Hothotレビュー
M1版MacBook Airを徹底検証。新旧AirとProの比較で見えた性能差
2020年12月12日 09:50
Appleは自社開発のSoC「Apple M1」を採用した新型Macの3シリーズを11月10日(米国時間)に発表、11月17日に発売した。すでにM1版の「13インチMacBook Pro」、「Mac mini」についてはレビューが掲載されているが、今回は「MacBook Air」のレビューをお届けする。
ここでのレビュー記事の構成は下記のとおり。すでに製品発表から時間が経過しており、外観などは旧モデルから変更がないので、興味のある章からご覧いただきたい。
MacBook Airの製品概要
MacBook AirはOSに「macOS Big Sur バ-ジョン11.0」、SoCに「Apple M1」を採用。メモリは8GBまたは16GB、ストレージは256GB/512GB/1TB/2TBを搭載している。
ディスプレイには13.3型のIPS液晶パネル(2,560×1,600ドット、227ppi、16:10、400cd/平方m、P3)を採用。環境光に応じて色温度を調整する「True Toneテクノロジー」をサポートする。
インターフェイスは、Thunderbolt 3×2、3.5mmヘッドフォンジャックで、通信機能はWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)、Bluetooth 5.0だ。
ディスプレイ上部には720pのWebカメラ「FaceTime HDカメラ」が内蔵されており、また3アレイのマイクも搭載されている。
キーボードはバックライトを内蔵する「MagicKeyboard」を装備。キーボード右奥の電源ボタンは指紋認証センサー「Touch ID」が内蔵されており、押すだけでロックを解除可能だ。
本体サイズは304.1×212.4×4.1~16.1mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.29kg。筐体の素材には100%再生アルミニウムが使われており、カラーはシルバー、スペースグレイ、ゴールドの3色が用意されている。
なお従来のMacBook Airは、CPUにTDP 10Wの第10世代Coreプロセッサ(Ice Lake)が採用されていた。たとえばCore i5モデルであれば、既報の記事『4コアに倍増した「MacBook Air 2020」をmacOSとWindowsで性能検証してみた』のとおり、「Core i5-1030G7」(4コア8スレッド、800MHz~3.5GHz)が搭載されている。詳しくはベンチマークの章で解説するが、新旧MacBook Airは筐体が同じでも、エンジンがまったくの別物なので、比較対象にはならないという点には留意してほしい。
【表1】「MacBook Air (M1, 2020)」のスペック | |
---|---|
OS | macOS Big Sur バ-ジョン11.0 |
CPU | Apple M1(8コアCPU[高性能コア×4、高効率コア×4]、7コアまたは8コアGPU、16コアNeural Engine) |
メモリ | 8GB/16GBユニファイドメモリ(DDR4) |
ストレージ | 256GB/512GB/1TB/2TB SSD |
ディスプレイ | 13.3型(2,560×1,600ドット、227ppi、16:10、光沢、400cd/平方m、色域P3、タッチ非対応、スタイラス非対応) |
通信 | Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)、Bluetooth 5.0 |
WWAN | - |
インターフェイス | Thunderbolt 3×2(充電、DisplayPort、Thunderbolt接続時最大40Gb/s、USB 3.1接続時最大10Gb/s)、3.5mmヘッドフォンジャック |
カメラ | Webカメラ(720p) |
バッテリ容量 | 49.9Wh |
バッテリ駆動時間 | 最大15時間のワイヤレスインターネット、最大18時間のApple TVアプリのムービー再生 |
本体サイズ | 304.1×212.4×4.1~16.1mm(幅×奥行き×高さ) |
重量 | 約1.29kg |
セキュリティ | Touch ID(指紋認証センサー一体型電源ボタン) |
内蔵アプリ | 写真、iMovie、GarageBand、Pages、Numbers、Keynote、Siri、Safari、メール、FaceTime、メッセージ、マップ、株価、ホーム、ボイスメモ、メモ、カレンダー、連絡先、リマインダー、Photo Booth、プレビュー、ミュージック、Podcast、TV、ブック、App Store、Time Machine、探す、QuickTime Player |
同梱品 | 30W USB-C電源アダプタ、USB-C充電ケーブル(2m) |
カラー | シルバー、スペースグレイ、ゴールド |
MacBook Proとはなにが違う?
MacBook AirとMacBook Proの違いは、本体色、GPUコア数(下位モデルの場合)、バッテリ容量、バッテリ駆動時間、ファンクションキー、ディスプレイ輝度、サイズ、重量、スピーカー、マイク、冷却ファンの有無と多岐にわたる。
どちらを購入するかはこれらの違いを秤にかけて選ぶわけだが、個人的には両者のユーザー体験に大きな差はないと考える。GPUのコア数が1つ違ってもトータル性能に大差が出るとは考えにくいし、冷却ファンの有無もピークパワーの維持に違いが表われるくらいだ。バッテリ駆動時間はどちらもモバイルノートとしては平均を大きく上回っているので、スペック的に2時間短くても運用方法でカバーできる。
ましてや、ディスプレイ輝度、スピーカーとマイクの品質については、相当マニアな人以外は気にならないレベルの違いだ。となると、どうしてもファンクションキーがTouch Barのほうがいいと考える方以外は、MacBook Airがピッタリなマシンと言える。
なお7コアGPU版と8コアGPU版のどちらを選ぶかについては5,000円の価格差をどう捉えるか次第。メモリ、ストレージが最小構成なら7コアGPU版を、メモリ、ストレージを増量するならリセールバリューを考慮して8コアGPU版を購入することをおすすめする。
【表2】「MacBook Air(M1, 2020)」と「MacBook Pro(13-inch, M1, 2020)」の相違点 | ||
---|---|---|
製品名 | MacBook Air (M1, 2020) | MacBook Pro (13-inch, M1, 2020) |
価格 | 10万4,800円~ | 13万4,800円~ |
カラー | シルバー、スペースグレイ、ゴールド | シルバー、スペースグレイ |
GPU | 7コアまたは8コア | 8コア |
バッテリ容量 | 49.9Wh | 58.2Wh |
バッテリ駆動時間 | 最大18時間 | 最大20時間 |
ファンクションキー | 物理キー | Touch Bar |
ディスプレイ輝度 | 400cd/平方m | 500cd/平方m |
サイズ(幅×奥行き×高さ) | 304.1×212.4×4.1~16.1mm | 304.1×212.4×15.6mm |
重量 | 約1.29kg | 約1.4kg |
スピーカー | ステレオスピーカー | ハイダイナミックレンジステレオスピーカー |
マイク | 3マイクアレイ | スタジオ品質の3マイクアレイ |
冷却ファン | 非搭載 | 搭載 |
【表3】「MacBook Air (M1, 2020)」と「MacBook Pro (13-inch, M1, 2020)」の価格一覧 | |||
---|---|---|---|
MacBook Air (M1, 2020) ※7コアGPU | MacBook Air (M1, 2020) ※8コアGPU | MacBook Pro (13-inch, M1, 2020) | |
M1/8GB/256GB | 10万4,800円 | - | 13万4,800円 |
M1/8GB/512GB | 12万4,800円 | 12万9,800円 | 154,800円 |
M1/8GB/1TB | 14万4,800円 | 14万9,800円 | 174,800円 |
M1/8GB/2TB | 18万4,800円 | 18万9,800円 | 214,800円 |
M1/16GB/256GB | 12万4,800円 | - | 15万4,800円 |
M1/16GB/512GB | 14万4,800円 | 14万9,800円 | 17万4,800円 |
M1/16GB/1TB | 16万4,800円 | 16万9,800円 | 19万4,800円 |
M1/16GB/2TB | 20万4,800円 | 20万9,800円 | 23万4,800円 |
デザインは旧MacBook Airとまったく同じ
筐体デザインは旧MacBook Airとまったく同じ。実測重量も過去記事のときと比較してみたが、新MacBook Airが1,279.5g、旧MacBook Airが1,278.5gだった。CPU(SoC)の変更によりマザーボードを再設計しているはずなのに、重量がほぼ同じなのは本当に驚かされた。
ただし外観デザインが同じでも性能、使い勝手で変わっている点はある。まず、いい意味で変わっているのはWebカメラの画質。どちらも720p FaceTime HDカメラが搭載されているが、新MacBook AirはM1に搭載された画像処理機能により、ホワイトバランスや露出を調整し、ノイズも低減してくれる。室内光で撮影しても健康的な肌色でビデオ通話可能だ。
悪い意味で変わっているのは、Thunderbolt 3経由で同時接続できる外部ディスプレイの数。1台の外部ディスプレイに6K/60Hz表示できる点は同じだが、旧MacBook Airは2台の外部ディスプレイに4K/60Hz表示できるが、新MacBook Airは外部ディスプレイが1台に制限されている。
筆者は自宅ではノートパソコンの画面を閉じて、43型と27型の2つのディスプレイに映像出力して使っている。外部ディスプレイ1台という制限は非常に残念だ。おそらくM1の仕様上の制限によるものと思われるが、次期モデルでは解消されることに期待したい。
また、筆者はここ数年、Thunderbolt 3を4ポート搭載するMacBook Proを使い続けてきたが、今回2ポートのMacBook Airを試用して非常に使いにくく感じた。
まず左右から充電できないのはケーブルの取り回しが面倒だし、MacBook本体を充電しつつ、モバイルディスプレイ、ポータブルストレージ、そしてスマートフォンを接続できないことも不便。インターフェイスの構成は使い勝手を大きく左右する。エントリーのMacBookにも4ポート搭載してほしいと強く思う。
【表4】キーボードの押圧力の一例 | |||
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Fキー | Enterキー | Spaceキー | |
13インチMacBook Air | 0.51N | 0.51N | 0.53N |
ZenBook 13 UX325EA | 0.53N | 0.5N | 0.51N |
13インチMacBook Pro | 0.51N | 0.54N | 0.5N |
One-Netbook A1 | 0.61N | 0.55N | 0.56N |
MUGAストイックPC3 | 0.51N | 0.46N | 0.47N |
DAIV 4N | 0.55N | 0.55N | 0.58N |
LG gram 2-in-1 | 0.6N | 0.6N | 0.6N |
16インチMacBook Pro | 0.55N | 0.55N | 0.55N |
ZenBook Duo | 0.56N | 0.54N | 0.55N |
M1搭載Macで利用できるアプリの種類
M1搭載Macで利用できるアプリは、M1(Apple Silicon)に最適化されたアプリ、Intel CPU搭載Mac用に作られたアプリ、iOS用に作られたアプリの3種類が存在する。
いま動作しているのがどれに該当するのか確認するなら、「アクティビティモニタ」が手っ取り早い。アクティビティモニタには「アーキテクチャ」という項目があり、ここにはM1に最適化されたアプリなら「Apple」、Intel CPU搭載Mac用に作られたアプリなら「Intel」と表示される。
もう1つの方法は「アプリケーション」フォルダを開き、確認したいアプリケーションを右クリックして「情報を見る」を選択すること。
ここの「種類」に、M1用とIntel CPU用のコードの両方が含まれているアプリは「Universal」、Intel CPU用のコードのみの場合は「Intel」、M1用のコードのみの場合は「Appleシリコン」と表示される。なおAppleシリコンと表示されるアプリのほとんどはiOS用だが、「Adobe Photoshop(Beta)」のようにMac用のなかにもM1専用アプリが存在している。
なおAppleはM1(Apple Silicon)に最適化されたアプリをApp Storeで一部公開しているが、「Is Apple silicon ready?)というサイトではより多くの情報を確認できる。
筆者が常用しているカラーキャリブレーション機器「i1Display Pro」用のアプリ「i1Profiler」が、非対応アプリとして抜けているので完全な情報ではないようだが、App Storeよりは充実しているのでぜひ参考にしてみよう。
一方、iOSアプリの対応状況は現時点ではかなり混乱している。App Storeで検索しても「macOSでは検証されていません」というアプリが多く、インストールしてみても3軸ジャイロや加速度センサーなどを前提にしているため動かないゲームもある。またメジャーアプリはそもそも提供されていないものが多い。iOSアプリのソフトウェアベンダーが積極的にmacOSに対応することを期待したい。
Intel Mac用アプリとUniversalアプリの速度の違い
Intel Mac用アプリと、M1に最適化されたコードを含むUniversalアプリでどのぐらい性能が異なるのだろうか? 他機種との比較はつぎの章で行なうが、ここではIntel Mac用の「Chrome」、UniversalアプリのChrome、そして参考用にUniversalアプリの「Safari」、Intel Mac用の「Edge」を準備して、ブラウザベンチマーク「JetStream2」を実施してみた。
【表5】ブラウザごとのJetStream2の総合スコア | |
---|---|
Intel Mac用の「Chrome」 | 91.261 |
Universalアプリの「Chrome」 | 188.076 |
Universalアプリの「Safari」 | 180.556 |
Intel Mac用の「Edge」 | 99.45 |
結果は上記のとおり、Universal版のChromeはIntel Mac版の約2.06倍のスコアを記録している。Safari、Edgeでもほぼ同様の傾向だ。もちろんすべてのアプリがM1に最適化されることで約2倍の性能向上が見込めるわけではない。しかしUniversalアプリが増えたとき、M1搭載Macがどのくらい快適な環境になるのか楽しみだ。
気になるベンチマークスコアは?
最後にベンチマークをチェックしてみよう。今回は下記の4機種のベンチマークスコアを掲載している。
- MacBook Air (M1, 2020)
- MacBook Pro (13-inch, M1, 2020)
- MacBook Pro (16-inch, 2019)
- MacBook Air (Retina, 13-inch, 2020)
下記が検証機の詳細な仕様と、その結果だ。
【表6】ベンチマーク結果 | ||||
---|---|---|---|---|
MacBook Air (M1, 2020) | MacBook Pro (13-inch, M1, 2020) | MacBook Pro (16-inch, 2019) | MacBook Air (Retina, 13-inch, 2020) | |
SoC | Apple M1 | Apple M1 | - | - |
CPU | 高性能コア×4、高効率コア×4 | 高性能コア×4、高効率コア×4 | Core i9-9880H(8コア16スレッド、2.3~4.8GHz) | Core i5-1030NG7(4コア8スレッド、1.1~3.5GHz) |
GPU | 8コア | 8コア | AMD Radeon Pro 5500M 4GB | Intel Iris Plus Graphics(300MHz~1.05GHz) |
Neural Engine | 16コア | 16コア | - | - |
メモリ | 8GB | 8GB | 16GB | 8GB |
ストレ-ジ | 512GB | 256GB | 1TB | 512GB |
TDP | - | - | 45W | 10W |
OS | macOS Big Sur バージョン11.0.1 | macOS Big Sur バージョン11.0.1 | macOS Big Sur バージョン11.0.1 | macOS Catalina バ-ジョン10.15.4 |
CINEBENCH R23.200 | ||||
CPU(Multi Core) | 6,937 pts | 7,744 pts | 8,780 pts | - |
CPU(Single Core) | 1,491 pts | 1,498 pts | 1,177 pts | - |
CINEBENCH R20.060 | ||||
CPU | 1,963 pts | 2,092 pts | 3,465 pts | 964 pts |
CPU(Single Core) | 401 pts | 401 pts | 460 pts | 367 pts |
CINEBENCH R15.0 | ||||
OpenGL | 88.88 fps | 88.26 fps | 124.59 fps | 42.52 fps |
CPU | 1,046 cb | 1,068 cb | 1,489 cb | 476 cb |
CPU(Single Core) | 206 cb | 208 cb | 186 cb | 146 cb |
Geekbench 5.3.1 | ||||
Single-Core Score | 1,303 | 1,254 | 1,140 | 1,160 |
Multi-Core Score | 5,895 | 5,674 | 6,921 | 2,733 |
Single-Core Score(Apple Sillicon) | 1,727 | 1,728 | - | - |
Multi-Core Score(Apple Sillicon) | 7,531 | 7,569 | - | - |
Compute(Metal) | 18310(Apple Silicon) | - | 26094(dGPU) | 9430 |
Compute(OpenCL) | 20868(Apple Silicon) | 19248(Apple Silicon) | 33059(dGPU) | 8323 |
Blackmagic Disk Speed Test(単位 : MB/s) | ||||
WRITE 1回目 | 2,718.4 | 2,276.6 | 2,754.6 | 1,329.8 |
WRITE 2回目 | 2,774.6 | 2,178.1 | 2,780.3 | 1,333.1 |
WRITE 3回目 | 2,871.5 | 2,243.2 | 2,737.8 | 1,333.5 |
WRITE 4回目 | 2,864.2 | 2,087.8 | 2,783.8 | 1,333.4 |
WRITE 5回目 | 2,686.3 | 2,327.1 | 2,807.5 | 1,331.4 |
WRITE 平均 | 2,783.0 | 2,222.6 | 2,772.8 | 1,332.2 |
READ 1回目 | 2,813.0 | 2,754.6 | 2,777.3 | 1,294.5 |
READ 2回目 | 2,744.3 | 2,767.6 | 2,775.6 | 1,303.4 |
READ 3回目 | 2,694.7 | 2,767.7 | 2,770.8 | 1,269.3 |
READ 4回目 | 2,837.9 | 2,756.6 | 2,777.8 | 1,301.5 |
READ 5回目 | 2,826.7 | 2,739.2 | 2,777.7 | 1,306.3 |
READ 平均 | 2,783.3 | 2,757.1 | 2,775.8 | 1,295.0 |
SSDをAmorphousDiskMark 1.0.2で計測(単位 : MB/s) | ||||
SEQ128K QD32 シ-ケンシャルリ-ド | 3,403.85 | 3,397.04 | 3,458.82 | 1,542.48 |
SEQ128K QD32 シ-ケンシャルライト | 3,025.64 | 2,498.23 | 3,308.41 | 1,274.35 |
RND4K QD32 ランダムリ-ド | 2,208.09 | 2,354.07 | 2,211.46 | 699.22 |
RND4K QD32 ランダムライト | 2,640.48 | 2,679.99 | 1,840.10 | 12.93 |
SEQ1M QD1 シ-ケンシャルリ-ド | 1,229.65 | 1,229.38 | 903.66 | 1,042.65 |
SEQ1M QD1 シ-ケンシャルライト | 126.44 | 90.23 | 269.40 | 1,545.44 |
RND4K QD1 ランダムリ-ド | 65.45 | 67.36 | 48.04 | 62.32 |
RND4K QD1 ランダムライト | 32.08 | 33.45 | 335.37 | 13 |
Adobe Lightroom Classic CCで100枚のRAW画像を現像 | ||||
7,952☓5,304ドット、カラ- - 自然 | 5分29秒30 | 5分5秒48 | 4分52秒99 | 14分14秒05 |
Adobe Premiere Pro CCで実時間5分の4K動画を書き出し | ||||
3,840×2,160ドット、30fps | 3分18秒36 | 3分18秒81 | 3分12秒97 | 7分25秒60 |
iMovieで実時間5分の4K動画を書き出し | ||||
3,840×2,160ドット、29.97fps(品質 : 高、圧縮 : 高速) | 3分10秒29 | 3分9秒31 | 3分23秒75 | 6分23秒58 |
YouTube動画を連続再生した動作時間 | ||||
ディスプレイの明るさ6/16、音量6/16 | 16時間3分55秒 | 18時間35分55秒 | - | 10時間5分0秒 |
【お詫びと訂正】初出時に、上記の表でMacBook Air(M1, 2020)のストレージの容量を256GBとしておりましたが、正しくは512GBになります。お詫びして訂正させていただきます。
最初に注目したいのが旧MacBook Airとの性能差。Core i5-1030NG7搭載MacBook Airに比べてM1搭載MacBook AirはCinebench R20のCPUで約2.04倍、Cinebench R15のCPUで約2.20倍のスコアを記録している。旧MacBook Airを購入した方のために、少しお得な買い替えキャンペーンを提供してあげてほしいと思う。
つぎに注目したいのが13インチMacBook Proとの性能差。MacBook Proに対してMacBook AirはCinebench R23のCPUで90%、Cinebench R20のCPUで94%のスコアにとどまっている。これは誤差とは言い切れないスコア差だ。
そこでCinebench R23実行中の消費電力の推移を計測してみたところ、いったん28W前後で消費電力が安定したものの、その後23.9Wまでじりじりと下がっていった。消費電力の推移を見たかぎりでは、SoCの発熱が高まり、クロック周波数が少しずつ低下していったようだ。つまり後半ピークパワーを維持できなかったため、MacBook Proよりベンチマークスコアが低かったのだと思われる。
一方、実アプリではLightroomは同様にMacBook Airの処理スピードが低下したようだが、Premiere Pro、iMovieでは処理時間はほとんど変わらなかった。
なお、Blackmagic Disk Speed Testの書き込み速度はMacBook AirがMacBook Proを大きく上回っているが、これはMacBook AirがUniversal版、MacBook Pro版がIntel Mac版でベンチマークを実施したため。どちらもUniversal版で実施したAmorphousDiskMarkでは誤差以上の差はなかった。
バッテリ駆動時間については、MacBook Airが49.9Wh、MacBook Proが58.2Whのバッテリを搭載していることから当然後者が有利だが、それでもMacBook AirはMacBook Proの約86%に相当する16時間3分55秒もYouTube動画を連続再生し続けた。十二分すぎるほどのバッテリ駆動時間が確保されていると言える。
まとめ : エントリー機の処理能力を底上げしたM1の功績は大きい
MacBook AirはMacBookのラインナップのなかでエントリーモデルに位置づけられている。そのエントリーモデルがM1搭載MacBook Proと同様に、Geekbench 5やiMovieで8コア16スレッドのCore i9-9880Hを搭載する16インチMacBook Proを上回るスコアを記録していることは驚くべき結果だ。
Universalアプリが今後増えてくれば、MacBook Airの処理速度は向上していく。比較的安価で購入可能なエントリーモデルの処理能力を底上げしたという意味で、M1の功績は大きいと筆者は考える。