西川和久の不定期コラム

NEC PC「LAVIE Note Mobile(NM150/GA)」

~11.6型B5ファイルサイズ相当で重量約904gのモバイルノート!

LAVIE Note Mobile(NM150/GA)

 NECパーソナルコンピュータ(以下NEC PC)は2月7日、11.6型B5ファイルサイズ相当で約904gのモバイルノート「LAVIE Note Mobile」3機種を発表した。上位、中位、下位モデルのラインナップ中、下位モデルが編集部から送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。

Kaby Lake世代のPentiumを搭載し重量約904gでバッテリ駆動12時間越え

 「LAVIE Note Mobile」は、上位モデル(NM550/GA)にCore i5-7Y54(1.20/3.20GHz)/4GB/256GB/139,800円前後、中位モデル(NM350/GA)にCore m3-7Y30(1.00/2.60GHz)/4GB/128GB/124,800円前後、そして今回ご紹介する下位モデル(NM150/GA)のPentium 4410Y(1.50GHz)/4GB/128GB/104,800円前後の3種類。上位から下位モデルの価格の幅は3.5万円。ほかの仕様は11acとバッテリ駆動時間以外共通だ。

 最大の特徴は、冒頭に書いたように、11.6型B5ファイルサイズ相当で、重量904gというモバイル性。そしてパワーが期待できないAtomではなく、Kaby Lake世代のCore i5/m3、Pentiumを搭載しているだけあって、注目している方も多いのではないだろうか。下位モデル「NM150/GA」の主な仕様は以下の通り。

【表】NEC PC「LAVIE Note Mobile(NM150/GA)」の仕様
プロセッサPentium 4410Y(2コア/4スレッド、クロック1.5GHz、キャッシュ2MB、TDP 6W)
メモリ4GB/LPDDR3 SDRAM
ストレージ128GB SSD
OSWindows 10 Home(64bit)
ディスプレイ光沢IPS式11.6型フルHD IGZO液晶ディスプレイ(1,920×1,080ドット)、タッチ非対応
グラフィックスIntel HD Graphics 615、HDMI
ネットワークIEEE 802.11ac(433Mbps)対応、Bluetooth 4.1
インターフェイスUSB 3.0×2(内1つはPowered)、メディアカードリーダ、HD解像度(720p)対応カメラ、音声入出力、内蔵ステレオスピーカー(1W+1W)
バッテリ駆動時間約13時間
サイズ/重量約270×178×18.5mm(幅×奥行き×高さ)/約904g
そのほかOffice Home & Business Premium プラス Office 365 サービス
税別店頭予想価格104,800円前後

 プロセッサはKaby Lake世代のPentium 4410Y。2コア4スレッドでクロックは1.5GHz。キャッシュは2MBでTDPは6Wだ。非Core iとしては、Celeron 3865U(1.8GHz/TDP 15W)、Celeron 3965U(2.20GHz/TDP 15W)、Pentium 4410Y(1.50GHz/TDP 6W)、Pentium 4415U(2.30GHz/TDP 15W)と、4つのSKUがあるが、Y型番を採用したのは、おそらくTDPを優先した設計になっているのだろう。後半のBBenchでは12時間越えの長時間駆動が可能だ。

 メモリはLPDDR3 SDRAMで4GB。ストレージは128GB SSD。ローエンドにありがちなeMMCではないので、それなりの性能が期待できる。OSは64bit版のWindows 10 Homeを搭載。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 615。外部出力用にHDMIを装備している。ディスプレイは光沢のIPS式11.6型フルHD(1,920×1,080ドット)IGZO液晶。低消費電力のIGZO液晶を搭載しているだけに、実際のバッテリ駆動時間に期待したい。タッチには非対応だ。

 インターフェイスは、IEEE 802.11ac(433Mbps)対応、Bluetooth 4.1、USB 3.0×2(内1つはPowered)、メディアカードリーダ、HD解像度(720p)対応カメラ、音声入出力、内蔵ステレオスピーカ(1W+1W)。Wi-Fiに関しては中位/上位モデルは11ac(867Mbps)となっているものの、このモデルは半分の帯域だ。

 サイズは約270×178×18.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量約904g。バッテリ駆動時間は約13時間。バッテリ駆動時間も含め、このクラスで1kgを切っているのはなかなか凄い。まさにThe「Note Mobile」だ。カラーバリエーションは、「アクアブルー」と「パールホワイト」。ただし、現時点では直販サイトのNEC Directにアクアブルーは用意されていない。税別店頭予想価格は104,800円前後。

 さらにNEC Directでは、カラーバリエーションに「パールブラック」を加え、一部基本仕様を変更し(Officeなし/128GB SSD/11ac(433Mbps))、Core i5-7Y54/8GBで116,800円。Pentium 4410Y/4GBで89,800円と(税別/送料無料)と、安価で購入可能。カスタマイズにも対応している(メモリ8GBの構成にできるのはCore i5モデルのみ)。

 Office不要、128GB SSDで容量に問題なく、11acが433Mbpsでいいなら、この2モデルがお買い得だ。

前面。パネル中央下にWebカメラ。狭額縁なのがわかる
背面。ロックポート、音声入出力、USB 3.0×2(左側がPowered USB)、HDMI、メディアカードリーダ、電源入力。コネクタ類はここに集中している
左側面。コネクタ類はない。パネルはこの角度が最大
右側面。コネクタ類はない。奥上部に電源ボタンと各種ステータスLED
キーボードはアイソレーションタイプ。JIS標準配列/85キー。スペースキーの左右や右に行くほどピッチが狭くなっている。タッチパッドは1枚プレート型
主要キーのキーピッチは約19mm
底面。手前左右のスリットにスピーカーが埋め込まれている
斜め後ろから。厚み18.5mm。バッテリは内蔵式で着脱できない
付属のACアダプタのサイズは約94×40×30mm(同)、重量175g
重量は887gと仕様より少し軽い

 筐体はメタリックなブルー。非常にきれいで質感も良い。B5ファイルサイズ、実測887gなので、楽々持ち運ぶことができる。ただフットプリントの割に(相対的に)厚みが少しあるような気がする。

 前面はパネル中央下にWebカメラ。写真からもわかるように狭額縁で画面周りはスッキリしている。またこのクラスとしては珍しく左右の側面にはコネクタ類がなく、後ろにロックポート、音声入出力、USB 3.0×2(左側がPowered)、HDMI、メディアカードリーダ、電源入力とすべて集中している。

 トップカバーを閉じて薄型デスクトップPCとして使う場合は、ケーブル類が裏にあるため見栄えが良く便利なのだが、実際ノートPCとして試用したところ、SDカード/USBメモリや電源を抜き差しするのに不便だった。反面、ケーブル類が目立たず接続できると言う利点もある。

 底面は手前左右にスピーカーのスリット。メモリなどにアクセスできる小さいパネルはない。付属のACアダプタはサイズ約94×40×30mm(同)、重量175g。

 11.6型のIGZO液晶ディスプレイは光沢タイプのIPS式で視野角も広く、明るさ/発色/コントラストも良好。ただしバックライト最小にするとかなり暗い。写真の角度が最大となる。

 キーボードはアイソレーションタイプのJIS標準配列/85キー。仕様上、キーピッチ19.0mm/キーストローク1.4mm。たわむこともなく快適に入力できる。タッチパッドはボタンのない1枚プレート型だ。

 さて、確かに主要キーのピッチは19mmだが、スペースキー左右にあるキーや、右側のピッチはかなり狭い(加えて[Tab]も)。また[Fn]キーだけ大きく、左側にはない……など、結構いびつだ。11.6型のフットプリントで19mmを確保したための弊害と思われるが、これなら18mmにしてもう少し平均的にした方が無難だったような気がする。とは言えこの点は好みの問題もあるので、店頭などで確認して欲しい。

 振動やノイズは皆無。発熱も試用した範囲では気にならなかった。サウンドはスピーカーが裏にあるため、机などに音を反射させるタイプだ。このクラスの割にはそれなりに鳴る方だろうか。またYAMAHA製AudioEngineを搭載しているので、いろいろ調整も可能だ。

 キーボードとコネクタ類の位置に関して少し愚痴ってはいるものの、全体的な完成度は高く、11.6型でこの重量。パッケージから取り出した瞬間、久々に欲しいかもと思った1台だったりする(笑)。

【お詫びと訂正】初出時に、液晶ディスプレイを「非光沢」としておりましたが、「光沢」の間違いでした。お詫びして訂正させていただきます。

明らかにAtom搭載機より快適!

 OSは64bit版のWindows 10 Home。Pentium/4GB/SSD 128GBなので、Atom x系を搭載したPCより明らかに反応が良く快適だ。ライトな用途以外なら、少なくともこの程度の性能は欲しいところ。

 初期起動時のスタート画面(タブレットモード)は、1画面+α。左右でストア/デスクトップ系と分けているわけではないが、2つあるNECグループがプリインストールとなる。デスクトップは今の季節に合うものに変更し、左側のショートカットは2つ。前回の富士通2in1もそうだったが、国産PCは多くのショートカットを配置するのがこれまでのパターン。方針変更したのだろうか。

 128GB SSDは「SAMSUNG MZNTY 128HDHP」。M.2接続のものが使われている。C:ドライブのみの1パーティションで約118GBが割り当てられ空き76.3GB。Wi-FiとBluetoothはIntel製だ。

スタート画面(タブレットモード1/2)。Windows 10 標準
スタート画面(タブレットモード2/2)。2つあるNECグループがプリインストール
起動時のデスクトップ。春っぽい壁紙への変更とショートカット2つを追加
デバイスマネージャ/主要なデバイス。128GB SSDは「SAMSUNG MZNTY 128HDHP」。Wi-FiとBluetoothはIntel製
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約118GBが割り当てられている
HiGrand Music Player V2/YAMAHA製AudioEngine。YAMAHA製AudioEngineを搭載。LAVIEかんたん設定/YAMAHAサウンドからも調整できる

 プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「LAVIEアシスト」、「LAVIEかんたん設定」、「LAVIEチャンネル」、「My Time Line」、「SmartVision/PLAYER」、「U-NEXT」、「サポートに問い合わせる」、「楽しもう! Officeライフ」など。他社と比較してストアアプリを活用している方だろう。

 デスクトップアプリは、「CyberLink Power2Go 8」、「ebi.BookReader4」、「JSバックアップ」、「LAVIEアップデート」、「パーティション設定ツール」、「再セットアップメディア作成ツール」、「はじめの設定」、「バッテリ・リフレッシュ&診断ツール」、「ファイナルパソコン引越し」、「筆ぐるめ 24」、「マカフィーリブセーフ」、「らくらく無線スタートEX」、「Info.Board」。設定系のアプリが多めだ。

はじめの設定
Info.Board
LAVIEアシスト
LAVIEかんたん設定
SmartVision/PLAYER
バッテリ・リフレッシュ&診断ツール

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home accelerated。CrystalDiskMarkの結果も見たい。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(今回は2コア4スレッドと条件的に問題ない)。

 winsat formalの結果は、総合 5.6。プロセッサ 6.6、メモリ 5.9、グラフィックス 5.6、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.15。メモリは64bitで4GBなので、リミッターがかかっている。バンド幅は13122.14994MB/s。PCMark 8 バージョ2/Home acceleratedは2435。CrystalMarkは、ALU 23519、FPU 22982、MEM 34247、HDD 43781、GDI 8385、D2D 4969、OGL 7131。参考までにGoogle Octane 2.0のスコアは9,570と、1万を少し切る結果となった。

 手元にBraswell世代のPentium N3700を搭載したマシンがあり、「winsat formal」のスコアは、5.4、6.8(バースト時2.40GHz)、7.2、5.4、n/a、8.15。メモリのスコアが高いのは8GB搭載でリミッターが外れるため。バンド幅10799.27348MB/sなので本機は同等+αだろう。総じてPentium N3700の方が少し低めとなる(Google Octane 2.0も9Kを少し切る)。プロセッサだけ若干速いのはバーストモードの有無による違いだ。

 ひところ(ほぼ丸1日オンのため)TDPが低い、このPentium N3700マシンをメインで使っていた時があり、原稿/開発/Officeなどのテキスト系、ネット系、数十枚レベルのRAW現像など普通にこなせていた。そう考えると、この「LAVIE Note Mobile(NM150/GA)」も爆速ではないものの、必要十分なパワーだと言って差し支えないだろう。

 CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 558.2.1/Write 528,3、4K Q32T1 Read 170.2/Write 138.0、Seq Read 505.0/Write 496.3、4K Read 32.50/Write 84.68(MB/s)。eMMCとは比較にならない速度だ。

 BBenchは、バッテリー節約機能ON、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で48,620秒/13.5時間。仕様上約13時間なのでほぼ同等だ。ただし、バックライト最小だと暗いので、実際はもう少し短くなると思われる。

「winsat formal」コマンド結果。総合 5.6。プロセッサ 6.6、メモリ 5.9、グラフィックス 5.6、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.15
PCMark 8 バージョン2/Home accelerated。2435
PCMark 8 バージョン2/Home accelerated(詳細)。CPUクロックは0.8GHz辺りから最大の1.5GHzまでだが、最大側に寄っているのが多い。温度は40度ちょっとから最高で68度近辺と結構低め
CrystalDiskMark。Seq Q32T1 Read 558.2.1/Write 528,3、4K Q32T1 Read 170.2/Write 138.0、Seq Read 505.0/Write 496.3、4K Read 32.50/Write 84.68(MB/s)
BBenchの結果。バッテリー節約機能ON、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果。バッテリの残5%で48,620秒/13.5時間
CrystalMark。ALU 23519、FPU 22982、MEM 34247、HDD 43781、GDI 8385、D2D 4969、OGL 7131

 以上のようにNEC「LAVIE Note Mobile(NM150/GA)」は、11.6型B5ファイルサイズ相当で約904g、バッテリ駆動12時間以上と、正真正銘のモバイルノートだ。ベンチマークテストからも分かるように、一般的な操作であれば普通に使える性能を備えている。またパワーが欲しい時は中位/上位モデルもあるので、そちらをチョイスすることも可能。価格の幅は3.5万円ほどだ。少し仕様が異なるものの、NEC Directモデルだともっと安価に購入できる。

 仕様の範囲内で特に気になる部分もなく完成度は非常に高い。あえてあげれば、書いたように全て後ろにあるコネクタと、キーボードが好きか嫌いか程度だろうか。この点は店頭で確認して欲しい。「キャンパスモバイルデザイン」をコンセプトとして謳っているが、学生のみならず、コンパクトで軽量、普通に使え、バッテリ駆動時間も長いモバイルノートを探しているすべてのユーザーにお勧めの逸品と言えよう。