西川和久の不定期コラム

Ryzen 5搭載で厚み28mmの小型パソコン! マウスコンピューター「mouse CT6」

 マウスコンピューターは2020年12月25日、Ryzen 5を搭載し、サイズ約28×150×194mm(幅×奥行き×高さ)の小型パソコン「mouse CT6」を発表した。VESAマウンタが付属し、ディスプレイの裏にも設置可能なのが特徴だ。編集部から実機が送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。

約28×150×194mmの小型の筐体へRyzen 5を搭載した小型パソコン

 Intel NUCを代表として、モバイル用プロセッサを小さい筐体へ詰め込んだ小型パソコンが各社から結構出回っている。プラットフォーム的にはノートパソコン用だが、パネルなどがない分、ノートパソコンの同クラスプロセッサ搭載機と比較して、性能の割りに価格が抑えられているのが特徴の1つだ。

 今回ご紹介するmouse「CT6」も同じカテゴリの製品であり、Ryzen 5 4500Uを搭載している。標準でメモリ8GB、SSD 256GB、各種インターフェイスを備え、ディスプレイとマウス/キーボード、そしてネットワークに接続すれば即作動する。サイズ/重量的に片手で楽々持ち上げることができ、加えてVESAマウンタも標準装備。ディスプレイの後ろに設置すれば、机の周りもスッキリする。おもな仕様は以下のとおり。

【表】マウスコンピューター「CT6」の仕様
プロセッサRyzen 5 4500U(6コア6スレッド/2.3~4.0GHz/L3キャッシュ 8MB/TDP 15W)
メモリ8GB(4GB×2)
ストレージ256GB M.2 SATA SSD
OSWindows 10 Home(64bit)
グラフィックスAMD Radeon Graphics(6コア)/ミニD-Sub15ピン、HDMI
ネットワークGigabit Ethernet、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.0
インターフェイスUSB 3.0×5(内1つはType-C)、USB 2.0×2、SDカードスロット、音声入出力
サイズ/重量約28×150×194mm(幅×奥行き×高さ)/約591g(フットスタンド装着時約749g)
その他フットスタンド、VESAマウンタ付属
税別価格69,800円(Microsoft Office Personal 2019モデルは89,800円)

 プロセッサはRyzen 5 4500U。6コア6スレッドでクロックは2.3GHzから最大4GHz。キャッシュはL2 3MB/L3 8MB。TDPは15W。プラットフォーム的にはノートパソコン用となる。メモリは8GB(4GB×2)、ストレージはM.2 SATA SSD 256GB。OSは64bit版Windows 10 Homeを搭載。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵、AMD Radeon Graphics(6コア)。外部出力用にミニD-Sub15ピンとHDMIを備えている。

 ネットワークは、Gigabit Ethernet、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.0。その他のインターフェイスはUSB 3.0×5(内1つはType-C)、USB 2.0×2、SDカードスロット、音声入出力。必要なものはひととおり揃っている。

 サイズ約28×150×194mm(幅×奥行き×高さ)、重量約591g。またフットスタンド装着時は約749g。VESAマウンタも付属し、ディスプレイの裏に設置することも可能だ。価格は今回の基本構成で69,800円。同じ構成でMicrosoft Office Personal 2019プリインストールモデルは89,800円となる。

 なおカスタマイズは、メモリとストレージが対応しており、メモリは16/32GB、ストレージはM.2 512GB SATA SSD/1TB NVMe SSD+1TB HDDに対応。保証対象外になるがメモリと2.5インチのストレージのみ交換が可能だ。

前面。電源ボタン、USB 2.0 Type-A×2、USB 3.0 Type-A×2、USB 3.0 Type-C、SDカードスロット
背面。ミニD-Sub15ピン、HDMI、USB 3.0 Type-A×2、Gigabit Ethernet、電源入力、音声出力、音声入力、ロックポート
側面右。四隅にゴム足。右側はアクセントの赤いライン以外何もない
下側面。フットスタンド/VESAマウンタ固定用のネジ穴
付属品はACアダプタ、フットスタンド、VESAマウンタ、キーボード、マウス
iPhone 12 Pro Maxとの比較。奥行きはちょうど2つ分程度。高さも1.5倍はなく、コンパクトなのがわかる
重量は実測で589g
VESAマウンタ設置。このフレーム内に本体を収める
VESAマウンタへ本体を装着。これなら机の上もスッキリするのでお勧め

 筐体はブラック。金属製ではなくプラスティック製で、側面は縦にヘアライン仕上げっぽう雰囲気になっている。背面はツヤありのブラック。重量は実測で589g。軽いので、そのまま横置きにしても、フットスタンド(装着時実測749g)を付けて縦置きにしても、USBケーブルやSDカードなどを抜き差しするときは本体を手で押さえないと動いてしまう。この点は本機に限らず小型パソコンの弱点となる。

 前面は、電源ボタン、USB 2.0 Type-A×2、USB 3.0 Type-A×2、USB 3.0 Type-C、SDカードスロット。背面は、ミニD-Sub15ピン、HDMI、USB 3.0 Type-A×2、Ethernet、電源入力、音声出力、音声入力、ロックポート。左右側面には何もなく、下側面に固定用のネジ穴がある。付属のACアダプタは、サイズ約105×43×30mm(同)、重量215g、出力19V3.42A。筐体は小型だがACアダプタが巨大……と言うほどでもなく、コンパクトだ。

 内部を撮影しようと、筐体の構造を少し眺めていたが、簡単に外れそうもなかったので、今回は見送った。CT6のニュース記事では内部写真も載っているので、興味のある方はご覧いただきたい。

 フットスタンドとともにVESAマウンタも付属するので、実際ディスプレイへ装着した写真を2点掲載した。1つ目はディスプレイのVESAマウント用のネジ穴に合わせてマウンタを固定(ネジ4本も付属)。2つ目は実際本体をマウンタへ装着したところだ。フレームへ本体を挟み込むような感じで入れ、固定はネジ1本だけとなる。

 この状態で、無線式/Bluetoothのマウス/キーボードとWi-Fiを使えば(音も必要であればBluetooth)、ケーブル類は、ACアダプタと、映像出力の2本のみが必要となる。後者は裏だけで処理できるため、机などから引き込むのは前者だけとスッキリする。ただ本体側のSDカードスロットやUSBは使いにくくなるため、ディスプレイ側のUSB HUB/カードリーダを使うのが良いだろう。

 振動やノイズは試用した範囲ではとくに気にならなかった。小型パソコンの中にはファンが結構うるさい機種もあるが、本機は問題ない。発熱はベンチマークテスなど負荷をかけた状態でも(時期的なものもあるかも知れないが)ほんのり暖かくなる程度だった。

 実際の作動速度などは後半のベンチマークテストを参考にして欲しいが、総じて小型の筐体に上手くまとめられており、使用感そして満足度の高い1台に仕上がっている。

プロセッサ性能はTiger LakeのCore i5を少し上回るパフォーマンス。但しiGPUは…

 初期起動時、スタート画面(タブレットモード)はフルHDで1画面。ユーザーサポートグループがプリインストールになる。デスクトップは壁紙のみの変更とシンプルだ。Ryzen 5 4500U、メモリ8GB、SSDなので、最新のCore i5搭載モデル(Tiger Lake)と体感速度はあまり変わらず、ブートやアプリの起動などもスムーズだ。

 ストレージは256GB M.2 SATA SSDの「KINGSTON RBUSNS8180S3256GJ」。C:ドライブのみの1パーティションで約237GBが割り当てられ空き210GB。Wi-FiとBluetoothはIntel製、Gigabit EthernetはRealtek製だ。AMD Radeon Graphicsは、AMD Radeon Settingsで、6コア、VRAM 512MB(DDR4 1,333MHz、2,666MHz相当)なのがわかる。

スタート画面(タブレットモード)。ブレットモードはフルHDで1画面。ユーザーサポートグループがプリインストール
起動時のデスクトップ。壁紙のみの変更とシンプル
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージは256GB M.2 SATA SSDの「KINGSTON RBUSNS8180S3256GJ」。Wi-FiとBluetoothはIntel製、Gigabit EthernetはRealtek製
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約237GBが割り当てられている
AMD Radeon Settings。6コア、VRAM 512MB(DDR4 1,333MHz)なのがわかる

 おもなプリインストールのソフトウェアは、マカフィーリブセーフ、Windows 10ユーザーガイド(PDF)、ハードウェアマニュアル(PDF)、飯山の自然、世界級リゾートへようこそ。山の信州フォトコンテスト2019秋冬賞作スクリーンセーバーとシンプル。ほとんど素のWindowsとなる。しばらく飯山の自然を眺めていたが、なかなか楽しめる内容だった。

Windows 10ユーザーガイド/ハードウェアマニュアル
飯山の自然(右下のメニューはスクリーンセーバーの画面と同時には出ないため合成)

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R23、CrystalDiskMarkを使用した。

 Ryzen 5なので、Tiger LakeのCore i7ではなく、Core i5-1135G7(Dell Inspiron 13 7000(7036) 2-in-1)と比較したところ、PCMarkは10/8共に一部負けている部分もあるが、多くの項目でスコアを上回っている(当時CINEBENCHはR20だったのでこれだけは比較できず)。なかなかの性能だ。SSDはNVMeタイプではないため、それほど爆速ではない。

 ただし、3DMarkになるとTime SpyからSky Diverまでのスコアがザックリ半分ほどになる。このあたりはTiger LakeのiGPU、Intel Iris Xe Graphicsはさすが……といった感じだろうか。

 とは言え、このマシンの特性上、ゲームをするというより、ビジネス用途となるため、この3DMarkの差を実際感じることはあまりなさそうだ。

PCMark 10 v2.1.2506
PCMark 10 Score4,629
Essentials8,642
App Start-up Score10,724
Video Conferencing Score7,538
Web Browsing Score7,986
Productivity7,640
Spreadsheets Score9,394
Writing Score6,214
Digital Content Creation4,078
Photo Editing Score6,179
Rendering and Visualization Score3,241
Video Editting Score3,388
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.03,816
Creative Accelarated 3.04,078
Work Accelarated 2.05,177
Storage4,880
3DMark v2.16.7113
Time Spy707
Fire Strike Ultra414
Fire Strike Extreme817
Fire Strike1,775
Sky Diver6,874
Cloud Gate11,875
Ice Storm Extreme66,468
Ice Storm87,189
CINEBENCH R23
CPU5,391(9位)
CPU(Single Core)1,173(5位)
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード471.348 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト490.057 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード257.145 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト268.185 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード277.849 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト270.132 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード29.024 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト82.593 MB/s

 以上のようにCT6は、約28×150×194mmの筐体へ、Ryzen 5 4500U、メモリ8GB、256GB M.2 SATA SSDを組み込んだ小型パソコンだ。完全に静音ではないものの、発熱やファンの音もほとんどなく、机の上やディスプレイの裏へ設置しても気にならないレベルとなっている。

 仕様上とくに気になる部分もなく、CPU性能重視で、VESAマウント対応の小型パソコンを探しているユーザーに、使って欲しい1台と言えよう。