Hothotレビュー

真のIce Lakeを搭載した「GPD WIN Max」はどのぐらいゲームを快適に遊べるのか?

WIN Max

 GPDは、クラウドファンディングサイトIndiegogoで8型のポータブルゲーミングPC「WIN Max」の出資を募っている。製品を入手するために必要な出資額は約83,670円で、7月の出荷を予定している。また、代理店の天空でも予約受付を開始しており、税別価格は92,600円、出荷は9月上旬予定だ。

 以前お伝えしたとおり、PC Watchでは製品版に近い稼働可能なエンジニアリングサンプル品を入手しているので、ファーストインプレッションに続き、今回は1週間ほど試用した感想、およびベンチマーク結果をお届けしたい。

ノートPCらしさが増したWIN Max

 まず外観からお伝えしていこう。ファーストインプレッションでもお伝えしたとおり、ES品ではケース、キーボードフレーム、天板などが異なる色をしているのだが、製品版ではすべてブラックに統一される予定だ。

 ツートーンカラー天板で少し野暮ったい「GPD WIN 2」とは異なり、より精悍になった印象を受ける。とくに天板がアルミ合金に1枚化したことで、ゲーム機っぽさが抜け、PCらしさが増したと言えよう。

 筐体はずんぐりむっくりしているが、これはゲームパッドに加え、Gigabit EthernetやフルサイズのHDMI、USBポートなどをすべて内蔵していることによる。とはいえ、最薄部はWIN 2に肉薄するところがあり、内容を考えるとかなり頑張っていると言えよう。

 もっとも、この厚みがゲームパッドを使ってプレイしたときのホールド感向上に役立っており、それを狙って設計したとも言える。筆者はニンテンドーSwitch程度の薄さのコントローラだと、ほんの少しの時間のプレイで親指が痛くなってしまうのだが、本機ではそのようなことは一切なかった。

 WIN Maxでは、microSDカードスロットとGigabit Ethernetを本体右側面に備えている以外、インターフェイスはすべて背面に集中している。このため、電源ケーブルやUSBマウス、外部ディスプレイといった機器を接続していても両手に当たることはない。そしてさらにその下に排気口を設けていて、排熱が手に当たらないようにしている。つまり、WIN Maxは薄さといったデザイン最優先ではなく、ユーザービリティを最優先にした設計思想であるのだ。

天板はシンプルなものとなった
さすがにWIN 2と比較すれば二回りほど大きい
ただ、厚み的には大差がなかったりする
インターフェイスや排気口など、(Gigabit Ethernetを除けば)本体を左右からホールドするさいに邪魔になる要素を排除した
本体左側面
本体右側面

立ってプレイするにはつらいが、座れば楽々

 両手でホールドするという観点では、公称で790g、ES品で839gという重さが気になるだろう。839gだとあと30g足せばASUSの14型モバイルノート「ExpertBook B9450」に匹敵するからだ。

 結論から言えば、たしかにGPDが謳っている「立ったまま使える」姿勢ではややつらいと感じた。筆者はその昔、電車のなかで立ったままビクターの「InterLink XP」を片手に「ファイナルファンタジーVIII」をプレイしたこともあって、その重量はセカンドバッテリ込みで1kg超えとなっていたことを考えれば、十分に軽くはなっているのだが、InterLink XPもWIN Maxも立ったまま快適にプレイできるかと言われれば微妙であり、30分程度がせいぜいで、それ以降は座る席を探したくなるに違いない。

 その一方で、机の上に置いてマウスとともにプレイするスタイルや、机の上に肘を置いてコントローラを使うスタイル、ソファや椅子でくつろぎながら、膝や太ももの上に乗せてプレイするスタイルでは、重さが気になることはなかった。

 このあたりはWIN 2としっかり区別をすべきだろう。WIN 2だと立ったまま使っても、重さによって疲れることはまずないからだ。WIN Maxを立ったまま使いたいのであれば、腕力を鍛えたほうがいい。その一方で、ソファに座って楽な姿勢でゲームパッドを使ってゲームをプレイするのは、一般的なゲーミングノートでは厳しいだろうから、WIN Maxの独擅場だと言っていい。

Indiegogoのページで示された、立ったままプレイするスタイル。試してみたが、さすがに長時間は無理だった

コントローラ前提のタイトルなら快適プレイ

 さてコントローラ部なのだが、ファーストインプレッションでお伝えしたとおり、ジョイスティックやショルダーボタンを含めて、さすがにお高い日本製(アルプス製アナログパッドやパナソニック製ボタン)を使っているだけあって反応はかなりいい。とくにアナログパッドは秀逸で、強い抵抗も感じず軽々操作できる。PSPのようなスライド操作ではなく、傾ける操作なので、指への負担も少ないのだ。

 また、ジョイスティック自身の押下によるL3/R3ボタンも再現したため、操作性は上々だ。WIN 2のように、6個のショルダーボタンを探し当てる必然性も、キーボードにL3を出してしまう状況も避けられた。Xbox 360コントローラのボタンをそのまま縮小し、操作性を限りなく近づけたのが、WIN Maxのゲームパッドだ。

 とくにゲームコントローラが前提ゲームでは、抜群に相性がいい。たとえば「エースコンバット7」では、L3+R3がフレア放出という緊急回避動作なので、いざ敵をロックオンしている最中にミサイルが追尾してきても、「おい待て、えーっとL3とR3ボタンどれだっけ」と思ってしまうことはない。エースコンバット7はWIN 2にとっては荷が重く、WIN Maxなら快適に動くタイトルなので、この改良点は素直に喜べるポイントだ。これならどこでも天使とダンスできるだろう(それは6)。

 一方「Tomb Raider」のようなタイトルだと、ファーストインプレッションでも触れたとおり、AボタンとYボタンの色がオリジナルのXbox 360コントローラと違うため、アクションシーンで誤爆しやすい問題が露呈するが、幸いTome Raiderはそういったシーンの前には必ず自動セーブが入るので、許せなくもない。Tomb Raiderでは仮にゲームパッドがない場合、別途マウスをつなげて操作しなければならないので、ソファでリラックスしながらプレイするならWIN Max以上の選択肢はない。

 また、「ファイナルファンタジーXIV」も、WIN 2では荷が重く、WIN Maxでようやくプレイ可能なレベルになったタイトルの1つなのだが、このタイトルではゲームパッドとキーボードの併用がかなり効く。しかもWIN Maxでは新たにF1~F12を備えたので、パーティーへのターゲットが即座に行なえる。それらのキーへの距離も短く、快適に操作できそうだ。

 ちなみに、本体にグリップなどがないので、使いはじめた当初は本体をどう握ったら良いかかなり戸惑ったが、アナログパッドやA/B/X/Yが外側に配置されているせいか、左右の真ん中を持って中央まで深くホールドするよりも、本体左右の手前を手のひらで押し当て、L/Rボタンをサイドから押す“浅く持つスタイル”で落ち着いた。もっとも、このあたりは個人差があるだろうから、試行錯誤しながら試してもらいたい。

見直されたアナログパッドの配置。スティックの押下でL3/R3としても動作するようになった

キーボードの操作性はそこそこ

 WIN MaxはWIN 2とは異なり、近代的なノートでメジャーとなったアイソレーションタイプのキーボードを採用する。キーピッチも主要キーで17.5mmを確保しており、文字のタッチタイピングが難なくできる。また、P2 MaxではハイフンがFnキーと併用するタイプになっていたが、WIN Maxでは0の横に用意されるようにるなど、だいぶ一般的な配列に近づいた。

 とはいえ、UMPCならではの独特な配列であることには変わりない。たとえばTabキーはQキーの上に来ているし、数字の列はキーピッチが狭いので、慣れるまで目視する必要がある。さらに、カギカッコはファンクションキーの横に来ている、コロンやカンマがカーソルキーの左に来ているといった点も、とくに慣れを必要とするだろう。

 さらに、GPD製品では旧来よりQの列とAの列が半キーずれるレイアウトとなっているが、WIN Maxでもそれを引き継いでしまっており、W/A/S/Dキーを多用するゲームで使いにくいのは変わりない。Wだけならまだ良いが、QやEを同時押しするシーンではかなり戸惑うことになる。このあたりは次期で改善してほしい点だ。

 キータッチは概ね良好であり、ストロークがP2 Maxよりやや浅い程度。ゲーム内でやや窮屈に感じられるW/A/S/Dも、テキストの入力で気になることはほとんどない。ホワイトLEDのバックライトもついたため、暗所での視認性も高まった。GPDの製品のなかでは、もっとも使いやすいものとなっている。

WIN 2(右)と比較すればだいぶ一般的な配列になった
キーピッチは主要キーで17.5mm確保している

 左側面のスライドスイッチで、ゲームパッドをマウスのように操作できるモードに切り替えられるのも、WINシリーズのアイデンティティの1つ。本機ではゲームパッドのあいだにタッチパッドを備えているが、両手でホールドした姿勢ではアクセスしにくいので、ゲームパッドで代用できるメリットは大きい。

 ちなみにマウスモード時は、右のアナログパッドがマウスカーソルの移動、L1が左クリック、R1が右クリックとなるほか、L2は中央クリック、R2はマウス加速ボタン、左のアナログパッドはW/A/S/Dキー、十字キーの左右がHome/End、十字キーの上下がホイール上下、A/B/X/Yが下/右/左/上カーソルキー、L3がスペースキー、R3がEnterキーとなる。

 これだと中央のタッチパッドは不要なのでは? と思われるかもしれないが、たとえばゲーム内でとっさにマウス操作をしたくなったときなどは、いちいち切り替えスイッチをスライドしなくても良くなるので、案外出番はある感じだ。本機はタッチパネルに対応しているものの、まだタッチに非対応なゲームも少なくないためタッチパッドは役に立つ。

 ちなみにタッチパッドのサイズは約56×31mmでかなり小さいが、複数本の指によるジェスチャー操作にも対応し、俊敏に動作する印象だった。

タッチパッドは約56×31mmとかなり小さいが、俊敏に操作できる

放熱は優秀で熱への心配は不要

 本機では最大25Wで動作するIce Lake、Core i5-1065G7が搭載されている。8型筐体に25Wのプロセッサをねじ込むというのは、さすがに熱的に無理がありすぎるのでは? と思われるかもしれないが、これがじつに予想外なほど問題にならなかった。

 まず、本機は底面に難燃性のABS樹脂を採用しているため、熱が手のひらに伝わってこない。第2に、静圧に優れたデュアルファンを採用し、ヒートパイプを最短にしているため、熱がヒートシンクに溜まる前にすぐに排出されてしまう。さらに、底面には大面積な給気口を設けていて、内部の空間的にもかなり余裕があるため、内部に熱がこもってしまうことがないのである。

 実際に、付属の65W ACアダプタで高速充電しながら、25Wの設定でゲームをプレイしてみても、本体左側面がほんのわずかに熱を帯びる程度で、まったく気にならなかった。排気口に手をかざすと、勢いよく熱風が排出されていて、冷却機構がかなりいい仕事をしていることがわかる。排熱口付近やタッチパッドの奥はそこそこ熱を帯びるが、手に持つ場所が熱くなるようなことはない。

大きく開けられた給気口で、プレイ中熱で不快になることは一切なかった

 筆者が普段つかっている、同じIce Lakeを搭載したRazer Blade Stealthでは、CPUだけに負荷がかかっていても、熱がすぐにパームレストまで降りてきて、やや不快に感じることがあったが、WIN Maxはどんなに負荷をかけても不快になることはなかった。WIN Maxの熱設計は当初発熱量の大きいRyzen 5 3500Uをターゲットにしていて、それをそのままに発熱量の小さいIce Lakeに搭載したのだから、当然といえば当然なのかもしれないが、この小さな筐体でここまで快適に使える高性能UMPCは本機がはじめてだ。

 「冷却が優れている代わりに犠牲になったのは騒音でしょ」という声が聞かれるかもしれない。たしかにWIN Maxの負荷時の騒音はそれなりだ。もっとも、その大半は風切り音であり、モーターの軸音ではないので、とても不快というわけではない。少なくともRazer Blade Stealthよりは静かだ。

 加えて、WIN Maxには静音モードが搭載されていて、「Fn+F」キーですぐにオンにできる。静音モードでは、50℃以下の場合はプライマリファンが回転数30%固定、50℃以上の場合はセカンダリファンも回転数30%固定で回転をはじめる仕様となっている。この静音モードではかなり騒音が抑えられていて、周りに迷惑をかけることはないだろう。

 筆者が試してみたかぎりでは、この静音モードに設定し、なおかつPL1が25Wに設定されている場合、3D負荷がかかるとCPUが89℃近くまで温度が上がり、一時的にスロットリングがかかってフレームレートが不安定になることがあったが、PL1が20Wの標準設定では、十分に熱を抑えられており、フレームレートも安定するので、ゲームにおいても常用可能な印象だった。なお、静音モードではたしかにCPU温度は上昇するが、本体温度の上昇はかなり抑えられていて、通常モードとさほど変わらない印象だった。

BIOSでのTDP設定。Nominal、Down、Upの3つのプリセットから選択可能だが、それぞれどの値にするのかも自由に設定できる
PL1=25W/ファンモード:通常時の3Dベンチマーク実行時の温度推移
PL1=25W/ファンモード:通常時の3Dベンチマーク実行時の温度推移
PL1=20W/ファンモード:通常時の3Dベンチマーク実行時の温度推移
PL1=20W/ファンモード:スロー時の3Dベンチマーク実行時の温度推移
PL1=15W/ファンモード:通常時の3Dベンチマーク実行時の温度推移
PL1=15W/ファンモード:スロー時の3Dベンチマーク実行時の温度推移

WIN 2とは比べるまでもない性能。20Wでも性能は十分だが……

 続いてベンチマークを一通りしてみた。今回はベンチマークに「PCMark10」、「3DMark」、「ファイナルファンタジーXIV 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」、「ドラゴンクエストX ベンチマーク」、「ストリートファイターV ベンチマーク」を利用することにした。

 比較用には、WIN 2を再度天空からお借りしてベンチマークを行なった。また、WIN MaxではBIOS上からPL1(長時間の消費電力上限)およびPL2(短時間の消費電力上限)が設定できるが、PCMark10および3DMarkについては、PL1=12W/PL2=20W、PL1=15W/PL2=20W、PL1=20W/PL2=25W、PL1=25W/PL2=30Wの4パターンで測定してみた結果も併記している。

 PL1=25W/PL2=30Wは、Ice LakeのConfigurable TDPの上限にあたり、Ice Lakeの真の性能を引き出した設定となっている。筆者が知るところでIce LakeのTDPを25Wに設定している(もしくはできる)と明言しているPCは、今のところRazerの「Blade Stealth Mercury White」とWIN Maxのみなので、WIN MaxではIce Lakeの真価が見られる。

GPD WIN MaxGPD WIN 2
設定PL1=25W
PL2=30W
PL1=20W
PL2=25W
PL1=15W
PL2=20W
PL1=12W
PL2=20W
標準設定
PCMark104,1353,9443,9093,5452,594
Essentials8,9158,5988,8138,1865,834
App Start-up Score11,85610,93711,94710,6356,413
Video Conferencing Score7,4987,3997,4477,1435,090
Web Browsing Score7,9727,8577,6947,2216,086
Productivity5,5795,3615,4525,3784,461
Spreadsheets Score4,7884,5864,7154,5615,410
Writing Score6,5016,2696,3056,3423,679
Digital Content Creation3,8593,6153,7732,7471,822
Photo Editing Score4,9064,6684,4123,5952,463
Rendering and Visualization Score2,7192,4912,1661,734951
Video Editing Score4,3114,0654,0183,3262,586
3DMark
Fire Strike2,6652,6121,6871,276920
Graphics score2,8512,8231,8311,4041,016
Physics score10,9069,3627,2415,7114,389
Combined score1,017990616448319
Night Raid9,8759,1146,5535,1093,784
Graphics score11,04710,4327,3295,6914,306
CPU score6,1685,3124,0963,2362,244
Sky Diver9,2988,5445,9214,5833,419
Graphics score9,4179,1805,9384,5753,356
Physics score8,7737,6206,1915,0773,809
Combined score9,2566,3915,4534,0533,376
ドラゴンクエストX ベンチマーク
最高品質
(1,280×720ドット(WIN2)/
1,280×800ドット(WIN Max))
12,030未計測未計測未計測5,942
標準品質
(1,280×720ドット(WIN2)/
1,280×800ドット(WIN Max))
12,129未計測未計測未計測6,456
ファイナルファンタジーXIV 漆黒のヴィランズ ベンチマーク
ノートPC標準品質6,483未計測未計測未計測2,907
デスクトップPC標準品質4,447未計測未計測未計測2,956
ストリートファイターV ベンチマーク
中品質
(スケーリングは100%、
1,280×720ドット(WIN2)/
1,280×800ドット(WIN Max))
56.57fps未計測未計測未計測21.76fps
低品質
(スケーリングは100%、
1,280×720ドット(WIN2)/
1,280×800ドット(WIN Max))
59.78fps未計測未計測未計測28.42fps

 結果を見てわかるとおり、本機のPL1/PL2設定は性能差に素直に反映されていることが見て取れる。そのなかでも標準設定であるPL1=20W/PL2=25Wの設定が、もっともバランスが取れた設定であるのは間違いない。PCMark10でいえば、25W設定から約5%、3DMarkで言えば2~8%の性能低下と引き換えに、20%の電力削減に成功している。一方で15Wの設定だと、3DMarkで28~35%性能が低下しているので、制約が大きすぎる。よって、Ice LakeのスイートスポットはPL1=20Wだと言え、GPDがこれを標準設定としているのも頷ける。

 その一方で、PL1=25Wとの差もないわけではない。PL1が15Wから20WになるとGPU側の制限が外れるが、20Wが25Wになると今度はCPU側の制限も緩くなる印象だ。よって、CPU負荷も重視されるようなゲームだと、PL1=25Wに設定する意義が十分にあると言えるだろう。

 もちろん、どのゲームがCPU負荷が高くてどのゲームが低いのかというのを調べて、自身がプレイするゲームに合わせてチューニングできるのが本機の醍醐味なのだが、2Dゲームのプレイやオフィス用途がメインならPL1=15W以下、3DゲームをプレイするならPL1=25Wでサクッと設定してしまって構わないと思う。標準のPL1=20Wは、「3Dゲームを静音モードでプレイしたい人」向けだ。

 気になる駆動時間だが、PL1=25W/液晶輝度=50%という厳しい設定下でPCMark10で計測したところ、Modern Officeではバッテリ残り6%まで6時間10分、Gamingでは同1時間25分駆動した。一般利用なら問題のないバッテリも、ゲーム用途となると純粋なポータブルゲーム機と比べてかなり見劣りしてしまう。

Gamingでのバッテリ駆動時間
Modern Officeでのバッテリ駆動時間

 このサイズなのに、25WのCPUの性能をスポイルすることなくドライブできるバッテリ、というだけでも評価できなくもないが、WIN Maxは電源が確保できない環境でバリバリ3Dのゲームをプレイを想定しているのではないのは明らかだ。電源が確保できる環境のあいだの一時的な移動用、もしくは2Dゲームプレイ、オフィス用だと割り切ったほうがいい。

低解像度液晶で性能に問題なしも、ポートレートモードのため工夫が必要

 WIN 2と比較して圧倒的に3D性能が向上しているので、最後にWIN Maxで一通り手持ちのゲームをプレイしてみることにした。

 2013年にスクウェア・エニックスがリリースしたリブート作品「Tomb Raider」は、画質をすべて「Medium」設定にしたところ、ベンチマークでは平均85fpsと高いフレームレートを示したが、実ゲームプレイでは風などのエフェクトが入ると45~55fps前後で遷移し、障害物を避けながら滑り落ちるシーンでは20fps前後まで落ちた。さすがに「快適」とは言えないが、ストーリーには支障なくプレイできるレベルにあると言える。

ベンチマークでは平均85fpsと出たTomb Raider(2013)
実プレイでは40~55fps前後。シーンによっては20fpsを切ることも

 2015年のタイトルで比較的重い「ウィッチャー3 ワイルドハント」では、画質および後処理をすべて「低」に設定してみたところ、戦闘などの重いシーンで30fps、移動中などの軽いシーンでは40fpsで遷移した。さすがに快適とまでは行かないが、プレイは可能といったところ。ストーリーをクリアする目的でプレイする程度なら問題はない。

移動時はおおむね40fps前後だ

 FPSの「DOOM」(2016)は、Vulkan APIを利用し、すべての画質設定を「中」に設定しても、概ね50~60fpsを維持できた。このタイトルはプレイステーション4でも60fpsを出せるので、WIN Maxで出せてもおかしくはない。筆者はコントローラでの操作にあまり慣れないためプレイはぎこちなかったが、グラフィックスに関してはストレスなくプレイできた。

DOOMはVulkanタイトルのためキャプチャできていないが、50fps前後で推移した

 2019年の比較的新しいタイトルである「エースコンバット7 スカイズ・アンノウン」は、「MIDDLE」のセットでは、面によって負荷が異なるが、30~60fpsという結果になった。このゲームはオブジェクトこそそれほど数は多くないが、雲の描画などが意外と重いようだ。快適とは言えないが、ストーリーを進行させるぶんには支障はないといえる。

エースコンバット7 スカイズ・アンノウンはシーンによって結構ブレる

 オンラインアクションMMORPGの「黒い砂漠」では、画質Medium設定において、移動中は30fps台半ば、戦闘中は25fpsまで落ちるシーンもあった。さすがに快適とは言えないが、WIN2では画質を最軽量の「最適化」に設定しないとそもそもプレイが困難なタイトルだったので、これは圧倒的な進化だ。ただ、このタイトルはあまりコントローラでの操作に最適化されていないほか、解像度が1,280×800ドットしかない関係で、UIを縮小しないと表示しきれないのがネックだ。

黒い砂漠は移動シーンで40fps、戦闘シーンで20fps台となる

 一方、発表会でも触れられたFF14だが、ソロのプレイでは50fps~70fpsで遷移した。エフェクトが増えるパーティープレイでは厳しくなることが想定されるが、FF14は黒い砂漠ほどリアルタイムの操作性を必要としないので問題は少ないだろう。とは言え、プレイヤーの責任が問われるパーティーでのボス戦などは避けたほうが良いかもしれない。

FF14はソロではプレイに支障がないレベル
問題は解像度が狭い点で、マップを開くだけでご覧のとおり画面の6分の1が見えなくなる

 なお、Vulkanを使うDOOM以外のゲームでは、画面の設定を「ウィンドウ」か「仮想フルスクリーン」に設定しないと、起動したあとにすぐに最小化してしまったり(ウィッチャー3やトゥームレイダー)、荒い画像で表示されたり(FF14、ストリートファイターVなど)してしまう。これはWIN Maxの液晶がポートレートタイプであり、GPUドライバで90度回転のソフトウェア処理をしているためである。こういった設定がない古いゲームなどでは同様に相性問題が発生するため、「DirectX窓化ツール」などを駆使しなければならない。このあたりはWIN 2と共通だ。

 WIN Maxを使っていてやや残念に思うのは、液晶解像度が1,280×800ドットしかない点だ。もちろん、この低解像度が功を奏して500cd/平方mの輝度を実現できている点は評価できるが、通常のWeb閲覧でもやや窮屈に感じられるだけでなく、Ice Lake内蔵GPUに“せっかく”搭載されたレトロスケーリング機能が無意味なものとなってしまっている。次期では「ランドスケープタイプでフルHD解像度以上の液晶」の搭載に期待したい。

WIN Maxは「ゲームの本質を楽しむ」PCだ

 Ice Lakeの搭載によってグラフィックス性能がほぼ3~4倍となり、プレイ可能なタイトルが大幅に増えたWIN Max。比較的新しいAAAタイトルでも、画質を低~中レベルまで落とせばプレイ可能となり、従来のWIN 2からかなり選択肢が増えた。WIN 2は、基本的にレトロゲームやエミュレータ、2Dのゲーム、Steam Linkのクライアントとしてしか活用できなかったと思うが、WIN Maxは単体で新しめAAAタイトルがプレイ可能になったのは大いに評価したい。

 もちろん、最新タイトルがプレイ可能と言っても、高画質設定やリアルタイムレイトレーシングといった最先端技術による美しいグラフィックスを堪能できるわけではない。動作させるためには、グラフィックスを設定を抑えるなど、ユーザーがさまざまな工夫しなければならず、工夫したとしてもプレイが可能になった、というだけで、快適にプレイできるわけではない。

 しかし、ゲームの本質はグラフィックスではなく、ゲームそのものの面白さだ。グラフィックスの向上でゲームの表現力は増すものの、ストーリーやシステムそのものに変化が生まれるわけではない。そのゲームを楽しむという観点では、GeForce RTX 2080 Tiを搭載したPCでもWIN Maxでも変わらない。そしてWIN Maxなら、肩肘張らずにソファで寝っ転がりながらプレイできる。そこに価値を見いだせるなら、WIN Maxは買いだ。

 ましてWIN 2からプラス1万円程度で、プレイできなかったゲームが遊べるようになったのだから、なおさらだ。