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軽量17型ノートでも快適なモバイルは可能か? Ice Lake搭載「LG gram 17」を徹底検証

LG gram 17(型番 : 17Z90N-VA76J1)

 LGの「gram」シリーズは、14/15.6/17型の3ラインナップで展開されている軽量モバイルノートだ。今回は17型の「LG gram 17(型番 : 17Z90N-VA76J1)」を検証する。

 17型は2019年モデルからラインナップに追加され、基本的にはその仕様を引き継ぎつつ、CPUがIce Lake世代へとアップグレードされている。実売価格は下位モデルが20万円強くらいで、Microsoft Officeつきだと24万円程度で売られている。レビュー機についてはOfficeつきで25万円ほどだ。

17型としてはかなり軽量

 17Z90N-VA76J1(以下、LG gram 17)は、ダークシルバー(同シリーズにはホワイトモデルもある)の外装でくさび形側面を採用し、17型というサイズ感を除けばモバイルノートの王道スタイルと言ってよいだろう。

くさび形の側面もありスリムに見える

 最初に見たときは17型という大きさが印象に残った。とくに本製品はモバイル向けでスリムな分、平置きしたときのフットプリントがよけいに大きく感じるようだ。しかし調べてみるとそうでもない。LG gram 17のサイズは380.6×262.6×17.4mm(幅×奥行き×高さ)。実際のところ、幅に関しては数年前のまだベゼルが太かった15.6型とほぼ同じだ。また、17.4mmという厚みはモバイルとして見ればそれほど薄くはないものの、17型という点からすれば十分にスリムだ。

 14/15.6型モデルと同様に、筐体の材質にはマグネシウム合金を採用し、米国国防総省制定の耐久試験を7項目クリアするといった堅牢性もアピールしている。金属筐体ということで見た目だけでなく質感も十分だ。

 重量は約1.35kgとされている。モデルによって構成が異なるので多少の差はあるがだろう、評価機は実測1.326kgで、公称値よりも若干軽かった。

 1.35kgという重量だが、モバイルノートは全般的に1~1.2kg前後なのでわずかに重い。ただし、15.6型クラスモバイルと同じ程度と考えることもできる。いずれにせよモバイルの範囲に収まっていると思ってよい。それに手に持った感覚ではかなり軽量に感じられる。もちろんバッグにおさめるときなどは体積の大きさを実感するが、それでも見た目以上の軽さのおかげなのか、案外気軽に持ち運べる印象だ。

重量は実測で1.326kg。13.3型の最軽量クラスで1kgを切るあたり。この大画面がプラス300gで手に入ると考えれば十分に軽量だ

 17型ディスプレイの解像度は2,560×1,600ドット(WQXGA)で、アスペクト比が16:10になる。そもそも17型で画面サイズが大きいことに加え、WQXGAの高解像度で情報一覧性がよい。とくに縦解像度が広いことは、映像作品視聴時に黒帯ができることを除けば、多くのメリットをもたらす。また、標準のスケーリングは150%だったが、パネルサイズを考慮すれば125%、なんなら100%表示でも十分にテキストを認識できる。

アスペクト比16:10の2,560×1,600ドットなので表示情報量が多く、さらに17型なのでノートPCとして比較すると非常に見やすさを感じる
メモ帳標準時のテキストフォントの大きさ。スケーリング100%
125%
150%(標準)

 試しに表計算ソフトの帳票やグラフを表示させてみたが、膨大なデータ、たくさんのグラフをスクロール操作なしに一画面に表示させることができるので、比較・検討が非常に楽に感じた。それに、テキスト編集ではより多くの行を表示できるので、前後の文章のつながりを把握しながら執筆できる。

 もちろん写真編集などでも、13.3型フルHDのようなノートPCのスタンダードなスペックと比べて、大画面で高精細な本機はより快適に細部まで確認できる。ディスプレイパネルの駆動方式もIPSなので視野角が広く、sRGBの色再現性も96%と高い。こうした点では、写真や動画など、ハイアマチュアクラスのクリエイティブニーズも十分にカバーできるように思う。

IPSパネルを採用しており、視野角が広く色味の変化も小さい。ただし光沢コートなので映り込みは激しい

 ベゼルはトレンドの狭額縁デザイン。左右ベゼルは6mmほど、上部ベゼルは9mmほどで、ここが本体幅を一昔前の15.6型並みまで小型化できた要因と言える。

左右ベゼルは6mmほど、上部ベゼルは9mmほどで非表示領域1mm程度を加えても十分に狭額縁だ
上部ベゼルにはWebカメラもある。

17型モバイルとカフェテーブルとの相性は?

 “17型でモバイル”と聞くとどのようなイメージを持つだろうか。モバイルノートの一般的なイメージは14型以下だろう。17型モバイルはどのようなサイズ感なのか掴みにくいかもしれない。そこで、本製品を持っていくつかカフェを巡ってみた。

 駅前のように人が集まる場所にあるカフェのテーブルは小さめなことが多い。そうした店舗ではそもそも13.3型(幅30cm強)でもPCの横にコーヒーを置くギリギリのスペースかあるかないかだ。17型(幅38cm)の本製品ならなおさらだ。コーヒーを液晶天板の裏に置くようなことになり、もちろんマウスを置くスペースがないのでタッチパッドだけで操作することになるだろう。

駅前カフェの小さなテーブルではこのとおり。コーヒーを置くとしたら本体の後ろになってしまう。あるいは飲み終わってから作業開始するのがよさそうだ

 一方、郊外のロードサイド店などではゆったりと大きめのテーブルを置いてくれるところも多い。そうしたテーブルなら横にコーヒーを置いたり、あるいはマウスを置いたりしても大丈夫なスペースが得られる。カフェ以外ならばファミリーレストランなどのテーブルも大丈夫と言えるだろう。

ロードサイド店で大きめのテーブルを置いてくれるところならマウス併用もできる

 なお、普段14型対応バッグでノートPCを持ち運んでいるが、当然17型は入らなかった。17型を持ち運ぶときはバッグ選びも必要かもしれない。フットプリント的にほぼ15.6型の本製品なら、いくつかの15.6型対応バッグには入るかもしれないので、試す価値はある。

 ただ、奥行きは一昔前の15.6型よりも大きいので、幅が大丈夫でも奥行きが無理ということもありそうだ。基本的には17型対応のバッグ、20Lあたりのバッグが無難な印象だ。

 筆者は以前15.6型ノートを持ち歩いていたこともあるので、その大きさと重さは覚えている。2kg前後のひと昔前の15.6型ノートに比べれば格段に軽い。正直、少し古めの13.3型モバイルもこれに近い重さだし、バッテリ駆動時間の不安でACアダプタを持ち運べば1kg台半ばくらいにはなる。その点でここは問題ないと感じた。

 とは言え、小さなテーブルでは本来快適なはずの本製品を窮屈に感じることになる。自宅や会社の近隣で、大きなテーブルを置いてあるお店を覚えておくのがよいだろう。その意味で、13.3型モバイルほど広範囲にモバイルするよりは、拠点を中心に少し行動範囲を絞ったモバイルになるかもしれない。

 なお、大きさと重さがクリアできれば、自宅と会社を行き来するモバイルとしては相当快適だ。とくに自宅に戻って作業をするさい、17型なら十分にリラックスして操作できる。モバイルPCをメインにお使いの方のなかには、自宅使用時に外部ディスプレイにつなぐこともあるかと思われるが、LG gram 17はそこまでしなくても快適というのがメリットと言える。

十分なインターフェイスを備えるがACアダプタ&USB PDの両実装は謎

 再び使い勝手に戻りたい。まずインターフェイスは、左側面にACアダプタ用ジャック、USB 3.0 Type-A、HDMI、USB Type-C(Thunderbolt 3)を、右側面にUSB 3.0 Type-A×2、ヘッドフォン出力、microSDカードスロットを備える。

左右のインターフェイス。USB Type-Aが3ポートあるのは便利な一方、USB Type-Cは1つだけ。そしてACアダプタ用ジャックもある
有線LAN用にType-C→RJ-45変換アダプタも付属する。無線LANはWi-Fi 6対応

 ユニークなのはACアダプタ用ジャックを用意しておきながら、USB PD充電にも対応しているところだ。付属のACアダプタは19V/2.53Aで約48W出力のもの。手持ちのUSB PD充電器を試したところ、30Wのものでは電力供給不足(電源を落とした状態などでは充電可。稼働中はせいぜいバッテリ消費が遅くなる程度)の警告が表示されたが、45W以上のものなら警告はなく充電できた。

付属のACアダプタは48W出力で小型。一方、Thunderbolt 3側はUSB PDによる充電と15Wまでの給電、5K/60Hzの映像出力などに対応している

 ACアダプタは丸プラグ端子のものを利用している。ACアダプタとUSB PD両対応なので、充電中でもUSB Type-C端子が利用できる。もちろんUSB Type-Cを2ポート用意してくれれば、そもそもACアダプタは必要ないのだが……。出張のような荷物を減らしたいときはスマートフォンも充電できるUSB PD充電器だけを持って行き荷物を減らしたい。

 キーボードはテンキーつきで日本語104キー仕様。バックライトも搭載している。テンキーつきは15.6型も同様で、17型はさらに幅の余裕があるため当然と思われる。そして2019年モデルではEnterとテンキーが近接していたが、2020年モデルは少しここのスペースを広げている。Enterキーの打ち間違いは抑えられるだろう。

 ただ、本体のコンパクト化もあり、下から3、4、5段、Enterキー付近のいくつかのキーは幅がせまくなっている。とはいえその部分のキーの使用頻度は低く、それ以外では上下左右キーの縦が細いくらい。一般的な配列を採用しており、クセが少なく馴染むにも苦労しない。なお、テンキー部分の右上が電源ボタンになるが、ここは指紋センサーを兼ねている。

テンキーつきの104キー仕様。一般的な配列と言える
テンキーの右上に指紋認証センサー内蔵の電源ボタンがある

 タッチパッドはまずまず大きい。ただ、周囲には十分なスペースもあって、大きすぎずちょうどよいサイズに抑えた印象だ。

タッチパッドは大きめで、周囲にわずかな段差を設けている

Ice Lakeを採用しているがメモリはLPDDR4XではなくDDR4

 内部スペックを見ていこう。

 まずCPUはCore i7-1065G7。Ice Lake世代の4コア8スレッド対応CPUで、ベースクロックは1.3GHz、ターボ時は3.9GHz。第10世代にはComet Lakeもあるが、そちらは最大6コア。それと比較するとIce Lakeは4コアどまりで劣る。ターボ時のクロックも4GHzに達していない。しかしIce LakeではIPCが向上しており、より高性能の統合GPU「Intel Iris Plus Graphics」を利用できる。

 メモリはDDR4-3200で16GB。8GB×2枚構成。容量は十分だが、Core i7-1065G7はより高速なLPDDR4-3733にも対応しているので、DDR4-3200という選択はめずらしいかもしれない。LPDDR4Xが高価なためか、調達の問題か。理由は推測するしかない。また、CPU-Zなどのツール上から見ると空欄で確認できなかったが、デュアルチャネルモードで動作していると思われる。

 GPUのIris Plus Graphicsにもいくつかバリエーションがあるが、Core i7-1065G7が搭載しているのはEU(実行ユニット)が64基のもの。同じIce LakeでもたとえばCore i5-1035G4のように末尾が「G4」のものはEUが48基となる。

 64基のEUを搭載することで本来性能を期待できるが、統合GPUのグラフィックスメモリはメインメモリをシェアする。その点でDLPDDR4X-3733ではなくDDR4-3200を選んだ選択がどう影響するのかに注目だ。

 ストレージはNVMe SSDで1TB。実際にはシステム側が512GB、データ側が512GBと、2ドライブ構成になっている。接続はどちらもPCI Express 3.0 x4。評価機は2枚ともSamsung MZVLB512HAJQだった。シーケンシャルリードは3.4GB/sと高速で、同ライトは2GB/s弱というリード特化タイプだ。

Cドライブ(左)とDドライブ(右)で計測したCrystalDiskMarkの結果。2つとも同じSSDなのでシステム側のCドライブのほうがわずかに遅いがほぼ同等

十分な性能だがLPDDR4XのIce Lakeと比べると伸び悩む

 それではベンチマークテストの結果を見ていこう。電源設定はパフォーマンス優先とし、バッテリテストのみバッテリ優先でテストしている。

【表1】検証環境
LG Gram 17(17Z90N-VA76J1)Lenovo C940Lenovo C940(US)
CPUCore i7-1065G7(4コア8スレッド、1.3/3.9GHz、8MBキャッシュ)Core i5-1035G4(4コア8スレッド、1.1/3.7GHz、6MBキャッシュ)Core i7-1065G7(4コア8スレッド、1.3/3.9GHz、8MBキャッシュ)
チップセットIce Lake PCHIce Lake PCHIce Lake PCH
GPUIris Plus Graphics(64EU)Iris Plus Graphics(48EU)Iris Plus Graphics(64EU)
メモリ16GB DDR4-32008GB LPDDR4X16GB LPDDR4X
ストレージ512GB NVMe+512GB NVMe SSD256GB NVMe SSD512GB NVMe SSD
OSWindows 10 Home 64bitWindows 10 Home 64bitWindows 10 Home 64bit

 今回使用したベンチマークソフトは、ULの「PCMark 10 v2.1.2165」、同「3DMark v2.11.6866」、MAXONの「CINEBENCH R20」、ペガシスの「TMPGEnc Video Mastering Works 7」、The HandBrake Teamの「Handbreak」だ。

【表2】定番ベンチマーク結果
LG Gram 17(17Z90N-VA76J1)Lenovo C940Lenovo C940(US)
PCMark 10v2.1.2165v2.0.2144v2.0.2144
Extended Score3,5033,3283,862
Essentials Scenario9,2378,5489,831
App Start-up Test12,03610,48714,788
Video Conferencing Test8,0367,6797,712
Web Browsing Tset8,1517,7578,333
Productivity Scenario7,0806,4176,701
Spreadsheets Test7,6237,4527,734
Writing Test6,5765,5265,807
Digital Content Creation Scenario3,4823,3903,787
Photo Editing Test5,0394,5085,388
Rendering and Visualization Test2,0542,4052,516
Video Editing Test4,0813,5954,009
Gaming Scenario1,7891,7832,411
Fire Strike Graphics Test2,2832,3113,104
Fire Strike Physics Test8,99211,15111,291
Fire Strike Combined Test8287721,099
3DMarkv2.11.6866v 2.10.6797v 2.10.6797
TimeSpy Extreme317-
TimeSpy678726941
NightRaid7,0378,39910,040
FireStrike Ultra499-
FireStrike Extreme977-
FireStrike1,988-
SkyDiver6,724-
CINEBENCH R20
CPU1,3121,5641,784
CPU(SingleCore)425438441
TMPGEnc Video Mastering Works 7
4K/60p/MP4→FHD/30p/VP95.175.756.19
4K/60p/MP4→FHD/60p/H.265/HEVC/SW9.22-
4K/60p/MP4→FHD/60p/H.265/HEVC/HW26.61-
HandBreakv1.3.0
4K/60p/MP4→FHD/30p/H.264/MP4 Fast SW21.58-
4K/60p/MP4→FHD/30p/H.264/MP4 Fast HW33.7-
4K/60p/MP4→FHD/30p/H.265/MP4 Fast SW17.7724.1327.42
4K/60p/MP4→FHD/30p/H.265/MP4 Fast HW21.59-

 最初にCINEBENCH R20に言及したい。結果を見ると、同じCPUを搭載する比較対象に対して低めになった。シングルスレッド性能は400pts台を出しているので多少低いが数%程度。ところがマルチスレッド側は1,300pts台でこれは同じCPUを搭載する比較対象に対して73.5%止まりだ。同じCPUでこうした比較的大きな差がつくのはあまりない。ただ、今回の場合はシングルよりもマルチスレッド時の影響が大きいことから、スペック自体に要因が、そしてCPUに付随するスペックでもっとも大きな違いとしてメモリが挙げられるだろう。

 比較対象はIce Lakeでサポートされている2つのメモリのうち、LPDDR4X-3733を採用している。一方LG gram 17はDDR4-3200を採用している。シングルスレッドではギリギリ間に合っていたメモリ転送速度が、全CPUがメモリ帯域を奪い合うマルチスレッド時では明らかに足らなくなり、メモリ転送待ちが生じていたと推測できる。3,200MHzと3,733MHzでは533MHz違いだが、デュアルチャネルではこの倍の1,066MHzになる。性能差を生み出す要因としては十分だ。

 そう考えると、PCMark 10のスコアがわかりやすくなる。バラつきはあるものの、Essentials、Productivity、Digital Content Creationのシナリオはそれなりに比較対象に近いスコアだ。しかしGamingシナリオだけは比較対象の73%程度になっている。統合GPUではメインメモリをグラフィックスメモリとしてシェアする。73%という数値は先のCINEBENCH R20のマルチスレッド時のスコア差とほぼ合致する。メインメモリの転送速度という影響を受け、統合GPUも性能を発揮できていないと考えられる。

 Core i7-1065G7のIris Plus Graphicsは64EUだ。そしてもう1つの比較対象として掲載したCore i5-1035G4搭載機のIris Plus Graphicsは48EUである。LG gram 17Z90N-VA76J1のGamingシナリオのスコア、3DMarkのスコアは、48EUのCore i5-1035G4内蔵Iris Plus Graphicsを下回っている。ただし、フォローしておけば、Comet LakeのIntel UHD Graphicsよりは上のスコアだ。

 CPU、グラフィックス両面でまとめておこう。CPU側に関しては、メモリがDDR4である影響が大きいようだ。CINEBENCH R20で見られたように、Core i5-1035G4よりも若干低い点はとくに気になるところだ。ただし、PCMark 10で見られたように、通常作業のようにフルスレッドを使い切らないシーンの影響は小さい。影響があるとすれば映像のトランスコーディングなどだろうか。大画面やイザとなればモバイルできるコンセプトと天秤にかけて検討するのがよいだろう。

 3Dグラフィックスに関しては、Iris Plus Graphicsが統合GPUとしては高性能だとしても、これをゲーム主眼に選ぶ方は少ないだろう。その点ではDDR4メモリであってもデメリットが目立つほどではないと思われる。

 上記のように、ゲーム性能に関してはIris Plus Graphicsでもあまり期待しないほうがよい。とはいえIris Plus GraphicsはUHD Graphicsよりも高性能で、UHD Graphics搭載CPU、つまりComet Lakeや旧世代CPUはDDR4-2666までの対応なので、DDR4-3200の本製品はグラフィックスメモリも高速だ。おかげでごく軽量な3Dゲームであれば、フルHDやHDで十分に楽しむことができる。

【表2】ゲームベンチマーク結果
LG Gram 17(17Z90N-VA76J1)Lenovo C940Lenovo C940(US)
ドラゴンクエストX ベンチマークソフト
1920×1080ドット最高品質5,9065,55010,102
1920×1080ドット標準品質6,6337,13011,677
1920×1080ドット低品質8,5878,63612,281
1280×720ドット最高品質9,61010,15814,246
1280×720ドット標準品質11,08011,39714,990
1280×720ドット低品質12,55713,79816,539
World of Tanks enCore
超高品質2,1572,4883,418
中品質4,4855,7318,274
最低品質9,94038,26545,172
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク
1920×1080ドット、最高品質1,6771,9732,500
1920×1080ドット、高品質(ノートPC)2,4222,8073,775
1920×1080ドット、標準品質(ノートPC)3,0953,9355,041
1280×720ドット、最高品質3,0653,7024,417
1280×720ドット、高品質(ノートPC)4,3705,2796,090
1280×720ドット、標準品質(ノートPC)5,1896,7187,709
1920×1080ドット、最高品質10.98fps12.97fps16.92fps
1920×1080ドット、高品質(ノートPC)16.45fps19.02fps25.66fps
1920×1080ドット、標準品質(ノートPC)21.56fps26.41fps34.42fps
1280×720ドット、最高品質21.55fps25.37fps30.27fps
1280×720ドット、高品質(ノートPC)31.38fps36.73fps43.57fps
1280×720ドット、標準品質(ノートPC)38.37fps47.86fps56.38fps

 ゲームベンチマークは、「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」、「World of Tanks enCore」を用いた。ドラゴンクエストXならフルHD、最高画質でも、World of Tanksならグラフィックス品質「中」あたりでも、ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズならフルHDの高品質(ノートPC)で普通判定だ。

【表4】バッテリベンチマーク結果
LG Gram 17(17Z90N-VA76J1)Lenovo C940Lenovo C940(US)
PCMark 10 - Modern Office 駆動時間11時間49分10時間35分11時間27分
PCMark 10 - Modern Office スコア6,0376,1026,060

 バッテリ駆動時間は公称では19.5時間。PCMark 10のバッテリテスト内、Modern Officeシナリオでは、実測11時間49分だった。PCMark 10のバッテリテストは常時アプリケーションを稼働させるため、公称値より短くなる。ただしそのテストでほぼ半日の駆動時間であれば、十分に一般的なモバイルをこなしてくれる。夜、自宅で充電し、日中会社で充電できればまったく問題ないし、充電できなくても夜まで持つだろう駆動時間だ。

PCMark 10のModern Officeシナリオでは11時間49分という結果

惜しむらくはメモリだが、据え置き/モバイル両用途で快適を得られる

 17型モバイルは、大きさゆえに快適さを得られる一方、持ち運びのさいのバッグや、出先で設置するさいのスペースなどが制限される。重さは1.3kg程度なのでここはほとんど問題にならないだろう。キーボードがテンキーつきで使い勝手がよいので、入力操作が多い用途でも生産性の向上が期待できる。

 性能面で惜しむらくはメモリがDDR4-3200である点、そしてそれが要因となりCPU、GPU双方とも、Ice Lake世代CPUの真価を発揮できていないところだ。Ice Lakeに性能を求める方のニーズとは少しマッチしていない印象がある。

 ただし、フルスレッドを使う用途やゲーム用途でもないかぎりは大きな影響はない。悩ましいところだが、17型モバイルというコンセプトや、デザイン、機能性と天秤にかけることになるだろう。

 LG gram 17は、取り扱い販売店によって仕様が異なっている。今回レビューした17Z90N-VA76J1はスペック的に最上位構成のようだ。価格も20万円台半ばでモバイルノートとして見ても高価だが、17型に高解像度パネル、メモリも16GBでストレージは合計1TBというスペックからすれば妥当かもしれない。

 ほかにCPUがCore i5のモデル、メモリが8GBのモデル、SSDが512GBや256GBのモデルが確認できる。特定店舗でしか取り扱いのないモデルが多いため、近所の店舗に行っても希望するスペックのモデルが置いていないということもあり得る。事前に製品の販売サイトを確認するのがよいだろう。