レビュー

8型ゲーミングPC「GPD WIN Max」ファーストインプレッション

GPD WIN Max

 GPDは、CPUにIce Lake世代のCore i5-1035G7を搭載した8型ゲーミングPC「WIN Max」のクラウドファンディングをIndiegogoで実施している。製品を入手するための最小出資額は約85,388円で、7月中にも出荷開始予定だ。

 また、日本においては株式会社天空が正規代理店として予約受け付けを開始しており、8月末~9月中旬頃に出荷するとしている。こちらでの税別価格は92,600円となっている。

 今回製品の正式出荷に先立ち、GPDよりエンジニアリングサンプル(ES品)が送られ、本日編集部に到着したので、その写真およびファーストインプレッションをお届けしよう。

 まずは製品パッケージだが、少しラメと文様の入った紺色のパッケージとなっている。これまで同社のパッケージはシックでシンプル質感のものが多かったので、やや高級感が増している。内容物は本体のほかに、65WのUSB PD対応ACアダプタ、USB Type-Cケーブル、説明書のみとシンプルだ。

 本体は天板とキーボードフレームがアルミニウム合金、それ以外がLG-DOW 121HのABS合成樹脂を採用しているとみられる。ES品では、天板とキーボードフレームが8.9型UMPCの「P2 Max」ライクな茶色を帯びたダークグレー、筐体側が「MicroPC」のような純粋のダークグレーとなっているが、実際の製品ではCGを見るかぎりブラックで統一されている。もっとも、このあたりは実際の製品が出てみないぶんにはわからない。

 キーボードは、これまでのどのGPD製品と比較してもだいぶ改善されている。サイズゆえ一部配列はまだ特殊だが、文字タイピングにおいては問題ないだろう。とくにファンクションキーが独立した点は高評価だ。

 従来どおりQ列とA列が半キー分ずれているので、W/A/S/Dを多用するゲームでは相変わらず窮屈なのだが、そこはゲームパッドでプレイすべきというメッセージだろう。どうしても本機でFPSをやりたいのであれば、外付けキーボードを接続すればよい。

製品パッケージ
パッケージを開けたところ
内容物
キーボードはファンクションキーが独立した

 WINシリーズのアイデンティティとも言えるゲームパッドだが、さすがにこれまでのノウハウに改良を重ねただけあって、操作性に関しては完成の域に達したと評していい。アナログパッドは軽い力で動作するので、長時間プレイで親指の付け根が痛くなることはないだろう。L/Rボタンも軽快に動作し、ゲーム内では快適そのものであった。

 今回改善してほしかった点は、WIN2でも同様だったAボタンが“黄”、Yボタンが“青”という配色。PCゲームのほとんどはXboxコントローラで操作することを前提にしていて、本機のコントローラもXbox互換なのだが、色が逆なのだ。とくにTomb Raiderのゲーム本編のアクションシーンでは、ボタンの色のサークルが出たあとにボタン名が表示されるので、「あっ、黄色のボタンか!」ととっさに色だけ見て押すと即死してしまう。このあたりは慣れが必要だろう。

 WIN2ではL3/R3がショルダーボタンになっていてなかなか区別がしにくかったが、WIN Maxではスティック押下型となった。L3/R3を使うゲームにおいては人差し指でボタンを探す必要がなくなったぶん、操作性は大きく向上したと言ってもいい。

左スティックと十字キー
右スティックとA/B/X/Yボタン
L1とL2ボタン。段差がつけられており区別しやすい
R1とR2ボタン。こちらも同様に段差がある

 筐体はMicroPCと同様樹脂製のため、熱が手に伝わってこないのが特徴。大きく開いた通気孔、デュアルファンも手伝って、CPUから発せられた熱のほとんどは後部に逃げてしまうため、短時間試してみたかぎりではあるものの、3Dゲームプレイ中に不快になることは一切なかった。このファンはRyzenの搭載を見越したものだったので、Ice Lakeでは余裕があるのだろう。ファンはさすがに風切りはするものの、ゲームに没頭してしまえば意外にも気になるほどでもなかった。

 液晶は1,280×800ドット表示対応の8型。最近の8型のUMPCはWUXGA(1,920×1,200ドット)またはWQXGA(2,560×1,600ドット)なので、解像度も精細感も低いが、ゲームプレイに適した解像度だと言える。ES品の液晶は色味が正しく、視野角も広いため見やすかった。ちなみに重量は実測で839gと重量級だが、意外にも重く感じず、両手にホールドして問題なくゲームをプレイできた。

 朝届いたばかりなので、まだ詳細なベンチマークなどは行なえていないが、今後Thunderbolt 3経由でビデオカードを取り付けたときの性能も合わせて試用レポートをお届けする予定だ。

本体底面。通気孔がかなりの面積を占めている
通気孔からファンやSSDなどが覗ける
左側面は、アナログパッドでマウスカーソル操作を行なえるようにする切り替えスイッチのみ
右側面にはGigabit EthernetとmicroSDカードスロットを備える
背面に備えられたHDMI、USB 3.0、Thunderbolt 3、USB Type-C。このサイズでフルサイズのHDMIやGigabit Ethernet、Thunderbolt 3を備えているのはやはり驚異的だ
前面にマイクと3.5mmミニジャックを備える
GPD P2 Max(右)との比較。サイズはほぼ同等だが、キー配列はGPD WIN Maxに軍配
WIN Maxはぱっと見2倍ぐらい厚みがあるが、性能や機能を考えれば納得だ
液晶の色味はなかなか正確。ただ、解像度が1,280×800ドットなので、一部Webサイトではやや窮屈に感じられるかもしれない
ちなみに標準でSteamのセットアップファイルが入っていた
Tomb Raider(2014)を実行しているところ
Ice Lake世代のCore i5-1035G7
ES品では標準で25WのTDPが設定されていた
Wi-Fi 6に対応しているため、ダウンロードはひじょうに高速であった