西川和久の不定期コラム
12.5型で900gちょっとの軽量モバイルノート「LAVIE Note Mobile」
2018年1月25日 06:00
NECパーソナルコンピュータ(NEC PC)は1月16日、2018年春モデルとして、12.5型ノートPC「LAVIE Note Mobile」シリーズを発表した。2017年モデルとの一番の違いはパネルサイズで、11.6型から12.5型へと大きくなっている。編集部から実機が送られてきたので試用レポートをお届けしたい。
12.5型サイズで約900gの重量
この「LAVIE Note Mobile」、じつは2017年モデルも筆者が試用レポートを書いている(NEC PC「LAVIE Note Mobile(NM150/GA)」)。冒頭で述べたとおり、一番の違いは11.6型から12.5型へと大きくなったパネルサイズ。個人的にモバイルノートとして10型と11型クラスは小さく、13型クラスは大きいと思う筆者にとって、12.5型は好みのサイズだ。
ラインナップは上位のNM550/KA、中位のNM350/KA、下位のNM150/KAの3種類があり、CPUを前モデルと比較すると、上位/中位モデルは同じで、下位モデルはPentium 4410YからCeleron 3965Yへとスペックダウンしている。メモリやストレージ、そのほかのインターフェイスもほぼ同じで、上位モデルのみ指紋センサーを搭載。フットプリントは19mmほど増えているものの、厚みは1.5mm薄くなっているなど、少しおうとつはあるものの、12.5型のパネルで、重量900gちょっととなるのが最大の魅力となる。
今回レビューするのは上位モデルのNM550/KA。おもな仕様は以下のとおり。
NM550/KA | |
---|---|
プロセッサ | Core i5-7Y54(2コア4スレッド/1.2GHz~3.2GHz/キャッシュ4MB/TDP 4.5W) |
メモリ | LPDDR3 8GB |
ストレージ | SSD 256GB |
OS | Windows 10 Home(64bit) |
ディスプレイ | 12.5型IPS式フルHD(1,920×1,080ドット)、光沢なし、タッチ非対応 |
グラフィックス | Intel HD Graphics 615/HDMI |
ネットワーク | IEEE 802.11ac対応(上位/867Mbps)、Bluetooth 4.1 |
インターフェイス | USB 3.0×2、92万画素カメラ、SDカードリーダ、指紋センサー(上位/Windows Hello対応)、音声入出力、内蔵ステレオスピーカー(1W+1W) |
バッテリ駆動時間 | 約11.6時間 |
本体サイズ(幅×奥行き×高さ) | 289×197.5×17mm |
重量 | 約925g |
カラーバリエーション | メタリックピンク/パールブラック/パールホワイト |
その他 | ファンレス、ヤマハ AudioEngine、Microsoft Office Home & Business 2016 |
税別店頭予想価格 | 144,800円前後 |
プロセッサは第7世代(Kaby Lake)のCore i5-7Y54。2コア4スレッドでクロックは1.2GHzから最大3.2GHz。キャッシュは4MBでTDPは4.5W。最近このSKUを搭載したマシンはあまり見かけなくなってしまったものの、省エネとパワーを兼ね備えているプロセッサだ。
メモリはLPDDR3の8GB、ストレージはSSDで256GBを搭載。OSは64bit版のWindows 10 Home。2017年モデルでは上位でもメモリは4GBで、8GBにするにはWebモデルにする必要があった。価格は上がるものの店頭モデルで8GB搭載機を購入できるのはポイントが高い。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 615。外部出力用にHDMIを備えている。ディスプレイは非光沢12.5型IPS式フルHD(1,920×1,080ドット)。タッチには対応していない。
ネットワークは、IEEE 802.11ac対応(867Mbps)、通信速度867Mbps対応は上/中位モデルで、下位モデルは433Mbpsとなる。Bluetoothはバージョン4.1。
【1月26日訂正】記事初出時、通信速度867Mbpsは上位モデルのみとしておりましたが、中位モデルも対応します。お詫びして訂正します。
そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×2、92万画素カメラ、SDカードリーダ、指紋センサー(Windows Hello対応)、音声入出力、内蔵ステレオスピーカー(1W+1W)。指紋センサーは上位モデルのみ。USBは1ポートが常時給電だ。
サイズは289×197.5×17mm(幅×奥行き×高さ)、重量約925g。バッテリ駆動時間は約11.6時間。カラーバリエーションは、メタリックピンク/パールブラック/パールホワイトの3種類が用意されている。税別店頭予想価格は144,800円前後。この価格帯は競合も多いのだが、ハイパワーより、モバイル性を重視した内容になっていると言えよう。
なお中位モデルの「NM350/KA」は、Core m3-7Y30/4GB/SSD 128GB/約11.7時間/約924gで124,800円前後、下位モデルの「NM150/KA」は、Celeron 3965Y/4GB/SSD 128GB/約11.7時間/約924g/104,800円前後。0.1時間違いのバッテリ駆動時間、1g違いの重量を明記しているところが同社らしいところか。
加えてWeb直販限定モデルとして、Windows 10 Pro(Home)/Core i7-7Y75/8GB/PCIe接続SSD 512GBや、Windows 10 S/Celeron 3965Y/4GB/SSD 64GB/パールホワイトも用意されている。とくにWindows 10 Sモデルがあるのはめずらしい。
前2017年モデルを試用したときは「軽いけど少しパネルが小さいかな」と思ったが、今回の2018年モデルは先に書いたとおり個人的にはジャストサイズ。しかも軽く、好印象だ。
また2017年モデルは当時の原稿で「ただフットプリントのわりに(相対的に)厚みが少しあるような気がする」と書いているが、2018年モデルでは、幅および奥行きがともに19mmほど増え、厚みは1.5mm薄く、そしてパネルが12.5型となった関係で、バランスがよくなったように思う。
届いたカラーバリエーションはパールブラック。筐体はアルミニウム削り出しとかではないため、高級感はあまりないものの、無難で飽きのこない雰囲気とも言える。また、持ち運びを考慮し、面耐圧150kgfの耐久性があるため安心できる。
トップカバーはロゴのみ。前面は狭額縁でスッキリしており、NECのロゴの下にWebカメラ。前左右側面にはなにもなく、背面へロックポート、音声入出力、USB 3.0×2(左側が常時給電)、HDMI、SDカードリーダ、電源入力を配置。このレイアウトはスッキリする反面、USBでなにか接続するときやSDカードをセットするとき少し面倒。好みが分かれるところだろう。
裏はゴム足6つと、手前側左右にスピーカー。バッテリは内蔵式で着脱できない。付属のACアダプタは、実測でサイズが約90×39×30mm(幅×奥行き×高さ)、重量176g。出力20V/2.25A。
12.5型のパネルは、非光沢で眼に優しいが、原色などの発色は少し地味目。視野角、明るさ、コントラストは十分。ただし輝度最小時は結構暗い。
キーボードはテンキーなしのアイソレーションタイプ。主要キーのキーピッチ19mm、キーストローク1.4mm。たわむこともなく快適に操作できる。キーピッチは手前や右側が一部せまくなっているものの許容範囲だろう。ただ[Tab]キーはもっと広く、[Fn]キーは左側にもほしかった。
タッチパッドは物理的なボタンがない1枚プレート型。フットプリント的にパームレストも含め若干狭めだが、実用レベルでは問題ない。
ファンレスかつSSDなのでノイズや振動は皆無。発熱は後半のベンチマークテストからもわかるように、プロセッサの温度が最大90℃近くまで上がるため、負荷をかけると全体的に多少熱を持つことがある。
サウンドは筐体の左右にスピーカーがありステレオ感はサイズのわりに結構出る。中域中心のカマボコレンジではあるものの、パワーもそこそこ。加えて「LAVIEかんたん設定/YAMAHAサウンド」で好みの音色にも調整可能だ。オフにすると音痩せするので常時オンをおすすめする。
以上のように、一見、派手さはなく、どちらかと言えば地味な1台だが、パネル、キーボード、サイズ、重量など、モバイルノートを構成するすべての要素に対して堅実に仕上げた1台で、このスタンスは個人的に好印象だ。
BBenchで約10時間のバッテリ駆動
OSは64bit版のWindows 10 Home。Core i5、メモリ8GB、ストレージはSSD…と、快適に使える環境が揃っているので、なにをしても普通に動く。このクラスのノートPCならストレスを感じることはないだろう。
初回起動時のスタート画面(タブレットーモード)は1画面。NECグループに追加されているタイルがおもなプリインストールとなる。デスクトップは壁紙の変更と、左側に「ウイルスバスター」へのショートカット、同社おなじみ「インフォボード」が起動している。
ストレージはSSD 256GBの「SAMSUNG MZNLN256HAJQ」。C:ドライブのみの1パーティションで約237GBが割り当てられ空き192GB。Wi-FiとBluetoothはRealtek製だ。
プリインストールのソフトウェアは、「CyberLink Power2Go 8」、「HiGrand Music Player V3」、「LAVIE FOR KIDS」、「ウイルスバスター クラウド」、「筆ぐるめ 25」、「LAVIEアップデート」、「LAVIEかんたん設定」、「LAVIE動画なび」、「LAVIEマニュアル」、「インフォボード」、「再セットアップメディア作成ツール」、「はじめの設定」、「バッテリ・リフレッシュ&診断ツール」など。
多くは同社が昔から搭載しているアプリケーション群なので、とくに説明の必要はないだろう。HiGrand Music Player V3は、ハイレゾ音源対応で、スマートフォンなどからもコントロールできる(Windows 10 S搭載モデルはHiGrand Music Player、ヤマハ AudioEngine非搭載)。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home accelerated、CrystalDiskMark。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(2コア4スレッドと条件的に問題ない)。
winsat formalの結果は、総合 6.5。プロセッサ 8.6、メモリ 8.6、グラフィックス 6.5、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.2。メモリのバンド幅は19,902.37691MB/s。PCMark 8 バージョン2/Home acceleratedは2,282。
CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 544.9/Write 326.9、4K Q32T1 Read 138.0/Write 211.0、Seq Read 497.7/Write 325.0、4K Read 30.27/Write 98.45(MB/s)。CrystalMarkは、ALU 30,285、FPU 27,806、MEM 32,270、HDD 43,541、GDI 4,568、D2D n/a、OGL 2,516。
ここのところKaby Lake Refresh世代のCPUやNVMe SSDのスコアばかり見ていたので、少し物足りないものの、Kaby Lake世代ののCore i5-7Y54としては一般的だ。
BBenchは、バッテリ節約機能オン、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で36,419秒/10.1時間。仕様上の11時間越えこそしなかったが、このクラスで10時間持てば合格点だろう。
以上のようにNEC「LAVIE Note Mobile(NM550/KA)」は、900gちょっとの筐体に、12.5型のフルHD液晶、Core i5、メモリ8GB、SSD 256GBを搭載、バッテリ駆動時間10時間以上と、使い勝手、パワー、バッテリのバランスがうまくとれたモバイルノートだ。予算や用途に応じてWeb限定モデルの最上位モデルや中位/下位モデルを選べるのもポイントが高い。
仕様上、一部のキー以外、とくに気になる部分もなく、学生にかぎらず、1kgを切り、バランスの良いモバイルノートを探しているユーザーにおすすめできる逸品だ。