西川和久の不定期コラム

2017年を振り返る。前半はAMD vs Intel、後半は2018年に向けての助走の年!?

 毎年恒例の「振り返る」。今年(2017年)も試用した機器の一覧を眺めながら思いつくまま書いてみた。個人的な趣向が強く、一般的な業界の流れとは違う部分も多々あると思うが、最後までお付き合い願いたい。

2016年の予言(?)Windows 10 Mobileは大外れ

 この記事を書くにあたって、昨年(2016年)のまとめ記事を改めて読んだが、申しわけない。大外れだったのは「Windows 10 Mobile」。「RS2以降は、マルチウィンドウ、x86アプリ対応(ハイエンドSoCのみ)、さらにUSB Audio Class 2.0にも対応するらしく……」と、書いたものの、それどころの話ではなく、このOSはメンテナンスモードに入り、新機能などは搭載しないこととなった。つまり、事実上の撤退だ。

 当時、Windows 10では「Windows 10 Fall Creators Update」相当のInsider Previewは、Buildが上がるたびにどんどん機能を増やしていったが、Windows 10 Mobileのほうは一向に増えず。嫌な予感はしていたものの、それが現実になってしまった。現時点でOSは32bit、ウィンドウ表示はできずフルスクリーンのみ。UWPアプリも増えず……と、OSのシェア以前に悪い条件が重なってしまった感じだ。

Windows 10 Mobileが動作するNuAns NEO。最新のIPでもBuildが10.0.15254.16と、15xx系になっている

 その代わりと言っては何だが、最近Windows 10のArm版が発表されたのはご存知のとおり。今のところ対応するSoCはSnapdragon 835/845。OS自体はArm版で32bit/x86アプリをエミュレーションする(2018年には64bitのArmアプリ開発環境も登場予定)。

 発表時に数台2in1が展示されたので、話的には「Always Connected PC」(LTEを使い常時ネット接続)で、長時間のバッテリ駆動可能なタブレットや2in1が中心になっているが、じつは、一番初めにWindows 10のArm版が披露されたとき、デバイスはスマートフォンだった。現在スマートフォンでSnapdragon 835/メモリ4GB以上/ストレージ64GB以上を搭載するのは簡単であり、Windows 10のArm版をベースにしたスマートフォンの登場も夢物語ではない。

スマートフォンタイプのQRDで動作するWindows 10のArm版 ※撮影: 笠原一輝氏

 気になるSnapdragon 835上のエミュレーションで動作するx86アプリの速度は、Atomよりは速くCore mよりは少し遅いといったな話が出ている。画像や動画などハイエンドであつかう重い処理でないかぎり、Office程度なら十分動くということだ。加えてSnapdragon 845の話ももう出ている。Snapdragon 835ですでにこのレベルであれば、動作速度に関しては、時間が解決するので問題ない。

 Microsoftとしては、このWindows 10のArm版でスマートフォンのシェアを取ろうとは考えていないと思うが、この手のデバイスがほしい人は多いのではないだろうか。

 OS系は、順当にmacOSがSierraからHigh Sierraへ、Androidが7から8へ。Windowsはストアアプリのみインストールできる10 SがSKUに加わった。Window 10 Sは、有償(機種によっては一定期間内であれば無償のケースも)で10 Proにもアップデートできる。逆に10 Proを10 Sにするツールも公開された。この場合、すでにインストール済みのx86アプリは動作する。企業や学校など、ユーザーがあとから無関係なアプリをインストールできない仕掛けとしては有効だと思われる。また先に書いたWindows 10のArm版も多くは10 Sになるようだ。

 余談になるが、この春(4月4日)、AndroidのシェアがWindowsを上回ったというニュースが載った。この記事のグラフを見ると、大雑把にWindowsが下がった割合ほぼそのままAndroidが増えている格好だ。もちろん実際の利用形態は、片やPC、片やスマートフォンなので、単純比較してもあまり意味がないのだが、ちょっとショッキングな出来事だ。

 ハードウェア面では、久々にAMDのプロセッサ、Ryzenが盛り上がった。この影響を受け、Intelも怒涛のように2桁コアプロセッサのSkylake-Xなどを発表したのは記憶に新しい。

Ryzen 7 1800X

 また新しく加わったカテゴリとして、スマートスピーカーとIoTが挙げられる。前者は、GoogleやAmazonなどいろいろなメーカーから複数出ている。ただそもそもスピーカーなのに音質を期待できない面がある。そう言った意味から音質に期待できるのはソニー「LF-S50G」やオンキヨー「P3」と「G3」など、オーディオメーカー製だろうか。なにか入手できればレポートするかもしれない。

 IoT関連デバイスは9月にマウスコンピューター「スマートホーム スターターキット [SK01]」の記事を掲載している。このキットはLED電球や電源のオン/オフ、モーションセンサー、ドアセンサーなどの構成になっているが、IoT自体はそれだけでなく「いろいろなものがネットに接続され、そして制御する仕掛け」なので、今後も生活に身近なものが接続されていくことになるだろう。

 ちょうど今、山田 祥平氏の呟きが「サンスターと富士通がIoTスマート歯ブラシと歯科医院向けクラウドサービスを連携」だった。今度は歯ブラシ……だ(笑)。

スマートフォンでデスクトップ対応

 さて上記で、スマートフォンでデスクトップも的な話を書いたが、筆者がスマートフォンでデスクトップ対応に興味があるのは、これがスマートフォン1台でまかなえるなら、コストはもちろん利便性、そして管理面でも楽ができるためだ(動画編集ができないとか、Photoshopで処理が重いとか言う人を除く)。

 すでに一部ではあるが、Androidの世界では現実のものとなっている。「Galaxy S8/S8+/Note8+「DeX Station」と、最近掲載した「ファーウェイMate 10 Pro」だ。ディスプレイ、キーボード、ポインティングデバイスを接続するとPC的な操作ができる。

ファーウェイMate 10 Proで動作するPCモード

 とはいえ、Androidの標準機能ではないため、IMEが固定になったり、アプリの作りによって表示できないもの、ウィンドウサイズ固定のもの、ウィンドウサイズ変更可能なものと、まだ中途半端な完成度だ。

 ただ、対応機種のSoCが速いこともあり、動く範囲では十分実用レベルで動作する。実際筆者の知人などは、出張にノートPCを持ち歩くのをやめて、キーボード(ポインティングデバイス付き)のみバックへ入れ、ホテルのTVにHDMIで接続し、Officeやメールなどの処理をしているとのこと。

 たぶん現時点のハイエンドSoCレベルがミドルレンジに落ちてくるころには、ミドルレンジから全機種このモードを搭載しているのではないだろうか。そのときにはきっと半端な部分も直っていると思われる。オフィスでスマートフォンだけで仕事する人も出てくるだろう。

 そうなったとき、PCがピンチになるのか、先のWindows 10のArm版で同じことをしているのか興味があるところだ。

 さて、WindowsとAndroidではスマートフォンをデスクトップ化する目途は立っているものの、iOSはどうなのだろう。これもじつは先日興味深いリークがあった。それは、iOSとmacOSアプリのユニバーサル化だ。つまり1つのアプリで両OSで動作可能にする開発環境が2018年に登場するようなのだ。

 見方を変えると、iOSでmacOS用のウィンドウ表示が可能なアプリ、もしくはmacOSがArmで動くiOS用アプリが作れるようにも理論的には可能となる(APIの違いを吸収するレイヤが必要になるケースもあるだろうが)。この場合、iOSがWindows 10やAndroid搭載機に対抗すべく、デスクトップモードを搭載する可能性は十分ある。時期的には2019年になるだろうか。またWindows 10同様、バッテリの長時間駆動がおもな理由で、Arm版のmacOSも出る可能性がある。

 いずれにしても普段はスマートフォン、ディスプレイ/キーボード/ポインティングデバイス(またはノートPC型のドックでもいい)を接続してデスクトップモード……という流れは、ハードウェア的にもソフトウェア的にも十分射程距離に入っているため、2018年からはじまりそうな予感がする。

試用してインパクトのあった製品

 今年試用した機器は、ノートPC/2in1=24(20)、デスクトップ=8(9)、スマートフォン=7(8)、タブレット=4(3)、その他=4/IoT、Mastodon、Bash×2。カッコ内が2016年の数なので、おおよそ扱った比率は同じだ。

 AtomやCeleronを搭載したタブレット、ノートPC、2in1はアーキテクチャ的に大きな変化もなく、似たり寄ったりですでにマンネリ状態。ただ昨年と比較して少し違うのは、安価な機種は別としてAtomやCeleron搭載機でメモリ4GBが増えたように思う。2GBと4GBは実際使った感じの差が大きく、この傾向はうれしいところ。

 昔から小型PC好きだったこともあり、このなかでインパクトがあった製品は、マウスコンピューター「MousePro-C100PV」。よく似たタイプで「ZBOX PI225 Windows 10 Home」もあるが、パッケージを開けた時のインパクトは圧倒的に前者だった。

 写真からもわかるように、とにかくぱっと見、少し大きめのUSB式ACアダプタと変わらない。これで、Celeron N3350/メモリ4GB/ストレージ64GB、Gigabit Ethernet、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.0+LE、USB 3.0、USB 2.0、HDMIと一式入っているのだから驚きだ。

マウスコンピューター「MousePro-C100PV」(右) / Raspberry Pi 3とUSB-DAC(DVK-UDA01)

 次は、ASUS「Chromebook Flip C302CA」。価格のわりに筐体の質感は高く、パネルも美しい。Core mでChrome OSということもあり動きもキビキビ。日頃10.1型の「Chromebook Flip C100PA」を使っているだけにその差は歴然。

 残念なのは現状のバージョンだと、Androidアプリのウィンドウサイズが固定され、12.5型のパネルだと、相対的に表示が小さくなってしまうこと(10.1型だとちょうどいい)。この点が直ればぜひほしい1台だ。記事にも書いたが、Chromebook全般の国内価格をもう少しなんとかしてほしいところか。

ASUS「Chromebook Flip C302CA」

 ほかはとくにこれと言ってインパクトのあった製品はないのだが、往年のThinkPadファンとしては誕生25周年を記念した特別モデル「ThinkPad 25」は無条件に気になった。

「ThinkPad 25」と「ThinkPad T43」のツーショット

 一部の機能=カメラで驚いたのは、AIサポートのあるファーウェイ「Mate 10 Pro」。撮影と現像に手慣れたアシスタントがスマートフォンのなかにいる感じとなる。なにもせずにオートで撮ってあの絵が得られるのだからかなりすごい。レビューで「とくにカメラ好きのユーザーにぜひ使ってほしい」と書いたものの、考えてみれば「カメラが苦手な人にこそぜひ使ってほしい」1台とも言える。

ファーウェイ「Mate 10 Pro」、オートで撮影

 もう1点、これも機能の一部と言えばそうかもしれないが、Kaby Lake Refreshのプロセッサに内蔵しているグラフィックスが速くなったこと。これまで内蔵グラフィックスは、たとえばwinsat formalで測定すると、プロセッサやメモリは速いのに、グラフィックスが遅いので、システムスコアは一番遅いグラフィックスの値となり足を引っ張っていたが、Intel UHD Graphics 620は、ほぼ同じスコアとなり、足を引っ張らなくなった。ストレージがSSDだとざっくり全部のスコアが揃うので、結果を見てても気持ちがいい。

Kaby Lake Refreshのプロセッサ搭載PCのwinsat formal。GraphicsScoreが8@Lenovo「YOGA 920」

今年購入したもの、来年ほしいもの

 今年、最新鋭という意味で購入したのは「iPhone X(64GB/シルバー)」のみ。それも発売日の争奪戦には参加せず、少し前にたまたま別件でdocomoショップに行ったとき、在庫を確認したらあったので、ついつい衝動的に機種変した格好だ。

 まだ使いだして間もないので、簡単なインプレッションだけ述べると、まずiPhone 7 Plusと比較して、ベンチマークテストすれば速いのだろうが、体感的には大差ない。

 ホームボタンとともになくなった指紋センサーの代わりに搭載したFace IDは、メガネの有無、サングラス、低照度どれも問題なく瞬時に認識する。またホームボタンがなくなり、若干仕様が変わった操作系については、慣れてしまえばiPhone Xのほうが自然のように思う。

 写真の画質は上がっているものの、撮るのが食事かスナップ程度。iPhone 7 Plus(ポートレートモードは絶対条件)レベルで十分。追加されたエフェクトも使わない。

 明らかに良くなったのは横位置でのステレオサウンドだ。iPhone 7 Plusではどうしても一方(ホームボタン側)にバランスが寄りがちだったが、iPhone Xは自然にセンターでバランスする。ただ7 Plusではホーム画面が横位置にも対応していたがXは非対応だ。これは画面の縦横比が非Plus系なので仕方ないところ。

 iPhone 7 PlusからiPhone Xへのデータ復元で面倒だったのは、バックアップしたiPhone 7 Plusは最新のiOS、iPhone Xは少し古いiOS@工場出荷時だったので、いったんiPhone Xを、新しいiPhoneとして初回起動、iOSをアップデートしiPhone 7 Plusと合わせて初期化、そして再度初回起動してiTunesから復元しないとエラーになってしまうこと。タイミング的に仕方ない部分ではあるが、初心者だと焦るのではないだろうか。

 笑い話であるが、iPhone Xはホームボタンがないため、替わりに下から上にスワイプする。iPhone Xの充電中にNuAns NEO(Windows 10 Mobile)を操作していたところ、ホームボタンを押そうと思った瞬間に下から上にスワイプしてしまうのだ。こうなったとき、Windows 10 Mobileはナビゲーションバー(ソフトウェア式の場合)のオン/オフとなり、意図しない動きに「あれ!?」っとなってしまった。慣れとは怖い(笑)。

iPhone X/64GBシルバー

 SSDやUSB式充電器など、細かい周辺機などは購入したものの、PCに関しては最新という意味ではなにも買ってない。記事で部分的な写真を掲載しているが、Mastodonサーバーとして、余っていたCeleronマザーボードをケースに入れ組み立てた程度。

 じつは手持ちのMacが「Mac mini Mid 2011」なので、ちょうどサポートも切れてしまい、新しいのがほしいが、「Late 2012」(買ったばかりなのでスキップ)以降は「Late 2014」(メモリがオンボードでスキップ)のみ。

 つまり3年前から新型が出ず、今新品を購入しても数世代前のプロセッサが載っているマシンはさすがに買う気がしない。早く新型を発表してほしいところだ。

 予算5万円程度でほしいかなと思っているのは、ASUS「Chromebook Flip C101PA」。先に書いたとおり1世代前の「Chromebook Flip C100PA」を持っているのだが、新型はプロセッサのパワーアップ、メモリが4GB、結果的にネットなどで調べてみると、旧型より倍速いらしい。

 仕事が終わったあとはスマートフォンか、Chrome+Androidアプリで遊んでいるので、これだけ速度が違うのならと思うが、現状でも普通に使えているのでちゅうちょしている。

 また買ったものではないが、長年不動の地位だったWebブラウザ=Chromeが、閲覧用は「Vivaldi」 に入れ替わった(開発用はChromeそのまま)。日頃Gmail、カレンダー、いろいろなサイトへのアクセスはこればかり使っている。

 理由は、画面キャプチャをご覧いただければわかると思うが、画面の端にもう1つ長細い独立したViewを置けるのだ。ここへ、Twitter、Instagram、Facebook、Mastodon、volumioを割り当てている。もちろんこれらにこだわる必要もなく、スマートフォンに対応しているサイト(レスポンシブ)であればなんでも表示できる。大きいViewはメインなので、閲覧したいサイトを表示しつつ、平行して、先のサイトがそのまま画面上で見られて非常に便利だ。

 さらにChrome拡張機能にも対応しているので、必要なモジュールがあればそのまま組み込める。Windows版もあるので興味のある人はぜひ試してほしい。

「Vivaldi」ブラウザ。左端に長細い独立したView(Twitter)、メインに通常閲覧のサイトを表示できる

趣味@2017年

 以降は完全に趣味の世界なので自分のメモ用。まず1月に長年更新が止まっていたブログをWordPressに変え、新規で立ち上げた。トップページをマガジン風にするなど、若干凝ってはみたものの、100件ほど書いたところで飽きてしまい更新が止まっている。正月休み中に帳尻を合わせて再開する予定だ。

ブログのトップページ

 次にメインスピーカー。昨年「もともとTVの左右に小型のEntry Siがあったのだが、無理無理押し込んだJBL LE8T+EC30(箱)」の写真を掲載したが、さすがに圧迫感がすごいため、Entry Siを乗せていたスピーカースタンドでちょうどいいのは……と思いついたのが「YAMAHA NS-10M」。測ってみるとジャストサイズ。

 もう30年ほど前の製品なので程度の良い中古があればその内と思っていたところ、渋谷のある楽器屋でばったり遭遇。ユニットの状態も良かったので持ち帰った。当時よく聴いていたスピーカーだが、驚いたことに今でもなかなか良い音。聴こえるべき音はすべて聴こえ、左右前後の定位もいい。サイズ的に音圧を感じるような低音は望めないものの、それには大きいスピーカーに加え、より広い部屋を求めて引っ越す必要があるり、現状としてはベストマッチ。ペアで3万程度と考えるとコストパフォーマンスは異様に高い。

メインスピーカー2017年版(YAMAHA NS-10M)

 妙なきっかけから(若杉編集長も参加している)某忘年会でバンドをすることになり、約20年ぶりにギターを引っ張り出したのが本番約2カ月前。ギターは「YAMAHA SG-1000」(改/EMG×2、Floyd Rose)。もちろん弾くのも約20年ぶり。まずネックが反っててどうにもならずリペアショップに預けることにしたのだが、そうするとその間、基礎練ができなくなる。適当にネットで探していたら「FENDER JAPAN MG66」の安価な中古を発見。実物を見に行って即買いした(笑)。

YAMAHA SG-1000(改)とFENDER JAPAN MG66のツーショット

 「YAMAHA SG-1000」が戻ってくるまでの約1カ月は基礎練の毎日。まぁ20年ぶりなので初心者同様(基礎練のパターンを覚えているだけまし)。次に約20年眠っていたマルチエフェクタ(BOSS ME-30)を引っ張り出したところ、動くには動くが持ち歩くのにはちょっと大きく重い。そう言えばと、ギターをiPhoneやiPadに接続する「iRig 2」を購入。使ってないiPhone 5sへ「AmpliTube」をインストールしてしばらく遊んでいた。

 ただ本番で使うには若干エフェクタを切り替える必要があり、Bluetoothを使ったフットスイッチ「BlueBoard」が必要なのだが、1万円ちょっとする上、「iRig 2」だとどうしても少しノイズが乗ってしまうため(上位のA/D変換内蔵モデルだと大丈夫らしい)あきらめ、1万円未満でコンパクトなマルチエフェクタ「ZOOM G1Xon」を購入した。今考えると「何だかなぁ」的な衝動買いが続いてしまった。どおりでPC系に目が向かないはずだ。

BOSS ME-30、ZOOM G1Xon、iRig 2+AmpliTube(iPhone 5s)

 本番は220bpmというとんでもない速さでソロを弾く必要があったが、練習ではなんとかなっていたものの(が、立っては弾けない)、本番はまったく駄目。まぁ、そんなものだ。今でも指先のギターだこがなくならない程度に週何回かは基礎練だけ続けている。

実録! 俺のバックアップ術!? その2のはずが……

 昨年「実録! 俺のバックアップ術!?」に原稿を書かなかった理由を述べたが(写真は2次利用ができない被写体が多く、コードや原稿はどこかのサーバー上にあるためバックアップは不要)、たまたま「QNAP TS-231+」を入手して、DTCP-IP対応なこともあり、弱点だったメディアサーバーを強化することにした。

メディアサーバーにするつもりだったQNAP TS-231+

 RAID 1(ミラーリング)でシステムを組み、初期設定後、必要なファイルを古いNASから移動していたところ、「App Center」に「Container Station」の文字を発見。調べてみると「LXCとDockerの軽量仮想化技術を独自の方法で統合」とある。簡単に説明すると、Linuxベースで動作しているNAS用OSの上でVM(仮想マシン)ではない、もっと軽い実装でほかのOSや環境を扱うことができる仕掛けだ(Container Station の使用方法)。

 考えてみると開発環境でサーバー替わりに使っているOSはmacOS。もともとアプリを開発していたころもあり、その流れのまま、LAMPやnode.jsなどを動かしていた。が、先に書いたとおり、マシンが「Mac mini Mid 2011」。もはやいつ壊れてもおかしくない待ったなしの状況だ。もしこれが動かないと開発仕事が完全に止まってしまう。

 これはまずいということで、急遽メディアサーバー目的だったはずのNASに、macOSで構築していたLAMP環境なども全部移すことにした。必要なのはApache、PHP 5系7系、MySQL、PostgreSQLと、Nginx、Node.js、MongoDBなどの大きく分けて2系統。

 Apache、PHP 5系、MySQL(MariaDB)はNASの機能としてあるのでそのまま使用。WordPressのパッケージもあるほどなので問題なく仕事に使える。

 次はこれにPostgreSQLを加えればいいのだが、たまたま「QNAP TS-231+」の「App Center」にはなく(対応機種もある)、opkgと呼ばれる別パッケージにあるのがわかりインストールすると、対応しているPHPが7のみ。ここで困った問題が発生する。

 現在PostgreSQLは新規案件では使わず、10年ほど前の古いシステムのメンテ用。このためPHPが5.1だったりして、PHP 7ではまずそのまま動かない。仕方ないのでPHPをBuildしようにも.hや.libもなくどうにもならない。そこで先の「Container Station」の登場となる。Container一覧を眺めてみると、LXCになったUbuntuがあり、ワンクリックで、まんまインストールされる。この上でPHP 5系+PostgreSQLを動かせば、NAS側のOSは一切汚さず環境を構築できる。

 ただDual CoreのArm/1.4GHz、メモリ1GB程度のハードウェアではさすがに辛いか……と思いながら作業した結果、素の状態から使用メモリは100MBちょっと増えるだけ(もちろんOSもApacheもPostgreSQLもsshなども全部動いている)、CPUもコンパイラなどを動かさないかぎり、アベレージは数%と想像より遥かに軽かった。この段階でストレージは1GB程度の消費。コンテナを停止すればコンテナのCPUとメモリ使用率は完全に0%にできる。これはかなり便利だ。

動作中のLXC Ubuntu/Container Station。下側にコンソールが見える(全画面表示可能)。NAS OSへNATで接続されているので、openssh-serverを入れればアクセスできる。IPアドレスのセグメントが異なるためapacheなどへアクセスするにはiptablesを使って、適当なポートへFORWARDする

 もう1系統のNginx、Node.js、MongoDBもLAMPと同居するといろいろ面倒なので、別コンテナでUbuntuを入れそこに構築する予定だ(使用頻度が低いのと師走のドタバタで時間がないため冬休みの宿題)。

 本来の目的とはまったく違った用途となってしまったが(本来の目的用にも使っているが)、じつに快適に動作して大満足。これでMac miniがいつ壊れても仕事は継続できる。

 余談であるが、今さらながら知った話。Bash on Windowsは、samba mount非対応でNASにある開発用のコードにアクセスできない。だがいったん、Windowsのドライブに割り当て、それをdrvfsでmountするならOKだった。方法は以下のとおり。これでもう一系統別の開発環境を構築できる。

net.exe USE Z: '\\192.168.11.xxx\DATA'
sudo mount -t drvfs '\\192.168.11.xxx\DATA' /mnt/nas

 仕事部屋は、先に書いたNAS上の複数サーバーに加え、Mastodonサーバー、メディアサーバー、Raspberry Pi 3のミュージックサーバー@volumioと、久々にサーバーだらけに。クライアント側のマシンは増えていないが(というより半端なスペックのまますでにあまりまくっている)、これはこれで楽しめた1年だった。


 以上、2017年を振り返りつつ、後半は個人のまとめになってしまったが、少しマンネリ感ありつつ、来年(2018年)に向けての助走的な1年だったように思う。

 昨年文末に「来年2017年最大の興味ポイントは、WindowsがArmに対応し、さらにx86エミュレーションを行なうことだろう(PowerPCからIntelへ移行したMacと逆だ)。たぶん、タイミング的に2017年のまとめ記事ギリギリになりそうだが、今から楽しみにしている。」と書いたが、これだけは完全に当たり! 2018年はこれらのデバイスが実際に出荷される年となる。そしてスマートフォン型のデバイスも登場するかが最大の焦点だ。