割り当てられ、空きは906GB。ネットワークアダプタはRealtek製だ。

スタート画面(タブレットモード)。フルHDで1画面。ユーザーサポートのグループが追加部分
起動時のデスクトップ。壁紙の変更のみ。リソースモニターでCPU数が16個並んでいるのは圧巻
デバイスマネージャー/主要なデバイス。ストレージはHDD 1TB、7,200rpm、64MBのSEAGATE「ST1000DM010」。ネットワークアダプタはRealtek製
ストレージのパーティション。Cドライブのみの1パーティションで約930GBが割り当てられている
NVIDIAコントロールパネル
CPU-Z

 プリインストールされているソフトウェアは、「マカフィーリブセーフ」と、同社いつもの「Windows 10ユーザーガイド」、「ハードウェアマニュアル」のPDFのみ。ASUS「PRIME B350M-A」のユーティリティなどは含まれていない。

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMarkを実行した。結果は以下のとおり。

【表】NEXTGEAR-MICRO am540PA2のベンチマーク結果
PCMark 10 v1.0.1457
PCMark 10 Score5,072
Essentials7,072
App Start-up Score5,582
Video Conferencing Score7,945
Web Browsing Score7,977
Productivity6,344
Spreadsheets Score8,706
Writing Score4,624
Digital Content Creation7,896
Photo Editing Score9,281
Rendering and Visualization Score10,889
Video Editting Score4,872
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.04,951
Creative Accelarated 3.07,452
Work Accelarated 2.04,822
Storage2,734
3DMark v2.4.4264
Time Spy7,419
Fire Strike Ultra5,229
Fire Strike Extreme9,898
Fire Strike17,574
Sky Diver44,772
Cloud Gate45,598
Ice Storm Extreme190,974
Ice Storm198,205
CINEBENCH R15
OpenGL106.86 fps
CPU1745 cb
CPU(Single Core)169 cb
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード196.644 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト144.189 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード1.253 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト1.086 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード1.276 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト0.981 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード0.557 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト0.990 MB/s

 ストレージ以外のスコアは圧巻。とくにCINEBENCH R15のCPU 1745 cbは、ベンチマークテスト中の画面を眺めているとあっという間に終了した。余談になるが、筆者が使用しているPCのCPUはCore i5-6600(4コア4スレッド、3.3~3.9GHz)であり、CINEBENCH R15のスコアは592 cbとかなりの差だ。本機は位置づけ的にはゲーミングとなっているが、クリエイティブ系でも十分な性能を発揮できるだろう。


 以上のようにG-Tune「NEXTGEAR-MICRO am540PA2」は、第2世代のRyzen 7 2700XとGeForce GTX 1080、メモリ16GBを搭載したハイエンドデスクトップPCだ。ベンチマークテストのスコアからもわかるように、その性能は相当なもの。

 ただ標準ではストレージがHDDなので、その分足回りが遅くなっており、できればカスタマイズでSSDを選びたいところだ。

 自作でも同様のマシンは組み立て可能だが、国内メーカー製で安心、そして即使える第2世代のRyzen 7マシンを探しているユーザーにおすすめだ。