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白とカーボンの誘惑。レノボ「Yoga Slim 750i Carbon」は活躍の場を選ばない1kg未満ノート

Yoga Slim 750i Carbon

 レノボのモバイルパソコンのなかでも、軽さと薄さに特化したノートパソコンシリーズのYoga。その特徴をさらに強めた「Yoga Slim 750i」シリーズのうち、今回ご紹介するのは名前に「Carbon」がつくプレミアムモデルだ。

 目の覚めるようなホワイトボディに、高性能の象徴とも言える軽量・高剛性のカーボン素材を用いた「Yoga Slim 750i Carbon」は、その中身も高性能に仕上げられている。ここではメーカーからお借りした評価機をもとに細部をチェックしていきたい。12月4日に発売済みで、オンラインストアの直販モデルの価格は12万2,179円から(※12月14日時点の割引後価格)。

映える白。薄型、軽量、高耐久でオフィス~自宅間の持ち運びにも

 Yoga Slim 750i Carbonの特徴的なところは、なんと言っても外側も内側もほとんど白一色の筐体だろう。「ムーンホワイト」と呼ばれるカラーの筐体の素材にはカーボンを採用しており、さらに素材内部は炭素繊維の密度を変えた3層構造とすることで、剛性の高さと軽さの両方のレベルを引き上げている。

ロゴ以外、ほとんど白一色
底面も白
もちろん内側のキーボードも白で、バックライトも白

 カーボンと言えば黒のイメージがあるが、白い筐体であることと、指紋防止の塗装処理が施されたマットなさらさらした肌触りのおかげもあって、雰囲気としては質実剛健さよりも柔らかさを感じる。テレワーク中、自宅のリビングやダイニングなんかにも自然に溶け込む感じで使えるだろう。

自宅ダイニングで使ってみたところ

 軽量さを突き詰めたことで、重さは公称約966g、実測で977gと、1kg未満を達成している。Yoga SlimシリーズではこのYoga Slim 750i Carbonが最軽量モデルだ。それでいて米国防総省の物資調達基準であるMILスペック(MIL-STD810G)に準拠する高い耐久性を備える。

実測977gで、1kgを切る軽さ

 落下、振動、高温・低温、温度変化、高度(低気圧)、粉じんなどの面で高い信頼性を備えるため、ノートパソコンを持ち運ぶことの多い人にとっても安心度は高い。通勤時のカバンのなかでの圧迫や、家庭内でのアクシデントによるダメージなども最小限に留めることができるはずだ。

 付属のACアダプタも本体に合わせてさらに小型化した。かつてのレノボ純正の65W出力(USB Type-C)のACアダプタと比べて容積は4割近く削減され、重量も6割以上軽量化されている。本体とアクセサリの両方をスリムにし、オフィスと自宅の間を可能なかぎり快適に持ち歩けるようにした、テレワーク時代を見据えたモバイルノートと言えそうだ。

付属のACアダプタも小型・軽量
iPhone SEと比べると、ACアダプタのケーブルを除いた幅・高さはその半分くらい
ACアダプタの重量は、ケーブル、バンドを含めて実測174g

3つのType-CポートはすべてDisplayPort、USB PD対応

【表1】試用したYoga Slim 750i Carbonのスペック
CPUCore i7-1165G7(4コア8スレッド、2.8~4.7GHz)
メモリLPDDR4X 4266 SDRAM 8GB
SSD1TB(PCIe NVMe/M.2)
グラフィックス機能Iris Xe Graphics
ディスプレイ13.3型 IPS ノングレア LEDバックライト
表示解像度2,560×1,600ドット
カメラ720p IR
インターフェイスThunderbolt 4×2、USB 3.1 Type-C、ヘッドセット用端子
通信機能Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)、Bluetooth 5.0
バッテリ駆動時間約14時間
サイズ(幅×奥行き×高さ)295.9×208.9×14.25mm
重量約966g
OSWindows 10 Home 64ビット
CPUはTiger Lake

 14.25mmという薄型の筐体には、第11世代Coreプロセッサ(Tiger Lake)が組み合わされている。試用したのはCore i7-1165G7(4コア8スレッド、2.8~4.7GHz)と8GBメモリを搭載したモデル。メモリは最大16GBまで拡張できる。内蔵GPUは大幅に描画性能を強化したとされるIris Xe Graphicsだ。

HWiNFOによるハードウェア情報。CPUはTiger Lake-UP3 GT2、GPUはIris Xe Graphics

 薄型ということもあって、インターフェイスはシンプルにThunderbolt 4×2とUSB 3.1 Type-C×1、それにヘッドセット用端子のみ。3つのポートはすべてType-Cで、USB PDによる高速な充電に対応する。本体左側面に並ぶ2つのType-CがThunderbolt 4で、データ転送速度は最大40Gbps。USB 3.1対応ポートも兼ねており、その場合は最大10Gbpsでデータ転送が可能だ。

左側面にあるのがThunderbolt 4ポート×2
右側面にはUSB 3.1 Gen.1 Type-Cポートとヘッドセット用端子

 また、3つともDisplayPort Alt Mode(DisplayPort 1.4)対応のため、USB Type-Cで接続可能な外部ディスプレイをケーブル1本で追加することも可能。同時にディスプレイからYoga Slim 750i Carbonに給電される。最小限のケーブル接続でスタイリッシュにマルチディスプレイ環境を構築できるのも魅力だ。

高速な外部SSDなどを接続可能
デュアルディスプレイやトリプルディスプレイもOK
右側面のポートはThunderbolt 4ではないが、左右どちらのポートに接続しても外部ディスプレイへの出力が可能。確認したところではいずれもWQHD(2,560×1,440ドット)解像度で60Hz出力できた

 本体ディスプレイも、13.3型というモバイルらしいサイズではあるものの性能は高い。2,560×1,600ドット、アスペクト比16:10という解像度で、通常よりやや縦方向に長くなっていることからWebページやオフィス文書の閲覧効率も高まる。画面専有面積91%、sRGBで100%のカバー率という色再現性の高さは、業務用途での確かな視認性にも関わってくるだろう。

アスペクト比は16:10で、縦方向をできるだけ広くして見たいWebページや文書にも適している

 無線インターフェイスとしては、高速無線LANのWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)、広帯域になったBluetooth 5.0を装備しており、ワイヤレス通信の面でも隙がない。Webカメラを内蔵しているのは当然のこととして、Harman Kardonとコラボしたステレオスピーカー、デジタルアレイマイクにより、音質面からも円滑なオンライン会議を後押ししてくれるはずだ。

Harman Kardonコラボのステレオスピーカーは底面の両側に

 内蔵バッテリでは約14時間動作するとのことで、電源の取れない場所でも1日中使い続けることが可能だろう。出先で作業することの多い人はもちろん、仕事のはかどる空間で自在にテレワークしたい人にももってこい。3ポートとも給電対応しているため、充電しながら使用する場合でもケーブル接続の方向を気にする必要がなく、つねに自由度高く扱えるのはうれしい。

3ポートともUSB PD対応。都合のいい方向から取り回して給電できる

独自の「ぼかし」も可能な高セキュリティのWebカメラ

 テレワーク時代に適したセキュリティ機能が充実しているのも、Yoga Slim 750i Carbonの特徴となっている。その中心にあるのが内蔵のWebカメラだ。

 WebカメラはWindows Helloの顔認証に対応している。しかもパソコンを開くだけで顔認証が行なわれ、すばやく安全に使いはじめられる「タッチレスログイン」機能が利用できる。反対にパソコンから離れたときはユーザーがいなくなったと自動で判断して画面ロックする「オートロック」機能もある。

Windows Helloの顔認証に対応するWebカメラ
プリインストールされた「Lenovo Vantage」で「タッチレスログイン」や「オートロック」の機能を設定できる

 たとえオートロックで画面が消灯しても、再びパソコンの前に戻れば即座に画面がオンになってタッチレスログイン機能が働くため、瞬時に仕事を再開できる。安全性と生産性をしっかり両立できるのはありがたいところだ。

 また、Webカメラは映像の明るさとコントラストを調整できるのに加え、背景をぼかす独自の機能も持つ。もともとのWebカメラの映像を加工することになるため、背景のぼかしに対応していないオンライン会議ツールでも利用できるのがメリットだ。

同じくLenovo Vantage上でWebカメラの映像を事前加工できる

 背景のぼかしは、今や一部のオンライン会議ツールやディスクリートGPUでも利用可能な機能ではある。しかし、メジャーなオンライン会議ツールであるZoomは仮想背景はあるもののぼかしには対応していないし、内蔵GPUのパソコンではそもそも利用が難しいものだった。

 ぼかし機能での輪郭検出はそこまで正確には行なわれないため、顔の周囲の背景が少し見えてしまうこともあるようだが、散らかっている部屋をはっきり見せたくない、といったような用途では助けになるに違いない。

ぼかしを有効にしてZoomで表示した映像。輪郭検出の精度はそこまで高くはないようだが、大部分の背景は隠されている
ぼかす以外に、背景のタッチを変える「コミック モード」や「スケッチ モード」も選べる

ベンチマークでは、Tiger Lake世代のなかでも上位の性能に

 Yoga Slim 750i Carbonの処理性能はどうだろうか。下記の6つのツールで性能を計測した。Windows 10の電源設定は「高パフォーマンス」とし、Yoga Slim 750i Carbon独自の「インテリジェント・クーリング」機能の設定は「エクストリーム・パフォーマンス」にして実行している。

  • PCMark 10 Professional Edition v2.1.2506
  • 3D Mark Professional Edition v2.16.7113
  • Cinebench R20.060
  • Cinebench R23.200
  • CrystalDiskMark v8.0.0
  • ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク
PCMark 10の結果
3DMarkの結果
Cinebench新旧バージョンでの結果
CrystalDiskMarkの結果
【表2】ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークの結果
スコアローディングタイム(秒)
1,280×720/ノートPC標準/ウィンドウ9,467(非常に快適)21.342
1,920×1,080/ノートPC標準/フルスクリーン6,260(とても快適)28.709

 現時点で最新となるTiger Lake世代のCPU/GPUということもあり、性能は全体的に高い。過去のTiger Lake搭載ノートパソコンの結果と比較しても、頭1つ抜けている……というのは言い過ぎかもしれないが、少なくともトップレベルの性能を持っているとは言えるのではないだろうか。

 PCMark 10についてはEXTENDEDで計測したため、オーバーオール値が「Gaming」の結果に引きずられているものの、これがない通常のモードだと「4,939」に達している。このあたりは「インテリジェント・クーリング」機能の効果、あるいはCrystalDiskMarkの結果で見られる、シーケンシャルリード3500MB/s超、シーケンシャルライト約3,000MB/sというストレージの高速さが影響しているように思われる。

EXTENDEDではないPCMark 10の結果
「インテリジェント・クーリング」機能で最大限の性能を引き出せる

 3DMarkやCinebenchの結果も良好だ。ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークについてもフルHD解像度で「とても快適」と判定され、3Dゲームもストレスなく遊べるポテンシャルをもっている。ある意味、「白いゲーミングノート」みたいなオシャレな雰囲気で使えるかもしれない。

 バッテリ性能はPCMark 10 MODERN OFFICE BATTERY LIFEの結果が5時間に届かず、ということで、公称14時間というスペックから考えると、個人的には期待したほどではなかった。が、実際に常時高パフォーマンスの状態で使い続けることはまずないだろうから、実用時は十分な稼働時間を確保できるに違いない。

ちなみに、Thunderbolt 4ポートにUSB 3.1の外付けSSDを接続してCrystalDiskMarkを実行してみたところ、シーケンシャルリード/ライトは1GB/sを超えた
右側のUSB Type-Cポートに接続してCrystalDiskMarkを実行した結果。Thunderbolt 4ポートに接続したときの半分以下の速度に。速度を求めるなら左側のポートを使いたい

性能、機能、デザイン、すべてにおいて活躍の場を選ばない1台

 薄型、軽量をウリにしているノートパソコンにしては、Yoga Slim 750i Carbonは2つのThunderbolt 4とUSB Type-Cポートで拡張性に優れ、しかもかなり高いパソコン性能を秘めている。ビジネスアプリケーションだけでなく、息抜きのゲームでもそのパワフルさをいかんなく発揮してくれるはずだ。

 さらには顔認証や独自の自動ログイン・ロック機能、カメラ映像のぼかし機能といったセキュリティ面を見ても実用度は高い。給電するさいにUSB Type-Cの3ポートどれに接続してもOK、というほかのWindowsノートパソコンにあまり見られない使い勝手の良さも、細かい点ながら、間違いなくポイントの1つだ。

 モバイル用途にフォーカスしている13.3型とは言え、性能、拡張性、耐久性の面でも、そしてユニセックスでビジネス・プライベートのどんなシーンにも似合うホワイトというデザインの面でも、まさに活躍の場を選ばない1台と言えるのではないだろうか。