Hothotレビュー
Ryzen搭載の小型PC「mouse CT6」は在宅ワークにもってこい。メモリ、ストレージ、OSが強化!
2022年4月15日 06:21
マウスコンピューターは「Ryzen 5 4500U」を搭載した厚さ28mmのコンパクトデスクトップPC「mouse CT6」を2020年12月に発売した。2022年4月現在、この製品のメモリ、ストレージを増量し、OSをWindows 10から11に変更したモデルが新たに発売となった。今回のレビューでは厚さ28mmのコンパクトボディーならではの設置性にもスポットを当てつつ新モデルのレビューを行なう。
16GBメモリ、512GBストレージに容量を倍増し、Windows 11 Home搭載
リニューアルされたmouse CT6は、CPUに「AMD Ryzen 5 4500U」(6コア6スレッド、2.30~4.00GHz)を採用という特徴はそのままに、メモリは16GB(SO-DIMM 8GB×2)、ストレージは512GB(PCIe Gen3 x4接続)へと倍増し、OSもWindows 10 HomeからWindows 11 Homeに変更されている。なお、購入時にメモリは32GBに、ストレージは1TBに増設可能で、1TB、2TBのHDDも追加できる。
インターフェイスはUSB 3.0 Type-C、USB 3.0×4、USB 2.0×2、HDMI、ミニD-Sub15ピン、Gigabit Ethernet、SDメモリーカードスロット、音声入出力を装備。無線通信はWi-Fi 6、Bluetooth 5をサポートする。
本体サイズは約28×150×194mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約597g。ディスプレイ背面に装着するための「VESA取り付けキット」、単体で縦置きするための「フットスタンド」が付属しているほか、なにも付けずに横置きするためのゴム足が本体に取り付け済みだ。
本製品最大のアドバンテージはなんと言ってもコンパクトさ。また、有線キーボード、有線マウスなどに加え、様々な設置方法に対応するアクセサリが標準で同梱されている点も親切な配慮と言えよう。
製品名 | mouse CT6 |
---|---|
OS | Windows 11 Home 64bit |
CPU | AMD Ryzen 5 4500U(6コア6スレッド、2.30~4.00GHz) |
GPU | AMD Radeon Graphics |
メモリ | DDR4-2666 SO-DIMM 16GB(8GB×2) |
ストレージ | 512GB PCIe Gen3 x4 SSD |
通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5 |
インターフェイス | USB 3.0 Type-C、USB 3.0×4、USB 2.0×2、HDMI、D-Sub、Gigabit Ethernet、SDメモリーカードスロット、音声入出力 |
本体サイズ | 本体のみ:約28×150×194mm(幅×奥行き×高さ)、スタンド装着時:約73×153×219mm(幅×奥行き×高さ) |
重量 | 本体のみ:約597g、スタンド装着時:約755g |
セキュリティ | ケンジントンロックスロット |
同梱品 | 本体、ACアダプタ、電源ケーブル、VESA取り付けキット、フットスタンド、有線キーボード、有線マウス、マニュアル類、保証書 |
カラー | ブラック |
価格 | 9万9,800円~ |
在宅ワーク用ならディスプレイは背面設置がお勧め
在宅ワーク用にミニPCをセットアップするならコンパクトにPC環境を構築できるディスプレイ背面設置がお勧めだ。mouse CT6なら「VESA取り付けキット」が同梱されており、VESAマウンタをディスプレイの背面に4本のネジで固定したあと、mouse CT6をスライドして底面のネジを締め上げれば装着自体はほぼ終了。あとはケーブル類を配線すれば完了だ。
ディスプレイ背面に装着した場合、専有面積はほぼディスプレイのみで済む。ディスプレイを一体型PCと同じ感覚で利用できるわけだ。一体化させると、フリーアドレスのオフィスでの移動も楽になるし、家庭の狭いパソコンラックでも設置面積を有効活用できるのがうれしい。
なお、ディスプレイの中にはスタンドの上下アームが干渉してVESAマウンタを取り付けられない場合がある。しかし、同社のiiyamaディスプレイ用に小型PC取り付け用ブラケット「MD BRPCV03」が用意されており、このブラケットを介してVESAマウンタを取り付けられる。
また、Webカメラ搭載モニター「ProLite XUB2490HSUC」もこのブラケットが必要なのだが、最近になって、このモニターとブラケットのセットが、mouse CT6のBTOオプションとして追加された。同モニターとmouse CT6を組み合わせると、液晶一体型PCとしての使い勝手がさらに増すので、この組み合わせでの導入もぜひ検討したい。
PCI Gen3 x4接続SSDでストレージ速度が大幅に高速化
最後にパフォーマンスをチェックしてみよう。今回は下記のベンチマークを実施している。
- 総合ベンチマーク「PCMark 10 v2.1.2525」
- 3Dベンチマーク「3DMark v2.19.7334」
- CPUベンチマーク「CINEBENCH R23.200」
- CPUベンチマーク「CINEBENCH R20.060」
- CPUベンチマーク「CINEBENCH R15.0」
- 3Dゲームベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」
- ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 8.0.4」
- 「Adobe Lightroom Classic」で100枚のRAW画像を現像
- 「Adobe Premiere Pro」で実時間5分の4K動画を書き出し
PCMark 10 v2.1.2525 | |
---|---|
PCMark 10 Score | 4,935 |
Essentials | 9,047 |
App Start-up Score | 11,871 |
Video Conferencing Score | 7,562 |
Web Browsing Score | 8,249 |
Productivity | 7,998 |
Spreadsheets Score | 9,339 |
Writing Score | 6,850 |
Digital Content Creation | 4,510 |
Photo Editing Score | ,6833 |
Rendering and Visualization Score | 3,964 |
Video Editing Score | 3,389 |
3DMark v2.19.7334 | |
Time Spy Extreme | 497 |
Time Spy | 1,064 |
Fire Strike Ultra | 628 |
Fire Strike Extreme | 1,258 |
Fire Strike | 2,791 |
Wild Life Extreme | 1,825 |
Wild Life | 5,905 |
Night Raid | 11,077 |
CINEBENCH R23.200 | |
CPU(Multi Core) | 5089 pts |
CPU(Single Core) | 1157 pts |
CINEBENCH R20.060 | |
CPU | 1,984 pts |
CPU(Single Core) | 449 pts |
CINEBENCH R15.0 | |
OpenGL | 51.83 fps |
CPU | 797 cb |
CPU(Single Core) | 177 cb |
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク | |
1,280×720ドット 標準品質(ノ-トPC) | 7,159(やや快適) |
CrystalDiskMark 8.0.4 | |
1M Q8T1 シーケンシャルリード | 2,488.220 MB/s |
1M Q8T1 シーケンシャルライト | 1,815.467 MB/s |
1M Q1T1 シーケンシャルリード | 2,069.956 MB/s |
1M Q1T1 シーケンシャルライト | 1,804.401 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリ-ド | 525.875 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 384.272 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリ-ド | 57.518 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 222.660 MB/s |
「Adobe Lightroom Classic」で100枚のRAW画像を現像 | |
7,952☓5,304ドット、カラ- - 自然 | 7分27秒52 |
「Adobe Premiere Pro」で実時間5分の4K動画を書き出し | |
3,840×2,160ドット、30fps | 4分10秒68 |
西川和久氏が前モデルのレビュー記事でベンチマークを実施しているが、PCMark 10、3DMark、CINEBENCH R23.200についてはほぼ同等のスコアだ。一部スコアには少し差が生じているが、これはOS、ドライバのバージョン違い、また計測誤差に起因する可能性が高い。
圧倒的な差が付いているのはストレージ速度。SATA接続SSDの従来モデルがシーケンシャルリードで471.348 MB/s、シーケンシャルライトで490.057 MB/sのところ、今回のモデルはシーケンシャルリードで2,488.220 MB/s、シーケンシャルライトで1,815.467 MB/sというスコアを記録している。
実アプリでは、「Adobe Lightroom Classic」で100枚のRAW画像を現像するのに7分27秒52、「Adobe Premiere Pro」で実時間5分の4K動画を書き出すのに4分10秒68かかった。この結果については使う方によって評価は大きく分かれると思う。個人的には、16GBメモリを搭載しているだけにアプリケーションは安定、かつ実用的な速度で操作でき、また現像、書き出しにかかる時間も許容範囲だと感じた。
なお、机の上に置いて設置する小型PCは静音性も重要な要素だが、アイドル時の動作音は33.7dBA、CINEBENCH R23.00実行中の最大動作音は41.4dBAとなった。この音を許容できるかどうかも人によるが、高負荷時にのみ最大41.4dBAに達するぐらいなら個人的には問題はない。気になる方はディスプレイの背面に装着しよう。ある程度音量を軽減できる。
消費電力は、アイドル時で平均9.58W、CINEBENCH R23.00実行中で37.07Wとなった。主にノートPCで使われるUシリーズを搭載しているだけに、消費電力は低めに抑えられている。
コンパクトな筐体で十分な冷却効率が確保できているかどうか確認するため、「HWiNFO64 Pro」でCPU温度とクロック周波数の推移を計測してみたが、CINEBENCH R23実行中にクロック周波数は3,008MHz前後で安定して推移していった。その間CPU温度はじりじりと上昇していったが、長時間クリエイティブ系アプリなどで負荷をかけ続けるのでなければ、ピーク性能は約2分40秒維持できており問題ないと筆者は考える。
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク実行中の表面温度は最大38.6℃、裏面温度は最大34.9℃となった(室温23.6℃で測定)。小型PCにとってボディ表面の発熱はそれほど重要な要素ではないが、少なくとも効率的に内部の熱を排気できていると言えるだろう
たまに写真や動画を編集するぐらいのライトユーザーならmouse CT6は必要十分
クリエイティブワークが主な仕事ならほかのマシンを選ぶべきだ。しかし、たまに写真や動画を編集するぐらいのデスクワーク向けならmouse CT6は必要十分なパフォーマンスを備えている。
また、ディスプレイ背面に設置することで、一体型PCと同じ感覚で利用できるという点は、一般的なデスクトップPCに対する大きなアドバンテージだ。ノートPCに対しても大きなディスプレイで長時間快適に作業できるというメリットがある。
在宅ワーク用に、大画面をなるべく省スペースで、そして、たまにクリエイティブワークを実用的にこなせる性能、という条件でPC環境を構築するなら、mouse CT6はぜひ検討候補に加えてほしい1台だ。