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XPS 15はクリエイティブ向け15.6型ノートとして理想に近い存在だ!

「XPS 15」税別199,980円~(記事執筆時点のeクーポン適用価格は税別169,983円)

 デルは5月中旬、第10世代Intel CoreのHプロセッサーとNVIDIAのディスクリートGPUを組み合わせた15.6型ノートPC「XPS 15」の販売を開始した。

 最新のCPUとディスクリートGPU(以下dGPU)に刷新するだけでなく、インターフェイスも含めて筐体をリニューアル。ぱっと見の印象はあまり変わらないが、ディスプレイ下部も含めてフレームレス化して、筐体サイズもコンパクトになり、15.6型ノートPCとして世界最小を謳っている。

 今回は従来モデルからの変更点と、気になる性能に注目してレビューをお届けしよう。

最上位モデルは8コア16スレッドプロセッサーを搭載!

 XPS 15は記事執筆時点(6月16日)で期間限定モデルも含めて10製品が販売されている。今後ラインナップは増減される可能性もあるので、下記の表では基本モデルの「XPS 15 プレミアム(シルバー)」、「XPS 15 プラチナ(シルバー)」、「XPS 15 プラチナプラス(シルバー)」のみ掲載している。

 最新ラインナップについては、公式の製品ページで確認してほしい。

【表1】XPS 15基本モデルのスペック ※6月16日時点
製品名XPS 15 プレミアム(シルバー)XPS 15 プラチナ(シルバー)XPS 15 プラチナプラス(シルバー)
OSWindows 10 Home 64bit
CPUCore i5-10300H(4コア/8スレッド、2.5~4.5GHz)Core i7-10750H(6コア/12スレッド、2.6~5GHz)Core i7-10875H(8コア/16スレッド、2.3~5.1GHz)
GPUIntel UHD Graphics(350MHz~1.05GHz)Intel UHD Graphics(350MHz~1.15GHz)、GeForce GTX 1650 Ti (4GB)Intel UHD Graphics(350MHz~1.20GHz)、GeForce GTX 1650 Ti (4GB)
メモリDDR4-2933 SDRAM 8GBDDR4-2933 SDRAM 32GB
ストレージ512GB PCIe NVMe SSD2TB PCIe NVMe SSD
ディスプレイ15.6型フルHD WVA液晶(1,920×1,200ドット、145ppi、輝度500cd/平方m、sRGBカバー率100%、非光沢、タッチ非対応、スタイラス非対応)15.6型UHD WVA液晶(3,840×2,400ドット、290ppi、輝度500cd/平方m、AdobeRGBカバー率100%、低反射、タッチ対応、スタイラス非対応)
通信IEEE 802.11ax(最大2,400Mbps)、Bluetooth 5.1
WWAN
インターフェイスThunderbolt 3×2(USB PD、DisplayPort対応)、USB 3.1 Type-C(USB PD、DisplayPort対応)、SDカードスロット、3.5mmヘッドセットジャック、ウェッジシェイプロックスロット
カメラ720p
バッテリ容量56Wh86Wh
バッテリ駆動時間非公表
バッテリ充電時間3時間(電源オフ時)
本体サイズ344.72×230.14×18mm(幅×奥行き×高さ)
重量約1.83kg約2.05kg
セキュリティWindows Hello対応指紋認証センサー一体型電源ボタン
ビジネス統合アプリオプション
同梱品ACアダプタ、電源ケーブル、Dell Adapter USB-C to USB-A/HDMI-DA20、説明書(クイックスタートガイド、安全および認可機関に関する情報、Regulatory Information Sheet、デル お問い合わせ窓口のご案内)
カラープラチナ シルバー&ブラック
価格199,980円234,980円349,980円
eクーポン適用価格169,983円199,733円297,483円

 モデルごとに異なるおもなスペックについて列挙していくと、以下のようになる。

【表2】モデルごとに選択できるスペック
OSWindows 10 Home
Windows 10 Pro
CPU第10世代(Comet Lake)のCore i5-10300H(4コア/8スレッド、2.5~4.5GHz)
Core i7-10750H(6コア/8スレッド、2.6~5GHz)
Core i7-10875H(8コア/16スレッド、2.3~5.1GHz)
GPUdGPUなし
GeForce GTX 1650 Ti
メモリDDR4-2933 8GB/16GB/32GB
ストレージPCIe NVMe 512GB/1TB/2TB
ディスプレイフルHD WVA(Wide viewing angle)液晶(1,920×1200ドット、タッチ非対応)
4K WVA液晶(3,840×2400ドット、タッチ対応)
バッテリ56Wh/86Wh
ACアダプタ90W/130W
キーボードUS/日本語
Officeアプリなし
Microsoft Office Professional 2019
Microsoft Office Personal 2019
Microsoft Office Home & Business 2019

 購入時にカスタマイズできるのは、OS、キーボード、Officeアプリのみ。ただし、ハードウェア的には最大64GBのメモリを搭載し、ストレージも換装可能だ。

 XPS 15を購入するにあたっての留意点は、プロセッサーに4コア、6コア、8コア版が存在すること。CPUに依存するアプリをおもに使うのなら当然多コア搭載マシンを選びたい。またもっとも安価な「XPS 15 プレミアム(シルバー)」にはdGPU(GeForce GTX 1650 Ti)が搭載されていない。クリエイティブ、ゲーム用途にはdGPU搭載モデルを選ぶべきだ。

 従来モデルとの違いでは4K+の高解像度ディスプレイが有機ELからWVA液晶に変更された点が大きい。XPS 15は消費電力を理由にWVA液晶に変更されたと推察するが、有機ELディスプレイが必須なのであれば、並行販売されている旧XPS 15を早めに購入しよう。

【表3】XPS 15のWVA液晶と有機ELの違い
WVA液晶輝度500cd/平方m、色域DCI-P3 94%、コントラスト比1,600:1、応答速度35ms、リフレッシュレート60Hz、消費電力10.4W
有機EL輝度400cd/平方m、色域DCI-P3 100%、コントラスト比100,000:1、応答速度1ms、リフレッシュレート60Hz、消費電力14.8W

 通信機能については、IEEE 802.11ax(最大2,400Mbps)、Bluetooth 5.1をサポートしている。有線LAN端子は搭載されていないので、有線LAN接続するさいには「Dell DA200アダプター」またはサードパーティー製LANアダプタが別途必要だ。

フットプリントがコンパクト化、インターフェイスを変更

 本体サイズは344.72×230.14×18mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.83kg(56whバッテリ、タッチ非対応)または約2.05kg(86Whバッテリ、タッチ対応)。

 本体天面と底面はCNC削り出しのアルミ素材、パームレストはカーボンファイバー製で、タッチパネルディスプレイはCorning Gorilla Glass 6でカバーされている。従来モデルが357×235×11~17mm(同)/約1.8~2kgだったので、幅が12.28mm、奥行きが4.86mm小さくなり、高さと重量がわずかに増えたことになる。

 インターフェイスは、Thunderbolt 3×2(USB PD、DisplayPort対応)、USB 3.1 Type-C(USB PD、DisplayPort対応)、SDカードスロット、3.5mmヘッドセットジャック、ウェッジシェイプロックスロットという構成。

 ついにUSB Type-A端子が廃止され、代わりにHDMIとUSB Type-A端子を増設する「Dell Adapter USB-C to USB-A/HDMI-DA20」が同梱されている。USB Type-A端子を排しているが、フルサイズのSDカードスロットが残されていることはクリエイティブワーク向けマシンとしてうれしい配慮だ。

 同梱されている130W ACアダプタの型番は「HA130PM170」。仕様は、入力100-240V/1.8A、出力20V/6.5A、5V/1A、容量130Wだ。USB Power Deliveryで規定されている100W(20V 5A)を超えており、また対応出力も少ないので、基本的には専用品と考えておいたほうがいい。

 一方、本体については最大90W出力に対応するUSB PD充電器「RP-PC128」で、「低速のUSB充電ケーブルが接続されています」という警告メッセージが表示されるものの給電できることは確認した。ただし、高負荷時に電力が足らなくなるので、サードパーティー製USB PD充電器を使うさいには注意してほしい。

本体天面と底面はCNC削り出しのアルミ素材、パームレストはカーボンファイバー製、タッチパネルディスプレイにはCorning Gorilla Glass 6が採用されている
本体底面。排熱機構は2つのファン、2つのヒートパイプで構成されている
ディスプレイ上側にデュアルアレイマイクを搭載することで、全方向から集音しやすい構造になっている。また4.2m離れた場所から会話が可能と謳われている
右側面には、USB 3.1 Type-C(USB PD、DisplayPort対応)、SDカードスロット、3.5mmヘッドセットジャック、左側面にはウェッジシェイプロックスロット、Thunderbolt 3×2(USB PD、DisplayPort対応)が配置されている
SDカードを奥まで挿入しても、少し頭が飛び出す仕様だ
ディスプレイは従来モデルより下側のベゼルを大きく削り、画面比率を16:10に変更。従来モデルより5%広くなった92.9%の画面占有率を実現している
直径2.25mmのWebカメラによりフレームレスディスプレイが実現されている
キーボード面。US配列のキーボードも選択可能。左端のキーに余裕があるのに、なぜか「¥」キーの幅が狭められている
ディスプレイの最大展開角度は実測約136度
本体、ACアダプタ、電源ケーブル、「Dell Adapter USB-C to USB-A/HDMI-DA20」、説明書(クイックスタートガイド、安全および認可機関に関する情報、Regulatory Information Sheet、デル お問い合わせ窓口のご案内)が同梱されている
ACアダプタのコード長は実測約175cm、電源ケーブルの長さは実測約90cm
130W ACアダプタの型番は「HA130PM170」。仕様は、入力100-240V/1.8A、出力20V/6.5A、5V/1A、容量130W
HDMIとUSB Type-A端子を増設するための「Dell Adapter USB-C to USB-A/HDMI-DA20」
USB Type-C端子は底面にはめ込まれている
「Dell Adapter USB-C to USB-A/HDMI-DA20」はすべての端子で利用可能だ
本体の実測重量は1996g。カタログスペックよりかなり軽かったがマージンを大きくとっているのだろう
ACアダプタと電源ケーブルの合計重量は実測438.0g
システム情報
主要なデバイス
Windows 10のバージョン1909適用後、初期状態に戻したさいのCドライブの空き容量は895.96GB(1TBモデルの場合)
「powercfg /batteryreport」コマンドを実行したところ、DESIGN CAPACITY、FULL CHARGE CAPACITYともに84,292mWhと表示された

キーボードの打鍵感は良好だがタッチパッドが大きすぎ?

 キーボードのキーピッチはX方向が19.05mm、Y方向が18.05mm、キーストロークは実測1.5mm前後。日本語キーボードはUSキーボードの79キーより4キー多い83キー仕様だが、「¥」キーがわずかに狭いだけでほかのキーは等幅にそろえられている。打鍵感は良好で、打鍵音も比較的低め。入力しやすいキーボードと言える。

 気になったのがタッチパッドの大きさ。前モデルが105×80mm(幅×奥行き)だったところ、今回のXPS 15は150×90mm(同)と大型化されている。母指球の広い面積でタッチパッドに触れたり、クリックしても反応しないようにソフトウェア制御されているが、タイピング時に手をしっかり預けるとどうしてもクリックしてしまう。

 この点が個人的に非常に気になった。広いタッチパッドのほうがデザイン的にはよいのかもしれないが、操作性という点ではあまり恩恵がないように思う。ここまで大きくなくてよいのではないだろうか?

 使い勝手におけるもう1つの不満が4Kディスプレイしかタッチ操作に対応していないこと。最大消費電力は4Kが10.4W、フルHDが4.41Wなので、低消費電力のフルHDディスプレイでタッチパネルを使いたいという人もいるはずだ。

「¥」キーがわずかに狭いだけでほかのキーは等幅にそろえられている
キーピッチはX方向が19.05mm、Y方向が18.05mm
キーストロークは実測1.5mm前後
キーボードバックライトは2段階に調整が可能だ
指紋認証センサーは電源ボタン一体型
タッチパッドは150×90mmと大型化されている
4Kディスプレイはタッチ操作に対応。細部を確認するとき、文書に署名するときにタッチパネルは便利だ。フルHDディスプレイもタッチ対応を選べるようにしてほしい

スペックに近い色域を確認、サウンド品質もハイレベル

 今回借用したXPS 15には、15.6型4K WVA液晶ディスプレイが搭載されていた。カラーキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で色域を確認したところ、sRGBカバー率は100.0%、sRGB比は145.3%、Adobe RGBカバー率は99.0%、Adobe RGB比は107.7%、DCI-P3カバー率は91.4%、DCI-P3比は107.1%とほぼスペックどおりの色域を確認できた。

 前モデルの有機ELディスプレイほどのコントラスト比は備えていないが、4K WVA液晶ディスプレイは「DisplayHDR 400」に対応しており、輝度は500cd/平方mと高いので、HDR対応コンテンツを階調豊かに楽しめるはずだ。

 一方、サウンド面については、コントローラが「Realtek ALC3266-CG」から「Realtek ALC3281-CG」に変更され、スピーカー出力が2Wから4W(ピーク5W)に引き上げられている。またスピーカー位置も底面前面からキーボード左右の特等席に配置された。そのおかげで、解像感、伸びやかさ、低音の迫力が大きく向上している。Windows搭載ノートPCとしてはかなりレベルが高いサウンド品質だと思う。

実測したsRGBカバー率は100.0%、sRGB比は145.3%
実測したAdobe RGBカバー率は99.0%、Adobe RGB比は107.7%
実測したDCI-P3カバー率は91.4%、DCI-P3比は107.1%
YouTubeで公開されている「前前前世(movie ver.) RADWIMPS MV」を最大ボリュームで再生したさいの音圧レベルは最大85.0dB(50cmの距離で測定)
Adobe RGBカバー率100%が謳われている15.6型4K+ WVA液晶ディスプレイはRAWデータの現像用途にもってこいだ
輝度が500cd/平方m、視野角上下左右85度が確保されており、ほぼ真横からでもなにが表示されているのか判別できる

第10世代CPUで着実に性能向上、4K動画書き出しが驚異のスピードで完了

 最後に性能をチェックしてみよう。今回は下記のベンチマークを実施している。

  • 総合ベンチマーク「PCMark 10 v2.0.2165」
  • バッテリベンチマーク「PCMark 10 Modern Office Battery Life」
  • 3Dグラフィックベンチマーク「3DMark v2.11.6866」
  • CPU/OpenGLベンチマーク「CINEBENCH R15.0」
  • CPUベンチマーク「CINEBENCH R20.060」
  • 3Dゲームベンチマーク「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」
  • ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 7.0.0」
  • Adobe Lightroom Classic CCで100枚のRAW画像を現像
  • Adobe Premiere Pro CCで実時間5分の4K動画を書き出し

 比較対象としては、第9世代の「Core i7-8750H」からどのぐらい性能が向上しているのか、dGPUによって3Dグラフィックス性能がどのぐらい向上するのかを確認するために、「LAVIE VEGA」のベンチマークスコアを流用している。

 下記が検証機の仕様とその結果だ。

【表4】検証機の仕様
XPS 15LAVIE VEGA(PC-LV950RAL)
CPUCore i7-10750H(6コア/12スレッド、2.6~5GHz)Core i7-8750H(6コア/12スレッド、2.6~4.5GHz)
GPUIntel UHD Graphics(350MHz~1.15GHz)、GeForce GTX 1650 Ti (4GB)Intel UHD Graphics 630(350MHz~1.15GHz)
メモリDDR4-2933 SDRAM 16GBDDR4-2666 SDRAM 16GB
ストレ-ジ1TB PCIe NVMe SSD1TB(Optane Memory H10)
ディスプレイ15.6型/3,840×2,160ドット15.6型/3,840×2,160ドット
TDP45W
OSWindows 10 Pro 64bit バージョン1909
サイズ(幅×奥行き×高さ)344.72×230.14×18mm359.8×243.9×18.3mm
重量約2.05kg約1.9kg
【表5】ベンチマ-ク結果
XPS 15LAVIE VEGA(PC-LV950RAL)
PCMark 10 v2.0.2165
PCMark 10 Score4,5474,162
Essentials8,8528,722
App Start-up Score11,363
Video Conferencing Score8,054
Web Browsing Score7,580
Productivity7,0426,720
Spreadsheets Score8,537
Writing Score5,809
Digital Content Creation4,0933,339
Photo Editing Score7,119
Rendering and Visualization Score2,562
Video Editting Score3,760
PCMark 10 Modern Office Battery Life8時間13分6時間57分
3DMark v2.11.6866
Time Spy3,809
Fire Strike Ultra2,110
Fire Strike Extreme4,401
Fire Strike8,8991,184
Night Raid15,196
Sky Diver19,5044,849
CINEBENCH R15.0
OpenGL114.55 fps
CPU1293 cb967 cb
CPU(Single Core)191 cb179 cb
CINEBENCH R20.060
CPU2,806 pts2,040 pts
CPU(Single Core)458 pts418 pts
FINAL FANTASY XV BENCHMARK
1,280×720ドット、標準品質、フルスクリ-ン7,742(快適)
1,920×1,080ドット、標準品質、フルスクリ-ン5,144(やや快適)
3,840×2,160ドット、標準品質、フルスクリ-ン1,813(動作困難)
SSDをCrystalDiskMark 7.0.0で計測
1M Q8T1 シーケンシャルリード3,444.105 MB/s2,023.11 MB/s
1M Q8T1 シーケンシャルライト2,439.532 MB/s540.68 MB/s
1M Q1T1 シーケンシャルリード1,446.864 MB/s1,404.45 MB/s
1M Q1T1 シーケンシャルライト2,009.352 MB/s504.79 MB/s
4K Q32T16 ランダムリ-ド636.244 MB/s576.76 MB/s
4K Q32T16 ランダムライト402.552 MB/s329.71 MB/s
4K Q1T1 ランダムリ-ド41.499 MB/s129.94 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト120.757 MB/s108.03 MB/s
Adobe Lightroom Classic CCで100枚のRAW画像を現像
7,952☓5,304ドット、カラ- - 自然4分51秒19
Adobe Premiere Pro CCで実時間5分の4K動画を書き出し
3,840×2,160ドット、30fps1分27秒52

 XPS 15が搭載する「Core i7-10750H」とLAVIE VEGAが搭載する「Core i7-8750H」はどちらも6コア12スレッドのプロセッサーだ。しかし、XPS 15がCINEBENCH R20.060で約1.37倍、CINEBENCH R15.0で約1.34倍のスコアを記録した。CPU性能が着実に向上していることは間違いない。

 そして当然大きく差がついたのが3Dグラフィックス性能で、「GeForce GTX 1650 Ti」を搭載するXPS 15が3DMarkのFire Strikeで約7.52倍、Sky Diverで約4.02倍のスコアを叩き出した。

 さらに、dGPUの恩恵を大きく受けられたのが、Adobe Premiere Pro CC。このテストはLAVIE VEGAと比較していないが、Adobe Premiere Pro CCが2020年5月に「ハードウェアアクセラレーション対応のH.264およびHEVCエンコーディング」というアップデートが提供されていることも相まって、4K動画の書き出しが大幅に高速化。5分の4K動画の書き出しが実時間の約29%に相当する1分27秒52で完了してしまった。今後、動画編集目的でマシンを購入するのなら、dGPU搭載が必須条件と考えるべきだ。

ベンチマークを実施するさいには、専用ユーティリティ「Dell Power Manager」のサーマル管理を「超高パフォーマンス」に、Windowsの電源モードを「最も高いパフォーマンス」に設定した
キーボード面の最大温度は57.9℃(室温23.9℃で測定)
底面の最大温度は51.9℃
ACアダプタの最大温度は50℃

世界最小の15.6型と17.3型のどちらを選ぶ?

 XPS 15は持ち運び可能なクリエイティブ向けノートPCとして理想に近いマシンだ。バッテリベンチマーク「PCMark 10 Modern Office Battery Life」で8時間13分動作するので、モバイル用途にも十分対応できる。

 また、ACアダプタなしで動作させても性能がほとんど低下しない。電源を確保できない場所でクリエイティブワークをこなしたいという方にまさにもってこいのマシンだ。

 悩みどころが「XPS 17」の存在。17.3型ディスプレイを搭載しつつ、374.45×248.05×19.5mm(同)/約2.11~2.51kgと、こちらもモバイル可能なサイズ/重量に収まっている。しかも近日、上位dGPU「GeForce RTX 2060」搭載モデルの販売が開始される予定だ。スペックが比較的近いだけに、世界最小の15.6型と17.3型のどちらを選ぶか、非常に難しい選択と言えよう。

ACアダプタなしで、Adobe Premiere Pro CCで実時間5分の4K動画を書き出してみたが、1分33秒47で完了した。またCINEBENCH R20.060のCPUスコアは2681 pts、FINAL FANTASY XV BENCHMARK(3,840×2,160ドット、標準品質、フルスクリ-ン)のスコアは「1,514(動作困難)」と、落ち込みはわずかにとどまっている